プロローグ


水道橋、午後11時前。
神山宅――
「いけーー!!そこだ!うりゃあ!!」
ゴーグルを首につけた少年、神山拓人が豪快にコントローラーを回しながら目の前のレースゲームへと一心を尖らせた。
「お兄ちゃん、お風呂開いたよ」
神山まりあが、花柄のパジャマ姿で濡れた髪を拭きながら目の前の少年に言った。
「この第2レースが終わってからな!おりゃ!」
「・・・何か、格闘してるみたい」
横浜、午後8時。
橘宅―
ブラウンのロングヘアと碧の瞳の少女、サラ・橘・フリュ―ゲルがフルーツ味のピザを口に含んで、
「おー♪デリシャス」
と、幸せいっぱいの表情を浮かべた。
「よかったわ、喜んでもらえて」
「ああ」
サラの両親が仲良さげにソファーに座ってテレビを見ながらそんな会話をしていた。
自由ヶ丘、午後7時。
天空寺宅―
『キッチンで温めて食べてね。明日の昼頃には帰ります。アヤメより』
「あいかわらず、簡潔な文章だな――、まあ、アヤメさんらしいけど」と、金色の髪と透き通るような蒼い瞳の少年・天空寺吉良がそんな事をメモを見ながら言った。彼の前には、パソコンが供えられ、サイトが開かれていた。
吉良はメモを机の上において再びキーを叩き出した。
お台場、午後6時。
「じゃあな、那岐。約束どおり、これはもらっていくぞ」
鋭さを思わせる藍色の瞳の少年、大神故がカードを振り回しながら、後ろで泣きじゃくる小学2年くらいの少年に嫌味な笑いを残して仲間と一緒に去っていった。
彼の名前は、八代那岐という。
「・・・っ、・・・ひっく」

――運命を決めるゲームに出ますか?出ませんか?

そんなメールが来る事を誰も夢にも思わなかった。


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