Wyhappyの部屋

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神様がくれた休み。最終章


入院中の足IMG SRC=

---バリアフリー考---

 入院してすぐに、車椅子が与えられた。車椅子は下肢不自由者にとって、とても便利な乗り物である。トイレ・洗面・風呂・喫煙所など自由に移動できる。しかし、病棟の車椅子は不足気味でしかも、整備が不良であった。新しい車椅子も見当たらない。

 そこで市民として、K市長あてに手紙を書いた。するとすぐに、病棟内の車椅子調査が始まった。婦長が自ら調査していた。その後,8/31付けでK市立病院長名で実態報告と今後の対応を含めた礼状が郵送されてきた。予想以上の対応の早さには驚いた。今後、少しは改善に繋がるのかもしれないと、期待したい。

 足が不自由になると、車椅子の有難さが判る。新館である病棟内はほとんどがバリアフリーに対応していた。ちょっとした段差はスロープになっていたし、トイレは車椅子専用があり、風呂にも手摺りなどがあり、少し安心して過ごせた。しかし、新館でも水のみ器は車椅子では高すぎる位置に有ったし、外来にあるトイレ、診察室、自動販売機までが車椅子や松葉杖では不安があった。(入院中に気になっていたので、家にも手摺りを付けた。)

 こうして社会の中を見てみると、下肢の不自由な人々にとって安心できない場所が多いことに気が付く。それだけではなく、廻りにいる人達も無神経な人が多いことに気づく。車椅子や松葉杖が通っても通路を開けない人や、ベンチに座っていて足を投げ出したままの人々、待合室でイス席を譲らない人々、突然方向を変えてぶつかりそうになる人々、病院内で子供を走らせても注意しない親など、弱者を庇うことのできない人々が病院の中にさえ大勢いることに驚かされる。

---リハビリについて---

 リハビリは8/16(退院の1週間前)から始まり、松葉杖による歩行の練習が第一歩だった。これは生活を安全に行うために必要なことだった。最低250mを歩けることが条件で、付き添いがついて病棟内を黙々と歩く。これが終わると、階段の昇り降り、病院の外のジャリ道歩行を練習した。

 自宅の最大段差、階段の数と幅と高さを事前に知らせて、そのシュミレーションも実施した。松葉杖を使うコツは脇の下にややハの字にして、閉めることである。こうすると、外れることがない。階段は昇るより降るほうが怖い感じがするが、手摺りがあると降りの方が楽で安心できる。仮免?に合格すると帰宅を許される。

 9/4から9/26までは足の簡単なリハビリが主となった。マッサージをした後、足の指でビー玉を掴み、箱に入れる。単純であるが、指が腫れている為、上手く掴めない状況が続いた。(足の腫れが引けると容易にできるようになった。)次は足の裏を使って、タオルを手前に寄せる運動である。これは本当に難しく、右では簡単なのに左ではほとんど動かない。リハビリ室には面白い器具があり、それらは足・手の各部位の他、脳梗塞用の訓練に使う積み木に似た組み合わせ具など、現場にいる人達が作ったと思われるものもあった。知識をしっかり持っている人と、ちょっと不安な人がいるが、皆資格を持っているそうだ。

 踵の角度を測定するものがあり、上に15度、下に60度で満足できる範囲らしい。自分の場合は、上に5度、下に45度でかなり可動範囲が狭い。勿論、横に捻る事はできない。初めは手術のために動かないのでは?と思っていたが、「骨が邪魔しているということがない限りありえない。筋や筋肉が硬くなっているんです。」といわれた。

 踵のピンを抜いた9/21以降は、足の裏全体に負荷を掛ける運動となった。体重の25%を掛けても良いと指示を受けたので、体重計に乗り、15kgの負荷を感触にして、松葉杖で歩行練習をする。時々、掛け過ぎて痛くなるときが有るので注意が必要である。又、衰えた筋肉を徐々に復活させるための、筋トレも同時期から始まった。3kg程度の錘を足首に巻き、大腿四頭筋と二頭筋を鍛えている。180kgでスクワットをやっていた頃を考えると気が滅入るような軽さで嫌になってしまう。

---見舞い---

 40日間の入院中は、ほとんど毎日(見舞いの無かった日は5日だけ)多くの人達が見舞いに来てくれた。その数は延べ114人にもなった。せっかく来てくれたのに、3人の人とは面会ができなかった。特に、お忙しいKさんは小田原から来ていただいたのに、8/23は外出していたため、会うことができず残念であった。Kさんらしいメモをナースセンターに残してくれており、25年も前の部下に対する気遣いが嬉しかった。

 一番遠い所から来てくれたのは、札幌に住む息子であるが、これは身内である。友人では仙台のF夫妻が遠方で、手術前の7/21に見舞いに来てくれた。Fさんは25年も前に仕事を教えてくれた先輩で、自分たちの夢を実現させるため今は仙台でビジネスをやっている。元気になったら仙台で旨い物を食って呑もうと約束した。

