♪知ってる人は知っている♪

♪知ってる人は知っている♪

小説・・・・1 P3






「早く乗ってくれ、恭子君」

その男が急かした

「はい。  そうだ、お前ら、もう直ぐ警報が出て安全な所に案内されると思うが

ちゃんと言うことをきけよ」

「おい、待てよ。どういう意味だよ。お前はなんなんだよ?」

俺が問い詰める

「教えてやってもいいが。聞いたら、もう元に戻れなくなるぞ?」

「それって、どういう意味?」響子が意味深に聞く

「そのままの意味さ、一般人が踏み込んで良い場所ではないということだ」

「お前は一般人じゃないのかよ!?」

「そうだ、私は軍人だ」

俺たち3人は全員疑った・・・

当然だ、同い年のしかも女の子が、いきなり「自分は軍人だ」と言っているのだから

「なぁ龍宮さん、冗談だよな?」

憲二が不安そうに聞いた

「冗談ではない。 お前たちは聞いてしまった・・・一緒に来い。これは命令だ!」

「命令って? どうしよう功大君?」

「どうするって、言われてもなぁ」

「言っているだろ、これは命令だ。お前達に選択肢はない」

「お、おい待てよ」

話も聞かずに、車に詰め込まれた

それから何分、乗っていただろう・・・・

あまり、長くはなかったはずだか、俺たちにとっては、十分な時間だった

長い沈黙を、破ったのは俺だった

「一体どこに、つれていくんだよ?」

「行けば、分る」

「第一、何が来たんだよ」

「いずれ、分る」

「おい龍宮、ちゃんと答えろよ」

「うるさい奴だな、分ると言っているだろうが」

「俺は、説明してくれって言ってるんだ!」

「お前に、説明する義理はない!」

「義理って、そっちが無理やり連れ・・・・・」

「ついたぞ!!」

俺の声を消して、運転手の男が言った

大きな倉庫・・・・・だった、外見は。

シャッターが上がり、そこには大きなエレベーターがあった。

車ごと、下がっていく

「状況は?」

龍宮が男に聞いた

「詳しい事は、担当に聞いてくれ。それとココの存在は、他言無用だ、国の最重要機密なのでな」

「重要機密?こんな小さな町に?」

憲二が尋ねる

「こんな、小さな町でも、太平洋と日本海の2つの海につながっている、青森なのでな」

男の言葉の意味は、分らなかった・・・・がそんなことはどうでもよかった

「ところで、俺たちは、いつ帰れるんっすか?」

「そっ、そうですよ。私、お母さんに晩御飯の買い物を頼まれてるんですけど・・・」

俺の言葉に、すぐ恭子が合わせた

「一先ず、騒ぎが納まるまではココに居てもらう」

「騒ぎが納まるって、どういうことですか?」

憲二がキョロキョロしながら言った

「いずれ、分るさ」

運転手の人もそう言った

エレベーターが止まり、前に進んでいく・・・・

そして

目を疑わざるを得なかった

そこに、ある光景は俺たちの知っている、どの景色とも一致しなかった・・・

そこには、戦闘機が4機あった

「これって、M-34型 【ムサシ】ですよね?」

憲二が聞く

「そうだが、よく知っているね?」

「確か、日本製で初の核エンジン搭載戦闘機ですよね? 俺、情報王ですから」

男は情報王という、言葉に戸惑って、いるようだが、俺は構わずに喋った

「核エンジン!? そんな危ないものが付いてるのか?」

「危ないって・・・。安全なエンジンなんてないぞ?」

「そうじゃねぇよ、爆発したら、周りも大変なことになるじゃないか・・・・」

「昔は、そうだったかもしれないけど、今は中和装置ってもんが付いててな、
放射能の原子を無害にできるんだよ、だから機体が爆発しても、核爆発はしないんだよ
まぁ中和してる分、出力が落ちるんだけど・・・それでも十分パワーを発揮できるんだ。知らないのか?」

