鍋・フライパンあれこれ美味
100万ポイント山分け!1日5回検索で1ポイントもらえる
>>
人気記事ランキング
ブログを作成
楽天市場
240274
HOME
|
DIARY
|
PROFILE
【フォローする】
【ログイン】
the Fourth Avenue Cafё
EP1:New World,2
共和国クルタウロン。深夜、皇室の廊下をリードとクリフは歩いていた。この廊下には光灯は取り付けられておらず、真っ暗だった。二人のマントが擦れる音や靴の鳴る音、2人の喋り声だけが暗闇に響いていた。
「ここの工場の様子はどうだった?」リードは黄色の髪を後ろへ整えながら、言った。
「あそこか。まあ暑かったな」クリフはそれを言ってからしばらく黙った。そして、始めからリードに話した。
――クリフとニーナはこの日の昼にソロの頼んだレーザー銃の製作工場を訪れた。リードはクルタウロンの富豪の一人ティモニーに呼ばれ、会いに行っていた。王宮の背後にある森林の中に一つだけ目立って見える工場だった。建物自体とその周辺は熱で暑く、中に入れば外の比ではないほど暑かった。皮膚がジリジリと焼けるように暑かったのだ。そして2人は涼しい部屋へ通され、ガラス越しに機械が機械を作るところを目にした。何本もの腕が細かい部品を運び、取り付け、作り上げていく。クリフはその作業に目を奪われていた。
「この調子だと、あと1週間もすれば完成するでしょうね」
その涼しい部屋に入ってきたおじさんが、タオルで手を拭きながら言った。「1週間でできるのですか?」クリフは驚き、その人を見た。そのおじさんはクーラーで汗をかいた体を渇かし、手を拭いたタオル(汚れた手を拭いたため、黒ずんでいた)で顔を拭いた。
「あぁ、もちろんだよ。人間の入る隙がないっていうのかな?」少し黙った。
「人間ではできないことも軽々できてしまう。良い所なんだろうが、それだと我々がいる意味がないというか・・・。はぁー」その場にあった椅子に倒れるかのように座った。
ニーナはそのおじさんの方を睨んだ。
「ソロ国の者がいるのです。場所を弁(わきま)えてください」
「はい。すいませんでした」彼はその場で一礼した後、タオルを首に巻き、部屋を出ていった。クリフは彼の背をじっと見ていた。
「そこまで怒らなくても――」「いいんです」クリフは彼を庇おうとしたが、彼女にきっぱり言われてしまった。
「あの方は前科もあり、厳しくしています」「前科ねぇ・・・」
クリフは身を乗り出してガラスの向こうの景色を見た。先程と変わらぬ光景が広がっていた。機械だから全くと言ってもいいほどズレがない。同じように何本もの腕が細かい部品を運び、取り付け、作り上げていく。
「向こうへ行っても?」クリフは彼女の無表情の顔を見た。「構いませんが、充分注意してください」クリフは心の中の喜びを押し殺して、部屋を出た。ムッと暑い風が押し寄せてきた。その後、その風は体に絡みつくように流れていった。
「あと一つ。立入禁止の所は入らないように、お願いします」ニーナは後ろから付け足した。「入れば一溜まりもないことが起きる可能性があるので」――
「その立入禁止の所は入ったのか?」リードの声が割り込んできた。クリフは暗闇の中で顔は見えなかったがリードの顔らしき方向を見た。そろそろ目が慣れても良い頃だ。
「それも話すって」クリフはつい大きな声を出してしまった。リードはその口を手で押さえ、周りを見渡した。「静かにしろ。この時刻は見張りがいないが、声を聞かれ起きられたら面倒なことになる」リードはこれまで以上の小声で言った。「わかった。わかった」
――クリフは鉄の網目状の通路を歩いていた。左右はタンクがあり、蒸気を出しているので前がよく見えなかった。しばらく歩いていると目の前に急に大きなタンクが現れ、立ち往生した。霧の中で目を凝らして辺りを見ていた。すると右側に小さな通路を見つけた。クリフは何も考えず、奥へ進んでいった。すると大きな通路にぶつかった。ちょっと見渡せば、すぐに人が見つかるほどこの道は使われているようだった。クリフはそこで働く中年男性に挨拶をされたので軽く挨拶し、また道を歩いていった。
今度は蒸気の中に階段を見つけた。そこも何も考えず登ろうとしたときだった。手摺りを持ったとたん、手が焦げるかと思った。クリフは1人で「あっち~」と言い、手を振った。そして気を取り直して登っていった。
2階は至って普通だった。先程まで歩いていた床に似ているが、揺れるし透けているし、で熱で溶けるのではないかと心配してしまった。大きなタンクは2階にまで及んでいた。クリフは感心しながら歩いていた。すると新しい部屋を見つけた。扉には<関係者以外立入禁止>と書いてあった。クリフはそぉーっと扉を開き、中を覗いた。中は機械室だった。壁一面がコードで張り巡らされ、天井には小さな電球が吊されていた。クリフは誰もいないと確信し中に入った。そして予想通り誰もいなかった。
クリフはその部屋を出た。
外に出た瞬間だった。扉を出たところで髭の生やした男とぶつかった。
「おぉい、何してるんだ。こんな所で」その男はクリフの顔を覗き込んだ。「申し訳ない」クリフはその男を見続けながら、避けて先に進んだ。その男を通り過ぎた辺りで背中に視線を感じた。もちろん、そいつの。
振り向かないように歩き続けた。何度かタンクで囲まれた道を歩き、何度か角を曲がった。すると大きな通路へ出た。
