クレドのにっき

クレドのにっき

零~黒澤紗重~

八重。
ずっと一緒だって約束したね。
座敷牢の人形がこっちを見ている。
「…八重は、戻ってきてくれるよ、ね」
八重が、私のことを見捨てるわけなんか、ないもの。
いつだって、私と一緒にいてくれる、私の半身だもの。
だから、もどって、





よ、ね?

…お祭の前に、もう一度樹月くんに会いたいと云ったら、お父様は許してくれた。
お父様は私の目をご覧にならない。
「…お父様。ごめんなさい」
「…はやく、会いに行きなさい。すぐ、」
戻って来るんだよ。
そういって、そっと牢をあけて、私を抱き締めてくれた。
「お父様…?」
お顔を見せては下さらないけれど、お父様は泣いていらっしゃった。


首に縄をかけて、私は鳥居の下から引き上げられる。一瞬で、ガクン、と――

ねぇえ、八重、どうしておいてったの。
私、待ってたのに。
約束したよね、
なのにどうして戻ってきてくれないの?
私…そして、虚におとされたよ。
でもね。だめだったよ。
あははっ。
私は駄目な子だから、いつも八重がいてくれなきゃ。
だから私、ひとりじゃ歩けないよ!
『あははっ…あはは、 あははははははは、あーっはっはっはっはっ!あははははっ!
私は村が全部ナクナルノヲ みてた。
八重、待ってるよ。
あなたがクルノヲ、マッテルヨ。
この村がなくなったのも、私が死んだのも、
ぜーんぶあなたの所為!
あなたが、私との約束を破ったからだよ!
あはははは!
八重!八重!八重!おねえちゃん!
戻ってきてよ!

『わたしを・・・ひとりに・・・しないで・・・』
八重、八重、八重、八重、八重、八重、やえ、ヤエ、ヤエ、オネエチャン、マッテルワ、ズットココデ、ズットズットズット、イツマデモマッテルワ。
何人殺しても、何人殺しても、ココデずっと、待ってるよ。
『あははは、 あ――っはっはっはっはっははははは!あはははははははははは!
ただ…
ずっと一緒にいたかっただけなのに。

その手が、首に伸びてくるのを、子どもの頃からずっとずっとずっとずっとずっと、ずっとずっとずっとずっとずっと、待ってたのに。
あなたは私を殺したくないっていう、
私はあなたに殺してほしい。
誰でもなく、あなたに。
ねぇ八重、待ってるよ。
昔約束したあの場所で。
だから、はやくもどって、きてね。


『あははは、あははは、あ――はっはっはっあははははははは…』


ずっと、待ってるから…。


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