♪知ってる人は知っている♪

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小説・・・・1 P4






「遅かったな、功」

「あぁ、ちょっと道に迷ってな」

「道に迷った? こんな真っ直ぐの廊下でか?」

「いいだろ、どうだって。ところで何がどうなってるのか、そろそろ教えてくださいよ。
一体何と戦うんですか?それに何で日本なんか?」

「そ、それは・・・・」

「もう、いずれ分るなんて、言わせませんよ?」

戸惑う女の人を、さらに問い詰める

その時、部屋の扉が開いた

「それは、私から話そう」

そこ言いながら、刈谷さんが入ってきた

「しかし刈谷さん、この子達は部外者ですよ?」

「これは、司令の命令でな。席をはすしてほしいのだが・・・」

「あ、はい。分りました」

そう言って、女の人は出て行った

「さて、これから話すことは、もちろん口外してはならない事だが・・・
誰にも言わない自信はあるかね?」

一瞬戸惑ったが、俺たちはほとんど同時に頷いた

「そうか・・・。では話そう・・・今何が起こっているかを・・・・」



―裏港―


「艦長、全システム起動完了しました。いつでも発進できます」

「よろしい、ムラクモ前進微速。」

「了解。前進微速」

「港を抜け次第、最大船足。目標、先発イージス艦隊。間に合ってくれるといいがな・・・・
龍宮中尉をブリッジに呼んでくれ」

「了解。」

「龍宮中尉、龍宮中尉ブリッジに上がってください」



―ムラクモ格納庫―

「ほら、中尉お呼びですよ。あとは私達で微調整しますので」

「わかっているが、少しまってくれ。やはり加減速に時間がかかりすぎるな。」

「仕方ないですよ、ヒューマとは違うんですから。それに、これでも十分反応速度は上げてありますよ。
こんな調整、中尉でなければ飛ぶことすらできませんから」

「そうか?まぁこんなものだろう・・・。微調整は任せる。」

そう言うと、龍宮は倉庫を出て行った


ぶしょうひげの男が苦笑いしながら言った

「まだ高2の女の子を戦わせるなんて、酷ですね~整備長」

「そうね・・・でも・・・いえだからこそ、機体の安全だけは守ってあげないと。でしょ?」

「ですね。俺たちの仕事で1%でも安全に飛べるなら、喜んで。なんつって」

「はいはい。問題はそれを言ってる顔だけね。最終調整やっちゃうわよ」

「ちぇ・・。りょ~かい」


―ブリッジ―


「失礼します」

「中尉もう調整はすんだかな?」

「は! 終了しました、艦長」

「そんなに堅くならなくてもいいぞ」

「はぁ・・・」

「とりあえず、現状況だが・・・・。敵艦からはなんの応答もない、15分で領海に侵入して来るだろう」

「先行艦隊との合流までの時間は」

「20分というとこだな・・・・」

「ギリギリ・・・・・下手をすれば間に合わない・・・ですね」

「そうだな・・・・。そこでなんのだが、向こうが長距離兵器を使ってきたら、合流地点に到着していなくても
飛んでくれるかね」

「了解しました。ですが・・・・これだと・・・・」

「分っている・・・足止めになってくれればそれでいい。無茶は絶対にしてならんぞ」

「は! ではムサシで待機します」

「うむ。しかし・・・すまないな。こんなことを、押し付けてしまって・・・」

「構いません。これが私の仕事ですから。では失礼します」

そういうと、ブリッジを後にした

『皮肉なものだな・・・彼女の選んだ運命は・・・』

「艦長。合流17分を切りました」

「うむ、速度を維持したまま、警戒レベル上昇。注意を怠るな!連絡は随時するように!」

「了解」




―基地内部―


「・・・・・以上が、今の状況だ」

「じゃ、連合国軍の船が勝手に近づいて来てるから、それを止めに行ってるんですね?」

刈谷さんの話を、確かめるように憲二が聞いた

「そうだ・・・」

「んで、中継点にしようとEUASも連合軍も日本を狙ってるってことですね?」

「そうだ・・・・。そして、それを阻止するために、自衛軍が存在するのだ」

分るような・・・・分らないような・・・・そんな気分だった

俺には戦争する人間の気持なんて分らなかった・・・・・

いや、分りたくなかった。戦争なんかしてる奴らのことなんか、どうだってよかった

日本だって・・・・・

「だからって、あんな女の子にまで戦わせるんですか?
そんな人数不足なら、無理しないで空け渡しちゃえばいいじゃないですか」

俺が皮肉たっぷりに言った

「君は、先の戦争の沖縄を知らないのかね?それとも知っていてなお、そんなことを言っているのかね?
それに、人数不足でもなければ、彼女に強制的にさせている訳でもない。
これは、彼女が自分自身で決めたことだからな」

「え・・・?」

「君は何も知らないのだろう・・・。自分で思い込むのは勝手だが。
知ったような口を聞くのはどうかと思うがね。」

「で、でも・・・・」

「でも?何だね。それでも、あんな女の子が自分で決めるわけがないと言うのかね?」

「くっ・・・・・・・」

「ふぅ・・・すまない。少し熱くなってしまったな」

それ以上、言い返せなかった・・・

握り拳が震えた。

同い年の子が戦争から日本を守るために、戦っているのに

今日まで何も知らなかった自分に、とても腹が立った

それから、誰も喋らなかった・・・・・

何かを待つような、長い沈黙・・・・




―海上・イージス艦隊―


「敵艦の状況は?」

「依然、速度を維持したままです。このままでは5分で侵入されます」

「5分か・・・・ムラクモはどうなっている?」

「はい。10分いえ12、3分後です」

「12分だと?何とかならんのか?」

「この波ですので。厳しいかと」

「く・・・何ともならんのか・・・たった3艦では・・・」


「艦長!!2号艦より緊急入電。敵艦あと30秒で侵入します」

「何だと!?? どういうことだ!」

「は。2号艦によりますと。敵は今まで全速ではなかったようです。」

「堂々と出ていたのは、こちらにスピードを思い込ませるためか。
くっ・・・・・手の込んだまねを!! ムラクモに緊急入電、出来る限り急がせろ!!」

「了解! っ!?熱源レーダーに反応アリ!これは・・・・長距離ミサイルです!!」

「ちぃ・・・第1級戦闘準備!迎撃システムスタンバイ!!十分に引き付けて、確実に落とせ」

「了解!」





―海上・ムラクモ―


「艦長。イージス1番艦より、緊急入電!これは・・・・」

「なに? どうした・・・・?」

「敵艦、領海内に侵入した模様です」

「なに!?そんな馬鹿な!」

「遠距離ミサイルの発射を確認・・・・・敵は仕掛けてきています!!」

「くっ・・・合流地点までの時間は!?」

「最速で10分です!」

「モット出せんのか!」

「この波では、これ以上は無理です」

その時、格納庫より通信が入った

「艦長、私が行きます。いえ行かれてください!」

その声の主は、響子だった

「しかしだな・・・・・。くぅ・・・・そうか・・・・わかった。」

「有難うございます」

「格納ハッチ開放!ムサシ1号機カタパルトへ!」

「了解。格納ハッチ開放、ムサシ1号機はカタパルトへ」


「ムサシ1号、了解」

「龍宮中尉、調子はどう?」

「問題ありません、整備長。いい仕上がりになってます」

「そう・・・・よかったわ。私が出来るのはここまでです、どうか気をつけて・・・」

「は。了解です」


「こちら龍宮。ブッリジ、いつでも行けます」

「ブリッジ了解。 艦長、準備全て整いました」

「うむ。ご苦労、中尉との回線を私に。」

「了解」

「中尉すまない、やはり君に頼ることになってしまった。」

「いえ、大丈夫です。私が言い出したことですから」

「そうか・・・・・。くれぐれも、無茶の無いようにな。こちらも出来るだけ早く合流する。」

「了解しました」


「・・・・ふぅ。 ムサシ発進カウントダウン開始!!」

艦内中にサイレンが鳴り響いた

「了解。発進カウント5・4・3・2・1・ テイクオフ!」

その瞬間、ムサシのエンジンに火が付き、ものすごい轟音を発した

そして、カタパルトを走っていく・・・・

「テイク・オフ完了。これより、イージス艦隊の援護に向かいます。では、グッドラック」

「あぁ・・・。グッドラック」


―格納庫―

「行っちまいましたねぇ。整備長」

先ほどのぶしょうひげの男だ

「えぇ・・・。やっぱり、心苦しいわね」

「そうですねぇ。送る方に、送り出される方、本当に辛いのはどっちでしょねぇ」

「・・・・・・やっぱり、後は顔だけね・・・・」

「はっはっは、痛い所つきますねぇ」

「ふふ。ちゃんと帰って来なさいよ・・・・中尉さん」



彼女は飛び立った・・・・

17歳の女には一番似合わない鉄の翼で・・・・

その鉄の翼さえ、焼かれてしまいそうな、業火の中へ・・・・・・






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