第1章①


「――その本、借りるの?」
姫乃が後ろから高い位置にある本に手をかけた八城彼方に声をかけた。彼方はその声に気がつき、顔を姫乃の方にゆっくりと向けた。
「姫乃か」
―八城彼方。
姫乃と拓人の共通の友人であり、幼なじみにあたる拓人と同い年の少年である。
こげ茶の髪に近眼なため眼鏡をかけていて、背は姫乃より低く、体つきは筋肉がつきにくいらしく細い。
何処にでもいそうなおとなしい印象を与える少年だ。
「また、こんな難しい内容の本読もうとしてるの?見るだけで頭が痛くなりそう。本ばっかよんでないでたまにはクラスの皆としゃべれば」
姫乃は彼方の気を伺うように笑みを浮かべ、軽くそう言った。
「―話しかけても、大抵あいつら無視するからな~・・」
「ごっ、ごめん!無神経だった!?」
「大丈夫大丈夫。オレ、気にしてないから。それに、オレ1人でいるの慣れてるし」
「・・そっ、そう」
と、姫乃が彼方から視線を逸らしながら言った。
そう、彼方は小さい頃から周りから敬遠されていた。
超能力というか霊感というか、彼方はそれに似た能力を生まれつき持っていた。
人が見えない物の姿が見えたり、話す事もできる。
人の感情をごく少数ながらも感じ取ることも出来る。
でも、その能力はあまり彼方に言い思いを決して与えなかった。
実の母親には気味悪がられ、側に近づけてもらえず、父親も彼方を見る時はどこか遠慮がちに明らかに視線を伏していた。
小学3年の時には常にいじめの標的にされていた。
教科書をぼろぼろにされたり、給食のスープには虫やイモリなどがいれられ、無理やり食べさせられそうになり、机には落書きされた。
姫乃や拓人は助けてくれたりしたが・・。
「やだ、姫乃ったら、またあんなのとしゃべってるの~?」
そこへ、姫乃の友人の女子が2人ほど入ってきた。
彼女達が見る彼方の視線は虫でも見るような嫌なものだった。
「・・うざ・・」と、聞こえない程度に彼方は小声でそう言った。
「ちょっと、別にあんなのって・・」
姫乃は何だかおろおろとした口調だ。
「オレ、先に教室帰るね」
「・・あっ」
「あいかわらず、無愛想な奴」
「顔は結構可愛い系なのにね~」
それ、関係ないじゃん、あはは~・・と、手をひらひらさせながら軽く笑いながら裕美が言った。
「あんたの弟みたいにもうちょっと明るければよかったのにね」
「ま、まあね」

「――拓人、陸上、もうやめるって本当なのか?」
部室にあるロッカーの中身を整理している最中に急にそんな事をふってきた。
ちなみに、成田は拓人と同じ陸上部で拓人の次に早かった。
「・・う、うん、まあな」
その話題はもういいのになー、・・ったく。
医者にはっきり宣告されて以来、拓人は苛立ちを隠せず、あちらこちらに八つ当りしていた。それに、練習にもやる気が少なくなり、いい加減にやっていた。その結果、他の部員ともどんどん気まずくなり、部内にいににくなってしまったのである。
最近、やっと苛立ちが消え、拓人は少し落ちつきを取り戻していた。
そして、皆への謝罪をどうすればいいかとしばらく考え、陸上部を退部するという事に行きついたのである。
「やめるなよ、拓人。ずっと続けてきた物だろ?」
親しみのある笑みで成田一樹が拓人の肩を叩いてそう言った。
「・・そりゃ、そうだけど、やるやらないは本人の問題だし」
拓人はわざと冷たくそう言いきった。
これ以上、その事について触れられたくないからだ。
「・・そ、それはそうだけど。なんか、途中で終わるのってつまんない気がしてな・・。わりぃな、拓人」
「?何で、謝るんだよ、変なの」
「・・・・」
