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長押綴

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2018.08.06

僕の彼女は必ず女の子にとられる。

いいなと思ってアプローチしている最中でも、アプローチされている最中でも、結婚直前でも、結婚して子供がいる時もだ。
優しい人も厳しい人も楽しい人も真面目な人も賑やかな人も静かな人も戸籍が男の人も戸籍をじき男に帰変えるという人も、嘘を吐くのが上手な人も、下手な人も居た。
あっさり諦められた時もあれば、すごく好きで離したくなくて、それでも駄目だった時もある。
最近では僕と付き合ってもすぐに別れるんじゃないか・そんなことないよ・・・と念押ししてから付き合ったり、相手の身辺調査をしたり、不自由にさせない約束でずっと家の中で暮らしてもらったこともある。

それでも彼女の昔の知り合いや、電車で近くに乗り込んだ人、宅配業者、そういった女性に必ず、僕の愛した人はとられていく。

だから４０近い今でも独身だ。子供は大抵彼女に引き取られた。
けれど、僕のもとに残ってくれた娘と息子がいるから寂しくはない。

大体結婚が全てではない、恋愛が全てではないんだ。

……なんてことを、酒の勢いも手伝って同窓会である同級生に話した所。

「奇遇だね、あたしもや」

なんて彼女は笑った。

彼女に詳しい話をきいたところ、彼女もやはりどんな状況でも男に男をとられる境遇だったらしい。

こんな俺と彼女ならうまくやっていけるんじゃないか、今度こそ結婚と子供が出来るその先を見られるんじゃないかと思っていた。

「……ごめん、冬馬……」
「……彼女が出来たんだな？」
「……うん……で、冬馬は」
「彼氏ができたよ」

あれほどあり得ないと思っていたのに、僕たちはこんなに簡単に、愛した人を変えられた。

そうして僕と彼女は８０になった今でも、互いの幸せと、永遠に続く好きの先を連絡しあっている。

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