鍋・フライパンあれこれ美味
100万ポイント山分け!1日5回検索で1ポイントもらえる
>>
人気記事ランキング
ブログを作成
楽天市場
000000
HOME
|
DIARY
|
PROFILE
【フォローする】
【ログイン】
-小麦粉記-
第一段階
いつもなら寮のメンバーで帰るのだけれど、今日は死んだ少年のお葬式に出るのであいつらとはちょっと別行動だ。先に帰ってて構わない、と言っておいたのだけれど、一人で学校をでるというのは、結構寂しかったりする。いつも賑やかな連中がいないだけで景色まで少し違って見えるとは、ね。
なんて、ちょっと感傷。
村田 吉春
結局出会ってから大した話もせずに死んでしまった奴の葬式に出るのは、正直面倒な気もするけど、周りの話を聞くとほとんど友達といえる友達もいなかったようで、そうしたら一度とはいえ家に上がらせてもらった身としては葬式くらい出なければなんないだろう。
木曜の臨時集会で村田の死が伝えられた時、悲しいとか寂しいとか、そんな感情を抱かなかった代わりに、奇妙な納得と推測が当たったことによる少しの高揚感すら感じてしまって、我ながらそんなに心の冷たい人間だったかと悩んだりもしたけれど、それくらいの感情しか俺に感じさせないほど急なできごとだったのだ。
いきなり現れて、いきなり死んでいった人間に対して、泣きでもしたら気持ちもすっきりしたのだろうけど、高校に入って久しく緩んでいない涙腺は、今回も緩んではくれなかった。
死体になって見つかる一週間前に話は飛ぶ。
なんの交流、関係のなかった別のクラスの少年が、帰りのHRが終わって教室を出た俺に声をかけてきたのだ。たしかその日は読みたい本があったから早く帰りたかったのに、声をかけられてイラっと思ってたと思う。まぁそんなことはどうでもいいのだけど。
「ちょっと君、そう君だよ。」
と、初対面の癖に妙に慇懃な呼び方で、帰りがけの俺を呼び止めて、そして何の脈絡もなく、それは決定事項のように告げてきた。
「今、僕はD7YFO/ドナエフォについて調べてるんだ。君、興味あるだろう?少し話をしようじゃないか。」
「D7YFO」の単語に少しドキッとして足を止めてしまい、それが俺と村田のファーストコンタクトのなったというわけだ。
「D7YFO」通称ドナエフォ。
この街周辺のどこかにあるという謎の施設。まことしやかな噂が飛び交う、刺激を求める高校生にとっては嫌でも気になる存在。
その施設を探し出し、出口を見つけ、脱出すると「シアワセになれる」とか「天国へいける」などというようなものから「死ぬ」「異世界へと飛ばされる」とかいう物騒なモノまで様々なバリエーションの噂が飛び交っていたりする。三年位前からこの高校周辺では有名な話らしい。
勿論俺もしっているし、実は気になって一度調べたことがある。・・・大した成果もなくて、途中であきてしまったんだけどね。
「君の事情なんかはどうでもいいんだ。」
「・・・・・・・・・。」
いや、どうでもいいって、ねぇ。
思わずしかめっ面になっただろうけど、村田はそのまま続けた。
「君がドナエフォについて興味があることと、その興味が他の蒙昧で、安直で、愚にもつかないあの下等連中とは全く違う興味だということはわかってる。僕と話をする、ということは、既に決定なんだぜ?」
・・・・そこまで真面目に調べてねぇよ。しかも確定かよ。とは思ったもの、のわりかし強引な形で彼の家へと案内された俺は、早速「D7YFO ドナエフォ」の話を切り出された。
「ここの学校の生徒だったら誰でも知っている「D7YFO」のことさ。君は結構調べていたみたいだから割と知っているだろ?「噂」のこと。ドナエフォを探し出して、その出口から出ると「天国にいける」とか「シアワセになれる」とか、まぁその他いろいろ。でも今回はその噂はそんなに関係ない。」やけに前ふりの長い話し方をする男だ。
案内された部屋は大量の本と参考書(ほとんどが数学関係で、嫌な汗が流れた)で、デスクトップ型のパソコンが一台、ノートパソコンが二台。
テキトウに出された緑茶と煎餅をバリバリ食べながら、俺はこの少年の話を聞くことにして寮の連中に「帰るの遅れる」っていうメールを送った記憶がある。
「少し前に道でこのファイルを見つけたんだ。」といって見せられたのが、普通の誰でも持ってるファイルで、当然何枚かの紙が入っていた。
「実はこのファイルに入っている資料をちょっと調べたら「D7YFO」のことについて少しばかり興味深いことがわかってさ。その裏づけにここ三日間図書館にこもりっぱなしだったんだよ。今日は久しぶりに学校にきたんだよね。まぁそれも君に会うために、だけど。」
