なせばなる、かも。

なせばなる、かも。

E.St.1


           1 今日子の初恋

 今日子は、モニターに映し出された自分の姿を、一心にモデルチェンジしていた。

21世紀になってインターネットの普及はめざましく、もう幼稚なペットなどでは満足できない人々は、自分自身を読み取らせ、画面上で自分の好きなようにその姿をモデルチェンジする事を思いついた。
当然、どんなに体型に自信の無い人でも、スーパーモデルのようになれるし、その姿のままチャットも出来るのだ。チャットルームは、もはや文字を送信し合う物ではなく、画面上の部屋に、自分のモデルを入らせて、リモコンのように自由に動かせるものとなっていた。

 ところで、今日子がこんなに夢中になっているのには理由があった。初めてチャットに参加した時、あまりにも理想的な男の子を見つけてしまったのだ。

「このままでは絶対振り向いてもらえないわ。」

今日子はその日のチャットを無難に切り抜けると、急いでモデルチェンジを図っているのだ。

「明日もおしゃべりしに来るかしら。」

画面上に出来あがった髪の長い色白の女の子を見つめながら、今日子はつぶやいた。

 翌日月曜日は登校日だった。今日子は月曜日が大嫌いだ。昔は毎日学校に通っていたものだが、今は週に2度、体育と音楽、それに調理実習や理科の実験のために学校に集まるようになっていた。月曜日は体育と音楽があるのだ。小太りなその身体を持て余して、今日子は深いため息をついていた。

「ねえ、今日子。今週のオンライン17観た?」

芙美が声を掛けてきた。

「あれ、もう送信してきたの。昨日はちょっと忙しくてメールの受信もしてなかったんだ。」
「なあんだ。びっくりするわよ。ペットモデルがいっぱい載ってて、インストールすれば誰でも自分のモデルに使えるんですって。」

芙美はパッと見、おとなしそうな印象を持っているが、実は内側に結構しっかりしたやや過激な性質を持っていた。芙美のそんな性質が、このような会話の中でちらりと顔をのぞかせるのだと今日子も知っていた。
親友の今日子でさえ、極最近までその事に気付かなかったのだ。しかし、先日芙美の家に遊びに行って、彼女のモデルを見て凍りつくほどの衝撃を受けたのだった。いつも上品な白いブラウスに、決して短くなり過ぎない上質のスカート姿の芙美だが、そのモデルは、水着より露出度の高い黒い皮の衣装に身を包み、真っ赤な口紅と高いヒールの靴で子悪魔な笑みを浮かべていた。袖口のきれいなレースを揺らせながら、芙美はその子悪魔なモデルを思うように動かして楽しんでいたのだ。

「帰ったら早速遣ってみるね。」

手早く体操服に着換えて、今日子と芙美は体育館に急いだ。


 学校から帰ると、今日子は早速メールを開いた。オンライン17は、ティーンを中心に絶大な支持を受けているメールマガジンだ。そこで今日子はあるモデルを見つけた。

「あっこれ! 昨日チャットで会ったシオン君だ。」

今日子は一瞬マウスを動かす手を止めてしまった。

「うそ、こんなに簡単にできちゃうの?じゃあ、昨日のシオン君も、彼本人に手を加えたものじゃなかったんだ。」

今日子は途方に暮れたようにそうつぶやいた。それでも諦めきれずに昨日作ったモデルを使って、今日子はチャットに参加した。案の定、チャットルームには昨日のシオン君と同じモデルで溢れていた。女の子もさっきのメールで見たことがあるようなモデルばかりだった。 


tokio― 君は、オンライン17を使わなかったんだね。とてもかわいいけど、自分でやったの?
kyoko― ええ、確かに17のペットモデルはかわいいのがいっぱいあったけど、私はこのモデルに愛着があるから、このままで良いの。

「この人も17を使わなかったんだ。でもごく普通の男の子だわ。何処もかえてないのかな。」

今日子は素朴なそのチャットルームの男の子を見て、なんだか必死でモデルチェンジをしていた自分が恥ずかしくなってきた。

kyoko― 私、本当はこんなにかっこよくないの。だけど、自分のコンプレックスを全部取り外して、自由に友達を作りたかったの。
tokio― それは、皆同じなんじゃないかな。僕もやり始めた頃は一生懸命モデルチェンジしてたよ。 でも...
kyoko― でも?
tokio― いや、何でも無いよ。ところでkyokoはよくこのチャットルームに来るの?
kyoko― 最近遣り始めたところだけど、時間のある時は来るようにしています。
tokio― もしよかったら、君のメールアドレス教えてもらえないかな。このチャットルームの管理人さんに頼めば、預かってもらえると思うんだ。
kyoko― ええ、だけど。私、まだ誰ともメールで話した事無いから....。
tokio― そう、じゃあ僕もまたここに来るよ。君となら素直に話しが出来そうな気がするんだ。それじゃあ、またね。

tokioは、kyokoに手を振って部屋を出て行った。

今日子は画面を閉じて、深い溜息をついた。

「昨日のシオン君は軽くて楽しい子だったな、流行にとても敏感で。でも本当に会いたかったのは、トキオ君みたいな人だったのかもしれない。それなのに、またチャンスを逃しちゃったみたいだなあ。こんな私と本当に友達になってくれるのかな。」