左には同じようなタンクが並び、右側はコンビナートが動いていた。そしてそのコンビナートを囲むように何本もの腕が作動していた。クリフはその腕を感心して見ていた。その時、上から塵が少し降ってきた。見上げるとこれまで見てきた腕よりも大きな腕――コード線が何本も飛び出し、関節がギシギシ唸(うな)っていた――が鉄粉をコンビナートの所まで運んでいた。そして腕は鉄粉をコンビナート上の器に入れ、コンビナートの周りの腕は熱い水――燃えるように煮えたぎる――を器へ流し込んでいた。クリフは一連の動作に目を奪われていた。
すると、足下で蒸気が噴き出し、クリフは我に返り、周りを見回した。今度はクリフの立っている長い通路の片側から何かが勢いよく運ばれてきた。上には鉄の棒があり、それを滑るように何かがクリフの所へ近付いてきた。止まらない!クリフは自分に近付いてくる何かに向かって構えたが、近付くに連れ、その大きさが自分より遙かに大きいことに気付いて逆方向へ走った。この通路はそれを運ぶためにあるものだったのだ。通路のど真ん中(コンビナートに沿って)をクリフは走り、それを追いかけるようにお荷物は運ばれてくる。クリフは本気で走っているのだが、もうすぐそこまで近付いてきていた。その時、クリフのマントが隣のタンクから飛び出したネジに引っかかり、姿勢を崩した。それでも背後の勢いよく運ばれてくる荷物は止まる気配がない。クリフはマントのネジに引っかかった部分を引きちぎり、その場に倒れ込んだ。荷物はクリフの頭上を掠(かす)めるように通り過ぎていった。クリフはしばらく倒れた姿勢で呼吸を整えていた。「あっち!」そして自分の寝転がっている床がジリジリと熱いことに今頃気付き、起きあがった。そしてマントをはたき、「どおりで立入禁止な訳だ」と1人で納得した。クリフの上を通り過ぎた荷物はとっくに姿を消していた。
クリフは周りを見回した。誰もいない、クリフ1人だった。そして周りは熱を持った機械ばかりだった。また先程のような物が来たら、「堪(たま)ったものじゃない」とクリフは思い、新たな通路を探した――
ここでまたリードが割り込んできた。
「何やってる?」クリフはリードの方を見た。随分と目が慣れ、リードの顔がわかるようになった。「ん?何やってるって怪しい物が無いかの捜索――」とクリフ。
リードは頭を抱えてから、こう訂正した。「共和国に対しての隠し事がないかの確認な」クリフはそれには何も答えなかった。2人は広い廊下を出て屋外の階段を下りた。ここを下りれば、ディールとかと別れた広場に出る。そしてそこにはクルタウロンの船があり、その中にリードとクリフの乗る機体があった。今、2人はそこへ歩いているのだ。
「それで終わりか?」リードは2人のしばらくの沈黙を破った。
――そして周りを見渡しながら歩いていると、手摺りのある通路を見つけた。クリフは左右を見てからそこへ走った。そして手摺りを跳びこえ通路に入った。クリフが飛び降りるとダンッと響いた。「フーッ」先程まで通っていた危ない道を振り返った。「危なかったなぁ~」1人で呟き、通路を進んだ。
そして今度は何もないだだっ広い所へ出た。見渡す限りタンクしかない。クリフは何も考えず、中央へ歩いていった。中央に着くと先程と同じように周りを見渡した。本当にタンクしか目に入らない。そこで先程学んだ<上>を見ることにした。すると今度は上に大きな装置を見つけた。円形の輪が見えるだけだった。クリフは無感情のまま、向かい側の通路を進んだ。
すると今度は男達が並んで何かしていた。よく見ると何百という人々が何十列に並んでコンビナートで手元に運ばれてくる物を組み立てていた。クリフはその男達の列の端に居たのだが、皆がクリフを見た。クリフは軽く礼をし、「すいません。お邪魔しています」と言った。男達は何もなかったかのようにそれぞれで仕事に取りかかった。クリフはもっと近付いて組み立てているソレを見た。それはソロが頼んだレーザー銃だった。クリフは感動した。これ程多いなんて!それに試作品段階の物とは大違いな出来だった。見ただけで軽そうだった。クリフは男達が並んでいる列の隙間を通っていった。列の最後には1つだけ扉があった。その扉を開けて中に入った。中は暗いコンピュータ室だった。緑に光る画面(レーザー銃の内部が映っていた)を見ている者が大半。奥から小柄で横幅のある男が現れた。その男はクリフに一礼した。「初めまして。私ホーミャン・リッタルと言います」手を差し出され、クリフは握手した。「私はクリフ・ディゴナ」「話は聞いております。ディゴナ議員はここへ見学に?」クリフは部屋の奥へ進められた。先程までの命懸けの行動は何だったんだ?というほど穏やかな場所だった。苦い臭いの漂う場所へ通された。この男の臭いか。クリフはそう判断した。
「はい。どこまで進んでいるのか状況を見に来ました」
「1人でですか?」「はい、ニーナ女王もいたんですが、ここへは単身で」
「そうですか。そうですか」ずっと笑っている。
「先程通された部屋では、あと1週間もすれば完成すると。条件分ができるとか?」クリフはいきなり、切り出した。「1週間?!いえいえ、そんな――」
「できないんですか?」「いやいや!1週間も要りませんよ」クリフには予想もしない答えが返ってきた。「そうですか!ありがとうございます」
「いやいや、そんなに喜ばれること何て――」とホーミャンは照れくさそうな笑顔を見せた。クリフも本当に嬉しかった。
