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カテゴリ: 1000憶系
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最終更新日  2009年06月19日 06時50分56秒
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虹を抱いた青空のように6-1  
(匿名)希望 さん
黒いRVは舗装された道路を離れた。
研究室を出発して一時間以上たつが運転席の孝史は一言も発しない。

セイラは横目で様子を窺った
今日は運転用なのだろうサングラスをかけ
開け放った窓に腕をかけ片腕をハンドルにかけている。

決してよい路面ではない
そのため時々セイラは軽く座席からジャンプした。
その度に彼の表情が強ばるのがわかった。

その険しい表情にセイラは小さく肩を丸め、でこぼこの路面に文句を言いたくなった。
昨日の感じだと彼は随分フレンドリーだったが・・・今日は一転して気難しい印象だ。
『あれは洋子の手前だったのかな。』

やがて海の音が大きくなり、車が静かに止まった。
孝史は相変わらず無言で車をおりた。
急いでセイラも助手席からおりる。
「じゃあ、これもって。」
孝史はジュラルミン製のトランクを車から降ろした。
「はい」
全部で三つだった。
セイラは迷わず目の前の一番大きなケースに取りついた。
細身に似合わず力には自信がある。(シェフは大きな料理器具を自在に扱わなくては行けない、それなりに彼女は体を鍛えている)
持ち上げようとする彼女の腕に彼の手が当たった。

(2009年06月19日 14時21分42秒)

虹を抱いた青空のように 6-2  
(匿名)希望 さん
「きゃ!」
火傷でもしたかのようにセイラは飛び退いた。
「・・・なんだよその叫び声・・・そのケースは重すぎる、君はあっちの二つをもってくれたらいいよ。」
そういうとむっとして孝史は小さなケースを指さし、一番大振りでおもいそれを自分で軽々と抱え歩き出した。
セイラはあわてて小さなトランクを手にすると急いで彼の背中を追いかけた。

彼女がやっとのことで追いつくと孝史は振り返らずにいった。
「今度からもう少し丁寧に運転するよ。随分、揺れただろう。」

彼の言葉を理解できずセイラは一瞬きょとんとした。
「じゃあ、いくぞ、急げ。ブラウ。」
セイラは我に返った。
彼の言葉がやっと理解できたのだ。
そうさっきの運転のことを謝っているらしい。

『もしかして・・・フェミニストなのかな・・・。』
彼の後を追う
小道を上りきる。
視界に海岸線が広がっていた。
潮騒と海鳥の鳴き声が響く
孝史は下り坂になっている小道を既に半ば降りていた。
彼は振り返ると
「あの岩の向うまでいくぞ。」と言った。

「はい。」
海にも鳥にも負けないようにセイラは大きな声で返事をした。
そして、無愛想にしようと努力している不器用な青年を追いかけた。

(2009年06月19日 14時27分36秒)

虹を抱いた青空のように 6ー3  
(匿名)希望 さん
****

坂を下りきって浜辺を歩く。

「ブラウ。こっちだ。」
孝史は立ち止まって彼女を待った。
やっとのことで追いつく
「ちょっとまって孝史・・いえ南原さん。」
「孝史でいいって。」

脚の速さには自信があったのだが・・・セイラは肩で息をした。
「スポーツジムとかに行っているの?」
「そんな時間も金もないよ。身体は別に鍛えてないさ・・・でも歩いたり、走ったり、登ったり・・・科学者の仕事といっても、僕のは殆ど肉体労働だからね・・・。」

サングラスをかけたまま彼女を見ている彼にセイラはおずおずと問い掛けた。
「怒っているんじゃないんですか?。」
「え?」

「今日はずっと恐い顔で・・・やっぱり私迷惑だったのかなって思ったんです。それならそうといってほしいかなって・・・。」
「ああ、迷惑だよ。」
彼女の問い掛けに孝史はあっさりと言った。
「・・・・。」

「というか助手席に女性を載せて走ることが殆どなくて。洋子は自分で運転したがるし・・・。なんか勝手が違ってね。トニーみたいに気の利いた話しが出来る方じゃないし。」
「は・・・はあ。」
「君は豪快に跳ねてたし・・・今日はいちだんと路面の悪い道で。二三回は頭を打ってた。」