窓ガラスに映る自分の姿に、今日子は尋ねてみた。肩までの中途半端な髪、ふっくらした頬、腫れぼったいまぶた、いつも自信なさそうに歪んだ眉、今日子は改めてため息をついた。

 「今日子、芙美ちゃんから電話よ。」

階下から母の声がした。

「まったく。今時めずらしいわよね。自分の部屋に電話の子機も無いなんて。」

今日子は誰に言うともなく、口にした。

「そんな事言わないの。テレビや電話をワザと一台しか置かない事で、我が家はよそのお宅よりずっと家族が仲良く成れているのよ。母さん、お父さんのこの考え方、正しいと思うわ。」

今日子の母は、気にする様子も無く笑ってそう言った。

「もしもし、芙美?おまたせ。」
「いえいえ、今日子んちのレトロ振りには慣れてますから。それより、これからApurのバーゲン行かない?」

Apurは最新の流行通信スポットだ。巨大なビルの中に、服や生活雑貨、OA機器などが揃っている。芙美は当然服を買うつもりなのだろう、しかし、今日子は自分の体型に強いコンプレックスを持っているので余りそのようなところには興味が無かった。渋っていると、芙美がどうしても今日子を連れて行きたいところがあるからと言い出した。

「とにかく、行きましょ。ね。」

芙美の強引なまでの誘いに、今日子は思わずうんと言ってしまった。


 Apurの前は、案の定大変な人込みで、おまけに最新のファッションに身を包んだ若い子ばかりがたむろしていた。

「どうしてもこういう場所にはなじめないのよね。」

芙美に手を引かれながら、今日子は小さな声でつぶやいた。芙美が連れてきたのは一軒の自然食品の店で、奥にはダイエットにも絶大な効果を発揮すると言われるやせ薬がいくつも置かれていた。今日子は芙美の顔を覗った。

「今日子、今だから白状するけど私、ちょっと前までもっと太ってたのよ。でも、これ飲んだら3ヶ月で8キロ痩せられたの。食事も普通に食べられるしムリな運動もしなくていいの。リバウンドも無い事は私を見てくれればわかるでしょ。」

芙美にはめずらしく、言いにくそうに言った。

「芙美。」

とまどう今日子に芙美は続けた。

「体型がどうとか、関係無いと思うのよ。だけど、今日子があんまりコンプレックス持ってるから、何とかしてあげたくなったの。
まるで、...まるで、昔の私みたいだから。今日子は良いところいっぱい持ってるわ。明るいし、優しいし、何にでも前向きだし。でも、後少しのところで1歩を踏み出せないのは、そのコンプレックスのせいだと思うの。」

今日子は胸が熱くなるのを感じていた。

「芙美、ありがと。私がんばってみるね。」

今日子は「スリミック」と書かれたそのビンを手にとって、レジに進んだ。そして、顔を上げたとたん、凍りついたように固まってしまった。

「トキオ君?」

目の前でレジを打っているのは、紛れも無くtokioだったのだ。

「はあ?どうかしましたか?」

店員は不思議そうな顔をして今日子を見た。

「あの、tokioって言うネームでチャットルームに参加していませんか?」

今日子は勇気を振り絞って聞いてみたが、店員は不思議そうに首を横に振るだけだった。

「すみません。あんまり似てたのでつい。」

今日子はお金を払いながらバツが悪そうに言った。

「ありがとうございました。気にしないで下さい。そんなに似てたのなら、誰か僕の友達が悪戯して僕のモデルを使ったのかもしれません。そいつ、貴方に何も失礼な事しなかったですか?」

