ナラティヴ ひとり語り

ナラティヴ ひとり語り

・「香りの好き嫌いは大事な指標」


 例えばレモン精油(Citrus limon)に含まれている成分は、90%以上がd-リモネンをはじめとするテルペン系炭化水素だが、レモンらしい香りを発しているのはシトラールと呼ばれるアルデヒドの仲間だそうだ。アルデヒド類には強い香りを有するものが多いようだ。
 しかし、このシトラールという成分はレモン精油にはわずかしか含まれておらず、レモングラス精油(Cymbopogon citratus)には70%前後含まれている。よって、レモングラス精油はレモン精油よりもレモンらしい香りを強く発する。ところが、レモンの香りが好きな人がレモングラス精油の方を好むかというと、そうとは限らない。
 アロマセラピーにおいて、その香りが好きか嫌いかということは、とても大事な要素となる。香りが自律神経に与える影響が大きいからだと思う。好きだと思える香りは、その人に必要な香りだと判断することが出来る。香りの好き嫌いが指標の一つとなるのだ。レモングラス精油が好きだという人は、レモングラス精油全体を必要としているのであり、レモン精油が好きだという人は、レモン精油を全体として、必要としていると言える。
 では、強い芳香を発しない成分は人体に作用しないのかというと、そうではない。成分の一つ一つにそれぞれの働きがあり、数十、数百のそれらの成分が混ざり合って一つ一つの精油が微妙に違った働きをすると言える。

参考図書:亀岡弘=著『エッセンシャルオイルの科学』(フレグランスジャーナル社)

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