第1話


復活した新しいBBA本部のビルでは、大転寺会長がシュミレーションルームや練習ルームへ勤しんでいる子供達の様子をニコニコとベンチに座りながら見ていた。
「いいですね~、子供が何かを頑張っている姿というのは」
そこへ、お付きの秘書の女性が大転寺会長の元へ歩み寄って来た。
「会長、例のお客様が今こちらについたという連絡が来ました」
「そうですか。では、私もそろそろ自分の持ち場に戻るとしますか」
その報告を聞いた大転寺会長はどこか嬉しそうでそわそわしていた。
大転寺会長の手には、新しい世界大会のチラシと、もう一つのベイバトルの大会のチラシがあった。
そのチラシには、「明日のBBAは君だ!」という文字がでかでかと描かれていた。
「この事を早く木の宮君たちに教えたほうがいいですかね」
「さあ、私に言われても・・」

ゴォォォォー・・
今日も羽田空港では、様々な国の人々や旅行者、会社員の姿で賑わっていた。
国際線あたりの飛行機からぞろぞろ降りてきた乗客の中には、まだほんの小学生くらいの少年の姿があった。
その少年の荷物と言えば、トランク一つと犬が入ったペット用のボックスだけだった。
「・・・ここが、日本か」
あのBBAのGレボリューションの・・木の宮タカオや火渡カイ達なんかがいる。
少年はキュッと、帽子を直した。
真っ青な青空の中、白い鳥が意気揚々と自由に飛んでいた。

「まったく、あんた何を考えてるのよ!!タカオ!」
道場にいきなり上がりこんできたかと思うと、立花ヒロミがタカオにいきなり怒鳴り声を上げた。
「な、何だよ、ヒロミ・・顔こええぞ・・」
あまりの迫力にタカオは思わず後さずった。隣で、レイの絵ハガキを読んでいたキョウジュもびっくりしたようで、口を開いていた。
「ヒロミさん・・」
「マックスから聞いたわよ、あんたまたドラグーンのメンテが終わってないのに勝手に持ち出して、挑戦受けたんですって」
「ごめんネエ~、タカオ。ヒロミちゃんがどうしてもって言うからさ」
マックスはあはは、とごまかす様に笑った。
「マックス~」
「あら、キョウジュ、何読んでるの?」
「・・ああ、レイからの旅の便りですよ。今、ベトナムにいるんですって、ミステルとライと一緒に」
「へえ、ベトナム~?ベトナム料理にマヨネーズかけたらおいしいのかな~」
「・・いや、明らかにオレはそれはまずいと思う。そういや、ヒロミ、カイ見なかったか?午後からここで練習試合するんだけど」
「さあ、私は知らないわよ。携帯で呼び出して見れば?」
「そうか、頼むぞ」
ヒロミはそう言いながら、携帯を取り出して友達の電話リストからカイのアドレスを探索し始めた。
そのカイはと言うと、いつものように公園にいる猫達に餌をあげに、猫がいる草むらの中を歩いていた。近くから、ニャ―ニャ―と鳴き声が響いていた。
「?何だ?」
木の影から11歳くらいの少年の背中がチラリと見えたので、覗いてみるとびんぞこ眼鏡をかけた少年がノートパソコンを持って猫に囲まれながら、気持ちよさそうに寝入っていた。
「・・・おい」
「・・ん?何、もうデータ解析終了したのか」
少年はぼーっとした目つきで頭をかいて、パソコンを開いた。キーボードをカチャカチャと操作しながら、しばらくしてようやくカイの存在に気づいた。
「――火渡カイ?火渡コーポレーションの御曹司で世界チャンピオンの木の宮タカオの仲間の?・・何で、ここにいるわけ?あ、オレ水瀬川」
まだぼんやりしながら、水瀬川と名乗った少年はカイに名刺を渡した。
「・・・それはこっちのセリフだ。なぜ、お前がオレを知ってる・・」
「君、有名だからね。誰だって知ってるよ。ふぁ~っ、あー、よく寝た・・」と、欠伸をしながら水瀬川は立ち上がって、ノートパソコンを閉じると、立ち去ろうと歩み始めた。
「Go・・、シュート・・・!!」
その瞬間、勢いの良い声と共に物凄い速度でカイと水瀬川の間をスカイブルーのベイが飛び込んできた!!そこにいた猫の親子も慌てて逃げ出した!
「・・えっ」
「!!」
カイは素早く腕輪型の小物入れから、ベイを取り出し、シュッターを構えドランザーを装着させ、相手の情報が描かれる液晶画面を自分の眼前に浮かび上がらせた!
メタルギアを乗せた、全く新しく作られたドランザーFにカイのベイは生まれ変わっていた。
「・・!」
水瀬川はそれをじっと冷静な視線で見つめた。
そのベイはくるっと向きを変えるとすぐ傍の木を回転しながら重い音を立て、真っ二つに切り刻んだ。
・・・ズドォォォォン!!パラパラ!
「・・・・・・・・・何なんだろう、これ」
「―さすがは、火渡カイだな」
左ほほに傷を負った赤い髪の鋭い目つきの少年とそのスカイブルーのベイをキャッチした腰まで伸びた漆黒の髪をなびかせた紫紺の瞳の少女がスッと軽やかに舞い降りた。
「誰だ・・」
「・・・名乗る必要はねえよ。なぜなら、今からお前はオレと戦うんだからな」
「バトルスタート・・・!」
少女は呟くように言うと、その少年は重量タイプのメタルギアを乗せ鋭い刃のようなデザインの迷彩なベイを構えた。
「・・・・・!!」
キッと、カイはその少年の顔を見据えた。

