17.王子の気持ち


さっきも何か言いたげだったからな。

まぁ、王子は常にオレに何か言いたげだが・・。

素早く衣装を替えると、早足で王子の宮殿へ向かった。

いつもとは何かが違う。
そんな気がした。

そして、ティティが関係していることも・・。

腹違いの兄弟とは言え、オレは自ら臣下に下ったわけだから、一応膝まづく。

「・・王子。お呼びでしょうか」
「セナトスか・・入れ」
「はっ!」

2,3人の侍女に手伝わせて衣装を替えていた。
湯殿に入ったのか、少し頬が紅潮しており、濡れた髪が少し乱れている。

優雅な身のこなしで、さりげなく侍女たちに下がるように指示をした。

2人きりになった。

同じ男でも思わず凝視してしまった・・

「・・私の顔に何かついているのか?」
「え・・いえ。あまりに艶やかでなまめかしいので・・」
「・・!?言葉を慎めっ・・!」
「はっ!申し訳ございません!」

「プッ!ククク・・!」
「フ・・ハハハハハ!」

「まったくお前は・・お前だけだぞ、私に対してそのような口をきくのは」
「光栄でございます」

「酒でも飲むか?」
「・・いえ。酒を飲みながらできる話でもなさそうですので」
「・・鋭いな・・」

「・・ファラオの容態は?」
「今、手当てをしておりますが、まだなんとも・・」
「そうか・・なんとか助かってほしいものだ」

「・・まだファラオにはなりたくない?」
「どうだろう・・そうだな・・そうかもしれん・・」

少しの沈黙が流れた

呼ばれたのはオレだ
王子はオレに話がある。

しかし、オレだって聞きたいことがある。
気になってしょうがないことが・・

「・・王子。一つお聞きしてもよろしいでしょうか?」
「ん?なんだ?」

一瞬を下を向いたセナトスはすぐに真っ直ぐにハルノートンを見つめた

「なぜ、王子とティティが同じように濡れ鼠になっていたのでしょうか?」
「・・・気になるか?」
「・・・・」

「・・ティティと2人で宮殿の池に入った。頭までな」
「はっ・・??」

からかってるのか?この人は・・
王子と侍女が一緒に池に入ったなんて聞いたことがないぞ?
パチパチとまばたきが多くなるセナトス

「池を潜って外に出ようとしたらしいのだ・・」
「えっ・・!!」
「あの池にはワニがいる。慌てて私が引き戻そうとしたのだが、
あの娘が予想以上に暴れたのでな。手こずったのだ」

思い出しているのか、王子の目が笑っていた
幸せそうに・・優しく微笑んでいた

その表情を見て、セナトスの胸がチリッと痛む。
鼓動が少し早くなり、息苦しい。

あまり経験したことのない苦しさだが、嫌な感じだ。

相手が王子じゃなかったら「笑うのをやめろ!」と言いたいくらいだ。

「し、しかし!なぜ外に?!」
「おそらく・・ネフェルが私の気持ちに勘付いたのであろう」
「王女・・」
「いや、私だけでなく、お前の気持ちも、ティティの気持ちも。
何もかもわかってしまったのだ」
「・・・・・」
「そしてティティに何か言ったのであろう・・」
「ティティはなんと・・?」

フフッとまた優しく王子は笑った

「ここにいたくないだとか、いられないだとか、
いたらダメなんだとか・・
しどろもどろで何かブツブツ言っていた」

全身ずぶ濡れで、膝を抱え、小さくなり顔を赤くしながら。



セナトスはイライラしていた・・

だから、その笑顔やめろって・・
なぜだかオレの神経を逆撫でするんだ
オレの知らないティティを思い出して笑ってんじゃねぇ!

「セナトス、顔が嫉妬で歪んでいるぞ」

おもしろそうにオレを見てる、余裕の表情がオレをまたイラつかせる

「嫉妬?!バカげたことをおっしゃらないで下さい」
「バカげた?」
「そうです」

「では、ティティは私がもらう」

え・・
何て言った?

「妃を持てと周囲がうるさくてな。私としてはまだ妃は持ちたくなかったのだが・・」
「それではなぜ・・?」
「愛する女を見つけたからだ。初めて恋をした。」

真っ直ぐに強い視線でオレを見つめる
オレは少し後ずさりしてしまった・・。

「し、しかし!王子にはネフェル王女が・・ティティは侍女で・・」

「セナトス!私は次期ファラオだ。妃にする女は自分で選ぶ。
愛する女を妃にして何が悪いのだ?」

本気だ
王子は本気でティティを愛し、妃にしようとしている。

ネフェル王女は王子を愛している。
その王子がティティを愛してることを知ったら・・?

ティティが宮殿から抜け出そうとした・・

何があった?

先程の泣きそうな表情のティティの顔がチラつく

「王子、失礼します!!」

セナトスはものすごいスピードで宮殿を出て行った

「・・不器用な男は時間がかかる・・」
去っていくセナトスの背中を見つめながら、ハルノートンがつぶやいた












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