「あ!どうですか?!ここを見学していきませんか?」「いや、先程までに十分しました」
「そうですか」その時クリフのポケットの中がポケットを透けて光った。クリフはポケットから小型の電話を取りだした。そしてその機械に何か囁き、立ち上がった。
「すいません。そろそろ――」クリフは言葉を濁らせた。
「そうですか。残念ですね。また来てください」
クリフは先程入った扉の反対側の扉に誘導され、その部屋から出た。
すると扉の外は通路があり、先に違う扉が見えた。その通路は綺麗に掃除されていて左右もタンクが丸出しではなかった。その道をクリフは歩いていき、先の扉を開いた。
冷たい風が全身を吹き抜けた。そして部屋の中にはニーナが居た。クリフを横目で見ただけだった。いつの間にかクリフは戻ってきていたのだった――
「というわけで」クリフは言い終わった。リードは呆れかえっていた。「何やってる?戻ってきてるではないか?」クリフはリードを見た。「そうだな。・・・何もなかったって事だ」「まぁ銃の作っているところを見たのは勉強になったんじゃないか?」
2人はクルタウロンの船に着いた。扉に機体ナンバー『C-25V』が印刷されていた。そして、手をかざし扉を開けて中に入った。
「あの時コールして来たのはお前だったな」「あぁ」
2人は船の底を歩いていた。そこには何機か格納されていた。そして奥にソロ機があった。リードは赤いボタンを押した。すると、機体に設置された小さな立体テレビが作動し、ディールが映された。
「遅れました」「いや、大丈夫じゃ。それよりこの情報が帝国に漏れた可能性が高い」ディールは顎髭を触りながら落ち込んだように話した。
「いつからですか?いつ知られたのですか?」「分からぬ」リードは顎に手をやり、考えた。隣でクリフは本日の昼に見たもの(先程リードに言ったこと)を告げた。ディールもそれを聞いて安心した。「帝国もこれほど早ければ、対応は難しいだろう」
「議長。この情報を聞かれたのなら、必ずこの期を狙ってくる。多分、移動時に」「その通り、良い判断だ。奴等は武器を乗せた機体を発進させるときに来る。わしはそう読んでいる」「はい」クリフとリードは頷いた。
「予定が狂ったな。お前達は武器を運ぶ船または同時刻に発進される違う船に乗り、援護を頼む」「はい、わかりました」2人は姿勢を正した。
「それと、ニーナ女王を頼む。彼女は女王という強大な権力保持者だが、まだ若い。それにわしの友じゃ。死ぬことはあってはならぬぞ」2人は黙って頷いた。テレビの向こうではディールが横にいる誰かと少し言葉を交わした。
「それでは頼んだ。・・・我が名を誇れ」「我が名を」2人は右手で拳を作り、心臓を叩いた。立体テレビの映像はブレながら消えた。
2人は船から出た。「それまでは何を?」クリフはリードに尋ねた。「幼い姫のお相手さ」リードは笑いながら、言った。
九、
ディールの乗っている小型の船がソロの空を飛んでいた。その船の方向と同じ方向に車が飛行していた。そして、その方向と垂直に交わる方向に車が飛行していた。つまり縦横無尽に空を走っているということだ。ディールの乗る船が轟音をならし、徐々に下りていった。ディールは操縦席のある部屋の真ん中に立ち、ガラス越しに外の風景を見ていた。
ディールはいつものように顎髭を撫でていた。するとその部屋の扉が自動的に横に開き、老人が一人入ってきた。老人といってもディールよりは若々しく見える。
「嫌な予感がする。のぅ?アントニオ」ディールは振り向きもしないまま、言った。
「帝国軍は攻めてくると?」アントニオも外の景色を見て、言った。ディールは「ん~」と悩んでいるように見せただけだった。何処かで振動する音が聞こえ、ディールは長い袖の中から小型テレビを出した。ボタンを押し、テレビを作動させた。
「遅れました」映されたのはリードの全身だった。横にクリフも見える。
「いや、大丈夫じゃ。それよりこの情報が帝国に漏れた可能性が高い」ディールは溜め息をついた。「いつからですか?いつ知られたのですか?」リードは驚いたのか声が一段と大きく聞こえた。「分からぬ」ディールは髭を撫でるのを止めた。
「議長、こちらディゴナです。クルタウロンの工場を見に行ったのですが」ディールの表情は一瞬明るくなった。「で、どうじゃった?」
「それがですね、1週間の予定が早まりました」「そうか!」「詳しいことは結局わからなかったのですが、4,5日後になるということです」クリフの横で聞いていたリードは、お前がしっかりしていないから詳しいことが分からないのだろう!と思っているだろう。
「帝国もこれほど早ければ、対応は難しいだろう」
「議長。この情報を聞かれたのなら、必ずこの期を狙ってくる。多分、移動時に」「その通り、良い判断だ。奴等は武器を乗せた機体を発進させるときに来る。わしはそう読んでいる」「はい」クリフとリードは頷いた。
「予定が狂ったな。お前達は武器を運ぶ船または同時刻に発進される違う船に乗り、援護を頼む」「はい、わかりました」リードとクリフの2人は姿勢を正した。ディールも姿勢を正した。「それと、ニーナ女王を頼む。彼女は女王という強大な権力保持者だが、まだ若い。それにわしの友じゃ。死ぬことはあってはならぬぞ」ディールは何処か遠くを見ていた。
アントニオは3人が会話をしている間、機長と何か話していた。
