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2006年01月16日
歌舞伎座初春大歌舞伎昼の部
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2日に引き続き昼の部を観てきました。演目は5つ、休憩時間も含めて5時間15分も養ってくれる素晴らしさ。私の席はちょうど列の中央で、左右のおばちゃんたちが席から離れようとしないので思うように出歩くこともできず、動けないために疲れ果ててしまいました。
主な演目は「夕霧名残の正月」、「奥州安達原」、「曾根崎心中」の3つ。
「夕霧名残の正月」は初代坂田藤十郎が大当りを取った演目にちなんで今回新たに作った作品。夕霧役の雀右衛門さん以外は仲居役も含めてすべて上方の役者とのこと。確かに台詞のイントネーションがあまり聞きなれないように感じました。今回茶屋の女房役で出演されている秀太郎さんが、以前あるイベントで「鬼一法眼三略巻」の腰元の台詞「智恵内殿、御前様が召しまする」を東京の役者が言った場合と上方の役者が言った場合をそれぞれ実演してくださったのが今でも印象に残っているのですが、こんなわずかな台詞でも全然印象が違う。それだけに上方の役者を集めた一幕を上演できたということはきっと藤十郎さんにとっても嬉しいことだったのではないでしょうか。藤十郎さんは文字通りの紙衣を着ての藤屋伊左衛門役。花道近くで観たら紙のパリパリという音が聞えてくるのではないかしら、と間近に寄ってみたくなりました。そして世間知らずの若旦那らしい風情を漂わせているのはさすが藤十郎さんだな、と。
夕霧は雀右衛門さん。筋書に「起請を反魂香代わりとする趣向は(中略)元禄歌舞伎の代表作である『傾城浅間嶽』を思わせる好趣向」と書いてあったので、伊左衛門が起請を火鉢にくべるとその煙の中から夕霧が出てくるのだと思って喜んでいたのですが、さすがに恋人の起請を火鉢にくべることはせず、夕霧も普通に出てきました。ちょっとがっかり。雀右衛門さんはここのところ以前に比べてお体の自由が利かなくなったように見受けられて、なんだか心配です。
そして最後は藤十郎襲名披露口上でめでたく締め。藤十郎さんはともかく、我當さん、秀太郎さんも昼夜2種類の口上を述べておられる。夜の格式ばった口上もいいけれど、こちらの口上も暖かみがあって好きです。
次に「奥州安達原」。不義密通を犯したために親から勘当され、その後失明して瞽女となった袖萩が、父親である直方が難儀な状況に置かれていると知り、娘のお君と共に両親のいる屋敷を訪ねるところから舞台は始まります。文楽で観たことがあるので、文楽と比較しながらの鑑賞が主になりました。
袖萩役が福助さんだからというのも大きく影響していると思いますが、今回の舞台は良かれ悪しかれ生々しい印象を受けました。福助さんは常に高い声で泣いているんです。気持ちは分かるのだけれどうるさく感じるのも事実で、必要なところで適度に泣いてほしい気がしました。母親の袖萩が必死なら娘のお君ちゃんも必死。それで生々しい。その点文楽は、生々しくないけれど純粋でストレートなものがあると思うのです。歌舞伎の場合、もともと人形浄瑠璃のための作品を人間が演じているため、そして役者の見せ場を設けるためなどの理由から、余計な脚色が多くてここぞという焦点がぼやけてしまう。逆にその余計な部分を楽しむのが歌舞伎なのでしょうが、「奥州安達原」に関しては私は文楽の方が好きです。今回の舞台で印象に残ったのは袖萩の母、浜夕役の吉之丞さんの情と直方役の段四郎さんの鋭い目。あとは安倍宗任役の歌昇さんが立派に見えました。
最後は「曾根崎心中」。藤十郎さんのお初は相変わらず若かったです。特に目に若さがあるというのはすごいことだと思います。
ところで、今回「曾根崎心中」を観ていたら、一昨年お亡くなりになった坂東吉弥さんが無性に恋しくなってしまいました。敵役の九平次役を橋之助さんが演じられたのですが、この衣装の色合いがどうしても吉弥さんの色に思えてしまって仕方なかったのです(吉弥さんは何度も九平次を演じられた)。亡くなられたというのが未だに実感がわかなくて、舞台にしばらく出ていないだけとしか思えなくて、そのうちまた舞台に戻ってこられるような気がしてしまう。きっと来月の「梶原平三誉石切」を観る時も同じことを思うんだろうな。
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最終更新日 2006年01月16日 22時38分28秒
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