店員はにこやかに言った。

「ええ、とても感じのいいひとでした。ごめんなさい。人違いして。」

今日子はそう言うと、店を後にした。

 今日子がさっきのショックからまだ立ち直っていない内に、彼女の肩を叩く者がいた。振り向くと、ふくれっつらした芙美がいた。

「私、まだそのトキオ君の事聞いてなくってよ。」

余りのショックで芙美の存在すら忘れていたのだ。

「ごめーん。そこの喫茶店でケーキおごっちゃうから許して。」

2人は笑いながら店の中に入っていった。

 「ふーん、チャットでねえ。でもさっきの店員さん、うそついてる様子もなかったし、やっぱり人違いなんじゃないかしら。」

同じようにチャットをしていても、入る部屋が違うとその場の雰囲気も随分違うらしく、芙美にはぴんと来ない様子だった。

「うん、だけど。」

今日子は何故か引っかかる物を感じていた。

『どうしてだろう、どうしても今の店員さんを人違いとあっさりかたずけてしまえない気がする。』

考え込む今日子に芙美が気の無い様子で言った。

「今日帰ったらそのtokio君に聞いてみたらどうかしら?Apurの自然食品の店でお仕事している山本君って人は貴方ですか?って。」

だが今日子の反応は大きかった。

「ええ、さっきの店員さんの名前覚えてたの?名前聞けば良かったって思ってたのよ。芙美って結構抜け目無いね。」
「あら、ケーキもう一つ追加しちゃおうかしら。」

芙美は今日子ににじり寄って悪戯っぽく笑った。


 しばらく他愛の無い話をしていて、芙美は店の外にギャラリーが出来ているのに気付いた。

「ねえ、今日子。なんか外の女の子達、こっちを見てるんじゃないかしら?」

芙美に言われて今日子も窓の方を見てギョッとした。

「ええ、どうなってるの?」

2人が顔を合わせたとき、外にいた女の子の歓声が聞えた。
「ああ。あれ、作家の佐々木時郎さんよ。かっこいいわあ。」

佐々木時郎とは、最近急に出てきたおしゃれな恋愛小説の作家で若い女の子達の間で大変人気の高い人物だった。背も高くスタイルよく、顔もすっきりとした正統派の美形で、グラビアのモデルもやったりしていた。
芙美は振り向いて息を飲んだ。彼女達のすぐ後ろで、佐々木時郎が紅茶を楽しんでいたのである。その横で彼の秘書らしき女性が映画のワンシーンのようにノートパソコンを開いて何やら打ちこんでいた。何処から見ても隙一つない二人だった。

「トキオ?まさかね。」

今日子がぼんやり2人を見ていると、堪り兼ねたように佐々木が声を掛けてきた。

「お嬢さん。私に何かご用ですか?」

穏やかなその声にハッとした今日子がそばかすだらけのその顔を真っ赤にしてあたふたと謝った。

「あ、ど、どうもすみません。余りおキレイだったのでつい。」

佐々木はにこやかに「あまり、人の顔をじろじろ見ないで下さいね。失礼ですよ。」と言った。

「ごめんなさい。」

今日子は素直に謝って、きちんと座りなおして大人しくケーキを食べ始めた。

「先生、お時間です。」
「うん、わかった。」

佐々木と秘書は、さっさと店を後にした。二人が出て行くのを見送ると、今日子と芙美はハアッと深い溜息とついた。

「なんか、美形って苦手なのよね。こっちを見られるだけで息が苦しくなっちゃうわ。別になんとも思ってないのに、僕に気があるんだろなあんて、そんな感じで失礼しちゃうわ。」

芙美の意見に今日子も同意していた。



 もう何回目かの電話を取り上げて、秘書の女性は溜息をついた。
「また山本様ですか。先ほどから申し上げております通り、先生は只今執筆中ですので、どなた様のお電話もお取次ぎできません。何度お電話頂いても無駄です。今日は先生の新作の締切日なのです。お仕事が一段落したら、先生からお電話頂くように申し伝えますので、今日のところは何卒ご了承下さい。」

言い終わると同時に回線を切ってしまった。

「畜生、佐々木の奴。この前は久しぶりなんて馴れ馴れしく家に上がりこんで、珍しいなと思ってたんだ。結局、僕のモデルのコピーを取るのが目的だったのか。」

山本は、電話を睨みながら悔しそうに言った。

「だけど、どうして僕のモデルなんかでチャットしてたんだろう。今日のお客さんの話しだと、悪い印象も無かったようだし、悪用してたわけじゃなさそうだしな。」

山本は考えがまとまらないまま、もやもやしていた。ただ、はっきりしている事は、卒業してそれぞれの仕事が忙しくなっても、親友としての絆は変わりないと思っていたのに、悩みも打ち明けずに自分のモデルを使った佐々木に、歯がゆさを感じていることだけだった。



 家に帰った今日子は早速、チャットルームを尋ねた。しかし、tokioの姿はなく、今日子も早々に引き上げた。

「今日は、こなかったのかな、トキオ君。」

今日子はぼんやりと今日の山本とのやり取りを思い出していた。

『自分はtokioじゃないって、はっきり断言してたのに、迷惑掛けませんでしたか、なんて気を使う辺りがなんとなくトキオ君っぽい気がするんだけどなあ。』

しばらくモニターを眺めていたが、今日子はふと芙美に教えてもらった薬の事を思いだし、今日から早速試してみることにした。



 Apurのバーゲンに行ってから1週間が過ぎていた。薬の効果はまだ出ていなかったが、今日子は根気よく続ける決意をしていた。買っておいたやせ薬がなくなったので山本のいる店に遣ってきたのだ。

