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クレドのにっき
賛美歌の作り方。
賛美歌の作り方。
手を伸ばしたら、届いた。
「~~っ」
銃把を握る。セーフティを外した。
「なっ、」
自分の上に跨っていた男の眉間を撃ち抜いた。軽い感触。
「デュー!」
2、3、4、…正確な射的は、彼らを犯す男たちを確実に殺していった。
デューも、デュオが殺した男の腰から銃を掴み、同じように残りを撃つ。
ドアが開いたとき、動くものは二人しかいなかった。
「何じゃ、これは?!…デュオ、デュー!」
プロフェッサーGが駆け込んできて、二人に白衣をかけた。途端、二人は倒れた。
「ちく…しょう、餓鬼のくせに…!」
うめいた男を、栗色の髪に碧眼、白衣を着た男が胸倉を掴んで引きずり起こした。
「貴様ら、この二人にこんなことをして、生きてられると思ってるのか」
彼は医者であったが、もうひとつ顔を持っていた。それはこのスイーパーグループの鋭敏エージェント、と云う顔だ。
そして、デュオとデューを拾ったのは、彼で、戦闘などを教えたのも彼である。
いわば、前線の後継者となるべき者だったのだ、二人は。
だが、それ以前にこんなことの為に…二人を組織へ入れたのではない。
生き延びる、その為に…。
「トール。残ったもので、話を聞けるものはいるかの」
プロフェッサーの声は厳しかった。トール、と呼ばれた医者は、白衣を脱ぎ捨てた。その下には、黒いハイネックと、黒いスラックス。
腰から、銃を出した。
「…今ここで撃ち殺してもらった者は幸せだぜ。…この俺を怒らせた事、存分に後悔してもらう」
プロフェッサーGが指示を出すと、他のエージェントたちも集まってきた。トールが指示をする。
端正な顔を笑みに歪める。それは、死を流す風の笑み。
「死んだほうがマシな目に遭うような事、自分からやるか、フツー?俺にはわかんないね…ああそうだ、アレ用意しとけよ。」
エージェントたちが引きつる。
「…アレ、使うんですか…」
トールはうん?と言葉を発した者を見た。「俺の決定が聞けない?不満?」
其処に発された、言外の『不満があるなら殺す』という殺気に、全員が首を横に振る。
「デュー。…食べたいものがあったら、云って。」
今日で十日目。デューは虚空を見つめたまま、一言も喋らない。
栄養点滴だけで、命を繋いでいる。
トールは、ベッドサイドの椅子に座った。
「…ごめんな。僕がもう少し、気をつけていれば…きみたちをこんな目に…こんな。こんな!…生きる人形なんかに!こんなことの為にきみたちを、この組織に入れたんじゃ…僕は、二人に生きて欲しいから…」
そっと、頬を撫でた。
痩せこけた頬だった。
「それでも…生きていればきっと、何か。何か…だから生きて、デュー…」
目がさめた。
「…夢か」
珍しい。三つ編みが結構ほつれていたので、編みなおす事にする。
オレたちが記憶を共有すると気づいたのは、病院から退院した時だ。
オレとデューは、お互いの記憶をある程度まで、共有するらしい。
双子のシンパシーというやつだと、センセーは云っている。
それでも、余り見かけられないものらしい。要は、珍しいってこと。
センセーは、オレたちの主治医の前に、先輩だ。殺し方を教わった。いろいろな事を教わった。
ちょっと変わっていて、白衣を脱ぐと全然違う。口調まで変わってしまうし、一人称も僕から俺に変わる。それって二重人格?と聞いたら、そのケはあるかも、と笑っていた。
センセーだって、今まで楽な生き方をしていない。だからきっと、それくらい仕方ないんだろう。
だったら、オレたちがあんなことくらいで心を病んだのを、何故怒らないんだろう?
些細な事かも知れないのに。
…綺麗な生き方なぞ望んじゃいない。
汚くてもいい、二人で生きられれば。
そう思って組織に身を投じた。
だけど。実際は?
