Laub🍃

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2010.03.27
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カテゴリ: .1次題
今学期新しくできた友人は独り言がやたらと多い人間だった。恐らく考えたことを全て言っているのだろう。若干不気味だし扱いにも困った。だがしかし、言っていること全て悪気がないものだから、僕としてはある意味ありがたくもあった。問題の思考、特に彼の自虐思考を訂正し彼自身から彼を擁護するのは少し面倒だったが、そしてそれを放っておくと特定の名前は挙げないものの寂しいと繰り返すものだから嫌気がさすことも少なくはなかったが、そんな彼のもとに寄って慰めて、そうしてお礼を言われたり、束の間彼が笑って何も考えずに居られる瞬間を迎えるのはなかなかに至福であり光栄だった。また、悪意のない彼と付き合うこと、理不尽な目に遭って嘆きはすれど我慢や頑張りにつなげようとする彼は多少うるさくても好ましいもので、僕もその声がないとじきに落ち着かなくなっていった。



俺は屑だ。だから俺の本当の声は隠さないといけない。

俺はどうしようもない。だから声でだけはどうにかすることを言わないといけない。

声に出していれば俺以外の誰かが助けてくれる。引っ張り上げてくれる。そうしてそうやって助ける自分自身に誇りを持つんだ。俺は涙をただ流せばいい。


だけどこれは天然であると見せかけないといけない。心の声を、生い茂らせた表向きの声で隠して隠して隠して、そうすれば、本当にその表向きの人格のようにすらなれる。

俺のこの声は独り言。他人に向けた声ではない。
自分自身への暗示の声だ。
それが偶然他人に聞こえてしまっただけだ。



悪意のない、打算のない人間。そうでありたいのだ。
隠さず、誤魔化さず、不器用な人間。そうでありたいのだ。

こうしてくよくよと思い、計算を続ける俺こそが、気のせいなんだ。





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最終更新日  2017.12.23 03:06:13
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