「一樹?」
「拓人、実はな・・・」
「――神山君、伝言伝えに来たんだけどいい?」
そこへ、カバンを持ったクラスメートの女子が部室に入ってきて拓人に近づいてきた。
「伝言?」
「なんかすごい綺麗な女の人が屋上に直ぐ来て欲しいって・・」
「女の人?」
ガシッ
一樹がいきなり拓人の肩を掴んだ。
「なっ、なんだよ!?」
「なっに~、やるじゃん、拓人君v教えてくれれば良かったのに。彼女がいるならさ」
一樹はニヤニヤとした笑みを浮かべ、拓人を見た。
「!!・・ちっ、違う!」
「またまた~」
「皆には秘密にしといてやるからがんばれよ」
一樹がどんどん話を進めて行く。
「だから誤解だって!オレにそんなの捕まえられるわけないだろ!」
「オレ、先に教室もどってますね」
一樹の表情からはニヤニヤとした笑いが去るまでにも消えなかった。
「・・・・・。お、おい・・」
拓人はその場にポツンと取り残された。
「・・・」
―ど、どうしよう・・。
「―どうしたのよ、拓人」と、そこへ女友達と別れ、部活の後輩にあたる拓人と同じクラスの天宮葵を連れた姫乃が偶然通りかかった。
ちなみに小学校からの友人である。
「・・姉貴、葵・・」
「何よ?」
・・いっ、言えない・・・!
「何でもない・・・・・ッ!」
拓人はそのままその場を走り去ってしまった。
「―・・何か、面白そうだからついていって見ない?」
姫乃がいかにも楽しげに隣にいる葵に向かって微笑んだ。
「・・先輩、何か面白がってません」
「そんな事ないわよ」
「本当に楽しそうですね、姫乃先輩」
そんな姫乃に葵は呆れたような表情を見せていた。
             2
屋上への階段を上る拓人の心臓はやけに静かに響いていた。
「・・・・お、落ち着け、オレ・・」
昇る足音も何となく重く感じる。
肌に伝わってくる風がやけに冷たく感じられる。
「・・でも、冗談かもしれないし・・。・・いや、でも・・」
一応決心したはずなんだけどなぁ・・・、う~ん・・。
でも、からかわれているかもしれないという感情が今だ拭えない。
もし、冗談だったらいい笑い者だ。
拓人は生まれてこのかた恋愛という者に常に不運みたいなものがつきまとっていた。
幼稚園の時の初恋のめぐみちゃんには興味がないと言われ、小学3年の時の茜ちゃんには一番の親友のガールフレンドとなり、中学1年の彰子ちゃんの時は告白する寸前に玉砕されたのである。
「・・・なんか思い出したら気落ちしたかも・・」
拓人が深いため息をつきながら、扉の前に立った。
「ま、冗談にしても相手から呼び出されたのって始めてかもな」
ぼやくように言いながら、拓人がゆっくりと扉を開くと、金色の長い髪が光を弾き、風に翻された光景が飛びこんできた。
「――・・!」
金色の髪と深く透き通るような空色の瞳をした女ー康麟が拓人の姿を見て安心したような笑顔を見せた。康麟は拓人の姿を見た瞬間、はっきりとわかった。
―この人が王だという事を。
「・・・・え?」
拓人は突然見知らぬ女性に安心したような笑顔を向けられ、少し動揺していた。
「――神山拓人様ですね?」
着物に似たような服装をした女は、無上の僥倖に巡り合ったような表情を見せた。
「・・!えっ、あ、は、はい!!」
彼女は拓人の前に進み出て、膝を折った。
「―康麟と申します。貴方をお迎えに参じました・・・・」
「・・・お迎え?・・ってもしかしてオレを?」
「はい」
「何で?」
「・・・・」
康麟は答えず、拓人の足をいきなり捕まえ、そして早口ではき捨てるように言った。
「ゴゼンヲハナレズチュウセイヲチカウトセイヤクスル」
