誰もいなくなった村をぶらついた。
かつて――この村を支えてきたのは、巫女と巫子だった。
いつから、かはわからない。もう、ずっと昔なのだろう。
自分たちは立花家の92代目の巫子だ。だけどそれは、「立花家」のであって、全てひっくるめると何代の巫女・巫子達がこの村を守るために死んだのかはわからない。
――この村を支えていた巫女は、神事に長け、ひとを愛し、自然に愛され、彼女等は村をたて、制度を整えた。
やがて、彼女等がこの村をたて少し経った頃。
あれをみつけた。
散々悩んだ末――
『…人身御供でしか、この村を救うすべはないと…説いた。』
睦月は誰もいない、我が家の扉を眺めた。
静かに、悲壮な瞳で。
『…皮肉だな』
彼女があれに旅立ってより後ひととせ、姉を心底愛していた弟の巫子は狂った。
睦月の視線の先、ひらひらと飛んでゆく紅い蝶。
それはさあっと紅い燐粉をまいて、扉の中へと消えた。
彼は瞳をあげ、我が家へと何百年ぶりに、足を踏み入れた。
助けない→拾陸へ

![]()
![]()