てまりの日記

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2004.01.11
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東山魁夷展~ひとすじの道~に行ってきました。

青色と緑色に、ぞっこん惚れました。

2、3日前、新聞で読んだ「横浜美術館で東山展を見た云々」
とのコラムを今朝ふと思い出し、早速足を運んだわけです。
混んでました…。出る時には更に混んでいたので、
早めに入ってよかったです。

作品の横に、東山さんご自身が書かれた解説文
(エッセイその他から引いてきたもの)も合わせて展示されて

東山さんという方は、絵は勿論ながら、文章も非常に
詩的なというか、深いというか、読ませる文章を書かれてた
んだなってことを、今日初めて知りました。
(エッセイ本2冊買ってきました)

美しい文章を読むとつい書き写す習性がある私としては、
絵ももちろんじっくり見ましたが、懸命に文章を筆記。
まあ画集を買えば載ってるんですが、今回は財布と相談して
ケチることにしまして…。

「道」という有名な作品があります。
緑の中に、土の道が続いている。シンプルなだけに力強い。
それについての文章、非常に感銘を受けました。


写さずにいられないのです。
(タイプミスで誤字脱字の場合はお許しください)
作品見ないとイマイチ分からないかも。
ぜひ見てください、絶対おススメです。

『道』


それは絶望と希望の織り交ぜられたものでありました。(中略)
今、墓場から蘇った者のように、私の眼は生に向かって
見開かれようとしている。
これからは清澄な目で自然を見ることができるだろう。
腰を落ち着けて製作に全力を注ぐことができるだろう。又そうであらねば
ならない。そう考えたときに、私の眼前におぼろげながら、
一筋の道が続いているのを見出すのでした」

(わが遍歴の山河より)

苦労を重ね、やっと画壇に認められた作品と思うと、
より一層、言葉の重みを感じます。

エッセイ『泉に聴く』所収の「ひとすじの道」の中には、
このようにあります。

「道は、歩いてきた方を振り返ってみる時と、これから進んで行こう
とする方向に立ち向う場合がある。私はこれから歩いて行く方向の道
を描きたいと思った。
ゆるやかな上り坂に向かった時、私たちには、これから、そこを
歩いて行くという感じが起る。
それに反して下り坂を見下ろすと、いままで辿ってきた道を振り返った
感じになり易い。

この道の作品を描いているとき、これから歩いてゆく道と
思っているうちに、時としては、いままでに辿ってきた道として
見ている場合もあった。

絶望と希望が織り交ざった道、遍歴の果てでもあり、
新しく始まる道でもあった。未来への憧憬の道、また、過去
への郷愁を誘う道にもなった。

しかし、遠くの丘の上の空を少し明るくして、遠くの道が、
やや、右上がりに画面の外へ消えている
ようにすると、これから歩もうとする道という感じが
強くなってくるのだった。

(中略)

人生の旅の中には、いくつかの岐路があり、
私自身の意志よりも、もっと大きな力に動かされていると、
私はこの本のはじめの章に書いている。
その考え方はいまも変わらないが、私の心の中に、
このひとすじの道を歩こうという意志的なものが育ってきて、
この作品になったのではないだろうか。

いわば私の心の据え方、その方向というものが、
かなりはっきり定まってきた気がする。
しかし、やはりその道は、明るい烈しい陽に照らされた道でも、
陰惨な暗い影に包まれた道でもなく、
早朝の薄明の中に静かに息づき、坦々として、在るがままに在る、
ひとすじの道であった。

(昭和42年5月刊、『風景との対話』より)

東山さんは、風景画家ではありますが、風景の描写とは、
すなわちそれを見る「心」の描写であると言われてます。
こんな言葉もあります。

「風景画家でありながら、人間にのみ興味を持つ私。
いや、人間にのみ興味を持つ故に、純粋に風景画家で
あり得るのかもしれない」

また、描かれた作品をどう見るか、見方そのものも
各々の心によって異なるわけですから、
今日見た『道』という作品は、
「私の『道』」とも言えるわけですよね。

自分自身の新しい門出に、この作品に改めて
出会えたのも、これも何かのご縁に違いないのでしょう。

東山さんの真摯な生きざまに、一流の人だけが
持つ、底知れない凄み、を感じました。
この「凄み」を忘れないように…。
『道』のコピー、300円也、を買って帰路につきました。






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Last updated  2004.01.11 21:32:22
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Re:堰をきって溢れる感動、一流の凄み。(1/11)  
ユミルは、「生きる」を心の深いところで感じているように思えました。うーむ。(深い…)<br>それと、白い着物を着た仙人が、風が吹き抜ける中を旅するイメージを持ちました。<br><br>静寂な、真っ白な、イメージです。<br><br><br> (2004.01.13 11:55:32)

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