鈴の鳴る道


星野富弘 著 “鈴の鳴る道”より


のろくても いいじゃないか
新しい雪の上の歩くようなもの
ゆっくり歩けば 足跡が きれいに残る


鏡に映る 顔を見ながら思った
もう 悪口を言うのは やめよう
私の口から出た言葉を 一番近くで聞くのは 
私の耳なのだから


泥だらけになって じゃがいもを掘っていた時
ふと見上げた空が 
手でさわれそうなほど近かったことを憶えている
高い所にあこがれ 山の頂に立った時
なんにもない空が 
果てしなく遠かったことを憶えている


今日も また一つ 悲しいことがあった
今日も また一つ うれしいことがあった
笑ったり 泣いたり 望んだり 
あきらめたり にくんだり 愛したり
そして これらの一つ一つを柔らかく包んでくれた
数え切れないほど沢山の平凡なことがあった 


PS.ある時.. 車椅子に鈴をぶらさげたら、
      それまで辟易としていた“でこぼこ道”が…
     揺れるたびに鳴る鈴の音に心が和み、
       でこぼこ道が楽しくなった!と語っています。





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