2004年7月のカルテ



まぁ、サービス業に限らず、営業にも通じる極意ってものがある。
それはね、「相手の立場になって、考える」って事。これに尽きます。
何故、この人は怒っているのか、とか、今、この人は何を欲しているのか、とか。
自分なら、こうして貰えたら、尚嬉しいとかね。
私も、小さい規模ながら、自営(花壇苗育苗)に携わっている身。
いつ、何処で、誰が、何をどうして欲しい。
まるで、小学生の作文かって内容かもしれないけれど、これが、基本なんだ。
これを忘れたら、サービスどころか、注文なんか絶対に入ってこない。
便利な世の中になって、マニュアル通りの接客が増えた、チェーン店やフランチャイズ店。それに対抗しようと思ったら、人間の基本に戻らなきゃ。
それには、人を良く見る、話し掛ける。自分は味方だって事をアピールする。
そして、相手の話をきちんと聞く。欲している物を探し当てる努力をする。
努力してる事がわかってもらえれば、もう、自分のファンになって貰ったと思っても良いんじゃないかな。
そして、その努力を怠りさえしなければ、ファンで居続けてくれるよ。きっとね。



 「ホテルオークラ≪橋本流≫クレーム対応術ー2

前述の本に、一寸足し算したみたいな本だった。
基本は変らない。それは、人は「心」を持っているって事。
その、「心」に、如何にしなやかに訴えかけられるか。
クレームって、本当は、自分を伸ばして貰える最高のチャンスだって、気づく事、
それが自分を伸ばす為の最高の気付き。
失敗したって良いんだよ。2度と繰り返さなければ。でも、何故失敗したのかを、きちんと捉えていなければ、また失敗する可能性がある。
せめてそれを防ぐ為に、自分の「心」を磨く必要があるね。





 「清明百物語」富樫倫太郎著 徳間文庫

 結構厚い文庫本。計ってみた。2.2センチあった。(トリビアの種)
本来私は、夢枕獏の「安倍清明」シリーズのファン。
よもや、彼以外の書いた安倍清明を読もうとは思いもしなかった。
ま、病院の待ち時間が退屈だったのと、この本位しか、売店の蔵書では目に止まる物が無かったという、2重の幸運によって出逢った本。
 読みではあるが、軽く読める。何しろ、ファンタジーの世界なのだからして。
とは言っても、案外、史書に忠実だったりするから、侮れない。
種を明かしてしまうと、読む気がなくなるだろうから、伏せておくが、安倍清明は、実は○○だった。。。。というのが、時代を下がったり、遡ったりしながら語られる。その底辺に潜んでいるのは、矢張り人間の幸福とは何か、という事。
天下を取ることがどれほどの幸せだろう。それよりも。。。。
うん、私は幸せであったよ。





  「孤独の歌声」天童荒太著 新潮文庫

 子どもの犯罪が増えている。
 また、精神的に「成長していない」大人の犯罪も増えている。
何が問題なのだろう。
かつて、敗戦国の日本は、復興の為にそれこそがむしゃらに働いてきた。
食べる為に必死になった。
敗戦国としては驚異的な発展を遂げ、経済大国と言われる国にのし上がった。
 それなのに、何か、おかしくないか?
巷には何でも転がっている。そして、何でも手に入る。よほどの事が無い限り、
食べる事にも事欠かない。
24時間ストアが当たり前になり、お湯を注ぐ手間のラーメンは過去に去り、
ビニールを剥がすだけのお弁当、おにぎりが主流を占めている。
 かつて、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)は、日本には「妖精が住んでいる」と称し、愛し称えた。
 アメリカのライフスタイルはかつて、日本の憧れだった。
一人一台の車を持ち、豪邸に住み、食べる事に事欠かない。
しかし、良い点ばかりを持ち込んだのではない。
憧れを現実にしようとする瞬間に、
わが国、日本の愛するべき美点をも共に抹消してしまったのではないか。
犯罪大国アメリカ。日本もいずれそうなるだろう。
忘れてはいけないのは、「こころ」だ。
そして、何より大切なのは、「愛」は、家族によって育まれて行くという事。
「忙しい」を理由に、子どもとのふれあいの時間をおろそかにしていませんか?
全ての人が、今、「愛」に飢えているような気がする。
かつて、食物に飢えていた以上に、「愛」に飢えている気がする。
では、「愛」とは何か?
それは、人を慈しむ「こころ」だと思う。
間違わずに歩こう。苦しいのは、あなただけじゃない。
私だって苦しい。でも、あなたの幸福を、心から願っています。
どうかもう、残忍な犯罪が起こらないように!
家庭とは、「愛」を育てる場所だと、思い返してください。
                        7月9日



  「生きながら火に焼かれて」スアド著 松本百合子訳 ソニーマガジンズ

 中東シスヨルダンの小さな村。ここでは前時代の通念がまかり通っている。
女性の人権が無いに等しいらしい。女の子ばかり生まれれば、それが離婚の正当な
理由となり、妻、娘たちは家畜以下の扱い。
 未婚の女性は男性と目を合わせただけでシャルムータ(娼婦)と呼ばれ、
処分、つまり家族の手によって殺されるというのだ。
 この本を書いたスアドという女性は、もちろん仮名であり、元家族の復讐を
避ける為の手段として、仮名で講演、執筆活動を続けている。
 彼女は、初恋の男性と許されない「恋」をして、その結果、妊娠してしまう。
望まない妊娠。それは、その家族にとっては、不名誉な事この上なく、
処分されて当たり前、という出来事に値するという。。。
 もちろん、社会生活を営む上で、現代社会に於いても望まぬ妊娠は、多々ある。
私としては婚前交渉は前時代的と言われそうだが、反対である。
しかし、その間違いを犯す事が「死」に繋がる事を知っていても尚、
自分の中の何かを狂わせる物、それが「恋」というもの。
著者も、その罪を、惨めさを充分解かっていながら、「恋」に溺れてしまった。
 捨てた相手も悪いが、そういう社会に生まれた事を知っても尚、自分の体で
相手を繋ぎ止めようとしたスアドにも落ち度が無かったとは言えないだろう。
しかし、そういった過ちに対し、「死」を持ってあがなわなければならないという
社会がまだ生きている。
西洋的発想から見たら、本当に前時代的、女性蔑視の世界だろう。
が、その村は、そうやって生きてきた村なのだ。それに何処まで私たちが
介入していいものか、疑問は残る。
自分達が全て正しいと、西洋的発想を押し付けた結果が、9.11の報復となり、
未だその解決の糸口は見つからない。
 生きながら焼かれた、それはすさまじく苦しい半生が残っているだろう。
それはもちろん、理解出来るし、気の毒にも思うのだが。。。
過ちと解かっていて犯した過ちだけに、完全に彼女の味方をする立場では
無いような気がしてならない。
                      7月11日



 「神経内科へ来る人びと」米山公啓著 ちくま文庫

 医者のエッセイ集が好きである。
それは、限りなく「人間を生物として」捉える側面があるからだと思う。
この本は、お手軽サイズで読みやすく、「へぇ。。。」と、思う部分が多かった。
私の高校時代の親友が矢張り、神経内科医なのでこの分野は案外馴染み深い部分が
あったりもした。
米山公啓氏の著書は、案外読んでいるほう。。。かな。
印象的だったのは、「誤診」に出てくる「ギラン・バレー症候群」が、
神経内科医の中では案外、一般的な病気だってこと。
米山氏のファンクラブがあるらしい(笑い)。
その名も、「よねよね倶楽部」。。。なんか、怪しい(笑)。
入ってみようかな。。。
                   7月15日



 「医者の半熟卵」米山公啓著 集英社文庫

 米山氏の医学生時分の日常をユーモラスに描いた自伝的な一冊。
1952年生まれの氏らしい、でも、医学生ならではの時代背景が巧く描写されている。
ああ、昔は皆、こんな感じだったなぁ。。。昭和30年代って、きっとこんな
時代の香りがしたんだろうって、思いながら読みました。
 昭和の時代が好きでした。
 昭和の時代史を良く読みます。
もう一度、あんな時代がこないかなぁ。。。と、思ったりもするのです。
決して便利でも豊かでも無かっただろうけれど、生活は豊かだったのではないかと
密かに思ったりするのです。



 「帝国ホテル 感動のサービス」宇井洋著 ダイヤモンド社編
 民間では初めての洋風ホテル、それが帝国ホテルの誇り。
110年の伝統と歴史が帝国ホテルを訪れる全ての人びとに惜しみなく振舞われる。
究極のサービスだ。
ドア・マン一筋に40年という人も居る。
彼らに共通しているのは、自分の仕事に徹底的に忠実であり、その道の
最高のプロである、事だ。
では、プロとは何ぞや?
同じ仕事をしている中でも他の人より抜きん出て優れ、努力をし続けている、
それが「プロ」の仕事だろう。
 何が重要か?「人より優れていて、それでも努力をし続ける姿勢」だと思う。
常に自分に満足する事は無いのが、「プロのプロたる所以」だろう。

 変な時代になりました。努力し続ける人が笑われ、要領の良い人が褒められる。
決して良い事ではありません。
時代はこれから、「本物」をのみ、受け入れて行くでしょう。
その時になって初めて努力をしても遅いのです。
本物の「プロ」になりましょう。分野は何だっていい。
それをこそ、この本は言いたいに違いない。
                    7月15日


「Good Luck」アレックス・ロビラ/フェルナンド・トリアス・デ・ベス著
        田内志文訳 ポプラ社

 小説でもあり、ファンタジーでもあり、哲学書でもあり得るこの書は、
世界50カ国19言語で出版が決定しているそうだ。
小学生でも読めるだろうこの本、でも、内容は読めば読むほど哲学的になってくる。
 「しあわせ」って、なんだろう?
「チャンス」って?
前髪しかない物ですか?
いや、どうやら違うらしい。。。
 しあわせも、チャンスも、自分の手で作り出す方法があるらしい。
詳しくは、本書をお読みください。読み聞かせにもぴったりです。
                   7月15日






© Rakuten Group, Inc.

Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: