魔都、東京。
其の中心とも言える場所。
暗闇に浮かぶ
欲望渦巻く街、
新宿・歌舞伎町。
其処で行き交う
人 ひと ヒト。
其処で彷徨う
人 ひと ヒト。
欲望は
この街を果てし無く覆い尽くし
昼より明るいネオンの街の
闇より暗い小路に
次から次へと吸い込まれていく。
其処で行き交う
人 ひと ヒト。
其処で彷徨う
人 ひと ヒト。
実に様々な人が居る。
今迄 出会ったことも無ければ
見たことも無い人々。
此れだけ
沢山の人がいる中で
誰も
自分は知らなくて
誰も
自分を知らないなんて。
俄かに
其の事実を信じられないと云う様な
妙な錯覚に陥って仕舞う。
無数の人々に
囲まれながらも
虚無と孤独に
苛ませられる。
其処に 或る男が
俺に、こう
話し掛けてきた。
「貴方は宇宙人が
居ると思いますか?」
自分の耳を疑った。
此の男は突然 一体
何を言い出すのか。
街行く人に
初対面の男に
『宇宙人が居ると思うか?』だと?
俺は今年で二十三。
もう、幾らなんでも
いい大人だ。
こんな大人を捕まえて
『宇宙人が居ると思うか?』だと?
冗談も程々にして欲しい。
全く余りの愚問に
吐き気がする。
眩暈を覚える。
『貴方は宇宙人が居ると思いますか?』だと?
常識で考えてくれ。
こいつは どれだけ
世間知らず だ?
それとも
只の 白痴なのか?
嗚呼
それならば
仕方が無い。
馬鹿にして申し訳ない。
俺は優しく
こう答えた。
居るに決まっている。
先週だって
気の良い 若い宇宙人と
バーで知り合いになったばかり。
彼から貰った錠剤は
非常に非常に
効き目が良い。
それより
まさか
知らないのか?
「小倉優子」
を
知らないのか?
彼女は堂々と
「こりん星」
からやってきた
宇宙人だとカミングアウトしているでは無いか。
こりん星人は
その天然ぶった計算高い素性から
迫害を受けている人種にも
関わらず、
公共の電波でカミングアウト。
彼女のお陰で
在地異星人も
どれだけ勇気を貰ったか。
言わずもがな
彼女のファンの多くは
そういった
異星人達である。
地球人の俺には
彼女の魅力は分からない。
そうだろ?
なんだ
本当に知らなかったのか。
じゃあ、覚えとけ。
彼は大喜びで 小路の闇へと消えていった。
此処は
魔都、東京。
其の中心とも言える場所。
暗闇に浮かぶ
欲望渦巻く街、
新宿・歌舞伎町。
其処で行き交う
人 ひと ヒト。
其処で彷徨う
人 ひと ヒト。
実に様々な人が居る。
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