⑮羽根~lay down my arms~ 加藤晴彦主演映画「回路」の主題歌。活動中止発表直前に発売されたこの曲、詩の内容を通して読んでみると、活動中止を暗示させるようなフレーズが並んでいるのに驚きました。これと「焼け野が原」「風化風葬」の3曲を並べて聴くと、彼女が活動中止を決めるまでの心の動きが読めるようで、胸が締めつけられます。この曲の「もうすぐ散るよ 羽根は燃え尽きて空へ帰る」、「焼け野が原」の「とても寒くて歩けない もう歩けないよ…」、そして「風化風葬」の「すがりついた昨日を 振り払って私は星を辿る」あたりに、その当時の彼女の今後を暗示させるような予感がして、別の意味で切なくなりました。彼女は「風化風葬」のライナーノーツで、別物だった歌手「Cocco」と沖縄人「こっこ」の境目がようやくなくなって、この曲を沖縄の空に放してやりたいという心情を述べていますが、「羽根」のプロモでは、ラスト前のコーラスで、「Cocco」と「こっこ」が向かい合って歌うシーンがあります。彼女の心情を踏まえてこのプロモを見たときに、否応なく切なくなりました。
⑦アネモネ アコースティック・ギターの音色で始まるこの曲。メロディの美しさとは裏腹に、歌詞の内容はあまりにも痛すぎます。「焼け野が原」のカップリング曲ですが、この曲は落ちついた感じの「焼け野が原」というような感じ。愛し合っていた二人の姿と言うのは、実はすべて虚無な存在であり、「目を閉じてしまおう もう目を閉じてしまおう だって見えないから もう何も 見えないから」と歌い、「夢を見たアネモネ それでも闇は闇のまま I close my eyes 」と、ささやくようにいっぱいの絶望感を歌っていて、より痛切な感じを抱かせてしまっています。