第2章



 セレスは、無線機を通じてヴァルディアの中にいる子供達と連絡をとれるようにした。
「セレスか・・」
 ヴァルディアは親しげにその名を呼ぶ。
「―聞こえる?ねえ、聞こえる?」
 と、3人の前にセレスの画像が映し出された。
「・・あっ、はい。お姉さんは?」
 リュウトは、セレスと名乗るこの女性が何か真剣だということに気がついた。
「私の名は、セレス!それよりこれから言うことを良く聞きなさい!重要なことだから!」
「はっ、はい!!」
 リュウトと勇牙の声がぴったりとその時合った。
「G-ヴァイスを中央のパソコンに「ヴァルディアス」と叫んで差し込みなさい!でも、一人でやろうとするんじゃないわよ、貴方達3人の行動が会ってないとそれはちゃんと操縦できないんだから」
「えーっ、オレ一人でやりてぇー」
「勇牙、素直に彼女の命令を聞いてくれ。スバルもリュウトも頼む」
「はいはい」
 3人一緒にか・・。
「やろうか、草薙君、皇君。ねっ」
 リュウトがにっこり微笑みながらさりげなく勇牙を逆らえないようにした。
ゾクッ
「・・おっ、おお」
勇牙は本能でその逆らわない方がいいことを感じ取った。
「じゃあ、行くぞ、皆!」

「―ヴァルディアス!!!」
 3人が息ぴったりにそう言い放った瞬間、ヴァルディアに神聖な光が集まり始め、ヴァルディアの身体の周りでどんどん輝いていくように上昇し出した!

ーおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!

 ヴァルディアが喜びに空に向かって吼えた。
「勇気が心に満ちていく!これなら!」
 ヴァルディアの胸が開き、数個かのミサイルがむかってくるデビルに向かって撃ち込まれた。

ドガガガガガガガ・・・・・!!

 見事にデビルに直撃していき、デビルの胸が花火のように赤い激しい火花がはね散らされていく!
「・・・めちゃくちゃだけど、すごいな」
「誰かの性格に似てる・・・」
「・・え?」

ガ・・ガゥ・・・。

 デビルが咆哮にみまえられながら、身体をよろめき、そして立ちあがりヴァルディアをキッとにらみ、口からパズーカ攻撃をした。
「・・・・え?」
 金色の光の弾がすばやいスピードでヴァルディアに向かってくる!
「勇牙、動きとめるな!直撃するぞ!」
「・・・え、・・あ・・。そ、そうだった!」
「くそっ!」
 ヴァルディアも急いでマジック・バリアを張ろうとしていた。ここでよけたら、町の皆の命も危ないからだ。
「―ヴァ、ヴァルディア!!」
 勇牙がヴァルディアの名を思わず叫んだその瞬間、ヴァルディアとデビルの前に黒い狼型の「コスモ・シード」が現れた。
 「コスモ・シード」とは、ヴァルディア達勇者に装着できる生きた電子体の「武器」の名である。
「!?」
 ヴァルディアも、デビルも突然の訪問者に動きを止める。

ガルル・・・。

 何だか、殺気立ってる・・。
 勇牙達も思わず呆然となる。
 だが、スバルだけはその姿を見ても余り動揺しなかった。
 ―あいつ、何でここに来たんだ?
「あっ、ヴァルディア!あいつ、動きとめたぞ!倒すチャンスだ!」
「ああッ!」
 ヴァルディアが腰に装着されたエネルギー・ソードを取りだし、宙に舞い、一瞬の隙をついて油断しているデビルにその光の剣を振り下ろし、見事に真っ二つにした。
「やった!!」
「あ、本当だ」


「―私は、セレス。秘密裏に作られた防衛組織ゼウスの一員です。はい、カード」
「・・はあ」
 勇牙がセレスから名刺を渡された。
「同じく、ゼウス隊員でパイロット候補の青山公人です。よろしくッ!」
 ビシッと手をかざし、スバルが公人に無理やり握手された。
「先ほどの戦闘、十分に見せてもらいました。まあまあでしたけど・・」
「まあまあ?そっか?」
「それにしても、よりによって子供がこのヴァルディアにえらばられるとはね・・」
 セレスは思わずため息をついた。
「長官になんて言おうかしら・・・」
「?」
「とにかく、貴方達には私達の基地に来てもらいます。いいですね?」
「―え、帰らせてくれないのか?」
「ええ、そうよ」


 ここは、セリュ―ジョンのクリストファー総司令官の下につき忠実に命令に従う三大聖騎士達が治める「ソドム」。
「何をやってるんだ!馬鹿モン!」
 三大聖騎士に従う第2戦闘部隊隊長・レッカ―は、失態をした部下に怒りの声を上げた。
「す、すみません・・っ」
「よりによって、あの勇者システムに易々と倒されおって!」
 薄緑の髪をふっとかきあげ、苛立ちをあらわしている藍の瞳で部下を見て、それなりに整った顔立ちが醜く歪められる。
「―それにしても、突然現れて私のデビルを倒すとは・・」
ぶつぶつ。
 レッカーは部下にリモコンをもらい、ある映像を再生させた。
 ある一人の女性の映像である。
「―王妃・・。暁の聖女様・・」
 とぽつりと言って、
「必ずや私が我ら、セリュ―ジョンの希望をかなえます・・。だから、待っててください」