「・・・え、あ、ちょ、ちょっと?あの、お姉さん?」
普段は決して使わないお姉さんという言葉を拓人は緊張と混乱のため、無意識に使っていた。
この見ず知らずの女性は頭を垂れて、捕まえた拓人の足の甲に額を当てたのである。
「・・許すと言って下さい」
「はい!?」
「どうか許すと言って下さい」
哀願するような、何だか飼っている犬に餌をねだられている時の目のような奇妙な感覚に拓人は捕らわれそうになった。
ー何か、ドキドキするのは自分だけだろうか・・。
「・・許す」
と、思わず言ってしまっていた。
「ちょっと、何してるのよ!!!あんたは!!」
顔を真っ赤にした姫乃が2つのカバンを両手に抱えながら、葵と彼方を後ろに連れて拓人の前に現れた。
葵は不思議そうに康麟の姿を後ろから見た。
どうやら一緒に帰ろうと誘いに来たらしい。
「あ、姉貴・・。これには事情が・・・」
「どんなのよ!!」
その時、物凄い疾風が拓人達を吹き飛ばすように吹き荒れ、巨大な灰色の獅子が現れた。
・・!?なぜ、ここに妖魔が?妖魔はあちらしかいない筈なのに・・・っ。
「カズサ!」
右目に鋭い傷跡がある白銀の毛並に覆われた豹のような獣が康麟が描いた「陣」のなかからその姿を現した。
カズサと呼ばれた獣が口から蒼い炎を吐きだし、その獅子に向かって放った。獅子は飛躍し、避け、カズサが放った炎は給水タンクに直撃した。
給水タンクの表面は剥がれ落ち、焦げたにおいが拓人達の鼻についた。
「・・う・・、匂いきつ・・。何、これ?」
姫乃が呆然とした瞳でそれを見た。
獅子がカズサに投げ飛ばされ、フェイスへをへこませた。獅子とカズサはその状態のまま、お互いを睨み合あった。
獅子は飛びあがり、カズサの身体に鋭い牙を突きたてた。
「・・魔物じゃないの・・・ってゆうか、ここ早く立ち去らない?」
「―何で、あんたそんなに冷静なのよ・・」
「これでも、一応怖がってるんだけど・・」
姫乃にはとてもそう見えなかった。
「姫乃先輩・・・逃げようよ・・」
葵も姫乃を促すようにして怯えながらも姫乃を見上げながら言った。
カズサが拓人の前に進み出て、身をへこませながら、口のなかから一本の剣の姿を拓人に見せるように差し出した。
「?・・これは?」
宝剣といって言い程煌びやかな鞘の剣だった。柄は銀、鞘には金の装飾がある。蒼や碧の石を散らし、到底実用に使うものには見えない。
康麟はすッと、カズサから剣を取り上げ、拓人の手のなかに押しこんだ。
「貴方だけの剣です。これをお使い下さい」
拓人はとっさに康麟の顔と剣を見合った。
「オレの?あんたのじゃなくて?」
「私は剣を使うを許される身分じゃありませんので」
「・・オレ、こうゆう場合康麟さんが助けるのがどうかの前に、剣なんか扱えないと思うんですけど」
「おとなしく殺されるおつもりですか?」
その瞬間、康麟が大変政治家のような冷淡な表情を見せて言った。
「それはいやです」
「では、お使い下さい」
ニッコリと微笑まれたが、拓人は混乱の極致になっていた。
死にたくない、という思いは当然ながらある。しかし、だからって剣を振りかざしてあんな化け物なんかに戦う勇気があるというわけでもない。
その時、拓人が持っていた剣が静かに脈を打った。
「・・え」
「拓人様、剣を今すぐ構えてください・・」
「え?」
その瞬間、拓人が振り返るより先に、背後から奇声が聞こえた。
背後の上空に翼を広げた巨鳥の姿が降下してくるのが見えた。
・・逃げられない!!と、拓人はとっさに思った。
太い足の鉤爪が視野いっぱいに広がったが、拓人は眼を閉じる事もできなかった。
