序章


カンジ―は１人の赤ん坊を抱いて、長男の氷天智司フォーレと一緒に、この里にすむ天使や悪魔などと一緒に広場で星を眺めていた。
「平和だなぁ」
奥さんにあたる昂翼戦女ジャンヌは今、この場にいない。世界中に飛びまわる職務についているためだ。
真紅の甲冑に身を包み、褐色の肌に、蒼い瞳、赤紫の髪という外見。凛々しい女性で、女傑という言葉が似合う人である。
カンジ―とは正反対のタイプの女戦使である。
「お母さんとも一緒だったらいいのにね、タカト君、フォーレ君」
「―お母さん？」
フォーレがあどけない表情でカンジ―を見上げた。
タカトはというと不思議そうに星空を見ている。

ゴォォォォォォォォォ――！！
空間を飛び越え、蛍のように飛びまわる光の結晶体に守られるように包まれている天星樹が2つの揺り篭を根元にからみつかせたまま聖魔和合界の上空に飛びこんできた。
「・・・ぅ・・」
か細い赤ん坊の声が微かに上空に響いた。
おぎゃああああああ！！
おぎゃあああああああ！！
2人の赤ん坊が泣き響いた！
よく見ると、天使と悪魔の赤ん坊のようだ。

同時刻、聖魔和合界の空間を歪め、邪悪で劣悪な妖悪魔―4悪魔王がその姿を現した。
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