 一方、地球防衛組織ゼウスに向かった勇牙たちはなぜか新しく出来たアミューズメントパーク「ドリームランド」を訪れていた。
「―なぜ、遊園地に?」
「まあ、おとなしくついてきなさい」
 と、セレスはにっこりと笑ってずかずかと中央に位置するドリーム城に入っていき、壁を触りながらしばらく歩き、壁に取り付けられたボタンを押した。ボタンは普通ならあまりきにとめない位置にあった。
「?」
 すると―、ゴゴゴゴとガラッという音を立てて突然自動ドアがその姿をあらわした。
「!!なっ、・・なっ」
 勇牙がいかにも信じられないといった感じで指を指しながらぷるぷると身体を震えさせた。
「驚かなくても大丈夫だよ。ただのエレベーターだから」
「・・そ、そう?」
「勇牙ってリアクションでかいよな」

ガ―ッ

 勇牙たちはそれに乗って、ゼウスの基地に通じる地下へとどんどん降りていった。
「―ここって、携帯通じるかな」
 と、スバルがぽつりと呟いた。

ガ―ッ、が―ッ、ウィィィィィン。

 リュウトはエレベーターの窓の外をチラッと見ながら、G-ヴァイスも見た。
 ―一体、どうなるんだろう・・。まあ、連絡はしたから大丈夫だろうけど。
「水瀬川君?」
「・・あ、いえ」
 そして、地球防衛組織ゼウスのオペレーションルームに到着した。
「佐東長官、青山少尉、並びにセレス少尉到着しました。開けてください」
「・・・よし、入れ」
 ドスのきいた堂々として凛々しさも感じる声だった。
 勇牙も思わず緊張してしまう。
「君たちがセレス君の言ってた子供たちかな?」
 白い軍服を着た中年の紳士が、勇牙達の前にその姿を現した。
「・・えっ、あ、はい」
「私はここ、ゼウスの長官を勤める佐東宗一郎だ。よろしく、草薙君、皇君、水瀬川君」
「え、なんで、僕の名前を・・」
 リュウトが顔をあげながら言った。
「―君たちは、ヴァルディアに乗ったそうだね」
 と、あえてリュウトの質問をカットした。
「兼田君、あの映像をこのモニターに送ってくれ」
「あっ、はい」
「あのおっさんのあの顔の傷すげえな」
「う、うん・・」
 と、勇牙とスバルは小声でそんなことをしゃべっていた。

ドカーン!!!!

 突然、耳鳴りがするような轟音が勇牙達の耳を突き抜けた。
「・・・・っ!?」
 何かの爆発映像が目の前の巨大なモニターにうつったようだ。
 こ、これは・・・。
 セリュ―ジョンの機体がロシアの衛星を撃ち抜き、爆発させた・・。
「・・何だ、あれ・・。あんなのあるのか?」
 でも、変な形をしてて、構造もみたこともないものだった。
「今、ロシアの衛星「Eーs」を爆破したのは地球のものではない」
 その映像の横に小さくヴァルディアの顔の映像がぱっと映った。
「ヴァルディア・・。?地球のものじゃないって・・。じゃあ、何なんだよ?」
「今の機体の名はクレンペラ-。遥か遠くの銀河系のまた遠くからやってきた侵略者達ーセリュ―ジョンの機体だ」

ドクッ

 スバルの心臓が微かに高鳴った。
「―まさか、それが宇宙人の集団で地球を征服に来た悪の組織とか言うんじゃないんだろうな・・」
「おお、さっしがいいな、スバル。正にそうだ。奴ら、セリュ―ジョンはこの美しい星を、君達の大切な世界を奪おうとしてるんだ」
 そこへ、すっと佐東長官が進み出た。
「――そこでヴァルディアに私はそこにいる青山君に乗せようとした。前の勇者にも選ばれた青山君を」
 ―前の勇者?
「だが、ヴァルディアは彼じゃなく君らを選んだ。勇者が決めたことには間違いはない。だから、頼みたい。私達、ゼウスとともに地球の未来を護るため協力してくれないか?」
「えっ、マジ!?お、・・オレが本当にヴァルディアのパイロットに?本当ですか?」
 勇牙が嬉しそうに佐東長官の前に進み出た。
「何かを護るためか・・・。僕がこの世界を・・」
 リュウトは考えるようにぶつぶつと言っていた。
 スバルは・・・。
「―スバル?」
 ヴァルディアが急に黙り込んだスバルに心配そうに声をかける。
「・・・卑怯者」
 その声はどこか冷えていた。いつもと違うスバルの声に勇牙も振り向く。
「あんた達、卑怯だよ。ヴァルディアも!!何で、オレがいくら地球のためとはいえ、戦わなきゃいけないんだよ!ふざけんなよ!」
 スバルがいきなり怒りの声をあげ始めた。
「・・ス、スバル君?」
「勇牙!お前のせいだ!オレはお前に巻きこまれただけだからな!それに、ヒーローごっこしたいだけなら今すぐやめろよ!そんな奴に誰も護れない!」
 スバルに初めてキッと鋭い目で睨まれた勇牙は思わずすくんでしまった。
「熱いねー・・」
 拍手しながら白いスーツ姿の青年が入ってきた。
「あ、レイ・・、副官・・」
「・・・セレスさん。オレ、帰らせてもらいます。いいですか?」
「え、ええ・・」
「スバル・・・」と、ヴァルディアも何かいいたげだった。
 そして、スバルは帰っていった。


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