波のマニマニ

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絞扼性腸閉塞 (2)



次の日、波次は朝からぼーっとしている。
横になったら?と言っても横にはならず、ベッドの柵にもたれて、時々うつらうつらしている。

本当なら明日から化学治療がスタートする予定だったので、CTの予約がはいっていた。看護婦さんが呼びに来てくれたが、波次は自分で立つこともできず、だっこして、地下まで連れいった。

午後から、Y先生が来た。
これから、今、胃まで入っている鼻管を小腸までとおすそうだ。
普通にはできないので、放射線科でモニターを見ながらするそうだ。

CTの結果、やはり腸閉塞だったそうだ。
このあと、手術をするといきなり言われた。
波次を検査室に入れると、看護婦さんにまかせて、波夫に電話しに行った。
波夫もあまりに意外なことにあわてている。とにかく直ぐに病院に来て欲しいと頼んだ。

波次が大泣きで検査から戻ると、すぐに手術の説明が始まった。
波夫はまだきていないので、一人で説明を聞いた。

『扼絞性腸閉塞』で、小腸の一部が癒着して捩じれていて、捩じれた先には血液がいかない為、壊死し、腹水がたまってきている。
横になるのを嫌がるのは、腹膜炎をおこしているからだそうだ。

Y先生が「今日は(こんなことになって)どんな日や?」と言った。
私は「今日は私の誕生日です。」と言うと、「じゃあ一生忘れへんな。」と言った。

手術と輸血の承諾書にサインをして、波次をだいて手術部まで連れて行った。扉を開けると麻酔科の先生がいて、慌ただしく問診した。

波次が入ったあと、病棟に荷物を取りに戻ると、クーラーバッグを持って出て行く看護婦さんにあった。
「なにしてるんですか~?」と声をかけると、波次の輸血用の血液をとりに行ってくれるそうだ、「よろしくお願いします。」と頭を下げて見送った。

控え室で待っていると、波夫が来た。
手術自体は、4時間ほどで終わり壊死していて切り取った小腸(30cm)を見せてもらった。
破裂寸前で、きたない腹水がいっぱい溜まっていた。
他にも3箇所、危ないとこがあり解除しておいたと言われた。
とにかく危機が越えられて良かった。


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