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化粧というと、皮膚の表面に塗り付けるものというイメージから、悪者視される事があります。賛成派、反対派、共にそれなりの理論が用意されているようですが、私はどちらかというと賛成派です。昨今の紫外線量や排気ガスをはじめとした化学物質、皮膚の乾燥など、さまざまな要因を考えると、防御の一環として考えた方が良いと思うからです。 その防御のはずが場合によっては害となるという、気になるレポートが出されていました。ファンデーションや化粧水、美容液など、幅広い化粧品の防腐剤として使用されているメチルパラベンに、紫外線が当ると皮膚細胞の老化を進める作用を発生してしまう事が、京都府立医科大生体安全学講座の吉川敏一教授の研究で明らかにされています。メチルパラベンは一般的な化粧品の防腐剤として、安全性が高いものと考えられていただけに、今後注目を集めそうな研究結果とも言えます。 メチルパラベンは抗菌作用が強く、その一方で皮膚への刺激が少ない事から、化粧品への添加物として広く使われています。紫外線をカットする目的の「日焼け止め」にも使用され、単体での安全性は確認されてきましたが、紫外線による連携作用までは考慮されていませんでした。今回の研究では、皮膚の細胞「ケラチノサイト」に通常の使用方法で皮膚が吸収する濃度のメチルパラベンを添加して、夏場の平均的な紫外線量である1平方センチメートルあたり30ミリジュールの紫外線を照射しました。 紫外線照射後、皮膚細胞「ケラチノサイト」の死亡率は、添加していない場合が6%だった事に対し、添加した場合は19%と高くなっていました。紫外線によって酸化した細胞内に「脂質か酸化物」が発生し、通常の場合の3倍もの量になっていたと言います。この脂質か酸化物が老化の元凶となり、シミやシワを増やす事となります。シミ、シワを防ぐ目的で使うものによって、シミ、シワを増やしてしまうというのは本末転倒な感じですが、日焼け止め無しに直射日光を浴びるのは、かなり危険な事のように思われます。基本は直射日光を浴びない事ではないでしょうか。
2005年08月31日
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グローバル化という言葉を聞くようになって、かなりの時間が経過したように思えます。世界が身近になった事は、これまで考えられなかったさまざまな事件、事故を起こしてしまう事にも繋がります。ちょうど10年前、日本には棲息していないはずの毒蜘蛛「セアカゴケグモ」の存在が、臨海部を中心に広く確認された事は、大きな話題となりました。その後、セアカゴケグモの棲息は、着実に広がりつつあると言われ、日常的な被害を発生させてしまうところにまできています。 先日、大阪府の発表で岸和田市に住む57歳の女性が、セアカゴケグモに咬まれ、ケガを負ったという発表がされていました。午前7時頃、左肘に痛みを感じ、起床してみると枕元に蜘蛛を発見。捕獲して病院へ持参し、治療を受けたとの事で、女性の自宅近くを調べたところ、側溝や公園などで300匹を超える蜘蛛が見つかり、駆除が行われました。 セアカゴケグモは体長約1cm、その名の通り背中(本来は腹部)に赤い模様があり、一見してそれと判る外見をしています。ゴケグモの名前の由来は、交尾の後、メスがオスを食べてしまうという伝説に基いているそうですが、実際はそうした習性はなく、共食いをする際は雌雄の関係はありません。メスの大きさがオスの3倍以上もあり、寿命もオスの2週間に対しメス10ヶ月もあるため、発見されるのがほとんどメスだけという状態が、そういう話に繋がったのだと思われます。本来は熱帯から亜熱帯に分布し、日本へは輸入資材等に付いて入ってきたと考えられています。 セアカゴケグモの毒は神経毒なので、咬まれると激痛を伴いますが、それによって死亡する事は極めて稀と言われています。また毒に対抗する抗毒素血清は、咬まれた後24から48時間でも有効に作用すると言われているので、慌てず治療を受ければ大丈夫だと思われます。老人や乳幼児の場合は、症状の進行が早く、注意が必要と言われています。温暖化の影響で、生態系も微妙に変化してきている中、有害動物の思わぬ侵入には、今後頭を悩ませるような事にならないよう願っています。
2005年08月30日
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最近、直径5cm程度の小さなタマネギを、「万能タマネギ」と称して販売されているのを見かけます。ネギの小型「小ネギ」を万能ネギとしている事の例に倣ったのでは、と勝手に想像しているのですが、料理の中で、タマネギを半個使う事が多く、使い残しが出る事を考えると、半個が1個に当る事は確かに便利なものかもしれません。 通常売られているタマネギは、皮の色で大きく分けられ、黄タマネギ、白タマネギ、赤タマネギの3種に分けられます。日本は米国に次いで世界第二位の生産量を誇っているので、タマネギ大国としてさまざまな種類のタマネギに出会う事ができます。普通にタマネギというと黄タマネギの事を指し、光沢のある淡い銅のような色は、いたるところで見かける事ができます。 そんなタマネギの中で、小玉のものというと最近需要が伸びているペコロスがあります。