「…。」
もうやめよ。
三つ編みを編み終わった。
だから今考えてたことはごみ箱にぽい。
「デューと…話したいな」
でも任務中だし。
パソコンは病室にあるけれど…、これ以上話せば、ヒイロの身が危うくなるだけだ。
デューは容赦無い。
オレよりもっと感情を失ってしまった。
センセー曰く、「心を封じ込める事で、自分を抑えている」のだそうだ。よくわかんないけど。ぶっちゃければ、オレがアップ系、デューがダウン系。
「こっちの方がよくわかる」
テレビをつけた。OZの情報チャンネルは割と面白い。よく、こんなデマばっかり正々堂々と流せるな、って。
笑っちまう。
笑い声が聞こえてきた。
ちょっと調子の外れた、狂人特有の笑いだった。
「…デュオ」
トールは、ただ名を呟いた。
「デュオの調子は?」
プロフェッサーがドアから顔を出していた。
「…あの通り。まだ、…かなり、またいつもの状態まで抑えこむには、時間がかかりそうですね」
プロフェッサーは目を伏せた。
「…そうじゃの。…しかし、なにが…」
トールは白衣を脱いで、椅子の背にかけた。
「俺も気になってますね。それ。…うちのデュオに何かした馬鹿は何処にいんだろう。プロフェッサーG、俺ちょっと地球まで行ってきます」
唖然。
トールはにっと笑った。それは、デュオたちの笑みによく似ていた。
「婿入り前の弟ですから。…もし悪い虫なんてついてたら、即刻排除しなきゃ☆」
「と、トトトトールっ?!ちょ、ちょっと待てい、お前さんがいなくなったらデュオは誰が診るんじゃい!」
トールはさっさとシャトルを手配していた。
「だ~いじょうぶ。半日くらいで帰ってきますよん☆あ、こちらトール。悪いけど、シャトルそっこー用意して。地球行くから。…ああ?ごちゃごちゃ云ってんじゃねえ殺すぞ。じゃ、よろしくー。今から行くから。」
プロフェッサーGは額を抑えた。
「聞いておるのか、トール…」
「はーいはい。聞いてますよー。でも、デュオの身にはかえらんないしー。」
ひらひらと手を振って、格納庫へと駆けて行ってしまった。
「全く…どうしてわしの息子たちは、みんな行動派なんじゃ?そんな風に育てた覚えはないんじゃがな…」
「…なんで、ここにセンセーがいんの…?」
今日は新しい先生を紹介します、とかなんとかで朝会で紹介されたのは、よく見知った顔で。デューは半ば唖然として、それを見ていた。
ええと、主治医であるセンセーがここにいるってことは…あ、兄貴は誰が診てんの?ていうか、センセー来ちゃって、だいじょぶなの?ああ、頭混乱してる、平常心平常心…
「よ、デュオ。何だって、ヒイロ・ユイってのはどいつ?」
にこにこにこにこ。
センセーのこの笑みは、死神の笑みだ。寒々しい殺気が全身からにじみ出てます。
既に噂は広まっちゃってるよな。
隣のヒイロは、トールをちらりと見…もしない。
「きみがヒイロ。ふうん…」
長身を折り曲げて、ヒイロの顔を覗きこむ。
「後でゆっくり、話ししたいなあ…?」
うわ。
殺る気満々ですッ、満々です!!兄貴、ヒイロやばいよ、でもオレどうしよーも出来ないよ、ああ、どーしたら!
寮の部屋で。
「…」
壁に開いた大穴は、ダンボール(二重張り)が貼られていて、床はガムテープが貼ってある。なんてすごい部屋。
「それで?デュオ、ヒイロくんから熱烈に愛されちゃってるんだって?」
ベッドに腰掛けて、トール。
はい、とも…否、とも…云えない。
デューは寒々しく、笑う。
「え。ええええとお。そのー、あのー、なんていうか。その…」
「ふうん。まさか手を出されちゃあ、いないよね?」
直球!!