「そうなのか?」

「そうだよ・・・・。お前、本当に知らなかったのか? 誰だって知ってる事だぜ?なぁ飛鳥ちゃん」

響子はコクンと頷いた

「第一、日本って中立のはずだよな・・・・。そんな物いらないんじゃないか?
なんでこんなもんがあるんだよ?そもそも、軍隊すら必要ないだろ?」

若干、力をこめて言った。

「それはだな、この国が中立だからだ。中立だからこそ、どこにも、
染められないための力が必要なのだよ」

運転手の男が、横から答えた

「・・・・・・・・」

言い返す言葉が、見つからなかった



ショックだった・・・・

日本は中立で戦争には参加せず兵器も捨てた・・・

ずっとそう思っていた

いや、そう思いたかった・・・・

軍がなければ、親父がいつか帰って来てくれる・・・そう、思っていたから

「そうですか・・・・」

湧き上がってくるものを、必死に抑えながらそう言った

龍宮は腕を組んだまま、壁にもたれていた

その時、アナウンスが鳴った

「龍宮中尉、龍宮中尉。大至急ミーティングルームにお願いします」

龍宮が静かに、奥の方に向かって歩いていった

「中尉!? 龍宮さん中尉なの?」

憲二が驚きながら言った

「そうだ、彼女は優秀だからな。さ、君たちはこっちに・・・」

俺たちは、その人に連れられて、龍宮とは違う方に歩いていった



―ミーティングルーム―

二人の大人の女性と響子が詳細確認をしていた

「状況は?」

「敵艦数は2隻、中国製と思われます。先ほどから警告を出していますが、停止する気配はありません」

「このままの、スピードで進行してきたら、25分で領海に入ります」

「こちらは?」

「現在、イージス艦3隻が、領海の中間で待機しています」

「了解した。私のヒューマをムラクモに」

ムラクモとは、核エンジンの搭載された、高速移動用空母である

「それが、ムラクモは直ぐに発進できるのですが・・・中尉のヒューマの調整がまだでして」

「なに!? く・・・ならば ムサシを一つ持って行くぞ?」

「了解しました。 ですがヒューマと戦闘になった場合は、後退を」

「後退だと? 何を言っている、そこで止めなければ、意味ないだろうが」

「しかし、いくらムサシとはいえ、ヒューマとの戦闘は危険すぎます!」

「第一、戦闘になった時点で大問題だろう。それに私はそんなに、弱くないからな・・・」

「・・・・・分りました、では7分後に発進しますので、準備を」

「了解した。」

そう言って、龍宮はミーティングルームを出た


―通路―

「やっぱり、戦闘とかするのかな~?」

憲二が、少し嬉しそうに言った

「そうは、ならないでほしいものだがね・・・」

「刈谷さん」

横の通路から、女の人の声だした、どうやら運転手の人は刈谷というようだ

「ん?なんだね?」

「司令がお呼びです。司令室に来てくれとの事です」

「わかった、直ぐに行こう。すまないがこの子達をたのむよ」

「わかりました。あの部屋でいいでしょうか?」

「うむ、ではこれで」

刈谷さんが、女の人が来た通路を歩いて行った

「さ、皆さんはこちらですよ」

「あ、ちょっと待ってください。俺ずっとトイレ我慢してるんですけど、そろそろ限界が・・・・」

「なんだよ功、おもらしか?」

「うっせぇな。で・・・トイレってどこですかね?」

「トイレは、来た道を戻った、途中にありますよ。えっと、直ぐそこのオレンジ色の扉の部屋にいますので」

「わかりました、有難うございます」

そういうと、俺は走ってトイレに向かった

「あいつ、大丈夫かな・・・」

「さ、あなた達はこっちに」



「ふぅ・・・なんとか、間にあったぜ」

かなり、ギリギリだったが。

手をハンカチで拭きながら出てくると、丁度龍宮と出くわした

「お前、その格好・・・。」

龍宮はパイロットスーツを着ていた

「私は、重火力機動兵器のパイロットだからな」

重火力機動兵器・・・ヒューマやなどの、核エンジン搭載機のこと(戦艦や空母は例外である)。

「そうなのか・・・・やっぱり、戦うのか?」

「戦わない事に、こしたことはないが・・・はいそうですかと、日本を渡す訳にもいかないからな」

「そうだよな・・・。まだ、よく状況がわかんないけどさ・・・帰って来いよな。ちゃんと」

そんな言葉が自然に出た

「いっ、言われなくても分っている。見ず知らずのお前に、心配される必要はない・・・」

「見ず知らず、じゃねーだろ。もう見たし、知ってるかなら。
それに龍宮たちは、今の暮らしを守ろうとしてくれてるんだろ?
なら、なおさらだよ。」

「ふん、そうなこと言っても何も出ないぞ。 ・・・じゃ、私は行くからな」

そう言った龍宮の顔が少し笑っていた

「わかった。気をつけてな。そんでもって、頼むな。」

俺は、深く頭を下げた

彼女は何も言わずに歩いて行った・・・

俺よりも、小さい背中に、俺では到底、背負いきれない程の願いを背負って。

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