直径が3~4cm程度の小ぶりのタマネギで、普通の黄タマネギと同じ面積に10倍以上の苗を植える事で、全体を小ぶりに仕上げています。かつては、玉太りの良くないタマネギをペコと呼んだ事が語源とも言われますが、ピクルスがなまったという説もあります。シチューやピクルスなど、そのままの姿で使われる事が多い品種でもあります。更に小さいものとなると、パールオニオンがあります。パールオニオンは、白タマネギの品種に属し、収穫時期や栽培方法の違いから1~2cm、ピンポン玉大と、大きさの幅があります。 更に小さいものとなると、エシャロットを思い浮かべてしまいますが、実はこのエシャロット、タマネギではないものが含まれています。本来のエシャロットは、2000年ほど前、タマネギから変化したもので、古くからヨーロッパを中心に栽培されてきました。それに対し、日本でエシャロットとして販売されているのは、生育の段階で光を遮断し、軟らかく育てて若採りしたラッキョウで、同じユリ科に属しはしますが、タマネギとは別物という事になります。タマネギは幅広く使え、日持ちも良く、重宝する食材なので、常備菜としてかなり親しまれた食材ですが、最近健康効果が話題になってきています。涙無しには使えませんが、これからも上手に付き合っていきたいものです。
2005年08月27日
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ストレスというと万病の元という感じがしてしまいます。しかし、実は適度なストレスは、身体の健康にとって必要なものとなっています。先日、スペースシャトルの話題が世間を賑わせていましたが、宇宙空間という無重力状態、体重という身体へのストレスがなければ、骨のカルシウムが溶け出し、骨粗鬆症となってしまう事や、繰り返し力を発生させ、筋肉繊維が傷むというストレスをかけなければ、筋肉量が増えない事などは良く知られた事です。 しかし、そうした適度なストレスの発生とは違い、多くの場合ストレスは身体を健全な状態に保つ妨げとなります。ストレスがかかった状況下では、免疫力の低下が見られ、感染症などを発生しやすく、ストレスによる活性酸素の発生は、遺伝子に傷を付けてガンなどの悪性新生物の発生に繋がってしまいます。そうした身体に害を及ぼすほどのストレスでも、実は病気を防ぐ事に一役買っている事が判ってきました。 デンマークの国立公衆衛生研究所のニールセン博士によると、慢性的なストレスは、女性の乳がんの発生リスクを低下させる可能性があるそうです。ストレスが持続した慢性的ストレス下では、ストレスホルモンの活性化が見られ、女性ホルモンのエストロゲンの合成量が抑制されてしまいます。エストロゲンが高値の状態は、乳がんのリスクを高めるので、結果的にストレスが乳がん発生のリスクを低下させる事となります。 ストレスがない女性とストレス下の女性では、乳がんの発生に最大で40%もの開きがあると、今回の分析からは判断されています。ストレスによるホルモン量の抑制が功を奏したと考えられますが、それ以外にもストレス下で血中量が増加するコレステロールも、免疫力を向上させる事に一役かっていると考えられます。乳がんのみに焦点を当てての事なので、よく考えてみるとホルモンバランスが崩れている事や、その他の疾病の発生リスクを考えると、やはりストレスを肯定する気にはなれないものがあります。
2005年08月26日
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春の訪れと共に楽しみにするものがあります。限られた旬の食材、「筍」です。少し遅めの春、ゴールデンウィークの直前の数週間に集中して旬を迎え、「雨後の筍」という喩えに使われるように、短期間一気に大量の筍が地中から顔を出すので、その期間の食卓は筍尽くしとなり、それの期間が過ぎると年間イベントの一つが終了した感じさえします。 通常「筍」というと孟宗竹の筍をイメージしてしまいますが、他にも食用に適した「竹の子」はたくさんあります。身近なところでは、日本古来の竹である真竹や、淡竹(はちく)、根曲がり竹などが知られています。孟宗竹との大きな違いは、エグ味が少なく、地上に出た後も収穫できる事で、孟宗竹ほど探すのが難しくありません。ある程度伸びたところを折る形で収穫する事ができます。 また、収穫時期が孟宗竹よりも若干遅めなので、孟宗竹が一段落してから楽しむ事ができ、味も比較的淡白なので、料理の幅も広く利用する事ができます。中でも根曲がり竹は、山菜として出回る事も多く、孟宗竹とは見栄え、味わいが大きく異なります。竹というよりは笹に近く、東北、北海道が原産地とされる太さ1~2cm、高さは5~15cm程度の筍です。文字通り根元で茎が湾曲するように伸びるために根曲がりと呼ばれますが、寒い地方の原産らしく雪の重みによって根が曲がるとも言われます。 同じような存在としては、正反対の南の鹿児島原産、大名竹があります。筍が非常に柔らかく、硬い物が食べられない大名でも食べられるというところから、その名が付いたと言われ、味は淡白で美味とされています。そうしたさまざまな種類の筍を、収穫時期のズレを利用して楽しみたいと思ったのですが、孟宗竹以外は、収穫時期が判りにくい事があって、今年は見送る事となってしまいました。竹は進化の途上にある植物で、知らないうちに新種が生まれている可能性があると聞かされた事があります。来年までには、もう少し竹について詳しくなっておきたいと考えています。