そして、アントニオはディールの方に向き、「もう少しで大聖堂に着きます」と耳元で囁いた。ディールは「用事があるから、遅れる。そう伝えてくれ」とだけ言った。
「それでは頼んだ。・・・我が名を誇れ」「我が名を」ディールは右手を左の胸に持っていった。リードとクリフも右手を心臓の所に持っていき、拳で心臓を叩いた。
ディールは小型テレビの電源を消し、袖の中に戻した。
船は空中停車場に着地した。扉が上下に開き、スロープとなった。ディールを先頭に議員達が下りてきた。ディール、アントニオ、ミッド、ニサ=ファンド、ジョニー。その後ろには制服を着た軍隊10人ほど。そのまま全員が入り口に歩いていった。「私に何を隠しているのですか?」アントニオがディールに近付き、耳元で言った。ディールは何も言わなかった。ただ、服が風に吹かれ、なびく音だけが聞こえる。ディールは振り向き、ミッドを見た。「サウンド議員、ついてきてくれ」ミッドは歩きながら軽くお辞儀した。「議長!」とアントニオ。ディールは一瞬止まったが、すぐに歩き出した。
そして扉の前に来た。体の大きな男が扉を開け、皆が中に入っていった。ディールの前にアントニオが出てきて、振り返った。「議長、隠し事はなし。そのはずでは?」ディールは頭を掻いただけだった。「今は誰にも言えないと?」「知っている者は何人かいる」アントニオを避け、ディールはまた歩き出した。アントニオはすぐにディールのあとについていった。「全てが解決すれば教えて貰えますか?」「私1人では解決できない、だから今からミッドを呼ぶ」「何故、私ではないのですか?」「ミッドはこの事件に関係する者だから教える、それだけじゃ」アントニオは言葉を無くした。「皆に心配させたくない」「国民に心配させたくない、無事で終わらせる為に、事件を解決させるために出来たのが八方議員のはずです!」ディールは立ち止まった。やっとアントニオの方を見た。しかし、すぐに下を見てしまった。
「亡き友マッド・サウンド議員が関係しているのですか?」ディールは片眉を上げ、アントニオを見た。「それも言えぬ。お主にもいずれ言う。お主の力を借りることが出てくる。その時まで待て」ディールはまた歩き出した。
そして八方議員は大きな部屋へ通された。豪華な石像が並んでいる。八方議員の石像である。そして、皆はそこでくつろいでいた。皆が。
ディールは立ち上がり、亡き兄マッドの石像を見て目に涙を溜めているミッドの肩を優しく叩いた。ミッドは頷き、部屋を出ていった。そしてディールはアントニオの方へ歩いていき、耳元で囁いた。「ミッドを探ることは許されない。八方議員、いや共和国の名において」
ミッドが来た部屋は光灯がついておらず、真っ暗だった。だからミッドは窓のカーテンを開き、日を入れた。すると扉が開き、ディールが入ってきた。手で「座れ」と促し、ミッドを丸いソファーに座らせた。ディールはその横に座った。
「急な話で悪いのぅ」「いえ」ミッドは涙目を拭った。「マッドのことはすまなかった。予想も出来ぬことだったのでな」ミッドは落ち着いていた。「兄のことは良いんです。リストも事故で死んだと聞いているので」「そのことでな」ディールは立ち上がり、窓の外を見た。「リストは死んではおらぬのじゃ」ミッドは驚き、ディールの方を見た。「そんな!嘘ですよね!議長!」「落ち着け、ミッド議員」ディールはミッドの方を見た。ミッドは逆光でディールの顔が見えなかった。「悪犬の話は知っているか?」「そんなことより!」「悪犬、またの名を悪魔シリウス」「そんなことよりも<反逆者レヴー>のことを教えてください!生きているのですか!今、何処で?!」ミッドは立ち上がりディールの所へ近付いていった。「悪魔シリウスは神に刃向かい、天罰を喰らい死んでいった。そう伝説で語られている。そのシリウスが復活した。リストの御陰でのぅ」ミッドの動きは止まった。心臓の振動すら。「シリウスは帝国の王として君臨するだろう。リストはそのシリウスの中で今も生きているのだ」ミッドはその場に跪いた。「シリウスは・・・今どこに?」ミッドは呟いた。「帝国ギマールにおる。サルファードと共に」ミッドは立ち上がり、部屋を出ようと扉に手をかけた。「待て!何故わしがお主にこの話をしたかわかるか?」ミッドの鼻息は荒くなり始めていた。「わしに協力して欲しい」ミッドは勢いに任せ、扉を開けようとした。「ミッド・サウンド!」ミッドはまたもや動けなくなった。しばらく沈黙が続いた。「この情報は誰から?他に誰が知っていますか?」ミッドはディールに背を向けたまま言った。「リード議員からじゃ。他は知らないはず」ミッドは扉を開けた。「少し、気持ちを落ち着かせます」扉は閉まり、ディールだけが残った。ディールはソファーに腰掛けた。溜め息をついた。
十、
5日後、共和国ピサラルド。大きな湖の前の小屋でメサドは石を削っていた。大きな平らな石に平べったい石を置き、尖った硬い石でそれに打ち付けるたびにガチンッガッガガチッキィーンと苛立つ音とすっきりする音が響いた。大抵気持ちの良い音が鳴ると綺麗に削れるのだ。10回やると、打ち付けたあとの破片や粉を吹き、また10回やると破片や粉を吹き、と幾度と無く続けていた。メサドはずっと集中しているので、周りで何が起きようと振り向きもしないだろう。それほど集中しているのだ。
ガンダスは自分の小屋から暖簾(のれん)を手で分けるように出てきた。
