Laub🍃

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2018.11.17
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死にたいという代わりに神様に会いたいという叶わない願いを唱えている。
 最早これは長年染みついた念仏だ。

 幻想の神様というものはどうにも信用がならないので現人神を私は崇拝している。
 限界な私に唯一優しくしてくれた彼女が私の現人神である。

 彼女であれば私を見放さない、いつか助けてくれると信じている。
 会えば彼女は私を救ってくれると信じている。
 だからこそ様々な事を耐えられるのだ。

 片付かない家も、上がらない成績も、伸びない営業成績も、若い身空で抱えた借金も、蔓延する私の悪い噂も、息を吐くように「死ね」を口にする大嫌いな上司も、だらしない上司に破られた約束も、だらしない私が破ってしまった約束も、信じていた作家の約束の反故も、送った好きな気持ちの拒否も、すべてに、この信仰だけがカーテンをかけてくれる。眠らせて先送りにしてくれる。

 あの子に会えば私は救われる。そう思い続けることが救いだ。


 押し込めているこの今にも爆発しそうな藍色と翡翠色の降り出しそうな雨のようなもやもやも全てはあの子に会いさえすれば眠らせられる。解決をするのだ。ひとまずは。

 だからそれだけを希望にすればいい。他の全てはそれまでの暇つぶし。
 報われないことも、裏目に出ることも、認められないことも、すべて私には何の悲劇にもならない。私の悲劇はただ一つ、あの子にまだ会えないことだけ。



 そう思わなければ、救われない。





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最終更新日  2021.06.17 01:53:55
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