第4話―譲れません!


クロノの目の前には、グリニッジ神官とダーツ神の姿があった。
暗闇のせいでクロノの姿もはっきり見えない。
「わかりました、マガタマと2人のプリンスの行方、必ずこの鳳玉士クロノが見つけ出して参ります」
「―頼んだよ・・」
ダーツが静かに笑いながら言った。
「はっ」
―そこで、彼ークロノの回想が終わった。
「・・・まさか、こんな姿にされるとは思わなかったな」
深い碧の瞳に、オレンジ色のトラジマが入った毛並み、長い尻尾、肉キュウ・・。
完璧に猫の姿なんだよな。
「・・・」
「クロノ」と、後ろからのっぺ乱坊に声をかけられた。彼の後ろには、タカト達の姿もあった。
「何?」

「・・・ッ」
フシールの目の前にはスバルとリュートの戦いが繰り出されていた。
「いたいけな子供つけ狙うなんて趣味悪いぞ!あんた!ミニボム!」
スバルがリュートの足元に小型のボムを投げつけて、リュートの後ろへと素早く移動して、聖魔ガンに「ミリテッド」という名の12色ある魔法の弾から1つの弾をいれて、一気にリュートに向かって放った。
「ライトトルネード!!」
光の嵐がリュートに襲いかかってきた!
「誰がいたいけな子供だ!」
と、リュートが大きく飛躍してそれを避けた。
そして、次の瞬間、スバルの身体を思いっきり空中か連技で蹴り上げた!
「・・ぅあ!!」
スバルの身体が弾き飛ばされ、岩に叩きつかれた!
「スバル様!」
「・・・くっ」
リュートがスバルを冷たく見据えた。その瞳には、冷徹さと憎しみみたいなものが見えた。
フシールは思わず身震いさせた。
そして、スバルをかばうようにリュートの前に進み出た。
「・・フシール?」
「何だ、貴様は。どけ、関係ない奴はひっこんでろ」
「どきませんわ。一方的にスバル様にバトルをふっかけてるなら・・」
「これは・・バトルじゃない。我が一族とオレの復讐だ・・」
「復讐?」
「そうだ、奴は―・・」
ゴォォォォ――・・!
フシールとリュートの間を物凄い速度で炎に包まれた鉄球が通りすぎていった!
2人とも素早くそれをよけた!
「!?」
スバルはハッと表情を変え、時空の壁を割って現れた鬼ッ苦鬼ッ火の方を見た。
マガタマの気配?奴の額にあるのか・・、しかし禍禍しいな。
スバルはゆっくりと自分の身体を起こした。
「・・・見つけたぞ、ルシフィア王・・。よくもオレ様をあんなとこに封印しやがって・・許さん」
「―ルシフィア?・・なんか、何処かで聞いたような・・ねえ、スバル様」
フシールがスバルの方を見るとスバルが強張らせている表情だった。
「スバル様?」

「かっわいいvv」
シエルが突然クロノをぎゅと抱きしめた。
「あ、あの・・っ」
「かわいい~、持って帰りたい~・・」
「「どこに・・」」
デミアンとタカトが呆れたような表情を見せた。
「―そういや、フシールとスバル大丈夫かな?タカト」
「さあな。でも、きっと大丈夫だろ。フシールは知らないけどスバル強いし」
タカトが軽く笑いながら言った。
「あいつが強いねぇ~・・そうには見えないけど」
「だって、オレあいつに勝ったこと1回だけだし」
・・何で、自慢気に言うんだろ。
「シエル、そろそろ離してあげたら?話が進まないだろ」
「話?」
―スナイパーキック!!
鬼ッ苦鬼ッ火がスバルに向かって鋭い速さと激しい業火を持つサッカーボールを投げつけた!
フシールが羽を広げてスバルの身体を抱き上げて宙に浮かせ、鬼ッ苦鬼ッ火の攻撃を避けた。
「フ、フシール」
「何、ぼやっとしてるんですか!」
「・・ありがと」
そうだ・・
「フシール、鬼ッ苦鬼ッ火に向かってオレを思いっきり投げつけて」
「はい?」
「いいから」
「は、はい」
フシールがスバルを思いっきり鬼ッ苦鬼ッ火に向かって振り下ろした!
「何!?」
「主の命により目覚めろ!白夜の輝きを放つ聖獣・エンジェトドラゴン!」
スバルが召還魔法を唱え、聖魔ガンにホワイトの弾を入れて、鬼ッ苦鬼ッ火にはなった!金色の光に包まれた魔法陣の中から優雅な美しさを漂わせた幼年期のドラゴンが現れた!
「何だ、ガキかよ」
エンジェントドラゴンが雄叫びをあげたその瞬間、鬼ッ苦鬼ッ火の周りにゲートを開いて磁場が働き身動きが出来なくなった。
「!?これは?」
鬼ッ苦鬼ッ火がそう言った時、身体が徐々に分解され、
「封印ゲート開始!」とスバルが言った瞬間鬼ッ苦鬼ッ火の姿が光に包まれ消え去った。
「・・す、すごいですわね」
「あんな凄い者と契約するなんてさすが化け物だけあるな」
「―リュート・・いたんだ。まさか、やる気?」
スバルが膝を折って、その場に座り込んだ。
「殺したい事は山々だがすぐ殺してもオレがつまらないからな・・少しの間、生かしといてやるよ」
そう言って、リュートはその場を去った。
「・・・・」
「何なんですの?本当に・・」
フシールがマガタマを拾ってぽつりと呟いた。

「だめです!これはあなた達に譲れません!」
クロノがマガタマを隠すようにタカト達から後さずった。
「いいじゃんよ、オレ達だってそれ必要だし」
「だめです!」
「じゃあ、いっそのことオレ達の仲間になる?」
タカトが軽い口調で言った。
「は?」
「あっ、フシール」
シエルの前にフシールが現れた。
「おかえり」
「ただいま~」
「あれ?スバルは?」
デミアンが顔をフシールの方に向けた。
「あ、ちょっと具合悪いらしくて・・・」
「ふーん・・」

―ヒュウウウウ、バタバタ・・。
スバルは一人で樹の上に座り込んで、自分の身をぎゅっと抱え込んでいた。
「・・やめろよ・・もう、慣れただろ・・オレ」
胸がズキズキする。
心臓が重くなっていく。
スバルがふと顔を上げて空を眺めた。
「・・・・」
その瞳にはどこか寂しさみたいなものが映っていた。
スバルの表情もどこか暗かった。
―――幻魔公王ルシフィア。
オレが生まれた時に来た・・聖魔和合界を荒廃させようとした4悪魔王の一人。
そして――・・
スバルはそっと自分の身体に触れた。
それがオレに封印されているんだよな・・・。


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