「よぅ、坊ちゃん。何してる?」返事はない。
「おいおい無視か」またもや返事はない。彼はムスッとした顔を一瞬見せ、また普通の表情を装い、メサドに近付いた。メサドの背後までガンダスは来たが、メサドは振り向きもしない。ガンダスは溜め息をついてから、メサドの肩を叩いた。メサドの手元がずれた。
「おい!メサド、仕事だ」ガンダスのせいで手元がずれ、削っていた石が余計なところまで欠けてしまい、メサドは残念な顔をした。それでもガンダスに振り向きもしない。
「あぁー・・・。くそ」
メサドは立ち上がり、やっと振り返った。ガンダスと面と向かい、睨んだ。3時間も削っていた傑作がお前のせいで台無しになったじゃねぇか!とでも言わん顔だ。その顔にガンダスも一向に怯む気配は無かった。いや、逆に睨み返すほどだった。
「何だ!その顔は?」「何にもねぇーよ」持っていた尖った石をメサドはガンダスの足下に投げ捨てた。「で?今日は何?」
「仕事だ」「今日はないはずだろ!勝手に予定変えるなんよ」「急遽入ったのだ」「は?」「今日はお前1人で十分だ。1人で行って来い」ガンダスは持っていた封書でメサドの胸に叩いた。メサドはそれをゆっくり受け取った。ガンダスが自分の小屋に戻る為、振り返ろうとすると、メサドは振り返る直前にガンダスの胸元を掴み自分の方に向かせた。その際、メサドが受け取った封書は地面に落ちた。
「何勝手に帰ろうとしてんだよ!」メサドはガンダスにガン飛ばした。ガンダスは半笑い状態だった。「何故イライラしてる?彼女にでもふられたか?」メサドは舌打ちした後、「黙れよ!関係ねぇだろ!何で俺1人なんだよ!俺1人で行ってもお前が金貰うんだろ!・・・だったらお前が行けよ!」「誰が金は俺が貰うって言った?」メサドは困惑した。
「それと家族としてならその態度は良いが、今は仕事だ。上に向かってその言葉を発して良いものだろうか?」「お前は家族じゃねぇーよ!」メサドは威勢良く言い返した。「なら、尚更その態度は良くないな?」しかし、メサドはまた形勢逆転され、また舌打ちした。
「わかったよ。その代わり、金は全部俺が貰うからな」メサドは今まで削っていた石を目の前の湖に渋々投げ捨てた。石は2,3度水面を跳ね、沈んでいった。それを暫く眺めたあと、落ちている封書を拾い、砂を払い落とした。この場所は泥濘(ぬかるみ)が多い為、関係ない土も湿っていた。そのため、封書は冷たかった。その封書を持ってガンダスの方へ歩いていった。
ガンダスの横を通り過ぎた10m辺りでメサドは振り返り、「俺には家族はいない!もちろんあんたも家族じゃない!俺の親は俺を捨てたんだ!!そんな親なんて俺は家族とは思わないからな!!」とガンダスに叫んだ。ガンダスはその言葉を聞いたと同時に、メサドの所へ走っていき、胸元を掴み高く上げた。メサドは上からガンダスの顔を見下ろす形になったが、その時のガンダスの怒った形相は一生忘れることはないだろう。
「何と言ったーー!!!!!!!メサド!!!!!!!」メサドはガンダスの変わり様に背筋がゾクゾクした。困惑と同時にこれまで経験したことのない程の恐怖。今にもメサドは泣き出しそうになった、いや失禁しそうになった。「お前は言ってはならないことを言った!!許されることでは無いぞ!!!分かっているのか!!!!!彼らがどれほど歯を食いしばり、辛抱しているか分かっていないのか!!!!!!!お前を愛している彼らが!!!!!!!」メサドは潤んだ瞳をしながらもガンダスの今にも泣き出しそうな顔を見た。ガンダスは我に返り、メサドを突き飛ばした。
「はぁーはぁー。悪い」
突き飛ばされたメサドは泥にはまり、汚れている服がもっと汚れた。メサドはしばらく放心状態だったが、ガンダスの方を見るとすぐに我に返り、尻をつきながら後ずさりした。
俺は何を言った?!ガンダスは何を言っている?!何故、急に取り乱したり何か!彼らって何?!親を知っているの?!
メサドは手を地面につけながらゆっくりと立ち上がった。
「悪い。――サーライス村だ」ガンダスはメサドに背を向けた。「届け先はサーライス村だ。すまないが俺には用事があってな。本来2人行動だが――。いや何でもない」ガンダスは自分の小屋に戻っていった。メサドは1人その場に取り残された気分になった。
しばらく何も考えず、立っていた。そして、汚れた手で頬に流れた涙を拭い、運び屋の仕事に取りかかった。
メサドは1つ目の山を越える途中、ずっと自問自答していた。何か悪いことを俺は言ったのか?ガンダスの気に触れることでも言ったのか?いや、待て。ガンダスの言っていた彼ら――俺の両親か。そんなことはない。この俺を捨てた親なんかが歯を食いしばる?悲しんでいるのか?そんなことあるか!あってたまるか!じゃーどういう事だ――
――ガンダスは全て知ってる。けど、このままじゃ声もかけられないし、向こうから喋ってくる何てあいつには考えられないし。いろいろ聞きたいけど――
そうこう考えている内に1つ目の山を越えた。頂上付近で2つ目の山を見た。そしてその向こうにある綺麗な――汚い生活ばかりしていたメサドにとって光のように美しい――サーライス村。
1つ目の山を登山中、汗が体中から噴き出し、嫌な自問自答が続いていて完全に気持ちがブルーだったが、頂上付近で涼しい風に吹かれ、気分が清々(すがすが)しくなった。
「よっしゃー!!!!!!!!!」頭の中は透き通っていた。
