37.館


シュミレーションルームにいるBクラスの授業風景を2階の観客席で眺めていた。吉良の傍らには、同じCーAクラスのクラスメイトの姿もあった。
上のものの技術を目で養うという研修目的の授業をC-Aクラスは今行っているようだ。
「すげえな、あいかわらず、刹那さん」
「この調子だとすぐAクラスに入れるじゃねえかな」
「とても、あれの片割れとは思えないな」
刹那に憧れ、そして褒め称えているクラスメイトの視線は自然と1番端の席に座っている吉良へと注がれていた。
携帯ゲーム機に夢中になっていた吉良は視線に気付き、
「何?」
と笑顔をクラスメイトに向けた。
「いや、何でも・・」
「そう?」
そして、再び吉良は携帯ゲーム機に視線を戻した。
「・・・・」
皇 刹那。
つい2年前まで彼が自分の兄弟で双子の弟だという事をオレは知らなかった。
いや、知っていた。
知っていたけど別に関わろうとはしなかった。
苦手というのもあったし、それに彼と兄弟だという自覚はあるものの感情がそれに追いつけなかった。
刹那はウェブダイバーとしての能力も、母さんや祖父で「べガ」の会長を務める十騎の期待にも答え、そして優れていた。
羨ましかった。
嫌いじゃなかった。
――そして、妬ましかった。疎ましかった。
同じ家、同じ「館」の中にいても彼は遠い存在にしか過ぎなかった。
「行くぞ、皇」
「あ、ああ」



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