第1章




ゴゴゴゴ・・・・。

 漆黒の闇を突き抜ける巨大な宇宙船が空間をジャンプして、太陽系に入ってきた。
 その宇宙船の持ち主は人間と機械との狭間の者―セリュ―ジョンであった。
 この船には沢山のネオ人がいた。
 髪や目は違うものの地球に居る人類と何ら変わりはなかった。ただ、地球の人類が得ることの出来なかった特殊な能力を生まれつき備えていた。
 宇宙船の名は「テーラ」。
 彼らと長い時間をともにしてきた巨大で空に浮かぶ「箱舟」であった。セリュ―ジョンを治める皇帝・リシフェルは巨大なモニターを暗くした部屋で見ていた。
 暗くしているのでその姿が把握はできない。
「―ついに我らのもう一つの故郷についたのだな、ダスク」
「ええ・・」
 下僕である半機械人間―ダスクは尊大なる主君に声をかけられ嬉しそうな顔をした。
 夕食の後片付けしている最中だったようだ。
「もう、用意は済んだのか?クリストファー総司令官」
「はい、手筈は整ってございます」
 いかにも、策略家といった悪党面の中年の男性である。
 軍の最高司令官で、事実上の軍のリーダーである。
「・・・そうか、あの裏切り者の「勇者システム」はまだ動いていないようだ・・。だが、安心はしてはいけないな・・」
「―そうですね」
 クリストファー総司令官はにやりと不適な笑みを浮かべた。

「―なんで、早く起こしてくれなかったんだよ!ミサキ!」
 主人公の少年、草薙勇牙が秋生町が経営する秋生スタジアムに向かって、道路横をものすごいスピードで走りながら隣に居るスケートボード姿の少女・小笠原ミサキに声をかけた。
「今日は、町に待ったあの強豪・嬰皇学園との試合なのに―・・」
「何度も起こしたわよ!起こしたけど、あんた起きなかったじゃない!どうせ、寝坊の原因はラジオだろうけど!」
「・・うっ」
 図星らしい。
「小学5年にもなって、ヒーローはないよな―」
 はやりのスケートシューズを颯爽と走らせ、ミサキの隣を走る金髪の少年がぼんやりとした口調で勇牙を言葉で刺した。
「・・うっ」
 またまた、ショックを受けた。
「お前らな~・・」
 勇牙がわなわなと身体を震えさせた。
「こらっ、そこの小学生、走りながら歩くな!」
 と、通行人にもつっこまれた。
 セリュ―ジョンとは他に、巨大で神聖な光の集団が日本を中心の散っていった。
 ほとんどの人があまり気づかなかったが・・。


―秋生スタジアム。
 今日はここで嬰皇学園と勇牙達が通う星ヶ丘小学校のサッカー部同士の試合があった。
「いやあ、光栄ですわね~・・。水瀬川様に応援しにきてもらえるなんて」
 嬰皇小等部のチアガールの蝶野エリカが大変嬉しそうな笑みを目の前に居る水瀬川リュウトに送った。
「・・そ、そう?僕はただ一良の応援に来ただけなんだけどな」
「それにしても、いつまで待たせんのかしら、あっちのチーム。どうせ、弱小チームなんだから時間をとることないのに―」
 立て巻きロールの髪が風になびいた。
「蝶野さん、そんな言い方しなくても・・」
「―おまたせ!星ヶ丘小学校サッカー部のエースの草薙勇牙君でーす!」
 汗と、お気楽な笑顔とピースとともにフィールド内に勇牙が到着した。
「勇牙、遅いぞ!」
「あはは―、わっりぃ!」

バリバリ・・・。ドっドっドっ。

「―ここに「デビル」が現れるのね・・」
 物凄い轟音を立て、最新式のバイクに乗った謎の女―セレスが秋生スタジアムを見渡した。
 パイロットになる青山君はもう中にいるはず・・。

ドッゴゴゴゴゴゴゴゴ―ン!!

 その時、その瞬間、突然の地鳴りが始まった!
「・・ちっ、始まったか!」
 白いスーツ姿の男、青山公人は応援席で倒れかけた身を支えながらそう叫んだ。彼の手元には、ヴァルディア・ゼロを呼び出すG-ヴァイスがにぎりしめられていた。
「きゃあああああ!!」
「うわあああああああッ!」

―ウォォォォォォォォ・・・・・ン!!