メサドは一気に坂道を走って下っていった。
自分の小屋に帰ったガンダスはしばらく木製の椅子に座り、頭を抱えていた。家の隣にある大木の木漏れ日が窓を通ってガンダスに当たっていた。棚にある小型の機械を手に取り、時刻を確認した。午前11時前。立ち上がり、扉を開け、メサドが尻餅ついたところを見た。とっくにメサドの姿は消えていた。一安心し、小屋を出た。
大木の陰に隠れていた舟の紐を解いた。そしてその舟に乗り、漕ぎ始めた。
向かうは――湖を挟んで向かい側の小屋。
メサドは、2つ目の山を越えていた。「サーライス村・・・えぇーと、アリアヌ・キイドだったっけ?長の名前って」メサドは頂上でのんびりしていた。グゥ~ッ。独りでにお腹がなった。「ご飯とか持ってこなかったな」メサドを超える程の大きな平岩があり、そこに寝ころんだ。「あいつがいないと――」欠伸(あくび)。「こんなにゆっくりできるのか」日が昇ってきて随分と温かくなってきた。眠気がする。何度かその場の記憶が飛んでいた。
すると、登山家が1人サーライス村の方角から歩いてきた。そしてメサドの横に座った。メサドは眩しく目を細めながら彼を見た。随分と老けている。
「気持ちいいですね」メサドは相槌をうった。するとメサドのお腹がまたなった。登山家は笑い、「お腹がお空きなのですね。どうぞ」と包みを渡した。メサドは不審な目をしたが、食欲に負け、包みを開け、中身の食べ物を食べた。「よくお食べだ」彼はずっと笑っていた。「おっと、急がなくては!では私はこれで」と御老人は山を下っていった。実際、メサドの方が急がなければならないのに、メサドは一向に急ごうとしなかった。いや、急ぐ気が無かった。しかし、こんなにのんびりしていれば、待っている側も終いにはお怒りになると思い、メサドは立ち上がり山を下った。腹ごしらえも済んだので一段と歩く速さは速くなった。
そして、メサドはサーライス村に着いた。
約1週間前、メサドがガンダス――あの糞野郎!!――と来たときと同じ風景がメサドの目の前に広がっていた。大勢の人が行き交い、買い物をしたり、はたまた道のど真ん中で会話をしたりしている人で溢れていた。今度は誰もメサドに振り向きもしない。メサドは初めて来たときと同じように目を輝かせながら、村の中に入っていった。
メサドの歩く道に広がる物はこの村ではごく普通のものだが、彼にとっては珍しい物だらけで、即ちこの村は知らない物で成り立っているのと同然だった。サーライス村に入って、1,2分も経っていないのに、すでにアリアヌがいる建物は目に入った。高く伸びた塔が目立つ。ガンダスと来たときは気にならなかったのに。多分これが2度目だから、1度目よりも落ち着いているので見える範囲が広くなったのだろう。アリアヌが居る建物は相変わらず綺麗に磨かれており、壁はいつものように通行人を反射させていた。
メサドは高い塔が設置された建物の扉の前に立った。塔は建物を美しく見せているだけで使える物ではなかった。真下から見上げれば、塔は見せ物であるとすぐにわかった。メサドは興奮を抑えきれなかったのか、微笑んでいた。前に向き直り、扉を開けようと手を伸ばすと、扉は手が触れる前に開かれた。そして見たことのある眩しい部屋が嫌でも目に入った。そして目を細めるしかなかった。
「ようこそ、あなたは――メサド・バームルさんでしたね?」ゆっくりとのんびりとアリアヌが喋った。メサドはこの前と同様「遅れて申し訳ない」と頭を下げた。アリアヌはメサドを中に招き入れた。そしてガンダスと来たときと同じように椅子に座らされた。「キイド村長に手紙です」メサドは懐から封書を取り出し、両手でアリアヌに手渡した。アリアヌは自分の名前を言われ、上機嫌になった。封書を受け取り綺麗に封を破り、中の手紙を取り出した。
アリアヌ・キイド様
共和国に帝国が攻め入る可能性がある。その際、そちらに向かったメサド・バームルをサーライス村で貴方の権力のもと、匿って(かくまって)貰いたい。詳しいことは公言できかねぬので、これ以上は言えない。これは共和国八方議員議長ディールの名の下に出された命令である。命令を遂行せよ。
共和国八方議員リード
手紙の最後に『我が名を誇れ』と記入されていた。アリアヌは顔色一つ変えず、2度読み返した。メサドは手紙を読んでいる最中、部屋を見回していた。扉の左右にいる番と目が合い、すぐに視線をアリアヌに戻した。アリアヌは手紙を読み終え、メサドを見た。その顔は何かを隠しているようで全てをさらけ出した顔だった。微笑んでいる。そして、口を開いた。
「バームルさん、運び屋としての仕事をお忘れですか」メサドは何を言っているのか、理解できなかった。「運び屋の原則は双行動・・・のはず?」アリアヌはメサドの目を見た。メサドは何も言えなかった。「理由があるとしたら――?」メサドは今朝ガンダスと起こした一悶着を思い返した。ガンダスの顔が憎らしい!メサドは表情に出ないよう努めた。
「もう1人のお方ガンダスさんと何かあったのですか?」メサドは図星をつかれ、また言葉を無くした。アリアヌは溜め息をついた。メサドの反応で理解したらしい。「彼と何があったのかをお聞きしません。しかし、何故あなたが1人でここへ来たのかを考えていただきたい」アリアヌは手紙を閉じ、封書に入れ直した。メサドはアリアヌが何を言っているのか理解できなかった。その手紙に何か書いてあるのか?
