第6章


以外と、早く県庁という所には着いた。
厳重な警備、武装した兵士や馬、侵入を許さないと言った感じの重々しい門やいくつも重なった扉。
「・・・・」
前にいた時も思ったが、まるで、映画のセットのようだと拓人は思った。
縄で身体を拘束している拓人の顔はボコボコにひどく傷つけられていた。
一緒に峠を越えた護衛にひどく傷つけられたらしい。
拓人の後ろには、相変わらず厳しい目つきで拓人を睨んでいる護衛達の姿があった。
「・・・っ」
傷が目に染みる・・・。早く、直さないとさすがにばい菌が入るのかな・・・。
ちくしょう、あいつらオレが何も出来ないと思って・・・。
ここの人達は本当に海客であるオレがとことん憎いらしい。
何かと因縁つけられるし、意味もなくあてられるし、睨まれるし、ストレス発散に殴られたり蹴られたり・・。歯向かうと、更にひどくこっぴどく、いじめられるし・・。
「―・・とんでもないとこに来っちゃたな」
・・・ここから、早く逃げないと。
拓人の脳裏に例の親子の姿が思い浮かんだ。
オレに何が出来る・・。オレは何にも出来ないただの子供だ。助けを求められても、何も出来なかった子供なんだ。
怖くて弱虫な奴なんだ。
そんな事をしたら、今度は自分が彼女と同じ目にあうかもしれないし・・!
扉が門番によってゆっくりと開かれる。
「おい、頭を下げろ」
いきなり、頭を押さえられ、ぐっと地面に顔を押し付けられる。拓人の顔はあっという間に埃まみれになった。
泥水を跳ねながら、一台の装飾された馬車が通り過ぎていった。
その一瞬だった。
中にいた男と目があったのは。
ぎらぎらして、鋭く冷たい目をしていて、表情は不敵な笑みで満ちていた。
「・・!」
拓人は、背筋に冷たいものが通り過ぎていくのを感じた。
何、・・今の目。
気持ち悪くて、とても冷たかった・・!
「・・顔をあげていいぞ」
「は、はい・・」
そこへ、罪人を引き取りに役人に使わされた使いの者が馬に乗って、拓人達の元へやってきた。
拓人は知らなかった。
今、すれ違ったのが喜州侯・頑端という事を。
知っているわけがなかった。

同時刻、巧国についた康麟は淳州侯・宗叡の居城を訪れていた。
ホウテイからゆっくり降りると、一斉に女官は地面に伏し、牧伯や令いんが康麟をやさしい尊敬が混ざった瞳で向かえた。
康麟は思わずホッとなった。
「――・・台輔であらせられますね?お待ちしてました」
その微笑みは優しかった。
「あの・・、主上が見つかったと聞いてきたんですが・・」
「・・その通りでございます」
「!!









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