今日も良いネタ入ってるよ!

実話調査編第七話





彼女の部屋を出て直ぐに僕はこのマンションのエレベーターへと向かった。8階まであるこのマンションの5階でエレベーターを止め、直ぐさま非常階段へと足を向ける。非常階段の扉を開けると同時にカツヤへ電話を入れ、懐中電灯を出しておくように指示を出し、その場で待つよう伝えた。

このマンションの非常階段は正面玄関側にあり、階段の踊り場に出ると正面玄関に沿った通りが全て見渡せる。それだけでなくマンションを背にして左側も一望できる位置にあった。マンションの左側とは先程彼女の部屋の窓から見た貯水タンクが置かれている方向である。不審な動きがあればこの踊り場から全て監視できるのだ。

少しするとあけみとあやさんが正面玄関から出てくる。彼女達は正面玄関から右に曲がり、突き当たりのバス通りを右に折れ、僕の車へと向かった。僕は左右を見渡し不振な影を探す。通行人らしき男性が二人、彼女達を追う形で歩いてくる。彼女達との間隔は10メートル。少し緊張したがその男性二人はバス通りを左に折れた。

あけみから車に乗ったとの連絡を受け、直ぐに卓也に電話を入れる。続け様にカツヤに電話し、先程用意しておくように言った懐中電灯をマンションの裏手にある駐車場に持ってくるよう伝えた。

僕には今夜中にどうしても確かめたい事があった。

それはこのマンションの貯水タンクの位置から、裏手の駐車場への出入りが容易であるのか?また貯水タンクを囲うように立っている金網が、万一人が上り下りした際にどれだけの音を出すのか?そして最後に、不審者が残しておくであろう「証拠」だ!

直ぐにエレベーターで1階に降り、正面玄関を出て脇の駐輪場へと向かう。駐輪場に入ると、左脇に30台、突き当たり10台というL字型をした駐輪場が存在した。突き当りにある屋根付の駐輪スペースの裏手には、僕の目指すこのマンションの貯水タンクが置かれていた。自転車を雨から凌ぐ屋根の骨組とマンションの大外の囲いとなる壁の間を、体を横にして抜けると、1メートルほどの幅を空けて貯水タンクを囲う金網が立っていた。

地面は土壌になっていて水分の逃げ道が無いのか相当ぬかるんでいる。雑草が生えていたが、歩きずらい程ではなかった。

一歩踏み出したところで上からカツヤの声がする。

「足元を照らしましょうか?」

カツヤは裏手にある駐車場からここを見下ろしている訳だが、壁の高さはカツヤが普通に立って頭が一個分出てしまう程度の到底高い壁ではなかった。

「いや、懐中電灯を投げてくれ。」

上から一、二の、三で投げられた懐中電灯を、見づらいながらもナイスにキャッチした僕は、直ぐに貯水タンクの左脇にある彼女の部屋の窓へと向かう。部屋の窓と貯水タンクを囲う金網までの距離は凡そ1.5メートル。人が忍ぶにはもってこいのスペースだ。

窓の下にも雑草が茂ってはいたが、不振な足跡を見つけるのは難しい事ではなかった。

駐輪場からは目隠しになっているトタン板を覗き込まなければこの位置は見えない。また裏手の駐車場からも壁に寄りかかるようにして覗き込まなければここは到底見えない。ましてや誰かが夜中にここに入り込む理由は、どう考えても見当たらなかった。

意図的なのは間違いないな ・ ・ ・

更に僕はカツヤに命じて一目がない事を確認させ、なるべく音を立てないように上から貯水タンクに向かって降りてくるように言った。何の事は無くカツヤは意図も簡単に降りてきた。その時に音を立てたのは、金網に足をかけた時にでた「カシャ カシャ」っという微々たる音だけだった。この程度の音ならば家の中からではまず聞こえないだろう。

今度は僕が金網によじ登り、貯水タンクの上へ上がって裏手の駐車場へと向かう。音に気を使えば、ほぼ無いと言っていいほど無音の状態で天辺まで上がれた。

するとどうだろう。

そこには僕の探していた不審者のものと思われる証拠がしっかりと残っていた。

まず一つ目は明らかに違う2つの靴の跡。そして二つ目は家電等に使うと思われる細い電気コードが30センチ程の長さで綺麗に丸められて置かれていた。


直ぐに彼女の部屋の窓に目を向ける。目の前の窓にはステンレスの格子がしてあり、それ以外は何も見当たらない。しかし裏手の駐車場に面した壁側を目でなぞり、駐車場に面した壁とマンションの壁の間を見てみると、

あった ・ ・ ・ ・

憎悪に蠢くなんとも嫌な予感が僕の背筋に氷を這わせていた。

つづく

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