「こんにちは。この前はすみませんでした。」
「ああ、いらっしゃい。その後、僕のそっくりさんとは連絡取れましたか。」
「ええ、あの日は、チャットに参加してこられなかったんですけど、先日久しぶりですねって。 でも、山本さんの事どうしても言い出せなくて。」
「そうですか。やっぱりあの日は時間が無かったんだ。」
「え?」

山本の言葉に驚いて顔を上げる今日子だったが、山本は急いで話しを反らせた。

「今日は何を?」
「前に頂いたスリミック、また頂けますか。」

山本は奥の棚からビンを持ってくると
「絶対効くってお客さん達からは言われてるんですよ。がんばってくださいね。」

山本はそう言ってレジを打ち始めたが、ふと顔を上げると、

「でも、そんなに太ってるって気にするような体型じゃないですよ。ぽちゃっとしてて、かわいいんじゃないかな。あ、いや。失礼しました。」

山本はつい口が滑って真っ赤な顔になった。それを聞いた今日子も、真っ赤な顔でお金を払うと、「また来週来ます。」とだけ言って急いで店を出た。

 Apurをでて駅に向かう道を、足が道路から浮いているような気分で今日子は歩いていた。耳の先がじんじんするほど火照っていた。何をどうしていいのか、もう今日子にはわからなくなっていた。

「とりあえず、家に帰ってミルクティーでも飲もう。」

 その頃、山本は自己嫌悪に陥っていた。

「あーあ、またやっちゃったよ。思ったこと、すぐ口に出しちゃうんだ。素直過ぎるというか、ばかと言うか。結構気に入ってたのにな、あの子。」

山本は天井を見上げて深い溜息をついた。

『昔からずっとこうだったんだ。幼馴染で親友の時郎は、背も高くて顔も整ってたし、女の子の扱い方も上手だったから彼女が居ないときが無いくらいだった。それなのに僕はちっとも彼女ができない。
暇を持て余して勉強してたお陰で、薬学部にも入れたけど、社会人になってふたを開けてみれば、時郎は売りだし中の若手作家さん、僕は小さな店の店長。何を遣ってたんだか。』

山本はちょっと自嘲的に笑った。

『あいつは何をかんがえてるんだろ。僕のモデルなんか使わなくても素のままで充分もてるだろうに。今夜、もう一回電話してみるか。』

 山本が佐々木を捕まえられたのは、夜9時を廻ってからだった。

「なんだよ。太一から電話貰うなんて久しぶりだな。」

わりびれた様子も無く、佐々木は明るく言った。

「久しぶりなもんか。この間は何度電話しても捕まらなかったし、あの秘書の人、後で電話させますなんて言ってたのに、掛けても来ないで。」

山本はむっとしたように言った。

「ごめんごめん。彼女、見栄えはいいんだけど、性格に難ありなんだ。太一から電話があったなんて、聞いてなかったんだ。それより、今からちょっと飲みに行かないか。久しぶりにさあ。」

2人は近所の居酒屋で待ち合わせた。しばらく近況報告などで盛りあがった。相変わらず、佐々木は作家業が忙しいのに女の子達と遊ぶ事にも余念がないし、山本は仕事の話しを熱弁していた。
それぞれ全然違う話をしているのに、何故か2人にはそれが楽しくて仕方がない様子だった。強いて言えば、お互いが各々のキャラクターを貫いていることが嬉しくもあり、頼もしくもあるといったところか。

ふと沈黙が訪れた時、山本が口を開いた。

「なんで僕なんかのモデルでチャットしたんだよ。」

佐々木は視線を落としてしばらく考えていたが、決心したように話し出した。


「俺な・・・。こんな話したら太一に笑われるかもしれないけど、もう女の子達と恋愛ごっこするのに疲れたんだ。俺の周りには、そりゃあ見栄えのいい女の子達がたくさんいるけど、本当に心を許して付き合える子は一人もいないんだ。もし、俺がここで醜態をさらけるようなことが起こったら、たぶん一人残らず俺の元から去って行くだろう。でも、俺が本当に求めているのは、そんな関係じゃないんだ。わかるだろ。」

山本は佐々木のあまりにも意外な言葉に驚いていた。

「僕、時郎は何をやってもソツ無くこなすし、女の子達にも不自由してないし、やりたい事をやりたいようにやっててうらやましい奴だと思ってたよ。」

佐々木は首を横に振って自嘲するように笑った。

「とんでもない。ちょっと感じのいい子だなって思って付き合い始めると、とんでもなくわがままだったり、俺のネームバリューが目当てだったりでさ。今まで一度も太一に言わなかったけど、俺、1度だけ本気で人を好きになったことがあったんだ。お前も知ってる子だよ。中学2年の時同じクラスだった、木村 直子ちゃん。」

佐々木の話に、山本は耳を疑った。木村 直子は、山本が生涯たった1度だけ告白された相手だったのだ。当時、田舎から引っ越してきた彼女は、真っ赤なほっぺたをした素朴な女の子だった。普段は物静かで目立たないが、笑うとえくぼが出来て、独特の雰囲気を持ったかわいらしい子だった。
しかし奥手の山本は、女の子に告白されたと言う事実だけでパニックに陥り、まともに返事もできずに逃げ出していた。

「あの、木村さん?」

山本の驚き様に、はにかんだように笑いながら佐々木は続けた。

「そう、あの木村さん。素朴で、悪気がなくて、素直で。だけど、俺が告白したら彼女泣き出してさ。貴方みたいにもてる人が私を好きになるはずが無い。お願いだからからかわないでって、言われちゃったんだ。
それでも、がんばって何度が彼女に話しかけたんだけど、終いには彼女に諭されてさ。いくら言ってこられてもOKは出せません。私には好きな人がいます。振られても、嫌われても、ずって見守って行きたい人がいます。だから、貴方も貴方に見合った人を見つけてください、だってさ。その後だよ。彼女がお前に告白したって噂を聞いたのは。」
「だけど、今更僕のモデルを使うことは無いだろ。時郎は木村さんに会いたくてやっていたのか?」

山本は佐々木のグラスに酒をついでやりながら言った。佐々木はそのグラスをじっと見つめていたが、ぐいっと飲み干すと

「違うよ。だけど、贅沢な話しだと思うかもしれないけど、ときどき自分のこの顔やスタイルが邪魔に感じる時があるんだ。俺は本心で向き合いたいのに、相手は外見ばかりを気にしてしまう。それで、太一の事を思い出したんだ。
かっこつけすぎて、身動きが取れなくなった自分から逃げ出したかったんだな、きっと。悪かったと思ってるよ。お前に無断でモデル使ったりして。」

今度は佐々木が山本のグラスに酒を注いだ。山本は佐々木から銚子を奪い取ると、佐々木のグラスにも酒を注ぎながら言った。

「なんだよ。水臭い奴だな。僕達親友だろ。もっと早く話してくれれば良かったのに。」

2人は乾杯して楽しい時間を過ごした。


 帰り際、佐々木はふと言った。

「あのさあ。今お前のモデルでチャットに行くと、とっても感じのいい女の子がいるんだ。もし、彼女がOKしてくれたら、1度実際に逢って本当の事を話してみようと思うんだ。」
「そうか。」

佐々木の言う女の子が今日子である事は山本にもすぐにわかった。動揺する気持ちを佐々木に気付かれなかったかと、ちょっと気にしながら山本は佐々木を見ていた。
佐々木は、長年のもやもやが晴れた様に、すっきりした顔で手を上げると、「じゃあな。また機会があったら飲もうぜ。」と言って帰っていった。


 家に帰っても、山本は落ち着かない気分だった。

『どうしよう。このまま佐々木があの子に告白する事になったら、到底勝ち目はないな。』

山本はあきらめムードでぼんやり壁にもたれていた。

「来週も彼女は店に来てくれるだろうか。」

机の上の小さな時計が、今日は妙に大きな音で時を刻んでいた。



 今日子が机に突っ伏して考え込んでいると、突然ドアが開いて母が顔を出した。

「今日子、熱でもあるんじゃないの?今日は帰ってからずっと変よ。今年は風邪の当たり年だって、ニュースでも言ってたわ。早く寝なさい。」
「はーい。」

今日子は素直にベッドに潜り込んだ。それでも、今日の山本の言葉が頭の中でぐるぐる廻っていた。

『あんな風に見てくれる人もいるんだ。私、がんばろう。』

思い出すとまた、顔が火照ってきた。眠る前にスリミックを飲んで、そっと体重計に乗ってみた。

「あ、減ってる。1キロだけど、減ってる。」

今日子は嬉しくなってもう1度布団に飛びこんだ。


「私、がんばるからね。山本さん。」

小さな声で言ってみた。何だか嬉しいような恥ずかしいような不思議な気分だった。

 それからしばらく、今日子はチャットに姿を表さなかった。モデルの山本がモデルの今日子に話しかけているのをモニターで見ているより、本物の山本に自分自身が話しかけてもらう方が嬉しい事を、今日子は実感していた。

買い物に出かけても、友達と遊びに出かけても、いつも何処かで山本を意識している自分がいた。

 -それは恋ね。今日子も遂に、恋する乙女になったんだわ。うまく行くといいわね。-

余りに様子が違うので、心配した芙美がメールを送ってきたのだ。かいつまんで事情を話すと、上のような返事が返ってきたのだ。

「恋?」今日子には、思いつきもしなかった言葉だった。

「そうか。これが恋する気持ちなんだ。どきどきして、そわそわして、嬉しいような不安なような。どうせ、私なんか誰も相手にしてくれないって、思い込んでたから気が付かなかった。」

改めて口に出して言ってみると、胸のあたりがキュンとなるのと感じた。

 翌日は、朝から雨模様だった。湿り気のある穏やかな空気が町中を包んでいた。学校の最寄の駅で待ち合わせて、芙美と今日子は学校へむかった。

「それにしても、いやな雨よね。何も登校日に降らなくてもいいのに。折角キレイにカールしてたのに髪が台無しだわ。」

芙美はきれいな栗色の髪を気にしながら言った。

「芙美はクセ毛だから、気になるのね。でも、キレイにまとまってるよ。」

今日子の言葉に芙美はホッとしたように納得して歩き出した。

「でも、雨の日がこんなに気持ちいいなんて、気がつかなかったな。」

「へ?」芙美が驚いて今日子の顔を見た。

「あれ?おかしいかな。なんか、こう、潤った空気が胸に染み込むような、そんな感じ、しない?」

芙美はゆっくり首を横に振ると、「重症ね。」とつぶやいた。

「ところで、あのチャットのそっくりさんはどうなったの。あれから話しは進んだのかしら?」
「ううん。あれからチャットに参加する気がしなくて、ちょっとご無沙汰してるの。」
「そう。でも、今日子がそんなに恋してるなら、そのチャットの人のこと、気にならない?明らかに山本さんのモデルを使ってたんでしょ?」

芙美は今日子の顔を覗き込んで言った。

「うーん、やっぱり確かめた方が良いのかなあ。」

今日子はちょっと迷っていたが、「今夜思いきって聞いてみるわ。」そう言うと、いつもの元気で学校に入っていった。


 学校の帰りに、今日子は山本の店に寄った。

「こんにちは。また、スリミックいただけますか。」

今日子は照れくさそうに言った。

「いらっしゃいませ。ありますよ、ちょっと待ってください。」

山本もなんとなくそわそわしているようだ。店の奥にスリミックを取りに行きながら、山本は自分に気合を入れた。

『今日言わなくちゃ、来週には時郎に彼女を取られちゃうぞ。』

そして大きく深呼吸すると、店のほうに遣ってきた。レジを打ちながら、周りに客がいないかチラッと確かめて、山本は思いきって言った。

「あの。明後日、店が休みなんだけど、ちょっと時間貰えないかな。」

今日子は、思いも寄らない山本からの誘いに呆然としていた。

「あ、やっぱり迷惑だったかな。1度、ゆっくり話しがしたいなって思ってたんだけど。」
「そんなことない。私も、同じ事考えてたから。」

そこまで言うと、緊張の余り目が合ったまま今日子は動けなくなってしまった。

「じゃあ、明後日この店の前で。11時ごろでいいかな。」
「はい。わかりました。」

なんとかお金を払い終えると、右手と右足が一緒に出るぐらい緊張して今日子は店を後にした。その後ろで、山本が大きくガッツポーズをして喜んでいた。
今日子が店を出てしばらく客足が途絶え、山本は少しずつ落ち着きを取り戻していった。
そうなると、今度は佐々木に抜け駆けしたような気分になって、山本は陳列の手を止めて考え込んでしまった。

『これで、良かったんだろうか。佐々木は素直に彼女の事話してくれたのに、自分だけ先にデートの約束取りつけたりして。』

考え込む山本の脳裏に、さっきの今日子の言葉が響いた。『私も、同じ事考えてたから。』山本はすっくと顔を上げ、自分に言い聞かせた。

「そうだよ。彼女も僕と話したかったって言ってくれたんだし、これで良いんだよな。」

山本は鼻歌を歌いながら、仕事を再開した。

 家に帰ると今日子は自分の部屋に飛び込んで「ばんざーい。」と叫んだ。

「何着て行こう。そうだ。芙美に相談してみよう。」

今日子は早速芙美にメールを送った。ほどなく返事が返ってきた。

―やったね。おめでとう!!いつも通りの今日子で良いと思うよ。寝不足しないように気をつけて。だけど、それなら余計に、山本さんのそっくり君のこと、はっきりさせたようが良いんじゃない?― 

「そうか、トキオ君のこと忘れてた。ちょっとチャットルームに行ってみよう。」

今日子はすぐにチャットへと進んだ。暫くほかの人達と楽しんでいると、運良くtokioがやってきた。

tokio―ひさしぶりだね。kyoko。どうしてたの?風邪でも引いたのかと心配し       てたんだよ。
kyoko-ごめんなさい、心配かけて。実は、tokioさんにそっくりは人に会いました。tokioさんですか?って聞いたら、違います。って言われてしまいました。tokioさん、貴方はどなたですか?

