離人症の器

離人症の器

ICD-10による診断基準


離人症の診断基準を紹介したいと思います。



患者が自分自身の精神活動、身体および/または周囲が非現実的で、疎隔され、あるいは自動化されているようにかのように、質的に変化していると訴える障害である。患者は以下のように感じることがある。もはや、自分自身で考え、想像し、思い出しているのではない。自分の運動と行動が何か自分自身のものと違う。自分の体が生気がなく、分離され、あるいは何か奇妙に思われる。周囲は色彩と生命感を欠いているようにみえ、人工的であるか、あるいは人々はその上で不自然な演技をしているステージのようだ。症例によっては、患者はあたかも自分自身を遠くから眺めているかのように、あるいは自分は死んだかのように感じる場合もある。情緒が喪失したという訴えは、これらのさまざまな現象の中で最も頻繁に見られるものである。
 この障害を純粋にあるいは単独の形で経験する患者の数は少ない。より一般的には、離人・現実感喪失現象はうつ病、恐怖性障害、強迫性障害との関連で生じる。この症候群のいくつかの要素は精神的に健康な個人が疲労、感覚遮断、幻覚剤中毒の状態においても、あるいは入眠・覚醒現象としても生じうる。離人・現実感喪失現象は極度の生命の危険の瞬間に結びついた、いわゆる「臨死体験」にも酷似している。

診断ガイドライン
確定診断のためには(a)と(b)のどちらかあるいは両方に加えて、(c)と(d)もなければならない。
(a)離人症状、すなわち患者が自分自身の感性および/または経験を分離されている、よそよそしく、自分自身のものでない、失われている、などと感じる。
(b)現実感喪失症状、すなわち対象、人々および/または周囲全体が非現実的でよそよそしく、人工的で、色彩がなく、生命感がないように見える。
(c)このことが主観的で自発的な変化であり、外力あるいは他の人々によって強いられたものではないと受け入れること(すなわち洞察)。
(d)知覚は明瞭であり、中毒性の錯乱状態、あるいはてんかんではないこと。

鑑別診断
この障害はパーソナリティの変化が体験される、あるいは示される他の障害、すなわち統合失調症(変身妄想あるいは影響妄想、および被支配体験)、解離性障害(この場合、変化の自覚が欠けている)、そして認知症の早期のある種の障害などから鑑別されなければならない。側頭葉てんかんの発作前の前兆と、発作後のある種の状態が二次的現象として離人および現実感喪失症候群を示すことがある。
 もし離人・現実感喪失症候群がうつ病性、恐怖症性、強迫性、あるいは統合失調症性障害として診断可能なものの一部として生じているならば、それらを主診断として優先すべきである。


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