パソコン画面に向かって、復旧作業をしているヒイロは、聞こえないフリでもしているのだろうか。センセーにそんなのは通じないよー。
目を逸らしてしまったデュー。
瞬間、ヒイロの横を、何かが横切った。
「…」
見れば、先刻まで何処にも無かった筈なのに、トールが銃を構えていた。しかも、撃っている。ヒイロのこめかみを掠った銃弾。
「…うちの弟に手を出したってこと?死にたいの?お前。」
ヒイロは目線だけを向けた。
「…アンタにとやかく云われる筋合いは無い」
「あるんだよぉ、こっちにゃあ。デュオの状態をこれ以上悪くするようなもんがあっちゃ困るんだ。だから手っ取り早く死ねや」
低い声で告げる。
が、ヒイロは笑った。
「…そうだな、優秀な兵士だものな」
「…否定はしねーよ。けど、それ以上にあいつは、そしてデューも、俺の弟だからな」
にらみ合いにデューだけがはらはらしながら、ああ、どうしよう、とりあえず、兄貴がこいつを好きだって云った方が、ていうかセンセーはこうと決めたらテコでも動かないし、ああ、どうしよう!
「あの、センセー!」
「そいつは、オレの事が好きらしいからな」
デューの声と、ヒイロの声が重なった。
「…」
「て、てめぇ!云うに事欠いてッ、」
デューの罵声を遮る。
「それも、好きで好きで仕方ないらしい。つまり、惚れているのはデュオの方と云う事だ。デュオが大切ならば、俺を殺す事はデュオを悲しませる。…そう云う図式が成り立たないか?」
うわ――っ!!!!!!もう終わりだ―――っ!だめだ、絶対センセーキレてる!だって、目ぇ据わってる!!
兄貴ごめん――っ!!
が、意外にも銃は下ろされた。
「…デュオが、お前を好き?」
呟くように、否、呟いて、トールは天井を見上げた。
「…
恋煩いか…
」
「
センセーっ?!
」
はああ、とおおげさにため息。
「デュー、こりゃ俺にはどうしようもないわ。とりあえず原因がわかっただけでも良しとするよ。あーあほらし。何の為に地球来たんだろ。」
デューはヒイロを指差した指を馬鹿みたいに振りながら、
「そそそ、そんなあ!殺ってくんないの?!センセー!!兄貴を見捨てるのーっ!」
トールは肩をすくめて、手を広げた。
「だってお前、デュオだって15歳だよ?恋もするし悩みもする、お年頃だろ?強姦されたってんなら話は別だけどさ、恋しちゃってるんなら、そりゃ話は違うわな、俺が口出すのは野暮じゃん」
あれは強姦です―――――ッ!!
きょとん、としてとりあえず、トールは苦笑いした。
「……とばっちり、食う事も人生、あるよな。」
ええ―――――――ッッッ!!!??
マジに犯られ損?!オレ様?!
「センセーの馬鹿あっ!!」
ドアが開いて、デューはどこかへ駆けて行った。
部屋には、またも壁に大穴が開き、そこには
4キロのダンベルを食らったヒイロとトール
がひっくり返っていた。
「…とりあえず回が進むごとに、1キロずつ重くなって行くな…」
ヒイロの呟きに、トールが答えた。
「…とりあえずお前は性教育だ。痛いなんてあの子に云わせたらマジ、殺す」
「…でも、アンタ何の為に来たんだ?」
「…うるさい。お前こそ、回が進むごとに情けないキャラになってるともっぱらの噂だぞ」
お前らは馬鹿だ。とゆうか、この話はギャグなのか、シリアスなのか。
段々わかんなくなってきた。
「
ちくしょ――――――っ!
」
デューはとりあえず、家出するべく、荷物をまとめていた。
TO、BE?
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