目の前を白い光が走って、堅く激しい音がした。斧のように重量感のある鉤爪がすぐ顔のすぐ前で止まった。
止めたのは康麟の片腕だった。
康麟の右手に装着された護守封輪が康麟と拓人の身を守ったのである。
「――康麟さん?」
康麟の細いその手には赤い血がぐっしょりとついていた。
拓人の瞳が突然の出来事に見開かれた。
血が滴り、ぽたっと地に落ちる。
「・・大丈夫ですか・・、主上・・」
康麟は血の臭気に頭がくらくらするのを必死で押え、拓人に声をかけた。
麒麟は血に弱い。
だから、康麟も例外ではないのである。
「康麟さん・・っ、血が血が・・。早く治療しないと」
「これぐらい、大丈夫です。私の事より気をしっかりお引き締めて下さい」
「・・で、でも・・・、そのケガは・・」
オレを守ったせいで・・。
どうしよう・・・っ、もうちょっと早く剣を使っていれば、こんな事には・・。
その瞬間、拓人の心臓が何かに反応するようにいつもの数倍高鳴った。
「・・・・」
拓人はスッと顔をあげ、素早く鞘から剣を取り出し、鞘を投げ捨て、襲いかかってくるコチョウに立ち向かっていった。
「―拓人君?」
葵が呆然とその光景を見た。
「・・・・ッ」
拓人の剣が、抜きざまコチョウの足を払い、生温かい温度を伴った赤い血が拓人の顔に噴きつけた。
拓人の瞳には、本人の意思がなく目の前の光景だけがぼんやりと映し出されていた。
狼狽したように浮上するコチョウの片脚を斬って落とし、また拓人の顔に鮮血がしぶいて顔を汚した。ぬるいものが顎から首筋につたってくる感触に拓人の身体が微かに震えた。
―コロサレテタマルカ、という単語が今の彼を動かしていた。なぜ、こんな事ができるのかはよくわからなかったが・・。
宙へ逃げ出した巨鳥は、すぐさま体勢を立ち直し、突っ込んできた。その翼を斬りつけながら、拓人は奇妙な感覚を感じ取っていた。
翼を傷つけられた巨鳥が、身悶えするように羽ばたき、地を巨大な両翼で叩くようにして拓人に向かって来た。
拓人の身体はよどみなく動いて、身をかわしざま、その胴を深く切って捨てる。
手には肉と骨を断つ怖気のするような感触が残った。
「・・やだ」
拓人がようやく意識を戻し始めたが、身体は動きを止めず、地面に落ちてあがくコチョウの翼に深く剣を突き立てる。刺し貫いた剣をそのまま引いて大きな翼を切り裂いた。
そのまま拓人の身体は踵を返して、転がるようにして傷ついた翼を大きく撃ち振るっていた巨鳥ヘ向かった。もはや、浮上させる事ができなかった。
「やめろ・・・!!」

拓人が気がついた時にはその巨鳥の死体が転がっていた。
がくがくと手が震え、剣は拓人の手からすり抜け、落とされた。
「・・何これ・・」
何で、オレの手が血でこんなに汚れているんだ?というか、何でいつのまにかオレを襲ってきた化け物鳥が死んでいるんだ?それもあんな無残な姿で・・。
どうやら、拓人は自分がやった事を覚えていないようだ。
でも、拓人の手には生温かい感覚があった。
康麟は痛む右手を布で押さえながら、ふらりとした身体で近づいてきた。
「・・主上、どうかお身体から血の匂いを消してください・・。そのままだと、私は貴方に近づけません」
「・・・あ」
拓人の身体は血でべったりとしていた。
「主上、その剣を天に翳して下さい。そうすれば・・・、血の匂いは消える筈」
拓人は言われた通り、剣を翳すと、拓人の身体が光に包まれ、血の匂いがあっという間に洗い流された。
「「・・なっ!?」」
拓人と彼方が信じられない出来事に驚きの声を上げた。
「出来たみたいですね・・。では・・」