2005年08月25日
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街中で携帯電話を見かけない日はないと思います。さまざまなメーカーから、さまざまな機種が発売され、新旧も含めかなりの種類が出回っている事と思います。そうした携帯電話は、扱っている通信会社のよって分ける事ができますが、さらに大きな分け方があります。それが通信方式による分類です。 大手3社のうちNTT DocomoとVodafoneは、W-cdmaという方式を採用し、KDDIのauは、cdma20001xという方式を採用しています。このcdma20001xの中で、cdma20001x EV-DOと呼ばれる方式は、800MHzと2GHzの周波数帯を使用しています。この周波数帯は、心臓のペースメーカーや除細動器の正常な作動に影響を与える事が懸念されています。 携帯電話の送信出力を最大にしてペースメーカーや除細動器に近付けると、機器類を制御するペーシングパルスに影響が出るとされ、正常な作動を阻害する危険性が指摘されています。病院内で精密機器類に影響を与える事から携帯電話の使用を遠慮するよう書かれた張り紙は、病院内のいたるところで見る事ができ、広くしられた事となっています。その中にあって800MHzと2GHzの周波数帯は、機器類の発する周波数帯に近い事が、より危険性を高いものとしていると考えられるのです。 今回の調査結果では、影響を与える医療機器と携帯電話との距離は、800MHz帯の場合が8cm、2GHz帯の場合が1cmとなっていました。電磁波は空気という絶縁体の中では驚くほど減衰し、距離の2乗に比例すると言います。現在出されている指針では、医療機器と携帯電話の距離を22cm以上離すとされていますが、充分妥当な指針という事が伺えます。実際の環境下では、電磁波の反響や共鳴など、多くの事が考えられるかもしれませんし、エチケットとしても病院内では使用を避けたい、電源は病院に入る際に切っておきたいものです。
2005年08月24日
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野菜というと健康的な感じがしますが、油で揚げたというと、途端に不健康なイメージになってしまいます。油で揚げるという調理方法は、素材の水分を除いて味を濃厚にする事や、油自体の風味を加え、コクを出すという美味しさを引き出し、際立たせる効果があります。その反面、油が加わってしまう事でカロリーが上がり、消化し難くなるというデメリットも連想されてしまいます。 素材を衣で包み揚げる天ぷらやフライ、フリッターに衣を付けない素揚げ、高温の油はさまざまな素材を美味しく調理する事に貢献してくれます。その中にあってフライドポテトは、世界的に広く食べられている揚げ物料理ではないでしょうか。そのフライドポテトに関する健康への悪影響が懸念されています。 米国、ボストンにあるブリガム & ウィメンズ病院とハーバード大学医学部の共同研究チームによる調査の結果、子供の頃にフライドポテトを日常的に食べていた女性は、そうでない女性に比べ、乳がんになる確率が高いという調査結果を報告しています。看護師で乳がんのある女性582人と、乳がんのない女性1569人を調査したデータに基いて研究を行い、対象者の母親に対象者が3~5歳の間に30品目の食品をどの程度摂取したかという聞き取り調査を行い、分析が行われました。その結果としてフライドポテトを日常食べていた女性は、その後乳がんを発症する確率が、そうでない女性に比べ27%も高いという結果が得られています。 ジャガイモの摂取量と乳がんとの関連性はないという事なので、食用油で揚げる際に生成される飽和脂肪酸、特に最近悪者視されている「トランス脂肪酸」の影響が考えられ、また高温で調理する事から、デンプンの変性物であるアクリルアミドの影響も考えられます。フライドポテトは、日本ではそれほど日常的ではありませんが、欧米では付け合せも含め、かなりの量が食べられています。単純にフライドポテトのみを悪者とする事には疑問が残りますが、カロリーが高いのであまり大量に毎日というのは、かつて一月間のバイトで失った体重を、一週間毎日フライドポテトばかりを食べて取り戻してしまった経験から、お薦めできない事と思っています。
2005年08月23日
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果物や野菜類が美味しい季節というと、何となく夏を連想してしまいます。雨が少ないと水っぽくならず、味が濃くなり、少な過ぎても充分に生育できない、そんな事を日常に天気からも考えてしまう季節です。そうした農産物の味に関しては、「糖度」という一つの指標があります。糖度が高いと甘味が強く、栄養価も高い、そんな感じがしてしまいます。 糖度は、農産物やその加工品に含まれる砂糖分の量を百分率(%)で表した含有割合の事を指します。砂糖を溶かした溶液の旋光度や屈光率を利用したり、比重を考慮して計測します。糖度が高いと、それだけ甘味が強いという事になりますが、それ以外にも酸味やデンプン、水溶性食物繊維など、その他に成分も味には大きく関わってきます。