tokio-kyoko、それは聞いてはいけないことだよ。
kyoko-そうでした。ごめんなさい。でも、tokioさんには感謝しています。だって、貴方のそっくりさんとお友達になれたんですもの。

それを聞いたtokioは、呆然と立ち尽くし、言葉をなくしてしまった。今日子は、急に心配になって、尋ねた。

kyoko-tokioさん?どうしました?
tokio-ごめん。なんでもないんだ。それでその人とはデートとかしたの?
kyoko-いいえ、まだ1度も。でも、あさって会う約束してるんです。
tokio-あさって?そうか....。実は、僕も君に会いたいと思ってたんだ。僕、3日後には入院する事になってるんだ。だから、もうチャットもできないね。それまでにどうしても君に会いたかった。君のデートの邪魔はしないけど、彼に会いに行く前に、5分でもいいから僕に時間をもらえないかな。
kyoko-tokioさん...。わかりました。でも、私を見てもがっかりしないでね。

今日子は二日後の10時に駅前の喫茶店で待ち合わせをして、チャットルームを退室した。

「なんだか話しがややこしくなってきちゃったな。結局tokioさんって誰なんだろう。」

今日子は深い溜息をついた。


 瞬く間に2日が経った。今日子はお出かけ用のワンピースを着て、そわそわした気持ちのままでかけていった。
駅前の喫茶店についたのは、10時5分前だった。カラン。とドアベルが鳴って振り向くと、そこには先日芙美と入った喫茶店で見かけた佐々木時雄がいた。

「うそ、tokioさんって佐々木時郎さんのことだったの?」

今日子が呆然と見ている中を、佐々木はどんどん進み、今日子の前で会釈した。

「君が今日子さんですか?」
「はい。あの、ごめんなさい。こんな格好の悪い子で。」

今日子は情けなくて逃げ出したい気持ちだった。

「そんなことないさ。それに、見た目が良くても性格の悪い子とは付き合えないしね。チャットしていて、思ったんだ。何て感じのいい子なんだろうって。だから、どうしても会いたかった。」

印象と随分違う、思いやりの在る佐々木に今日子は驚いていた。

「私、佐々木さんみたいに格好良い人は、私みたいな人間なんか目にも止まらないんだと思ってました。」

今日子が素直に言うと、佐々木は「ひどいなあ、それは誤解だよ。」と優しく笑いかけた。今日子はそっと腕時計を見た。10時30分になっていた。今日子が顔を上げると、佐々木があせった顔つきで、突然今日子の腕を取った。

「出よう。写真誌の記者が来てる。」

慌ててコートとかばんを手に持つ今日子を引っ張って、佐々木は山本の店と反対の方向にどんどん走り出した。

「佐々木さん、何処へ行くんですか。」

走りながら今日子が聞くと、「わからないよ。」と言う返事が返ってきた。
 ぐいぐいと、腕を引かれながら、今日子は困惑していた。

『おかしいよ。明日入院するなんて人がこんなに元気に走れるわけない。それに、もし写真誌の記者に写真取られても、ただのメール友達だって言えば良いだけなのに。』

そんな事を考えている時、ブティックのショウウィンドウに映る、すらっと背の高い佐々木に引っ張られる小太りの中途半端な自分の姿が見えた。その瞬間、今日子の頭の中で何かがプチンと途切れてしまった。

今日子は意を決して佐々木の腕を振り解いた。

「佐々木さん、私、貴方の本心がわからない。遊び半分なら、これ以上私を悲しませないで下さい。、私わかってます。貴方の横で親しげにお話しするには、私は余りにも不釣合いです。もう、ペットモデルを作り変えたりしないわ。さよなら。」

今日子は悔しい気持ちを押さえてそう言うと、急いで山本の待つ店へと向かった。

「待ってよ。」

走り去ろうとする今日子の腕を再び握り締めて、佐々木は無理やり自分のほうに引き寄せた。

「離してください!」

今日子の言葉も聞かず、佐々木は今日子のあごをグッと引き上げ、無理やりキスをした。

「ひどい!貴方にそんな事されても、ちっとも嬉しくなんか無いわ! 私には好きな人がいます。振られても、嫌われてもずっとその人のこと見守って行きたって思ってる。私に構わないで。貴方は貴方に見合う人を探して下さい。」

今日子はそれだけ言うと、もうどっちに向いているのかも判らないまま、ただただ走り続けた。佐々木は、今日子の言葉に少なからずショックを受け、膝を落としてがっくりと頭をたれてしまった。

