クレドのにっき

クレドのにっき

あるディセンダーの願望。4


「カノンノ、どーしたんだろーなあ」
ルークはスプーンをくわえたまま、朝食のカレーのお替り
を待っていた。
セリィはルークからスプーンを取り上げると、
「さあ?…大方、夢見でもわるかったんじゃないの」
ルークは取り上げられたスプーンを取り返すべく、
手を出すが、水のような動きで避けられてしまう。
「セリィ、返せよ俺のスプーン!」
「くわえたまま、なんて行儀悪い!取れる
もんなら取って見な?」
実はこれ、朝の恒例だったりする。
王族の割には随分杜撰な躾しかされていない、
というのがルークの第一印象だ。
と、云うのもお家の事情で軟禁、&親にほっとかれたと
云うのだから、仕方無いだろう。
親善大使を命ぜられたのは、荒療治か。
対外的な口上などは一ヶ月程で覚えたというのだから、
真実、彼は頭が良い。
向かいに座る包帯だらけの陰険眼鏡なんかより。
「…あなた達は仲がいいですね…」
やっとこさ吐き出した言葉はそれだった。
毎朝自分の身分とレベルを弁えない発言で、
セリィは秘奥技をかましたくなるのをこらえていたのだが。
ルークが、硬直した。
「………すっげえ!!あの修行法って、性格も直るんだ!」
爆弾発言投下、被爆者、セリィ以外全員。
「なあ、セリィ、やっぱあれ俺にもやってくれよ!
俺、もっと、確りしなきゃいけないとーーわぷ?!」
真剣な顔で切り出したルークを、セリィは抱きしめた。
「ああ、お前はなんって可愛いんだろう!いいんだ、
お前はそのままで!最低限のマナーすらできてないよーな
アレとは違うんだから!」
あのぅ。
あんたたち、なんかそっちのケがありますか。
誰かあいつらを止めてくれ。


ベッドの中で震えていた。
あれは、なに?
痣が痛い…、そして、
私は…、私は何をしたの?
淡い紫の髪の少年をこの手で斬殺し、自身は
ーーあれは。あの少年は。
海色の髪に、緋の瞳。
使う剣こそ違うけど、まごうことなき、
…セリィ。
そのひとだった。





震えが止まらない。
私は何をしたの?


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