 沢山の人が見舞いの品やら見舞い金を持ってきたが、きっとみんな悩んだ末にそれこそ手頃なものになってしまうのだと思う。煎餅やクッキー、果物、ゼリーなどが多かった。入院中の患者がそんなに沢山食べられる訳じゃないので、結局、病室に配ったり、家に持っていくしかない。K社のKさんは退院したら飲むようにと言って、日本酒と肴のつまみをもってきてくれた。(酒好きが判っている場合はどうせ呑むのだから酒が良い。但し、何でも良いと言うわけではないので、注意が必要。)

 8/15に、Sさんが息子のM君を連れてハーゲンダーツをアイスボックス毎持って来てくれた。冷たい物を食べたくても、時間的な制約などがあり、口にできない。これが一番嬉しかった。彼女は会社で見せる顔とは別の一面があり、以外であった。「又来ても良いですか?」と言って帰って行った。

 見舞いに来られない遠方の人達からは、お見舞いに添えて励ましの手紙やら電話を頂いた。中でも、四国のM君のご両親からのお見舞いには恐縮してしまった。2回しかお会いしたことがないのだが、楽しいご両親で、やさしい笑顔が印象に残っている。

 ガンで入院している八王子の叔父には電話で怒られてしまう。「**、おまえは何をやってるんだ!」この叔父は同時期にホスピスに入院したが、余命数ヶ月で自宅に戻っていた。囲碁が好きで、若いときは炭坑夫をしながら、札幌まで汽車で2時間をかけて勉強した人である。その後は日産に入り、定年後も黙々と働いたまじめな人である。装具が着いたら、真っ先に見舞いに行こうと思っている。そして、囲碁をするつもりだ。(後日談、この叔父は11月に亡くなった。)

---退院とその後---

 8/22の回診時に退院可否を尋ねた。O先生が「金曜日なら良いでしょう。」と言ってくれた。退院療養計画書なるのものを出され、署名してOKとなる。8/24金曜日午後0時に退院し、家に戻る。

 8/31に1週間振りに診察を受けた。外来で受付をし、診察するまで3時間がかかった。入院しているときに、外来で待つ時間と、入院生活の不自由さを天秤にかけた結果、自宅療養を選んだが、やはり、待つのは性格上苦痛であった。

 早い人は、裏門が開く5時45分にはきて待合室で寝ている。ほとんどがお年寄りである。8時半に受付が始まるが、その時間ではすでに20番目位の順番になってしまう。およそ2時間待ちになる。いくら平等といっても仕事を持っていて、やむを得ず通院する働く人と、暇な老人や子供たちとは時間の重要度は異なる。少しくらいの治療費を上げたって、老人医療費はとても安い。待合室では老人達のこんな会話が聞こえてくる。「xxさん、今日は来なかったけど、どこか具合が悪いのかしらネ?」全く笑い事ではない。毎日通院することが日課となっている人々が多いのである。

 当面は傷の消毒だけだったので、待つ時間が無駄であるので外来の看護婦に「先生に診てもらわなくても良いから、消毒だけしてくれない?」と頼んだが、「私達はできません。」と言う。先生に「消毒薬を出してください。待つのは嫌だから。」と頼むと、すぐに出してくれた。「家でやるのはシロウトなんだぞ!」と看護婦に言ってやろうと思った。

 退院して6週間、手術して10週間後の10/5に待望の装具の型取りをおこなった。装具は手術後、6週間で取りつく予定であったが、4週も遅れている。これは足の腫れが引かないためで、実はこの日も装具屋さんは駄目ですねえ、と言ったが、M先生の「やってしまおう。」の一言で決まった。出社するには、両松葉が取れて、産業医による面談で出社許可が出た後である。10/15に面談を予定しており、恐らく10/22からは仕事に出ることになるだろう。

 3ヶ月の療養は自分にとって、とても長い期間であった。しかし、あっという間に時間は過ぎていった。3ヶ月有れば色々な本を読んだり、勉強する時間がとれるだろう。そうしたら、あれをやって、これもしようと思っていた。しかし、結局、何もできなかった。いや、何もしなかったと言うべきだろう。社会に出て30年、特にこの10年間は仕事で走りつづけてきた。自分にとって、仕事も家族も何も考えずに過ごしたというのは初めての経験である。この3ヶ月間はどんな意味を持つのか。「神様がくれた休みだよ。」と言ってくれた人がいるが、本当にそうなのかもしれない。

 ここまで読んでくれた方、ありがとうございます。「神様がくれた休み。」はこれで、終わりです。感想などを書き込みしてくれると嬉しいですね。反応があれば、海外旅行記なんかも載せようと思っていますが、、、、。


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