代表的なところでは、タマネギは非常に糖度が高い野菜ですが、硫化アリルなどの辛味成分のせいで、甘いという表現はほとんどされる事がありません。 また、糖度で測定される以外にも、甘味に関する重要な要素があります。果物には、果糖、ブドウ糖、ショ糖といった糖類が含まれ、中でも果糖は砂糖の数倍の甘さを持っています。そうした糖分の割合によって、全糖量は同じでも甘味は大きく異なるものになります。果糖、ショ糖、ブドウ糖の順で甘くなるので、果糖が多い場合と砂糖が多い場合では、糖の量は同じでも甘さは大きく違うものとなってしまいます。 果糖には、それぞれ甘味の異なるα型とβ型があり、β型の果糖はα型に比べて3倍もの甘味を持ちます。果糖量が同じでも、α型β型の比率次第では、甘さに3倍もの違いが生じてしまう事になってしまいます。果物を冷やすとβ型の比率が増え、温めるとα型が増えるだけでなく、酸味の濃度が高まってしまいます。そのため果物は冷やすと美味しくなるのですが、未熟な状態で収穫された果物を冷蔵すると、熟成が止まったり、低温障害を起こす事もあるので、食べる少し前に冷やす事がお薦めです。その際、皮を先に剥いてしまうと水分の流出に繋がるので、食べる直前に皮を剥く事も合せて果物と上手に付き合うコツかもしれません。
2005年08月20日
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本来、マグネシウムは、身体に欠かす事のできない栄養素です。今回は、そんなマグネシウムの必要性について触れてみます。 骨は、カルシウムのみで作られている訳ではなく、マグネシウムやリン、コラーゲン等の栄養素、ビタミンDやビタミンKといった補酵素が必要となります。カルシウムは、日常不足しがちなものとして、積極的に摂取するのですが、そうしたその他の栄養素が不足すると、骨が形成されないばかりでなく、身体活動を維持するために貯蔵庫である骨から溶け出して利用されます。 骨粗鬆症にならないようにと、盛んにカルシウムばかりで、その他の栄養のバランスを欠いてしまうと、かえって骨粗鬆症になってしまうというのは、そうしたメカニズムが関係しています。また、それ以外にもマグネシウムは、重要な役割を持っている事が、最近の研究で明らかになってきています。 痛みの感じ方には、個人差がかなり大きく、同じ衝撃を受けても痛みの訴え方のも大きな違いがあります。かつては、神経の過敏さや精神的な事と考えられてきましたが、痛がりの体質には、マグネシウムが密接に関わっています。骨折等によって手術を受けた患者を対象に調査を行ったところ、人より痛みを強く訴える患者の血液中には、マグネシウムの数値に明らかな違いが見られるそうです。痛がりの患者の血液中では、マグネシウムの濃度が低い傾向があります。これは、痛みが伝達された後、痛みを抑える酵素が活性化し、痛みを抑えますが、その際にマグネシウムが必要となると考えられます。今後の研究では、血中マグネシウムの濃度管理を行えば、これまで過敏だった方は、それほど痛みを感じずに済む事になりそうです。
2005年08月18日
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細菌を体内に摂り込んでください。突然そう言われると、その抵抗感はかなりのものだと思います。でも、それはとても日常的な事なんです、と言ったら、何の事か解らなくなりそうですね。今朝、私はパンを食べました。それも立派に細菌の助けを借りた食品を摂取した事になります。 日常的な食品、味噌、しょうゆ、お酢、お酒、ヨーグルト、パン、納豆、キノコ、これらは細菌という共通項を持っています。日本は、この細菌を上手に食生活に取り入れる事の先進国で、細菌の助けを借りて製造される食品や、細菌そのものの食品もさまざまなバラエティーを持っています。 人間が日常摂取する食品は、大きく3つに分けられます。植物か動物、そして菌類です。細菌というと感染症のイメージが強く出てしまいますが、人間に対し有害な細菌自体は非常に少なく、ほとんどの細菌は無害です。中でも古くから発酵という形で接してきた酵母菌の類は、食材の性質を変えて消化吸収の良い状態にしたり、それまでは含まれていなかった栄養素を作り出したりしてくれます。 最近、食の欧米化によって、伝統的な細菌由来の食品が減ってきています。せっかくの良い食文化ですから、しっかりと残して後世に伝えたいものです。
2005年08月17日
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毎日の生活の中に、意外なほど加工食品は取り込まれています。中には、生の素材とは別な食品としての位置付けを得ているものもあり、そういうものとして大した意識も無く接していますが、元の食材と比べた場合、どういう違いが生じているのでしょうか。 缶詰の食品としてツナ缶は、使用頻度が高い物の一つだと思います。生のマグロと比べると、質感はともかく、意識的にも大きな違いがあります。両者はタンパク質という点では、ほとんど違いはありませんが、脂肪分はオイル漬けの分、ツナ缶の方が高くなります。特に大きな違いとしては、DHAをはじめとする有効成分は、ツナ缶では生の切り身のような効果は期待できません。