・・・・男相手に「君に会いに学校にきた」といわれても全然萌えねぇよ。気持ち悪いわ。むしろ意味の取り様によっては肌があわ立つシュチュエーションだぜ?俺にBLの趣味はねぇぞ。
「・・・・で、何でその資料を見つけて「D7YFO」について調べて、わざわざ俺に会うために学校にきたって言うんだ?俺はお前と仲がよかった記憶はねぇぞ?いや俺が忘れているだけなら謝るけど。」
と言いつつも、実は俺も大体の予測はついていた。
「D7YFO」については、あきた、とはいえその当時は結構真剣に調べていて、そのおかげでこの町のことも少し詳しくなったくらいだ。授業中も教科書の変わりに図書館から借りた古い本なんかを広げていたから、村田が俺が何を調べているのか位はわかったんだろうと思う。
その当時、俺は別に天国だの別世界だのには興味があまり無くて、むしろその存在について考えていた。
この国は十年ほど前までバリバリの軍事国家だった。その軍事研究は得てして帝都近隣の中小都市に作られていて一切場所を秘匿している。戦争が終わった今でも、だ。
十年前の戦争でこの国が勝った要因である特殊銃火器、特殊機関砲の製造研究が行われていたのが隣の街だったのが最近になってわかり、そこの研究施設(廃校舎の地下だった気がする)でのその「特殊」火器の「特殊」がちょっとした細菌兵器だったりしたものだから一大ニュースになった。
隣の街でそうなんだから、この街にだってそんな施設があっても不思議じゃない。「D7YFO」はきっとそんな施設なんかじゃないかと推測を立てたりしたのだけれど、なぜこの街の施設に「噂」が立つのかがわからず、そのうち目新しいこともなくなって調べるのをやめていた。
「君が調べていたように」と以前俺が読んでいた本を取り出して見せて
「ドナエフォが廃棄された軍事施設だってことは間違いないと僕は見てる。」と断言。「D7YFOの資料を一通り見せてもらいたい、と頼んだら無下にも断られてしまった。
「まだ君にこの資料を見せるわけには行かないよ。場所を見つけたいなら自分で見つけてくれ。僕は自力で・・・といってもこの拾ったファイルによるところが大きいんだけどさ。それにまだはっきりココだっていう場所は見つけてないんだ。候補は六ヶ所、そのどれかなんだ。見つけたら底に行く前に一応君には僕がドナエフォに行くってことを伝えておくよ。無事に帰ってこれるかわからないしね」
その日はそこで帰ることにして寮に戻ったのだけれど、その後彼とはほとんど会わなかった。廊下ですれ違っても挨拶もしない。言葉も交わさない。
そして、火曜日の放課後に校門のところで言われた言葉が、俺が村田を見て、その声を聞いた最後の日になった。
「おい龍彦、龍彦!」
過去の回想にふけってたもんだから後ろから勝也に呼ばれても気づかなかったみたいだ。一泊遅れて振り返る。サトルも一緒だ。
「龍彦、お前村田の葬式に行くんだろ?俺とサトルもそっちの方に用事あったからさ、一緒に行こうぜ?お前が葬式やってる間、あそこの会館の近くの公園で待ってるから。」
「あ、そうなの?じゃあ一緒に行こうか。一人で学校出るのもなんか寂しいな、なんて思ってたところだしよ。」
「それにしてもさ、勝也って龍彦見つけるのホントはやいよね。どこにいても「あー、体育館だな」とか「玄関だ」とか。当てずっぽうみたいでほとんど間違わないし。」とサトルがいつものように感心している。
「まぁ、あれだよサトル。男と男の繋がり、みたいな。俺と龍彦はさ、見えない何かで繋がってんだよ、な。けけけ!」この男特有のヤラシイ話題んで笑うときの笑い方だ。
「・・・よせよお前。俺はお前がそんな風にヤラシク笑うような繋がりは求めちゃいねぇよ。きもちわりい。」
同じ中学、同じ寮、同じクラスの仲のいい三人組。もしくは風紀乱しトップ2+1みたいな変な名前を頂戴している。
伊坂龍彦 仲柴勝也 植畑サトル
サトルはともかく俺と勝也はどうも先生方や真面目な生徒に目をつけられていて、今日も服装のことで注意を受けた。一応というか通ってる高校がバリバリの進学校で、真面目な学生がほとんどだ。もう一つの進学校は私服OKなのだが少しレベルは落ちる。
田舎の中学校から何かの間違いのように入学したため、学ランは崩してきるものだ、という感覚が当然、というよりもきっちり着るほうがどうかしている。という感覚。それが先生方のお気に召さないようで、しょっちゅう注意されるが直す気は無い。今日も今日とてボタンは全開ワイシャツもはだけてなかなかだらしの無い格好になっている。