「さて。ここへはまだいるのかね?」アリアヌは手紙に書いてあった命令通り、ここに留めるつもりだった。メサドはガンダスの居る家に戻りたくないので、「はい、喜んでここにいさせて貰います」と答えた。一瞬アリアヌは落ち込んだ。それは彼にガンダスの所へ戻って欲しいという願いからだった。
メサドは一礼して部屋から出た。部屋は光灯で随分と明るかったが、外は日のせいでそれよりも明るく、メサドは目を細めた。外の風景は相変わらず、和む。商店街――といっても、布でできた建物に食べ物を入れた箱を置いて、売っているようにしか見えない――のような村を歩き出した。
十一、
ガンダスが漕いでいる舟は湖を縦断し、向かいの小屋の前で止まった。オールを舟の上に上げ、揺れるそれから静かに下りた。ゴトゴトと物を整理していると、その物音に気付き、小屋の中からサティーが出てきた。湿った地面に苦労しているガンダスに頭を下げた。ガンダスは手を大きく振り、笑って歯を見せた。
小屋の中。
「今日は来てくれて嬉しいよ」
ジョージ・バームルが口を開いた。机を挟んでガンダスが言った。「君とは昔からの仲だからな」ガンダスは入れて貰った茶を飲んだ。「彼は今、サーライスの方へ?」
「あぁ、お前や向こう――共和国――の指示だったからな」そこでまた茶。ジョージは溜め息をついた。「何故、彼をあそこへ?」ガンダスは聞いた。ジョージが一息。「手紙の内容は読んだのか?ガンダス」ガンダスは小さく「あぁ」と言い、頷いた。「共和国に帝国が攻めに来る。それの被害がこの星にまで及んだときのことを考えているだけだ」
ガンダスとジョージは黙った。サティーは家の外で家事をしている。
「あの若造――リード・カタル――にそう言われたのか?」とガンダス。「あぁ、あいつがそう予測し、議長が手紙をよこしたのだろう」ジョージは茶を入れた。
そこでまた沈黙。
「メサドは今サーライス村にいる(喧嘩別れになってしまっているが)」ガンダスは唇を舐め、続けた。「今朝、メサドと一悶着あってな」苦笑いを浮かべた。「あいつ、お前とサティーさんのことを貶(けな)してな、頭に来てしまったんだ」ジョージも笑った。「あいつのそんな姿見てみたかったな」しかし、落ち込んでいるようにしか見えない。
「会わないのか?メサドに」ガンダスはジョージを見つめて言った。ジョージは頭を垂らし黙ってしまった。「もう会わないのか!」先程の疑問形ではなかった。
ジョージはいきなり立ち上がり、家の中を何周か歩き回ったが、すぐに着席した。ガンダスは黙って見ていた。ジョージが席を外したのは涙を見られたくなかったから。そう見た。顔をずと上に向けていたのがその証拠だ。「おい!ジョージよ」ジョージは誤魔化そうと茶に手を伸ばす。しかし、その茶をガンダスに先に取られ、飲み干された。茶の入っていた器を机に叩き付けるように置き、ガンダスは話を続けた。
「彼はきっと待っている。お前達が迎えに来てくれることを。しかし、それを自分の中で認めるのが恥ずかしい、だからお前達のことを悪く言う。今朝俺があいつに叱ってやったから、少しは素直になったはずだ」「だから、この期を逃さず、会いに行けと?」ジョージはガンダスを睨んだ。「生き恥をさらした父に会いたい息子など何処にいるというのだ?」ジョージはガンダスの前にある器を奪い取った。「私にあってメサドはどう思うか、お前には分からぬのか?」ガンダスは黙って、ジョージに続けさせた。
「私が息子に会うということは、彼自身の存在を汚すことになるのだぞ!」ガンダスは先程のジョージのように立ち上がった。「お前はそう言って息子から逃げているだけではないか!現実から逃げているだけではないか!」「黙れ!!!」ジョージも立ち上がり、持っていた器を壁に投げつけた。器は粉々に割れた。「息子の中で私がどう貶されていようと関係ない!息子にとって私がどういう存在なのか!犯罪者が身内にいるだけでどれだけ辛いかお主には分からぬのか!」「あぁ!わからないな!昔から家族のいない俺にはな!!」
小屋の扉がスゥーッと開いた。2人は固まった。もしやメサドか!予想が外れた。現れたのは小屋の中が騒がしいので様子を見に来たサティーだった。
「マルヒナさん・・・あなた、何かあったの?」2人の形相に怯えていた。
「すまんな」ガンダスは椅子に座り直した。ジョージは立ったままだった。「あの議員が早くメサドを迎えに来てくれたなら、これ程悩むことも無いのに」サティーを無視してジョージは部屋を出ていった。サティーはジョージの座っていた椅子に座った。
「申し訳ありません、マルヒナさん」「いえいえ」ガンダスはジョージの出ていった扉を見ていた。
「バームル夫人、申しにくいことなのですが」「サティーでいいわ」「では、サティーさん。急な話になるんですが、息子に会いたくないですか?」「いえ、そんな」サティーもその話になると俯いてしまった。「ジョージにも言ったことなんですが」ティーは顔を上げた。「それで、それで、彼は何と言いました?」ジョージにその事に関して望みを捨てろと頑(かたく)なに言われてきたのだろう。だからジョージが会いたいと言っているなら、自分も会える、と。しかし、ガンダスは首を横に振るだけだった。「会いたいのなら、そう彼に言うべきです。彼も今は悩んでいる。背中を押してあげてください」ガンダスは立ち上がり、窓辺へ歩いていった。そして窓の外を見た。
外ではジョージが草むらに横になっていた。洗濯物が風に揺られ、その風でジョージの寝ている草原の草もなびいていた。ガンダスの横にサティーが来た。「まだ、会うのは早い気がするわ」「充分待ったでしょう。それでもまだ早いと?」「えぇ、ジョージももう少し大人になってからじゃないと会ってもすぐに喧嘩別れしてしまいます」ガンダスは今朝自分がメサドと喧嘩別れしてしまったことを思い出し、急に恥ずかしくなった。この中で大人なのはサティーだけだったのか。