(2009年06月19日 14時43分55秒)

虹を抱いた青空のように 6-3  
(匿名)希望 さん
「見てたんですか?あ・・でも、あたし、じっとしているより・・・跳ねるの好きです。あの、特に、車の助手席なら跳ねているの好きです・・・。」
セイラはわれながら意味不明の言葉を口走った。
「助手席で跳ねるの好きって・・・。」
孝史は驚いたように彼女をみると今度は小さく声を上げて笑った。
「おもしろいね・・・よかった・・・パーティーの時みたいな感じにやっと戻った。早乙女の勝手口からこっちず~~っと人形みたいにおとなしかったからこっちも勝手が違ってさ。よかった、そのほうがずっといい。昨日だって研究室で命令口調で話しちゃったし、なんか強制したみたいでさ。俺、それなりに気にしていたんだ。」
彼はサングラスのまま微笑んだ。

彼の笑顔にセイラは頭が真っ白になった。

孝史はというと・・・彼女の様子など頓着せず喋り続けた。
「それに俺、人を指導するって初めてだから。どういう手順でお願いするかとか・・・。あんなに偉そうなことを研究室ではいったけど、実は僕も素人や学生に指示を出す事もあるから本当は俺にとっても勉強なんだ。洋子もそれが分かっていて僕を君をくませた。だから本当は迷惑じゃないんだ・・・だから分かりにくい事があったら遠慮なく聞いてくれ。」
気が緩んで彼は一気に多弁になったようだ。

セイラは彼の豹変ぶりに戸惑いながらなんとか答えた。
「わ・・わかりました。いろいろ聞きます。よろしくお願いします。そ、それとですね、私、大丈夫です。だから変に気を使わないでください、例えばあれくらい・・・車で揺られるくらいは馬に乗ることを考えたらぜんぜん揺れたうちにはいりませんし・・・す・・すきですよ。」
そこまで言って自分の言った“好きです”と言う言葉に何故か更に焦った。



(2009年06月19日 14時46分22秒)

虹を抱いた青空のように 6ー4  
(匿名)希望 さん
彼女の答えに孝史は驚いたように言った。
「馬にのれるの?」
「え・・・ええ、父が小さな牧場をもっているので・・・。」
「いいなあ・・・。馬か・・・。」
「はあ・・・。」
「いいよねえ。」
孝史が目を細めた。
セイラは彼の視線が自分から外れちょっとだけほっとし、行きを整えると答えた。
「・・・・今度、教えましょうか?」
「いいの?」

孝史は荷物をおくとサングラスを外し彼女をじっと見つめた。
するとセイラの心臓は持ち主を無視して“飛び跳ね”だした。
「え・・えええ。父さんに頼めばいつでも。」
必死で返事をした。
「いや~~~うれしい。最高だ。よし、スケジュール考えないとな・・・。頼むよ、いや~~~たのしみだ。」
そういうと孝史はセイラの手をにぎり彼女を振り回した。
「あ・・・あの鞄が・・・。」
孝史は慌てて彼女の手を放すといままで以上に生真面目な声で言った。
「あ・・・ごめんごめん・・・じゃあ、行こうか。昨日渡しておいたプランは読んでいるよね・・・まずはA1地点から。あっちだ。」
そういうと孝史は波に現れている岩場の一番大きい岩を指さした。

そして咳払いをすると再びトランクを手にしてすたすたと歩きはじめた。

セイラはケースを肩にかけた。
彼の背中がさっきまでより遥かに楽しそうに揺れているのが分かった。
まるで子供のようにはしゃいだ自分を一生懸命隠しているような、でもかくしきれない背中。
セイラは自分の手を見下ろした
彼の手の暖かさがじわりと残っている。

どうやら最高にステキなアルバイトをしているらしい

セイラは砂浜で足を取られつつスキップしたくなった



(2009年06月19日 14時46分57秒)

虹を抱いた青空のように 6ー6  
(匿名)希望 さん
「バイトはどうだい?」
モリィは娘の目の前に特大のパンケーキを置いた。
「うん、まずまず。」
セイラはメープルシロップを豪快にかける。
「洋子に聞いたよ、パソコンとか文献整理とかいろいろ覚えてくれて助かるって。」
「へへへ。」
「最近はフィールドワークにも行くって聞いたけど。」
「う、うん。ちょっとだけ。」
「でさ、驚いたよ、あんた孝史の手伝いしたんだって?」
「あ、そうそう。」
セイラはカップで顔を隠すようにして答えた。

「いや~~あの無愛想で頑固な奴の助手って大丈夫かとおもったけど、まあ洋子の研究室の中では一番の安全パイだからねえ、お母さんとしても安心だ。」
「安全パイ?」
「だってさ、レオンみたいにハンサムだったり、トニーみたいなセクシーだったり、この前来てた左近寺みたいに口のうまい男だったら心配だけど、あんだけ人畜無害の生物オタクなら親としては安心この上ない。」
「そうみえるんだ。」
「え?」
セイラは驚いたように母を見つめた。
彼女にはどう考えても母さんの最愛の“お父さん”より孝史のほうがステキに見える。ついでに言うと確かにレオンは美形だけど同じ日系だからだろうか孝史の方がステキにみえる。

モリィはサラダを冷蔵庫にしまうと黙って娘をみつめた。
「なに。」
「いや、なんか変だねえ。」
「え?」
「そういえば」
「そういえば?」
「お前、時々奇妙なものに興味を持つから。」
「はい?」
「孝史が面白いとかおもってないかい。」

セイラは思わず吹き出した。
図星である。
「ま・・・まさか。私、ま・・・真面目にバイトしているのに、そ・・・そういうの下種の勘ぐりっていうんだから。」
セイラは頬を染めて叫んだ。
「ま・・・そうだよね。」
娘の剣幕に押されモリィはとりあえず納得しながら立ち去っていった

セイラはあせってパンケーキを口に詰め込んだ


****

つづく

(2009年06月19日 14時49分44秒)

跳ねる!  
北の大地の碧 さん
セイラは体と一緒に心も跳ねていた事でしょう。ま、無言の空間は緊張したでしょうが、好きな人と同じ空間にいるのは、それなりに楽しいものだと思います。
モリィのセリフ、「お前、時々奇妙なものに興味を持つから」が、私の笑いのツボに入ってしまいました。 (2009年06月19日 21時26分34秒)

助手席♪  
ナナホシ さん
今は奇妙なもの扱いになっている孝史君(笑)これからモリィの孝史評価がどう変わっていくか楽しみです。特大のパンケーキがとてもおいしそう♪
そういえば内野さんも乗馬お好きですよね。思い出しました。
助手席でジャンピングしているセイラ♪とっさに跳ねるのが好きと答えたその気持ちもよ~~くわかります。 (2009年06月20日 00時29分35秒)

Re:跳ねる!(06/19)  
(匿名)希望 さん
北の大地の碧さん
今回のはなしは
ストーリーでなく妄想というか願望だなあとおもって書いてます
助手席坐りたいとか
助手をしたいとか・・・。
いけませんねえと自嘲気味
>モリィのセリフ、「お前、時々奇妙なものに興味を持つから」が、私の笑いのツボに入ってしまいました。
ありがとうございます
教授になっても仁子にいわせるととんでもなく奇妙な存在だったので
プロトタイプもやっぱり奇妙と言うことで(笑)
-----
(2009年06月20日 21時42分38秒)

Re:助手席♪(06/19)  
(匿名)希望 さん
ナナホシさん
>今は奇妙なもの扱いになっている孝史君(笑)
でも魅力的に奇妙でしょう?

>そういえば内野さんも乗馬お好きですよね。思い出しました。
たしか大河の時に随分そういう話が出てきたと記憶しております。

セイラはこれからだんだんアリジゴクにおちていくのですが・・・さてさて・・・アウラの影もそのうち見え隠れしますので・・・。
(2009年06月20日 21時45分31秒)

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