にのねぬな

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パサンガン 2(レヨン)

パサンガン/pasangan(対・対となる相手)2-レヨン-

 ガムランの音楽は対(二人)が基本単位になっています。実際の演奏では、ゴンクビャールでは、20人を超える大編成になりますが、それをこまかく分けていくと、二人づつのペアがいくつか出来ます。
 例をあげてみると、ガンサのポロスとサンシ、クンダンのワドンとラナン、レヨン4人のなかの2人。これらの2人は、2人一組で1つのメロディー(音の流れ)やリズムを作っています。
 ここではレヨンについて書いてみます。

レヨン
  レヨンは、通常4人で12個の音(2オクターブと1音)を使って演奏し、4人が、主に、左(低い音のほう)から3つ・3つ・2つ・4つという分担で、演奏します。(担当外の音をたたくこともあります。)コテカンによって装飾音を演奏する部分、メロディーをなぞるようにたたく部分、4人そろってリズムを刻む部分などがあります。

 まず、 コテカンによって装飾音を演奏する部分について。
対となる相手と2人一組で音の流れを作ります。左(低い音のほう)から、1の人・2の人・3の人・4の人とするならば、曲中、1と2、3と4がそれぞれ対になる部分と、2と3が対になる(この場合1・4は、対になる相手がいません)部分があります。一つの楽器を4人でたたき、一人の人が担当する音が大体決まっているため、”基本となる音”の高さによって、対となる相手が同じ曲の中でも、変わるのです。例をあげてみましょう。(ここでも、イメージがわきやすいように、あえてドレミを使って書いてみます。)
基本となる音
ファ
作りたい装飾音
ソシファソ
シファソシ
ファソシソ
ファシファソ
シ シ ドミ
ファドミファ
ミドファミ
ドファドミ
1の人
・ シド ・
シド ・シ
 ・ ドシ・
ド シド ・
シ シドミ
 ・ ドミ ・
ミド ・ ミ
ド ・ ドミ
2の人
ソ ・ファソ
・ファソ・
ファソ・ ソ
ファ・ファソ
 ・ ・ ソ・
ファソ・ファ
・ソファ・
ソファソ・
3の人
・ シド ・
シド ・シ
 ・ ドシ・
ド シド ・
シ シドミ
 ・ ドミ ・
ミド ・ ミ
ド ・ ドミ
4の人
ソシファソ
シファソシ
ファソシソ
ファシファソ
シ ・ ソ・
ファソ・ファ
・ソファ・
ソファソ・

この例では、前半の部分( ”基本となる音”が”ソ”と”ファ”の部分 )では、2の人と3の人が、対となって装飾音を演奏しています。また、後半の部分( ”基本となる音”が”シ”と”ミ”の部分 )では、1の人と2の人、3の人と4の人がそれぞれ対となり、レヨンの中で、1オクターブ違いの、2組のコテカンが演奏されます。
対となる相手が、一曲の中でも、ころころ変わるという意味では、2・3の人は、大変ですね。
  レヨンもまた、ガンサのようにポロスの音とサンシの音をわかれて担当するのですが、これも、1と3がポロス・2と4がサンシを担当する部分と、1と3がサンシ・2と4がポロスを担当する部分があります。上記の例では、前半の部分(赤い部分)では、2と4がポロス、後半の部分(青い部分)では、1と3がポロス担当のようです。ガンサの場合は、私はポロス担当、と決まったら、曲の最初から最後までずっとポロス担当ですが、レヨンの場合は、ガンサと違い、一曲の中でも、ポロスの音をたたいたり、サンシの音をたたいたりするということです。
  レヨンは、一台の楽器を4人でたたくため、装飾音の作られ方がガンサよりも複雑で例外も多く、”基本となる音”に対していろんなたたき方が出来るので、演奏者の感性に任せて即興的にたたかれることも多いようです。繰り返しの一回目と2回目では、たたき方が違っていたりすることもあります。隣の人のたたくパターンに合わせて手をかえる、なんていう技術も必要なんですね。4人の中で、リーダー格の人が、”よし、次はこんな手でいってみよう~!”と、たたいた場合は、他の3人も合わせてついていく、そんなあうんの呼吸が必要です。ただし、”基本となる音”に合っていることと、クンダンのリズムに合っている事が条件ですが・・・。
  クンダンは、2人のうち、リーダーが決まっている、と書きましたが、レヨンはどうでしょうか。
明確な基準は、良く分かりません。ただ、音が、右(高い音)の方へ動いていく時は、4の人が、左(低い音)の方へ動いていく時は、1の人がリーダーになるようです。確かに進む方向に座っている人の手は、他の人から見やすいので、あわせやすいですね。それ以外の部分では、やはり、上手な人として一目置かれている人・その曲を良く知っている人がリーダーとなるような感じがします。

  次に、メロディーをなぞるようにたたく部分について。
クビャールの(ジャーン、と皆でいっせいにたたく)部分に、よく使われるたたき方です。レヨンの場合、4人で12音しかないので、4人のうちの2人もしくは3人がポロスの音をたたきますが、他の人はそのポロスの音に合わせてサンシの役割(”2音とんでとなりの音”をたたく)をします。例をあげてみましょう。
メロディ ファ・ファミ ド シ ド ソ シ ド ミ・ミド ミ ファ ソ・ソファ ソ シ
1の人
ド ・ ドシ ド シ ド ソ シ ド シ・シ シ ド ソ・ソ ソ シ
2の人
ファ・ファミ ファファ ミ ファ ミ・ミ ミ ファ ソ・ソファ  ・
3の人
ド ・ ドシ ド シ  ・ シ ド シ・シ シ ド ・ ・ ・  ・
4の人
ファ・ファミ ファファ ミ ファ ミ・ミ ミ ファ ソ・ソファ ソ シ
(イメージがわきやすいように、あえて、ドレミで書いています。)
黒い太字で書いた音が、メロディーの音(ポロスの役割をする音)、赤字で書いた音が、サンシの役割をする音です。たった、短いこれだけのフレーズの中でも、1人の人が、ポロスになったりサンシになったりしていることが分かります。自分のたたく音と、となりに座っている人の音が、つながって始めてメロディーが聞こえてくるんですね。 
(サンシの役割の音は、この例に書いたもの以外の音を使うこともありますので、一つの例として考えてください。)
  上記の例のような、メロディーをなぞるようにたたく部分の場合、ポロスとサンシの音量は、どちらかというとポロスの音のほうが大きく聞こえた方が、きれいです。メロディーよりも、ハモリのほうが大きくならない方がいいのは、からおけと一緒ですね。(笑)まあ、実際の演奏では、それほど細かいことまで考えてたたくのは難しいですが、自分の今たたいているこの音が、メロディーなんだ、という意識を持ちさえすればいいのだと思います。

  最後に、4人そろって、リズムを刻む部分について。
この場合は、上記で書いた、コテカンの部分と違って、一人3個づつ担当します。音程は関係なく、自分の前にある3つのボナンの同じ部分を4人がたたきます。
  たとえば、1人が担当する3つのボナンを左から、1・2・3とすると、1と3のこぶの上をビョーン、とたたいたり、逆に押さえたりします。また、2のボナンのこぶの下の部分を、バチでチキチキチキチキ・・・とたたいたりもします。このたたき方の場合は、特に”対”ということを、意識しなくても4人いっせいに同じタイミングでたたきます。あ、そうゆう意味では、4人で一組とも言えるかもしれませんね。 

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