「何てことしてくれたんだよ。」

佐々木が顔を上げると、怒りに満ちた山本がそこに居た。

「そんな奴だとは思わなかったよ。」

山本は握り締めていたこぶしを佐々木の頬に食らわせて、今日子を追いかけて走り去った。


 駅ビルの非常階段の踊り場で、今日子はぽつんと座っていた。お気に入りだったワンピースは、さっき佐々木ともみ合った時、袖山の縫い目がほつれて、肩が見えていた。

「こんな格好じゃ、山本さんにも会えないよ。」

今日子はそっと腕時計を見た。約束の時間はとっくに過ぎていた。人気のないのを良い事に、今日子は大粒の涙をいっぱいに流した。

「随分足が速いんだね。探すのに苦労したよ。」

ハンカチを差し出しながら、山本が肩で息をしていた。今日子はとっさに「見ないで。」と叫んだ。

「今日の私は最低です。貴方に合わせる顔がないの。」

今日子の横にどかっと座ると、「わかった。じゃあ、あっち向いておくよ。」そう言って山本は今日子に背中をむけた。

「でも。合わせる顔がないのは、僕も同じなんだ。」

少しためらいながら山本が言った。

「さっき、君が佐々木と居るところを、偶然見ちゃったんだ。君の事ちゃんと信用してるなら、普通に声を掛ければ良かったのに、僕、嫉妬しちゃって声掛けられなかった。そしたら、いきなり佐々木があんなこと...。すぐ近くに居たのに、君を助けられなかった。ごめん。僕のせいだ。」

山本はいきなり土下座して謝った。

「山本さん。止めてください、こんなところで。山本さんのせいじゃないわ。私が迂闊だったの。山本さんのモデルを使ってる人の正体を確かめたかったの。それで、佐々木さんが、明日入院するから、もうチャットには来れないなんて言うから、つい。可哀想になって、会う約束に同意してしまって。」
「そうか。アイツ、そんなうそ言ってたんだ。」

山本は悔しそうに言った。

「山本さん、佐々木さんの事知ってるんですか?」
「うん、アイツは幼馴染で学生時代の親友なんだ。この前久しぶりに会って、初めて僕のモデルをこっそりコピーしてた事を白状したんだ。でも、あんな事に使うなんて思ってなかった。」

山本が寂しげな顔をしていると、ぎゅるるっと今日子のお腹がなった。今日子は真っ赤になって謝った。

「今日子ちゃんは正直だなあ。そうだ、これからレストランで食事にしよう。」
「はい。」

今日子は頬の涙をぐいっとぬぐって明るく返事した。

「その前に、ちょっとここで待っててね。」

山本はそう言うと、駅ビルの専門店街に走って行き、ほどなく帰ってきた。そして、手に持っている包みを今日子に差し出した。

「僕からのプレゼント。受け取ってください。」

今日子が嬉しそうに受けとると、「開けてみてよ。」と急かした。中には、きれいな春色のスカーフが入っていた。

「わあ、きれい。」

驚いている今日子に、山本はそっとそのスカーフを掛けてやった。今日子のワンピースの袖山がさりげなく隠されて、山本はホッとしていた。

「君のイメージで選んだんだ。気に入って貰えたかな。」

今日子は嬉しくて目にいっぱい涙を溜め、山本に抱きついた。

「ありがとう。すごくすごく気に入りました。」

今日子がそう言い終わらない間に、またお腹がぐうっとなって、2人は思わず噴き出して笑った。


 レストランで食事を済ませると、2人は遊園地に出かけてめいっぱい楽しんだ。遊びつかれてベンチに座り込んだ時、今日子はふとつぶやいた。

「山本さんって、私の思っていた通りの人ですね。思いやりがあってやさしくて、でも自分の意見もちゃんと持ってる。」

山本は、「そうかな。」と照れくさそうに言った。

「でも...」

今日子が言いよどんでいるので、山本はじっと今日子の次の言葉を待っていた。

「でも、最初に山本さんをそんな風なイメージで見てたのは、佐々木さんが作った山本さんのコピーモデルとお話ししてたからじゃないのかなって思うんです。佐々木さんって、見た目はかっこいいけど、中身は山本さんと正反対。だから...」
「だから?」

山本は今日子の言葉の真意がわからず聞きなおした。

「だから、羨ましかったんじゃないかな、山本さんの事が。私、そんな気がします。」

山本は首を傾げていた。

「アイツが僕の事なんか羨ましがるかなあ?」

そう言ってから、前に佐々木と飲みに行った時のことを思い出した。山本の心から、佐々木に対する怒りが消え、少し心配にさえなってきた。

「後で、電話でもしてみるか。今日子ちゃんは偉いな。あんな目にあったのに、佐々木の事そんな風に見てやれるなんて。」

今日子は首を横に振った。

「ううん。あの時は必死だったから、そんな事考えられなかったんですよ。山本さんと居ると、とっても落ちつくし、優しい気持ちになれるから。」
「嬉しかったよ。君が佐々木に言った言葉を聞いたとき。強くなろうって思った。」

山本は、そっと今日子の手を握るとまだ頬を火照らせたまま言った。

「アイスクリームでも食べようか。」
「うん。」今日子も元気に答えた。

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