同じく缶詰の食品として、果物の缶詰と生の果物では、シロップ漬けの分、缶詰の方がカロリーが高く、ビタミンCの含有量という点では、生の方が圧倒的で、缶詰からの摂取はほとんど期待できなくなっています。 加工品の方が優れている食品として、コーン缶詰は生のコーンと比べて栄養価はほとんど同じで、加熱した分、カロチンの量が多くなっています。アサリ貝についても同じ事が言え、加熱処理によって生と比べるとエネルギーやタンパク質が倍になっています。顕著な例として、サケ缶に至っては、骨ごと加工される事から、カルシウムが摂取しやすい状態になっており、生の切り身と比べると、10倍近いカルシウムを得る事ができるようになっています。 手軽さゆえに利用される加工食品ですので、あまり細かな事は考えたくない感じがしますが、使う品目はそれ程多くないので、特性を理解し、長所を生かし、短所を補う工夫をしながら上手に接する事で、より便利な食材とする事ができるのではないでしょうか。
2005年08月16日
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突然横隔膜が痙攣をはじめ、瞬間的に強く息を吸う事から、声帯が痙攣して声門が閉じ、吸気運動が瞬間的に止まりながら特有の声を発してしまう・・・文章で書くとかなり大袈裟な感じがしますが、日常的に馴染みのある「しゃっくり」の事です。時と場所を選ばず、誰にでも起こる可能性があります。 一般的に起こる可能性としては、寒い場所から暑い場所へ移動した時や、急に冷たいシャワーを浴びたり、冷たい水に入ったりという急激な温度変化によって起こる事が多いと言われます。また、熱い物や冷たい物を一気に飲み込んだり、食べ過ぎや飲み過ぎによっても起こります。特に小児の場合、精神的興奮状態やストレスの表現として表れる場合もあります。 原因としては、皮膚全体への刺激や膨張した胃が横隔膜を押し上げるといった物理的刺激、ストレスによる脳からの刺激が横隔膜に達し、横隔膜神経を過敏にしてしまう事が考えられ、それに対処するために民間療法として、多くの手立てが伝えられています。最も簡単なものでは、少量の水を数回に分けてゆっくり飲むものや、目を強く押さえる、息をできるだけ長時間止めるなどがあり、冷たい水や酢を飲む、誰かに驚かせてもらう、舌を引っ張るなどさまざまなものが伝えられています。どれも神経に刺激を与えて、横隔膜神経を安定させるものという点では共通しています。 あまりの止まらない場合は、内科的に精神安定剤や横隔膜神経のブロックなどが行われるそうですが、その必要が生じるほど止まらない場合は、他の疾患が隠れている事もあり、検査を行った方が良いとも言われます。しゃっくりを引き起こす横隔膜の痙攣は、尿毒症、脳腫瘍、脳内出血、神経衰弱といった脳内で刺激を発生させるものや、頸部リンパ節や甲状腺の肥大、肺などの疾患による横隔膜神経への刺激、腸閉塞、腹膜炎、腸閉塞や胆嚢炎といった横隔膜への刺激などが原因として考えられます。しゃっくりといって笑って済ませず、あまりに長い場合は受診される事をお薦めします。
2005年08月13日
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子供の頃、空地に自生する青シソに似た大きさと形の葉に、ごわごわの産毛が生えた雑草をよく見かけていました。遊び方はよく判らないのですが、手を軽く握り、中にその葉を入れて片方の掌で、よく空気が入り込むように勢いよく叩くと、ポンと音がすると言います。よく音を鳴らせなかった事と、葉に特有の臭みがあったので、ほとんど親しんだ印象はないのですが、先日、久々にその葉を見て、何か懐かしいものを感じ、はじめてその雑草の名を知ってしまいました。アオイ科に属し「苧麻(ちょま)」というそうです。 苧麻は、アオイ科の植物がそうであるように、多くの二酸化炭素を吸着する力を持っています。二酸化炭素を吸着し、大気中の量を削減するという事ではケナフが有名ですが、苧麻はそのケナフに匹敵する力を備えていると言われます。二ヶ月もあれば、背丈が2メートルにも成長すると言われるので、それだけ多くの二酸化炭素を必要とするわけです。 苧麻の繊維を利用する歴史は古く、縄文時代の初期には既に利用されていた痕跡や、弥生時代に入ると現代でも再現が難しいほどの高度な織物として愛用されていました。成長が早く、栽培にほとんど気を使う必要がない事。吸湿、発散性に優れて、清涼感のある繊維は、湿度が高い日本の風土に適し、光沢がある繊維は、幅広く愛用されていたようです。 そんな苧麻が新たに脚光を浴びる可能性が出てきました。某大手自動車メーカーが、苧麻の繊維から自動車部品を作り出す技術の開発に成功しました。苧麻からバイオプラスティックの原料を抽出し、部品製造に用いるそうですが、既に苧麻の栽培に適した九州や沖縄の農家への協力も呼びかけているそうで、実現すれば、二酸化炭素の吸収、生分解性の高い部品の普及にも繋がります。元が雑草なので、特に栽培に適した土地では、年間5、6回の収穫が可能と言われます。自動車は、二酸化炭素と切り離す事が困難なだけに、自動車業界にとっても今回の開発は非常にありがたいものではないでしょうか。環境に優しいと言われるハイブリッド車でも、部品点数が多い事から、生産には一般的な車よりも多くの二酸化炭素を発生させてしまいます。部品製造に二酸化炭素削減が期待でき、懐かしい苧麻が役に立つという事がとても興味深く感じてしまいました。