「じゃあちょっと待っててくれ」と、葬式を行っている会館の前で勝也とサトルに一旦別れて、一応お葬式なので服装を正して会場にはいる。
そんなに人は多くなく、制服の姿もほとんど見かけない。本当に学校で友達がいなかったようだ。
一通りの儀式を終わらせ、二人を待たせてるしさっさと帰ろうと靴を履きかけたとき、村田の母親らしき人に呼び止められてしまった。
疲れきった表情で、突然の息子の死に未だ受け入れることができない、という感じの、見ているこっちが痛々しくなる様子で。
「あなた、あの時家に来た子でしょう?」
「・・・あぁ、はい。たぶん俺だと思います。」
「吉晴の机の上・・・いえパソコンの上に、にあなたに渡してくれって書置きと一緒にあったのよ。」
と一通の封筒を差し出してきた。
が、受け取ろうとして封筒を掴んだのに、村田の母親が離してくれない。
怪訝に思って顔を見上げた瞬間
「あなた、あなた吉春がどこに行ったか、知ってるんでしょう?何があの子に起きたか、知ってるんでしょう?そもそもあなたが吉春をそそのかして死なすようなところにやったんじゃないでしょうね?!」
物凄い力で肩を掴まれて揺さぶられて、あんまり激しいものだから何も言うことができない。
何とか俺の方を揺さぶり続けるおばさんの動きを止めて、できるだけゆっくり、静かに話すように心がける。
「ゴメン、おばさん。俺はあいつがどこに行ったかわからないんだ。知らないんだ。あの日があいつとはなした最初の日だったんですよ。俺も、あいつがどこに行ったか、知りたいんです。」
ようやく落ち着きを取り戻したおばさんは「・・ごめんなさい。ちょっと取り乱しちゃって。アノこが・・・。何であの子がこんな目に・・・・・と思ったら」
」と体を引いてくれた。
「でもおばさん。もしかしたらあいつが行った所、わかるかもしれない。そしたら絶対教えるから。」
嘘、では無い。
きっと彼が俺に当てた封筒には、その場所の具体的な場所、とは言わずとも何かしらのヒントがあるはずだ。そう、彼は言ったのだから。
おばさんは一瞬「えっ?」っと目をしばたたせ、「もし本当に見つかったら、おねがいね」と言って、がっくり肩を落として戻っていった。
勝也とサトルの待つ近くの公園へと向い、高校生にもなってブランコに興じる二人を見つけ、さて帰ろうとしたところに、再度制服を着た女の子に肩を掴まれたられた。さっき葬式の会場にいた数少ない制服の女の子だ。走ってきたらしく意気が上がっている。しばらく俺の肩を支えにして息を整えてから、後方で何事かと声をかけられずにいた勝也とのことは目に入らない様子で、
「はぁはぁ、ちょっと、君、はーぁ。吉春君、私の従兄弟なんだけど、きっと「D7YFO」を見つけてそのせいで死んだのよね。君は何か知ってるのよね。」と。
・・・村田の家系は、つくづく呼び止めるのが好きらしい。
手にあるのは村田の残した封筒、肩を掴んでこちらを睨む女の子、立ち尽くす俺、勝也、サトル。
ジャンル別一覧
出産・子育て
ファッション
美容・コスメ
健康・ダイエット
生活・インテリア
料理・食べ物
ドリンク・お酒
ペット
趣味・ゲーム
映画・TV
音楽
読書・コミック
旅行・海外情報
園芸
スポーツ
アウトドア・釣り
車・バイク
パソコン・家電
そのほか
すべてのジャンル
人気のクチコミテーマ
あなたのアバター自慢して!♪
韓国での食事(11月 12日)
(2025-11-15 02:35:31)
避難所
【大人気】「エアーソファー」 で、…
(2025-10-30 22:24:38)
写真俳句ブログ
冬の使者
(2025-11-19 16:54:19)
© Rakuten Group, Inc.
X
共有
Facebook
Twitter
Google +
LinkedIn
Email
Design
a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧
|
PC版を閲覧
人気ブログランキングへ
無料自動相互リンク
にほんブログ村 女磨き
LOHAS風なアイテム・グッズ
みんなが注目のトレンド情報とは・・・?
So-netトレンドブログ
Livedoor Blog a
Livedoor Blog b
Livedoor Blog c
楽天ブログ
JUGEMブログ
Excitブログ
Seesaaブログ
Seesaaブログ
Googleブログ
なにこれオシャレ?トレンドアイテム情報
みんなの通販市場
無料のオファーでコツコツ稼ぐ方法
無料オファーのアフィリエイトで稼げるASP
ホーム
Hsc
人気ブログランキングへ
その他
Share by: