なかちゃん@那覇の日々のくすりばこ

アウトドアの食品衛生

行楽シーズン到来!そこで考えましょう、アウトドアの食品衛生

まもなく、何をするにも最高のシーズンを迎えます。アウトドア、青空の下での食事や遊びは格別ですね。ところが、そんなところにも落とし穴が…きのこ採りで採ったきのこで食中毒を起こしたり、といったニュースがあちこちで聞かれます。そこでこのページでは、アウトドアにおける食品衛生について、ちょこっとまとめてみました。


・アウトドアの落とし穴、きのこ
 これから迎える、行楽&食欲の秋。中でも山や森へのハイキングは、この両方を満たす上で、最高の手段といえそうです。晴れた秋空の下での食事は、本当に気持ちいいものですね。ところが、その最高の気分に水を差しかねないモノが、実はこのころ「旬」を迎えるんです。それは「きのこ」です。ハイキングの帰りに採ったきのこで鍋を作ったはいいけれど、その鍋で食中毒を起こして病院に運ばれた、という話は、この季節によく聞かれます。食用に使われるきのこももちろんたくさんありますが、いわゆる「毒きのこ」との区別がつきにくいものも多く、間違って採集して「あたって」しまうということがあります。ここでは、その見分け方や種類について、簡単にまとめてみました。

(1)キノコ中毒発生状況
 昭和46年から平成2年までの20年間に全国で、1011件のキノコ中毒が発生し、約5000人が中毒し、30人の死者が出ています。年によって件数に変化がありますが、全国で毎年キノコ中毒が発生しています。

(2)中毒の原因キノコ
 中毒の原因となったキノコの種類は、クサウラベニタケ(イッポンシメジを含む)が30.5%、ツキヨタケが26.5%、カキシメジ(マツシメジを含む)が10.5%で、この3種類で7割近くをしめています。また、キノコによる死亡事例では、原因キノコが判明したもののうち、ドクツルタケ(シロタマゴテングタケを含む)によるものが、約半分あります。

(3)キノコ中毒発生時期
 キノコは、秋に多く発生しますので、採集して食べる人も増えます。キノコ中毒も、9月、10月に多く発生しており、約9割がこの時期に集中しています。

(4)キノコ中毒の原因となった場所
 キノコ中毒の約9割が家庭で発生しています。その他、販売店、飲食店などの営業施設が原因で発生することもあります。これはやはり、キノコに対する不正確な知識が原因になっているようです。


(5)毒キノコによる食中毒事例

●カキシメジ(毒)

 10月中旬、ある家族と友人が富士山にキノコ狩りにでかけ、マツタケ、クリタケ、キシメジなど何種類かのキノコを採り自宅に持ち帰りました。マツタケなどは、夕食時に7人で炊き込み御飯として食べました。翌日の昼食に2人が残っていた別のキノコとナスを一緒に妙めて味噌汁に入れ食べたところ、1名が1時間後、もう1名が3時間後に下痢、おう吐などの食中毒症状をあらわし、1名が入院しました。
 病院から保健所に届出があり、調査したところ、味噌汁に使用したキノコは毒キノコ の「カキシメジ」で、これが原因の食中毒であることがわかりました。
 さらに、詳しく調査したところ、「カキシメジ」を採った2人はキノコ採りの経験が豊富で、鑑別力には自信を持っていました。しかし、「カキシメジ」を採ったのは初めてであり、鑑別に迷ったものの、地元の人に食用であると言われ自宅に持ち帰りました。自宅で採ってきた人がマツタケに似ていると言うと、別の人が「サマツタケ」(地方名)であり食べられると言い、食べてしまい中毒を起こす結果になったものでした。

  教 訓
1 食べられそうというだけで、キノコを食べることは禁物。
2 「ナスと一緒に調理」や「油で妙める」など、昔からの言い伝えのように調理しているが、迷信であり食中毒が発生。
3 地元の人が言うことでも、必ずしも正しくないこと。
4 知らないキノコは、専門家に相談するなど正確な鑑定をすること。


● クサウラベニタケ(毒)

 9月中旬、キノコに詳しいAさんとキノコ狩りが初めての2人が、近くの裏山でキノコ採りをしました。
 Aさんによると、当日採ったキノコは、カラカサタケ、ウラベニホテイシメジ、サクラシメジ、クサウラベニタケ(毒)などでした。
 Aさんは、キノコの観察のみを行い、食べませんでした。一緒に行ったBさんは、Aさんに見てもらいウラベニホテイシメジとサクラシメジと言われたキノコを持ち帰り、ナスとキノコの妙めものとして食べたところ、キノコを食べたBさんの家族3人が吐き気、おう吐を起こしました。
 Bさん宅に残っていた未調理のウラベニホテイシメジを鑑定したところ、ウラベニホテイシメジではなく、クサウラベニタケ(毒)であることがわかりました。Aさんはキノコについてよく知っていましたが、後から語ったことでは、天候不順や時期が早かったため形が小さく判別が難しかったということでした。
 また、Bさんも持ち帰ったキノコの中に、形の異なったものがあり不審に思ったが、調理し食べてしまったこともわかりました。

 教 訓
1 キノコは発生時期、発生場所などで形態が異なることも多いので、確実な鑑定ができないものは絶対食べないこと。
2 採ったキノコには、有毒種が混入していることもあり、少しでも不審があれば食べないこと。
3 採ったキノコを、安易にあげたり、もらったりしないこと。





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