機嫌よく、鼻歌を歌いながら道端を歩いていた皇 大地はふと道の真ん中できょろきょろとしているガイドブックを片手に持った一人の少年の姿が目に入った。
「う~ん、この辺の筈なんだけどな~。一体、どこだろうな、琥珀~」
ワンワン、と彼の足元にはゴールデンレトリバーの子犬が元気よく吠えていた。
「何やってるんだ?お前・・」
「あっ、ちょうど良い所に人が着た!すみませんけど、この辺で木の宮って人がやってる剣道の道場がどこにあるか知りませんか?オレ、その家探してるんです!」
少年は勢いよく大地に詰め寄った。
「ちょ、ちょっとあんまり顔を近づけんなよ」
「あ、すみません。オレ、さっきまでパニックしてたもので」
少年―早乙女拓真は恥ずかしそうに軽く笑った。
―木の宮・・。
「お前、もしかしてタカオに用があるのか?」
「ええっ!?何で、わかった?」
拓真は大袈裟にリアクションして、思わずトランクを投げ出した!その衝撃でトランクの中身が一気にばらけた。
その時、荷物に混じってベイがコロコロと地べたに転がった。
「・・あ、いっけね」
軽量タイプのメタルギアを載せた、白い羽で身を包んでいる聖獣のビットらしきものがはめ込まれた水色の牙のような深い青のベイだった。
見た事のないベイだな、と大地は思った。
「ブレーダー・・!お前、ブレーダーなのか?」
「うん、そうだよ。皇さんと同じブレーダーだよ。・・っても、新米だけどな」
それを聞いた大地は嬉しそうにガイアドラグーンをシューターに構え、拓真に向けた。
「じゃあ、タカオの挑戦者なんだな!!その前にオレと勝負しろ!実力がどれくらいか勝負してやる!」
「え、ここで?」
そう言いながら、拓真は大変嬉しそうな表情を浮かべた。
「うーん・・。さすがにここでやるのはなぁ・・そうだ!お前、ついてこい!オレが気に入ってる場所まで連れてってやる!!」
「はい♪」
大地と拓真はそのまま何処かへと走り去ってしまった。
その光景を最初から最後まで向かいのビルの屋上から見ていた2人の少年の姿があった。
「あれが、早乙女博士の開発したベイの一つーブレードドラグーンの所有者か」
「・・しっかし、あんなへなちょこそうな奴にアレを上げるなんて何を考えてるのかね~」
その2人の少年の後ろには、愕然となって座りこんでしまっているジュリアとラウル姉弟の姿があった。彼女達の足元には、深く切り刻まれたような彼女達のベイがまるでゴミのように転がっていた。

「お気に入りの場所ってここですか?」
拓真は公園の中の広場に連れてこられた。後ろには小高い丘や滑り台やブランコなどがあり、小さな子供がそこら辺を走り回っていた。
「おうよ!おいらはいつもここでタカオ達とベイバトルしてるんだ!!さっ、やるぞ!」
「・・はいっ!」
その瞬間、拓真は表情を変え、熱い燃えるような眼差しで大地を見据え、ベイをセットインした。
「おっ、良い目つきだな」
そこへ、たまたまタカオ達が来た。
「あ、大地じゃねえか!誰とベイバトルしてるぞ」
「見たことのナイ顔ですね」
「Go、シュート!!行け、ガイアドラグーン!」
空気をかき切り、風を引き裂くような勢いでガイアドラグーンが飛び出した!
「行け!!ブレードドラグーン!ピーストの名にかけて、そいつをフィールドから追い出してしまえ!」
拓真は素早い操作で、風を巻き込み、地面を引き裂くようなすさまじさで自らのベイ・ブレードドラグーンをガイアドラグーンにぶつけた!!
ガイアドラグーンとブレードドラグーンがぶつかり合った瞬間、物凄い振動が拓真と大地の2人だけ走った。
ゴォォォォ・・・!!
次の瞬間、同じに拓真と大地は吹き飛ばされた!
「うわぁ!」
「大地!」
タカオはバッと駆け出すと、突き飛んでくる大地の体を受け止め、そのまま地面に倒れこんだ。
「・・てて、・・大丈夫か?大地」
「・・・・ああ」
大地はポカンとなっていた。
「―・・すげえ、・・まさか、このブレードドラグーンにここまでの力があったとは・・。知らなかった」
「知らなかったって、・・お前。まさか、初めてそのベイを使ったってわけじゃないよな」
「・・練習を入れれば、・・まあ、3回くらいかな」
「「何ぃ!?マジで!!?」」
タカオと大地が声をそろえて叫ぶように言った。
「コントロールが中々難しいんだよね」
拓真は軽くえへへ、と笑った。
「じゃ、続きやりましょうか?」
「・・お、おお!」

大地は得意の戦法で自然を利用しながら、飛び跳ね、木に伝うとフィールドにガイアドラグーンを投げこんだ!!
その瞬間、地響きが鳴り響き、ガイアドラグーンがその聖獣としての雄々しい姿を姿を出した!
「行け、ガイアドラグーン!!」
拓真は押し流されそうになったのを何とか押さえると、キッと前を見た!熱く激しい何かが拓真の胸の中に襲いかかってきた!
「す、すごい、ビリビリしてくる・・・・!これが、皇大地のベイバトル・・!」
オレと同じ、攻撃型のスタイルを持つブレーダーか。何だか、スゴクワクワクしてくる。
「・・あいつ、良い顔だな」
「ええ、ベイバトルしてて楽しいって顔してますね」
「行け―!ブレードドラグーン!!」
拓真が勢いよく叫んだ瞬間、物凄い疾風が辺り一体立ち吹き溢れ、喚く雷と一緒に鎧をつけたスカイブルーの研ぎ澄まされた瞳の神秘的な龍が、鎖を解き放ってその姿を現した!
ブレードドラグーンはまるで嵐のように周りを全て巻き込んで、空で一回転した後、雷のエネルギーを溜め込むと、一気にガイアドラグーンに向かって一直線に突っ込んできた!
物凄いエネルギーだった!
「避けろ!ガイアドラグーン!!」
次の瞬間、空に向かって一筋の雷が放出された!

ピシャアアアアアン!
「やった!」
いきなり変わった空模様にカイは驚きのあまり表情を変えた。
「な、何だ、これは・・・・」
「人と戦ってる時に無視するな!」
赤い髪をした少年はそう叫ぶと再び攻撃を繰り出してきた。
「ドランザー!!」
カイがそう叫ぶと、聖獣・朱雀がその華麗で威厳溢れる姿を現した。
「ディアボロス!!」
少年がそう叫ぶと、左目をケガした鋭い目つきの黒い翼を生やした獣がその姿を現した。禍禍しい空気が身体全体から溢れていた。
カイはその禍禍しさに思わずゾッとした。

「ガイアドラグーン!そんな攻撃跳ね返せ~!!」
ブレードドラグーンが巻き起こしている嵐の中心にあるガイアドラグーンはそれに応えるかのように、フィールドに弾き飛ばされ、地面に叩きつけられようとした瞬間、近くにあった木にあたり、動きを変えると、ブレードドラグーンの一瞬の隙をついて空中へと弾き飛ばした!
「・・・なっ!?」
ブレードドラグーンは拓真の足元に転々と転がり、しばらく回転した後、やがて動きを止めた。
「やった!勝った!」
「・・・そんな」
拓真はゆっくりとブレードドラグーンを拾い上げ、信じられないと言った感じの表情でその場に立ち尽くした。
「やったね、大地!」
「師匠!」
マックスが笑顔でそう言うと、大地も嬉しそうに笑顔でマックスに応えた。
タカオはと言うと、呆然となっている拓真の方に近づき、ポン、と軽く肩を叩いた。
「・・・あ、木の宮タカオさん・・」
「お前、凄いな。初めてでここまで大地と戦えるなんて・・。―・・名前は?」
「拓真、早乙女拓真」
「そうか、よろしくな、拓真!」
タカオはスッと拓真に手を差し出して、握手を求めた。
「・・よろしく!」
拓真はそれに応え、タカオの手を握った。
この人が世界チャンピオンの木の宮タカオか・・。
拓真は、再び心の中に闘志が生まれてきているのを密かに感じた。

「――・・あ、お帰りなさいませ、怜也坊ちゃま」
公園近くに止まっていたベンツに一人の少年が戻ってきた。
「・・ただいま」
ただ、夕焼けの光のせいで顔がよくみえなかった。
鋭い眼光だけが異彩を放って、輝いていたが・・。
少年は車の中に戻ると、「出してくれ」と言った。
「かしこまりました。・・おや、なんか嬉しそうですね。何か、あったんですか?」
「そう?」
「ええ、坊ちゃまが自分の感情を表に出すなんてあまりないものですから」
「・・オレはいつも通りだよ。武の内さん、出して」
「はい、怜也坊ちゃま」
本当言うと、久しぶりに楽しめそうなもの見つけたんだけどね・・。
天城怜也は密かに笑みを浮かべ、視線を外へと映した。






















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