康麟はカズサを「陣」の中に戻して拓人の腕を掴んで、自分の方に引き寄せた。
「!?」
「ここは危険です・・ですから、私と来て下さい。少なくとも、ここよりはましになるはずです」
「・・・・あんた何者なんだよ・・?」
「――私は貴方の生涯の家臣です。貴方だけに生き、最後まで国と一緒に貴方の最後を見るものです」
康麟は笑顔でそう言い切った。
・・・・・・変だ、この人・・。ってゆうか、危ない・・・。
こーゆう人にはあんまり関わらない方がいいんじゃ・・。でも、なんか帰りにくい状況なんだよな・・。
「・・・・そ、それで何処に行くんだよ?」
「あちらです」
「???」
あちら、というのがどこなのか、拓人にはまったくわからなかった。
「・・ちょっと待ってください」
考えさせてくれと拓人が言って康麟に再び顔を向けると、
「そんな暇はありません」
と、康麟に苛立った口調で言われた。
「――私は貴方のために言ってるんです・・。それに、ここで貴方が死んで頂いては困ります・・」
「康麟さん・・でも・・」
拓人が何となく康麟のその言葉に心を揺らし、視線を逸らし、ちらっと康麟を見上げるように見た。
―嘘つく人には見えないんだよな・・、この人。
「・・・どれくらい時間かかるんだ?」
「・・真っ直ぐ行けば、片道に1日」
「そんな、困るよッ」
今日初めて会った女性に得体の知れない場所に連れられても困る、それに母さん達とか心配するだろうし・・・ッ。
「オレ、一人旅なんてまだ許される年齢じゃねえし!」
「ちょっと、あんた勝手に決めないでよ!拓人はあたしの弟なのよ!?」
その時、その光景を後方から見ていた彼方がカズサに負け倒れたていた筈の灰色の獅子に抱きかかえられるようにしてフェイスの外へと連れ去られていった
「「彼方!!」」
「八城君!!」
「・・え、ちょっと・・」と、彼方はフェイスの外へと跳躍する瞬間、その言葉を残してそのまま獅子に連れて行かれてしまった。
いきなりな出来事に呆然としていた拓人はハッとなり、
「・・・あっ、追いかけて助けないと・・!!康麟さん、一緒にお願いします!」
拓人は真剣な表情へと変え、康麟に頼みこんだ。
「サライ、ホウテイ、クロコ」
康麟に呼ばれて、三頭の獣が現れた。一方はゴールデンレトリバーに、一方は日本猿に似ている。
三頭目は、羽毛に覆われた上半身に鳥の翼のような腕、脚は人そのものだった。蛇のような尾まである。
「ホウテイは離れて飛びなさい。血のにおいが映ります」
拓人はホウテイの背に跨り、キッと睨むように宙を睨んだが、傍らに傍観者として見ている2人の少女の姿を見ると、とてもこのまま置いて行っていってはいたたまれない気分になり、
「康麟さん、あの二人も一緒に・・」
「・・?なぜ、あの方々まで・・・連れて行く必要はありませんよ・・」
「そうかもしれないけど、このまま置いていくのも・・。いつ、さっきのようなのがここに襲いかかってくるかもしれないし・・」
「それはそうですが・・・」
「だから、頼む・・・・・!!」
拓人が手を合わせ、康麟にお願いのポーズをとった。
「―――主上がそこまで言われるなら・・・」
と、康麟は薄く笑い、葵は自分と同じ獣の背に、姫乃はサライに抱きかかえられた。
「御意」
虎に似た巨体の獣は頭を下げた。
「?・・え、ちょっと・・、何?」
「やだッ!何するのよ!!このバカ!」
康麟はうなずき、背を向け、ためらいのない動きでフェンスを歩み寄ると、姿を消した。
そして、フェンスの外に跳躍した。


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