旧い映画を楽しむ。なでしこの棲家

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デシーカの≪ひまわり≫



リンクのお仲間の方からリクエストがありました.
ヴイットリオ.デシーカの≪ひまわり≫を取り上げて欲しいとの
ことで、またイタリア映画に戻ってまいりました。

主演はデシーカ作品の名コンビ、
マルチェロ.マストロヤンニとソフイア.ローレン.

ローレンは特にデシーカ監督の作品で光り輝く。
この作品も夫君のカルロ.ポンテイのプロデユースで
前半、ひまわりの花のように明るく、たくましく、のびやかに
そして後半は彼女の演技派としての魅力が100%出された
彼女にとっても記念作となった.

彼女が37歳の時の作品である.

15歳でイタリアの海の女王の2位だかに選ばれ、
映画入りのきっかけを作る。

2,3本の端役の出演の後、カルロと出遭い、
スターダムへのし上がっていった.
カルロはその時妻がいたが、イタリアは離婚が出来ないため
9年間の同棲の末パリに国籍を求め、晴れて結婚した。

カルロと出遭って、コンビでたくさんの名作を世に送り
国際的に名を馳せていった.

特にデシーカ作品のヒットによりイタリアの母性的な女神と
してそれまでにない彼女ならではのイタリアの女性像を
確立していった。
ハリウッド゙にも進出し、G.ペックとの共演、≪アラベスク≫や
後年の≪カサンドラ.クロス≫など都会的な面も演じて見せた。

が、やはり、≪ふたりの女≫、≪昨日、今日、明日≫、
≪ああ結婚≫などのデシーカ作品はイタリアの良さも不味さも
こっけいに描いた作品でのイタリア女が秀逸である.

そしてこの作品では彼女の肢体や、派手な顔立ちを抑え、
バイタリテイーとイタリア女性のやさしさ、健気さ、
貞淑さを見せつけてくれた。

ストーリーはみなさまご存知だとは思いますが
簡単にご紹介致しましょうね・

  ストーリー

あと12日で出征というアントニオ(マストロヤンニ)と
ジョバンナ(ローレン)は楽しい日々を送り
結婚した。徴兵を免れようと精神病の振りをしたが
医者に暴露されてしまい、
別れを惜しみながらアントンを見送った。
すぐに帰ってくるからね。毛皮をお土産に買ってくるからと
言い残してロシア戦に向けて旅立った。

しかし戦争が終わってもアントンの生死は不明であった。

ジョバンナはただ待ちつづける女ではなかった。
夫を求めてロシアに向かった・アントンの写真を大勢の人々に
見せて訪ね歩いた。
そしてついに見つけた。

家を訪ねるとそこには洗濯物をとり込んでいる
ロシア人の女性の姿があった.

ただ黙ってアントンの写真を彼女に渡した。
黙ってその写真を見て返す女性。

このセリフのない二人の場面は、ふたりのこれまでの思いが
観るものに全部伝わって、やるせないが、名シーンである.

立っている事がやっとのジョバンナ.
部屋に招かれベッドの上のふたつの枕を見たジョバンナは
嗚咽をこらえるのがやっとだった。
つらいつらい二人。
ジョバンナが探し続け、求め続けた長い間、
アントンは心ならずとは言え、二人の間にピリオドを
打っていたのか....

ロシア戦で捕虜としてロシア軍に囚われたアントンは
暖かなイタリアとは違って想像も出来ない雪原の中を
24時間空腹と疲労の中を歩き続け、置き去りにされて死にかかっていた。そして記憶喪失。
助けたロシア人の娘と結婚したからと言って
誰を責める?

悲しみと怒りが襲うなか、列車から帰宅してきたアントンを
見つけ、見詰め合った時にジョアンナは思いを振りきって
列車に飛び乗ってしまう。
ホームに落ちた一枚の写真...軍服姿のアントンの写真.
長い間大事に大事に持っていたあの写真をロシアに残して列車に
飛び乗ったジョバンナは人々の目もなく、大声を出して泣いて
泣いて泣いた・・・・・

どうしようもない、その女性とてアントンの命を救ってくれた
恩人でもある。分かってはいながらずーっと愛しつづけてきた
アントンをあきらめる辛さ。

戦争という大きな力が二人の愛を引き裂いた。
運命といえばそれまでだ。

そして普通ならドラマはここで終わる。
だが、この映画の圧巻はこの先にあるのだ。

ジョバンナに会ったが為に
彼女を忘れられなくて苦悩するアントン。

今までとは違う夫の姿にイタリア行きをすすめる健気な
ロシア人の妻。

イタリアまで、ジョバンナに、会いに来たというアントンに
”もう、昔とは違うのよ、わたしには別の男がいる”と
心と裏腹に突き放すジョバンナ。

長い時間の経過でも二人の心は一つだと思っていたから
辛抱できた。
しかし戦争のせいとはいえ、自分の知らない世界に身を置いていた
アントンを許せないというわけではなく、ジョバンナの心は
すでに乾いてしまったと自分に言い聞かせているのだろう.

失われたふたりの時間....。
それでも一目あって話したいと言うアントン。

ストで発てないアントンはジョバンナの家に・

隣室に眠るアントニオと付けた子供の名にジョバンナの
心情は覗える。

お土産に持って来た約束の毛皮。

まだ夜が明けきらないミラノの駅にジョバンナは
アントンを見送った。

出征を見送ったあの日と同じように..。
あの日、このような日がくる事を誰が想像したであろうか..?

涙でかすむアントンの姿が次第に小さく、小さくなっていった..

涙、涙の映画ですね。デシーカのこの手の映画は
まるでこれでもか、これでもかと観客の涙腺をゆるますのです。

駅のホームの別れのシーン。哀切きわまるローレンの迫真の演技。
皆様、画面が見えなくなるほど泣かされ、ハンカチは
びっしょりになったことでしょうね。
今日も観ていて”あああ来る来る”と涙が止まりませんでした。

製作  伊  1970年度  カルロ.ポンテイ
監督  ヴイットリオ.デ.シーカ
出演  ソフイア.ローレン/マルチェロ.マストロヤンニ/
    リュドミーラ.サベリューワ
音楽  ヘンリー.マンシーニ

マンシーニの流麗で哀しいメロデイーと
戦士の眠るひまわりの畑が美しすぎて....



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