2005年08月12日
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食品に関して、「あぶら」という文字を漢字で表記すると、「油」と「脂」の2種類の文字が出てきます。常用外の文字も使うと「膏」もありますが、これらは油脂の状態によって使い分けられています。一般的に、常温で液体の状態にある油脂を「油」と書き、固体の状態にあるものを「脂」と書きます。内容となる脂肪酸の組成によって、そうした性状の違いが生じるのですが、原材料によっても簡単に分ける事ができます。 動物は恒温動物、変温動物の違いはありますが、一様に体温があり、体内に存在する油脂を温める事ができます。そのため、動物由来の油脂は、常温に取り出すと固形化するものが多く、ラードやバターのように固体として「脂」の文字が当てられます。植物由来の油脂は、植物が体温を持たない事から、常温で固体となると植物の生命活動に不具合が生じる可能性があるため、常温でも液体の状態を保ち「油」の文字が当てられます。 一様にそう考えると、常温でも固体の植物性油脂「マーガリン」が頭をよぎってしまいます。植物由来の油脂なのに常温でも固体。この状態を作り出すために、マーガリンは植物性油脂に水素を添加する事で脂肪酸を変化させ、固形化する性質を作り出しています。その際、できてしまうものが「トランス脂肪酸」です。このトランス脂肪酸が健康を考える上で、重要なキーワードとなってきています。 トランス脂肪酸は90年代以降、欧米を中心に摂取量と心臓病に相関関係があるとして、疫学的調査結果が複数発表され、その危険性が認識されています。その後の研究でも、認知症(痴呆症)や肥満への関連性が指摘され、食品中のトランス脂肪酸の含有量を表示させる事や、含有量の制限などの法制化も進められています。とりあえず含有量が多いマーガリンが悪者視されていますが、油脂を加熱すると作られてしまうので、含有量の把握や制限、摂取量の低減も必要ですが、摂取したものの無害化も考えなければならないかもしれません。
2005年08月11日
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ゴマは、その小さな体には似合わないくらいの大きな効能で知られています。薬味としての利用法もある事から、食卓に常備したり、チャック付きのアルミ袋に入れて持ち歩くなどして、食事に加えて愛用している姿を見掛ける事も珍しくありません。各種ビタミンやミネラルが豊富で、栄養価が高く、ゴマリグナンと呼ばれる有効成分も含まれ、簡単に摂れるという点では、非常に手軽な健康法ではないでしょうか。そんなゴマの気になる情報が入ってきました。 世界的にゴマアレルギーの発生頻度が増加傾向にあり、重大な問題となりつつあります。米国ミシガン州立大学の研究チームによると、米国では1950年に初めてゴマに対する過敏症が報告されて以来、報告件数が確実に増大しているとしています。すでにオーストラリアの小児の間では、ゴマはアレルギー反応の原因物質の4位にランクされるほどになり、イスラエルでは3位にランクされています。 職業としてゴマに触れる事の多いパン職人の間でも、ゴマに起因する職業性アレルギーが報告されており、医療分野で用いられる注入剤や軟膏、一般的な化粧品類でも、材料としてゴマ油が含まれる事で、アレルギー性の接触皮膚炎が引き起こされる事が報告されています。これまで健康イメージが強かった事から、食物、薬剤、化粧品類にゴマ由来の素材が使われる例は増えてきていますが、ゴマアレルギーに関する研究は少なく、ほとんど認識されていないと言います。 食物アレルギー全般の典型的症状としては、口内のピリピリ感、舌や喉の腫れ、呼吸困難、じんましん、嘔吐、腹部痙攣、下痢、血圧低下、意識障害(喪失)などがあり、致死性の場合もあります。症状が発生するするには、アレルギーを引き起こす成分を摂取してから数分から2時間以内が多いと言われます。健康に役立つゴマですが、アレルギーの症状が確認されて、他に思い当たるふしがなければ、疑ってみる必要があるのかもしれません。また、いろんな料理に加える際も、量が多すぎると思いの外カロリーが高くなるので注意が必要です。一粒は小さなゴマですが、上手に付き合いたいものです。
2005年08月10日
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アイスティーが美味しい季節になりました。通常通り紅茶を入れますが、氷を入れて冷やすためにやや濃い目にします。そこへ氷を入れて冷ますのですが、その際、紅茶が白く濁ってしまい、せっかくの紅茶が美味しそうに見えなくなってしまう事があります。この現象は、クリームダウンと呼ばれ、紅茶を冷ますと発生する事があります。 クリームダウンは、紅茶に含まれるタンニンとカフェインが緩やかに冷やされる事で起こります。ゆっくりと冷やされる過程で、タンニンとカフェインが結合し、結晶化する事が白濁の原因です。そのため、アイスティーを入れる際は、ディンブラやキーマン、ダージリンといったタンニン{渋味)の少ない銘柄を選ぶか、急速に冷やしてやれば、涼しげな透明感のあるアイスティーを入れる事ができます。 アールグレイやハーブが入れられたフレバリーティーは、全体的にクリームダウンしにくい傾向にあるそうですが、ちょっとした工夫で白濁を防ぐ事ができます。最も簡単な方法は、よくグラスを冷やし、多めの氷を入れたグラスに濃い目に入れた紅茶をゆっくりと注ぎ、一気に温度を下げてしまう事です。そうすれば、タンニンとカフェインが結晶化する暇がない事から、白濁を防ぐ事ができます。 また、甘い紅茶が好みなら、事前に砂糖を入れておく事でタンニンとカフェインの間に砂糖の結晶が入り込み、白濁をかなり抑える事ができます。甘さが苦手な人であれば、濃い目に入れる紅茶を更に濃く入れ、一旦水を入れます。水の温度くらいではクリームダウンは起こらないので、氷に触れて冷え始める温度をあらかじめ低めにしておくことで、結晶化を防ぐ事ができます。クリームダウンしたからといって、何ら弊害はありませんが、せっかくなので透明感にこだわってみたいものです。
2005年08月09日
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最近、女性の脚が細くなったからでしょうか、「大根」という言葉で表される事がほとんどなくなったように思います。白く太い大根に見立てた事は明白ですが、大根自体も白くまっすぐで、あまり太くない物が好まれると言います。同じ大根によって表されるものでは、役者の評価があります。演技が下手な役者を、大根役者と呼びますが、これには大根の効能が大きく関わっています。 大根はビタミンCが豊富で、毛細血管を強くするビタミンPも含んでいます。カルシウムも多く、水分が多いという印象の割りには栄養豊富です。特筆すべきはジアスターゼという酵素で、消化を助ける働きがあります。さっぱりした味わいから、焼き魚や天ぷらに添えられる事もありますが、焼き魚の焦げに含まれる発ガン物質を無害化する働きも供えていて、特に酵素が活性化されている大根おろしと一緒に食べる事は、美味しさだけでなく、消化吸収、安全性の面でも大きく向上した事になります。 そうした優れた消化器官への働きを持っているため、大根はたくさん食べても食あたりしない素材とされ、演技が下手な役者、何をやっても成功しない(当らない)であろう役者の事を大根役者と言うようになったと言われています。ジアスターゼは、アミノ酸と反応するとガン予防に有効な働きをします。不溶性食物繊維のリグニンも、ガンを抑制する免疫力を高める事が最近判ってきたので、魚や肉、卵、穀物と、あらゆる食材と合せて、良い働きを発揮してくれます。その意味では名脇役といえる存在ではないでしょうか。 そんな名脇役の実力をより大きく発揮してもらうには、食べる数分前にしっぽ(先端)の方を勢いよくおろし器にすり付け、一気におろしてしまいます。そうする事で、空気に触れたジアスターゼが活性化し、より大きな効能を発揮してくれます。とは言っても、効能の大きさに合せて辛味が強くなりますので、あまり辛さが得意でない方は、頭の方をゆっくりと円を描くようにおろして下さい。けっして怒らず、優しい気持ちでおろすと辛味が少なくなるとも言います。
2005年08月06日
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最近、アイソトニック飲料でアミノ酸を添加した物を多く見掛けます。食生活の偏りによるアミノ酸不足や、アミノ酸自体の作用によって身体機能の調整を考慮して製品化されているようで、ややこしげな名称が列記されている割には、健康に良さそうな雰囲気が漂っています。日常生活の中でアミノ酸の摂取を行う事を考えると、発酵食品、中でも発酵調味料を上手に使う事が有効です。 発酵調味料・・・味噌、醤油、いろいろな物が考えられますが、比較的安心して使えるのは、「酢」ではないでしょうか。酢は、基本的な調味料としてどこの家庭にも常備されています。味噌、醤油と比べると、多用した事による塩分の過剰摂取など、気にすべき事は少ない調味料なので、ちょっとした隠し味として使う事もできます。また、最近の健康志向を受けて、種類も豊富になり、さまざまな製品が手軽に入手する事もできるようになっています。 そんな酢のバリエーションの一つとして、鎮江香醋を見掛ける事があります。中華料理店で、卓上に黒い酢が置かれている事がありますが、それが香醋で、日本の黒酢とは若干異なる雰囲気を持っています。江蘇省鎮江市が原産の鎮江香醋は、もち米ともみがらを甕に入れて自然発酵させ、熟成させる事で作られます。柔らかな酸味と独特なコクを持ち、直接小龍包や上海蟹、餃子などに使われたり、加熱にも強い事から、炒め物にも使われます。他の酢よりもアミノ酸が多めに含まれる事から、熟成期間が長い物ほど良いとされ、価格にもそれが反映されます。 長期熟成の鎮江香醋にも負けない高級な酢となると、イタリアのアチェート・バルサミコを上げる事ができます。同じく黒酢のような雰囲気ですが、食通の間では、「世界一気品のある酢」と呼ばれる事もあります。ブドウを絞った汁を煮詰め、幾つもの異なる材質の木樽を移し替えながら熟成させます。こちらも長期熟成ものが甘味と風味が濃厚になるとされ、高価なものとなっています。両酢とも、最近では比較的安価な製品も見掛けられるようになり、常備して料理によって使い分けたり、自分なりの使い方を見付けたりという楽しみも増えました。日本国内だけでも、多くの種類が存在します。幾種類か常備して、試してみられるのも楽しいかもしれません。
