Laub🍃

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2011.10.03
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カテゴリ: .1次メモ
 掃除をしていたら、随分と昔のレシートが見つかった。すっかり黄ばんでいて、かろうじて年数を見ると7年前、私が中学生の頃。…もう潰れてしまった店のレシートだった。
 あそこはもうマンションが建ってしまっている。あのこじんまりとした、だけど入ると広く感じるあの世界で私は初めて物を買うということを覚えた。いつも入ってはすぐに眺めていた鏡が思い起こされる。結局あれは買えないままだった。
 私は大人になれば何でも買えると思っていたけれど、大人になるまでの間にいくつのチャンスがなくなるかということをこの年では知ってしまっている。
 私は質より量とばかりに、小物ばかり買っていた。今思えばそれはその時その時感じた輝きを逃さない為だったのかもしれない。
 小さな小物。いくつかはもうなくしたり壊れてしまった。そしていくつかは飽きて、人にあげた。けれど未だに私の世界はあの店から買ったものたちで包まれている。だからこそ家を出られない。居心地がよいのか、縛られているのか。
 まるで呪いだ。過去から現在への。

 私はレシートを机の引き出しに入れた。きらきらと、青春の輝きとセピアを封じ込めた世界。疲れた時はここに帰って来よう。子供の心に戻れるように。今日から始まる就活にも耐えられるように、壊れないように、いつもいつも大人で居なくてもいいように。

 これはそんな、子供に戻る為のおまじないの道具だ。





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最終更新日  2016.09.20 21:34:37
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