旧い映画を楽しむ。なでしこの棲家

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ジャン.ルノワールの≪大いなる幻影≫




後にアラン.ドロンが敬慕して、共演を請うた俳優、
ジャン.ギャバン...

1930年代のフランス映画を語るには
あまりに材料が多すぎる。

それだけ力強く、そして第一次大戦のヨーロッパという大陸の
もたらす影響で名画は続々と生まれた。

その時代背景は島国の日本と違ってあらゆる想定の元に
脚本が成り立つ。

この『大いなる幻影』、のちの捕虜収容所の原型ともなった
名作である。
なにが...幻影か....脱走...である.

ジャン.ルノワール監督とジャン.ギャバンの
コンビの代表作である。


1916年、第一次大戦下、フランス軍の飛行中尉マレシャル
(ジャン.ギャバン)
とド.ポアルヂュ大尉(ピエール.フレネー)は偵察飛行中に
撃墜され、ドイツ軍の捕虜となって収容所へ送られる。
ここにはすでに同胞のローゼンタール中尉が、入っていたが、
彼はユダヤ人で富豪の息子という立場を利用してドイツ兵から
特別扱いをされていた。
この収容所にはロシア兵、英国兵なども入っていた。
フランスから送られてくる食料は豊富で
彼らの食事は贅沢であったが、
他国の兵や、看守はキャベツの端を
食べていると言った粗末な食事だった。

地下に穴を掘り、脱走を夢見る三人と他のフランス兵たち。

退屈な捕虜生活だと言いながら、演芸大会を催し、
女装してはしゃぐ捕虜達.
三人は抜け穴の完成も間近というとき、
スイス国境近くの収容所に転送されてしまう.

新しい収容所で、所長ラウフェンシュタイン大尉
(エーリッヒ.フオン.シュトロハイム)
と再会した
ド.ポアルデユ大尉.
所長もポアルデユ大尉も共にドイツとフランスの貴族出身の
将校である。
ここで英語で語り合うシーンはルノワールの
粋な演出が光っていると思う。

この敵同士の二人に奇妙な友情が生まれる.

だが、マレシャルとローゼンタールは脱出を諦めず、
ド。ポアルデユは囮となってラウフェンシュタイン大尉の
銃弾に倒れる。

脱走した二人は、山奥の農家に辿りつき、匿われ、マレシャルと
この出生ドイツ兵の妻との間にほのかな愛情も芽生えるが...

後ろ髪を引かれながらも、雪のスイス国境を危機一髪乗り越え
走っていく。

一方、ド.ポアルデユ大尉は死の床にあり、
ラウフェンシュタインが囮のことを知って、
彼に謝罪し、別れを惜しむ。

このシーンが一番好きでした。
”民間人は良い。だが我々将校は戦死してこそ本望だ。
わたしは死んでいくので良いがあなたは.....”
”そう、徒食を続けねばならない...うらやましい”と...

息を引き取ったフランス大尉にドイツ軍の大尉は
窓辺にあった花を手折り、そっとその旨に手向けるのでした。

シュトロンハイムはドイツの名優で、というより怪物で
残忍なドイツ軍人という独特のタイプを創り出した。
米映画にもサンセット大通りなど数多く出演。
当時一世を風靡したまた話題の多い役者であったと聞く。

観れば、頷ける役者である。

四人のすばらしい役者と愛国心から来る友情.
男のドラマである。

ギャバンが圧倒的に殿方に人気があったことがわかる。

しかし、ギャバンは硬派の役者かというとそれだけでもなく
なんでもこなす。
戦後の殺し屋の役も良い、刑事の役も良い、
アンちゃんの役もいい
メロドラマもやる。

男クサさだけでなく、ダブルのスーツはこの人が一番似合う
パリ.カナイユかもしれない。
そしてソフト帽も.

ピエール.フレネーは英国俳優、トレバー.ハワードを思わせる
品のいい役者である。

この映画に流れるテーマをわたしはフランスの騎士道と
ドイツ将校にもこういった人間もいるというほっとする思いを
感じ.
またルノワール監督の大局的な思想を感じた。

マレシャルとローゼンタールが雪のスイス国境を
超えていくラストが鮮烈でした。

戦後の仏スターはアラン.ドロンとJ.P.ベルモンドである。
軽妙でシニアックなポールと
甘美で冷ややかなドロンが人気絶頂となったが、
その彼らが尊敬し、愛した俳優、J.ギャバンーーー
1930年代の、監督、俳優、作品に
どっぷり使ってみていくうちに
なるほど、これはもうルイ、ジューベにしても
J.ギャバンにしても
あの若者たち、、、ポールとドロンとは
さすがに格が違うことを認識せざるを得ない。

わたしが生まれる前、遠いむかしの映画であるが、
アメリカ映画のようなフロンテイア精神や、ヒューマンドラマ
等とは違った
第一次大戦下のヨーロッパの大国間の複雑さを
背景に織り成す、男のドラマや、喜劇やスパイ映画の作品は
やはり歴史の重みを感ぜずにはいられない。

燃えますね!1930年代のフランス映画.
このフランス映画の紹介が終わったらばもう一度多分
どの作品ももう一度観ると思います。



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