「ご飯食べていきますか?」ガンダスは考えた。手紙に書いてあったこと、サーライス村でメサドは守られている。つまりそこから出ることが出来ない。つまり、共和国から連絡がくるまでメサドはサーライス村にいるので、ジョージの小屋にいても大丈夫。
「はい、お邪魔します」
十二、
第1右翼と左翼、第2右翼と左翼が作動し、大型機RAVENがギマールの宇宙を飛んでいた。ギマール国の1割もある大型機がゆっくり飛行している。その船内にサルファードとシリウスがいた。広い1室に2人が立っている。その部屋にも立体テレビが設置されていて、ジーバスが映っていた。
「時が来た。攻撃を仕掛けよ、ジーバス議長。いや、クルタウロン攻撃部隊指揮官」
テレビの映像の顔がにやけた。無論ジーバスが。
「了解した」
深々と礼をして、映像は途切れた。シリウスは黒衣で顔を隠していたが、一向に笑う気配は無かった。帝国の何かを予期しているのか。
帝国ザンバノン。ジーバスは映像が切れた直後、振り返り真後ろにいた将軍に指示を出した。クルタウロンへ出発。将軍は右手を額にあて「了解!」と言い、部屋から出ていった。
十三、
共和国クルタウロン。共和国軍がC-25Vに武器を運び入れていた。行進しているかの如く彼らは横10人縦40人に整列していて、その足音は揃っている。彼らが行進している横でリード、ニーナ、クリフが話している。銃(やその他の武器)の性能の高さ、クルタウロンで作ることの出来る武器の範囲、そして今までの護衛の御礼。
「ニーナ女王、新たな武器を作ってもらってすぐなんですが」とリード。クリフを一度見てから続けた。「これを」懐から1枚の紙を取り出した。それには刀の取っ手の設計図が描かれていた。正確ではなかったが。「これは?」ニーナはその設計図を見て、リードを見てから尋ねた。「おい、クリフ」クリフは、思い出したかのように懐から小型リモートコントロールを取り出し、ボタンを押した。すると立体にその取っ手が映し出された。そして自動的にその取っ手の映像の先端は伸びた。「詳しいことは、このコントロールに入力されているので参考していただきたい」とリードが付け足し、クリフはスイッチを切りニーナにそれを渡し、リードは紙を渡した。ニーナは丁寧にそれを受け取り、横にいたクルタウロンの護衛に渡した。
「今までありがとうございました」彼女はリードに手を差しのべた。リードは快く受け取った。「あなたも」と今度はクリフに。ニーナは微笑んだ。女王の威厳を保ちながら、少女のように。
「では、最後の確認がありますので、ここで失礼します」ニーナは軽く一礼して軍の横を同じ方向に歩いていった。そして船内へ。リードとクリフは彼女を文字通り見送ったあと、また話を始めた。
「本当はあのライトサーベルを作ってもらいに来たはずなのにな」「議長が予定を変えたのだろう。それよりも――」リードは神妙な表情で船を見て言った。クリフもリードの目線を追って船を見た。「帝国軍か」2人は同時に呟いた。「今日、奴等は来るだろう」「あぁ、急いだ方が良いかな」リードは船へ歩いていこうとしたが、クリフはその場で動かなかった。リードは振り返り、クリフを見た。「あの少年、メサドと言ったか。彼は」クリフはリードに言おうとしたことを遮られた。「彼はサーライス村に預けた。帝国がここに攻めに来るとき、被害がピサラルドに及んだときのことを考えてな」クリフはしばらく考えてから、口を開いた。「彼が本当に――」「<宇宙全土を救う少年>。そう俺は信じている。クリフ、お前は信じていないのか」リードはクリフを睨んだ。「いや、そんなことないが。――いや俺の思い過ごしだ」クリフは笑いながら、リードの所へ走っていった。2人はしばらく見つめ合ってから船の所へ走り、荷物を運ぶのを手伝った。
ジャンル別一覧
出産・子育て
ファッション
美容・コスメ
健康・ダイエット
生活・インテリア
料理・食べ物
ドリンク・お酒
ペット
趣味・ゲーム
映画・TV
音楽
読書・コミック
旅行・海外情報
園芸
スポーツ
アウトドア・釣り
車・バイク
パソコン・家電
そのほか
すべてのジャンル
人気のクチコミテーマ
避難所
【防災用品】‐「家具転倒防止」‐「防…
(2026-06-06 03:46:40)
本日の楽天ブログラッキーくじ
9月の目標
(2026-09-01 16:46:04)
楽天写真館
ステキ♪♪
(2026-10-02 07:10:07)
© Rakuten Group, Inc.
X
共有
Facebook
Twitter
Google +
LinkedIn
Email
Design
a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧
|
PC版を閲覧
人気ブログランキングへ
無料自動相互リンク
にほんブログ村 女磨き
LOHAS風なアイテム・グッズ
みんなが注目のトレンド情報とは・・・?
So-netトレンドブログ
Livedoor Blog a
Livedoor Blog b
Livedoor Blog c
楽天ブログ
JUGEMブログ
Excitブログ
Seesaaブログ
Seesaaブログ
Googleブログ
なにこれオシャレ?トレンドアイテム情報
みんなの通販市場
無料のオファーでコツコツ稼ぐ方法
無料オファーのアフィリエイトで稼げるASP
ホーム
Hsc
人気ブログランキングへ
その他
Share by: