22.曇りガラス


暗闇が広がる空を見つめながら曇りガラスに手をやって輝一がぽつりと呟いた。
まさか、こんな所に館があるとは思わなかったけど・・。
まだ、皆寝てるかな・・
「・・・」
「輝一・・寒いから閉めてくれないか」
部屋に入ってきた輝ニが扉に手をかけながら言った。
「あれ、輝ニ。起きてたんだ」
「・・ちょっと、目が覚めちゃて」
「奇遇だね、オレもだよ」
輝ニがニッコリと微笑みながら窓を閉めてイスに腰掛けた。
「・・そうか」
輝ニが少し穏やかな表情を見せて、再び外に視線を戻した輝一に近づいてきた。
そして、ゆっくりと輝ニが輝一に後ろから抱きついてきた。
「―輝ニ?」
「・・本当は、少し夢見て・・。けど、お前がいなくて・・」
「・・怖い夢だったんだ。あ、もしかしてそれでオレに甘えたくなったとか」
輝一はここで多分怒るだろうと思って冗談っぽく言った。
「・・・・・」
「あれ?」
怒らない?
「輝一はオレの味方だよな・・」
「?う、うん。当たり前じゃないか」
輝ニはいつのまにか輝一の前に立って、輝一にまとわりつくようにまた抱きついてきた。
「ちょっと、このままにしててくれないか・・」
「うん」
―安心する・・あいつとは大違いだ・・。オレにあんな事をするあいつとは・・。
輝ニは身を寄せたままにこりと子供らしく笑った。
安心しきった輝ニの顔に輝一はなぜか暗い表情を見せた。
「・・・・」
輝ニって、こんな表情も持ってるんだな・・。
すっかり安心しちゃてる顔だな、新しいお母さんにはしてないのかな。
父さんにも・・。
でも、オレはもうすぐそれも、こうして輝ニといられる事もなくなるけど・・。
「魂だけの存在」か・・




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