「何故、逃げない?」
「…わたしはにげられないわ」女は襟元を見せた。そこには、火傷、切り傷、無数の傷跡、そしてヘキサグラムの烙印。
「わたしは人間じゃない。…あの家の、「所有物」なのよ」
「――どうして、オレに身分が知れるようなものを持たせた?」
「……よ」
彼女は顔を伏せた。
「 私を、
ころして
ほしかったからよ。
」
「…死にたいのか」
「…ええ。あの家の所有物になった、16のあの日からね」
「…あんた今、幾つなんだ」
「…レディに年を訊くものじゃないわ」
でも、そうね、あなたを生んだのは17よ
「…何故、あの家に?」
「…道を歩いていたら、急に馬車に乗せられてね。…後は、わかるでしょ?」