 天空から一筋の邪悪な光が勇牙達のいるグラウンドに差し当てられ、物凄い轟音と地響きを発生させるほどの凄まじい呻き声とともにセリュ―ジョンに送られてきた「デビル」がその姿をあらわした。
 八方塞といった感じで混乱しながらスタジアムから逃げ惑う人々。
 嬰皇学園と星ヶ丘小学校の生徒たちも同様に逃げ惑う。
「な、なんだぁ・・・!?何だ、あれ・・」
 ユニフォーム姿の勇牙は突然の出来事に頭がついていかず座り込んでしまっていった。
 その勇牙の腕を誰かが無理やり引っ張った。
「何してるんだ!早く逃げろ!危ないぞ!」
「?お兄さんは?」
 勇牙の前に現れたのは、なんと青山公人だった。そこへ、ミサキとはぐれたスバルが勇牙を迎えに駆けつけてきた。
「勇牙!」
「・・あ、スバル」
「早く、こっちにこいよ!いつまでも化け物の近くにいると危ないぞ!」
「ほらっ、友達もあーやって言ってるんだから、早く!」
「は、はい・・!」
「皆、待ってよ!わたくしを置いていかないで!」
 蝶野エリカが逃げ惑う人々の間にはさまれ、遠くにいるチームメイトに必死で声をかけた。
 その時、誰かに押されその場で転んでしまった。
「きゃ・・」
 膝をすりむいたらしく、血がにじみ出てきた。
「いったーい・・。もう、なんで、誰も駆けつけてくれないのよ!」
 「デビル」はスタジアムを破壊しまくって、スタジアムの外に出ようとした。
「やばい!早く、アレを呼び出さないと!」
 と、公人は言って光り輝く天上に向かってG-ヴァイスを差し出した。
「―ジェスティスコール! ヴァ・・」
 呼び掛けるように、天上に向かって叫ぼうとしたその時、公人の近くをデビルが破壊光線で焼き払った。
 熱量が公人を襲った。
「うわっ」
 身体の反応で思わずG-ヴァイスを手放してしまい、Gーヴァイスを空中に舞らせてしまった。
「!し、しまった!」
 ―が、その瞬間だった。G-ヴァイスが虹色の光を発して、物凄いスピードで勇牙たちがいる出口に向かって光の線を走らせたのは―・・!
「!?」

ドンッ!

「・・いたた、大丈夫?」
「・・てて」
 勇牙とリュウトがぶつかったらしく、頭を抱えている。その後ろには、スバルもいる。
―見つけた、新しい勇者―・・。
 3人の頭の中に突如雄々しい青年の声が響いてきた。
「何だ、この声?」
―私の声に応えてくれ、勇気と愛のデータを持つ子供達―・・。
「??」
 3人とも崩れる光景の中、もう一度響いた声を今度ははっきり聞き取った。
 まさに、その瞬間だった、3人の手にG-ヴァイスが現れたのは。
「?・・え、これは?」

ドクン。

 熱い。全身の血が自分の意思に逆らい勝手に逆流をはじめたような違和感と同時に、不思議な高揚感が勇牙を包んでいく。
「・・ヴァルディア」
「勇牙?」
 勇牙はすっと立ちあがり、何かに引き寄せられるように鼓動を、心を「ヴァルディア」に呼応している。
「オレ達は選ばれたんだ、勇者に・・」
「勇者?」
 リュウトがその言葉に何となく反応した。
「―勇牙、お前・・」
 スバルが何か言いかけたときだった。
 突然、真上の天井が割れ鋼の巨大な手がぬっと入ってきて勇牙たちの身体を掴み、空へと引き寄せた。
「な、なんだ!?一体何が起こったんだ?」
 スバルとリュウトが声をそろえてさっそうと乗る勇牙の姿を見ながら思わず疑問の声をあげる。
「な、何だ、一体何が起こったんだ?」
 公人も目の前に現れた巨大人型兵器ー「ヴァルディア」に呆然とした面持ちでみつめた。

ウィィィィィィン。

 ヴァルディアの腹部に取り付けられた円状の取っ手口のようなものに勇牙たちのG-ヴァイスが指し示し、勇牙、リュウト、スバルを順にして吸い込まれるようにヴァルディアの機体の中へと入っていった。
 そして、滑り台のように椅子に座らされた勇牙たちをそれぞれのコクピットへと運んでいく。
「うわあああああああッ!!」
「何なんだよ、今日は~!?もうっ、勇牙のせいだからな~・・」
「―・・これは一体?」
 リュウトだけはなぜか冷静に今の事態を受けとめていた。辺りをきょろきょろしてるが・・。
 チューブの中を運ばれてきた勇牙がついたのは、ヴァルディアのメインコクピットにもなる中央のヴァルディアベースとなっている。
 スバルはヴァルディアの頭部、リュウトはヴァルディア両足、変形時に入る場所も変わるらしい。
 ヴァルディアは凛々しい顔立ちに、真紅と蒼のプロテクトされたすらりとした身体、白銀の鋼のX状の翼。研ぎすまれた金の瞳。歴代の勇者たちの姿に良く似た姿をした優れた機体である。


「大丈夫?青山くん?―とゆうか、なんで、君がここに?ヴァルディアに乗ったんじゃあ」
「セレスさん・・」
 セレスの顔をじっとみて、
「どうゆうこと?」
「じ、じつは・・」

「なんですって!?あれに子供が?」


 勇牙達の目の前には巨大な機器が並んでいた。
 もちろん、オートメーションされているが雌雄を決するのは、やはりパイロットの腕ということになる。
「スバル、えーと、もう一人は・・」
「水瀬川リュウトだよ。よろしくね、草薙くん」
 リュウトがモニター越しになのった。
「え、あ、ああ」
「青山くん、無線機貸して!」
「あっ、はい」
「―勇牙、スバル、リュウト、私の声が聞こえるか?」
「あ、また聞こえてきた・・」
 今度はくっきりとだ。
「私はヴァルディア。今、この瞬間から新たに勇者王となったヴァルディア・ゼロだ」
「はあ?勇者?」
「私とともに悪の象徴「デビル」を倒してくれ。この美しい命の星とともに・・」
「やった!もしかして、オレ本物のヒーローになったのか!」
「ああ、そうだ。勇牙、君は私と同じ勇者だ」
「やった、やった!じゃあ、敵を倒そうぜ!!」
「おおっ!!」
「ちょっと、待てよ。オレ達の存在忘れるなよ」
「行くぜ!2人とも」
「・・人の話聞けって・・」




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