095 隠し事


優しくて責任感が強くて、何でも出来て僕の憧れるお兄ちゃんです。
お兄ちゃんはいつも僕に優しかったです。
周りの人に過保護だといわれても気にしないほど。僕もそれは嬉しかったし、甘えられる人が身近にいる事はとても安心しました。

でも、冒険が進むにつれて僕はそれが何故だか知らないけど重く感じるときがありました。
―何で、お兄ちゃんは僕を特別扱いするんだろう。
そう思うようになりました。
だから、その事をはっきりお兄ちゃんに言ったら、酷くショックを与えてしまいました。でも、その時の僕はそんな事にも気付いていなかったのです。
気にするほどのことではないと思っていたのです。

お兄ちゃんは、あの人は僕がいないとだめで僕で自分を支えている。
自分の弱さから目をそむけている。

その事に気付いたのは、もうちょっとたった後からでした。
そして、現在――・・。
「タケル、どうかしたのか?」
真っ暗な夜の闇の中、お兄ちゃんいや・・、兄さんが服を着ている僕にいつものように優しく声をかけた。
「別に、ちょっと思い出してただけ」
「何を?」
「秘密」
僕はごまかすように兄さんにニッコリと微笑んで見せた。
「何だよ、教えろよ」
兄さんは僕をベッドにいる自分の方に引き寄せると、耳元で優しくささやいた。
「・・っ、兄さん、耳に声をあてるのやめて」
「ああ、悪い。お前、耳弱いんだっけな」
「・・・っ」
そう言いながら、兄さんは僕の頬にそっとキスをした。そして、そのまま自分の腕の中へと、ベッドの上へとゆっくり引き倒した。
「兄さん・・っ」
顎を素早く捕らえられ、僕は兄さんの深いキスを受けた。
僕の長い夜が始まろうとしていた。

あの頃から、僕は大きくなり中学生になっている。
でも、僕は相変わらず兄に捕えられている。
少しもそこから出る事を許されていない。
この隠し事は、僕はいつになったら兄から離れて行っていいんだろうか。話していいんだろうか。


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