ねねみにみず

ねねみにみず

『死の蔵書』ジョン・ダニング



素材がありませんでしたが、ハヤカワ文庫からでています。699円+税。


ミステリーが苦手なので、知らなかったのですが、とてもヒットした本だそうですね。
続編の『幻の装丁本』もとても面白かったのですが、諸事情により(日記を読んだ人ならわかるはず・・・・)、今回は『死の蔵書』のみとりあげます。

主人公は初め警官、のちにやめて古書店の店主になります。
一人の掘り出し屋(安く売っている古本の中から価値の高い物を見つけて転売する人のこと)の死体がみつかるところから話がはじまります。それに関連して主人公のごく近い人間も2人殺され、主人公が犯人を見つけるという筋書きです。

しかしそれとは別にチンピラとの確執もあり、結局そのからみで主人公は警官をやめることになるのですが、正直言って無駄に話が長くなったかなという気がしないでもありません。主人公のキャラクターの説明には必要だったかもしれませんが、そのチンピラと何故ここまで憎みあうことになったのかの説明も最後までありませんでした。

ちらっとロマンスもあります。
なんとなく作者のこの分野での未成熟さを露呈しているというか、主人公の恋の落ち方が(女性の行動も含めて)なんとなく単純というか、稚拙な感じが逆に「男ってこんなもんかも・・・・」と妙なリアリティをかもしだしていました(笑)。

ぼろくそに言っているように見えるかもしれませんが、私、この本とても好きなのです。
たくさんの作家や本の名前を、これはしっている、これは知らないと目で追うだけで結構楽しい、ただそれだけで。
本って、そういう風な見方もあるのね・・・・と、新しい価値観を教えられた感じです。
作者はしばらく筆を折っている間に古書店の店主をしていて、それをもとにこの小説を書いたそうで、その部分がとても読んでいて面白いのです。

この本を読んで、自分の本の奥付を片っ端から確かめたのって・・・・・わたしだけでしょうか?(2004/11/25)

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