2005年08月05日
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子供の頃、ケーシングされたソーセージを上手に明ける事ができず、両手で捻ると真ん中がねじれて二分割されたようになり、しつこくねじり続けるとやがて中の圧力に負けて、ケーシングのナイロンが弾け、中身を容易に取り出す事ができる事に気付きました。今でもケーシングを上手に明けるのは苦手な作業ではあるのですが、ねじり続ける手間を考えると素直に明ける事にしています。 その際、気付いたというか、勝手な思い込みかもしれませんが、普通に明けたソーセージとねじって明けたソーセージは、微妙に味が違っていた感じがしています。弾けるまでにかけられた圧力が、味を構成する何かに変化を加えているのではと思っていたのですが、同じような考え方をした人がカナダにいました。 カナダのチーズ職人、ボアバン氏は、チーズ界に革命を起こすと信じ800kgものチーズを、ケベック州の湖に投げ入れました。数年前、ある漁師がボアバン氏を訪ね、湖の底に沈んでいたチーズを見付け、恐るおそる食べてみると、これまでに食べた事もないほどの素晴らしい味がしたと話したと言います。4代にわたりチーズの製造に携わってきたボアバン氏は、深い水の底長期眠らせる事で、適度で安定した低温貯蔵と水圧がチーズの熟成を高める事に気が付いたと考えました。 カナダの衛生局は、綿密な検査を行わなければ、この水没チーズは販売を許可する事はできないとしています。技術革新については好意的としながらも、規制は尊重してほしいと関係者は語っているそうですが、肝心のチーズがダイバーによる捜索にも関わらず、発見できなくなっているそうです。「ここにお宝が眠っているのは確実です。絶対に探し出します」と意欲的なボアバン氏ですが、見つからない方が良いような気がするのは、漁師ほどのチャレンジ精神がないからでしょうか。
2005年08月04日
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個人的な事ですが、アイスクリームが好きで、季節を問わず買置きしておき、一人で楽しんでいると目ざとく猫が見付けて興味を示します。少量与えると凍っているうちは興味を示さないのですが、溶け始めると途端に美味しそうに舐め始めます。おそらく冷たさが苦手で、甘くクリーミーな味が好みだと判断していたのですが、それを疑問視する研究結果が発表されていました。 英米の共同研究によると、家猫やその他の大型の猫科の動物も、甘味に対するレセプター(受容体)の遺伝子が、他の哺乳類とは若干異なっている事が明らかにされています。研究を主導したフィラデルフィアの非営利研究機関「モーネル化学感覚センター」の分子遺伝学者リ博士は、この遺伝子の異なり方に関する仮説として、猫科の動物は砂糖や甘味料などの甘味を持った化合物を感知できないと説明しています。 哺乳類が甘味を感知するのは、味蕾細胞にあるT1Rと呼ばれる分子が反応しています。T1Rには、T1R2、T1R3と呼ばれるサブユニットが存在しますが、両方とも異なった遺伝子に関係しています。リ氏の研究チームによる分析では、猫科の動物はT1R2のタンパク質に異なる点がある事が発見され、分子レベルにおいて猫科の動物が甘味に反応しない事が説明されたとしています。 このT1R2の機能喪失が肉食行動へと繋がったとも考えられていますが、肉食ゆえに機能が失われたのか、失われたゆえに肉食になったのかは不明との事で、今後興味深い考察となりそうです。今回の研究で、猫は肉食一筋、デザートは好まないという結論ですが、他の肉食動物の多くは甘味を好むという事から、猫も別なレセプター等で機能を代替している可能性はないのか?と思ってしまいます。かつて猫の視覚機能を研究していた学者が、猫には基本的に機能が備わっているのかもしれないが、猫が協力してくれるはずはないので、確認ができないという結論を出した事がありました。どうも同じような結論が控えているような気がしてなりません。
2005年08月03日
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今年も庭が葛で覆われる時期がきました。葛というと和菓子や和食の素材となる高価なデンプンで、葛餅や葛餡など涼しげで透明感のあるイメージを思い出してしまいますが、葛粉の元になる葛自体は、旺盛な生命力に満ち溢れた、非常に困った雑草でもあります。 葛はツル状の茎を長く伸ばし、何かに巻き付く事で、より高い位置を目指します。成長の速度が圧倒的なほど速く、真夏の最盛期には一日に1mも伸びる事があり、わずかな期間でも付近一帯を覆い尽くしてしまう事ができます。他の雑草に絡み付き、その上に葉を広げる姿は、日本中のどこででも見る事ができます。幅広の葉を広げる事で日光を独占し、下になった植物は枯れてしまう事も珍しくはありません。 葛のそんな旺盛な成長に眼を着け、道路工事の際、新たに作られた斜面の保護の目的で、米国内に移植された事があります。その後、葛は増殖を続け、今では迷惑な雑草としてその名を知られる事となります。その旺盛な増殖能力、生命力や細く伸びて地を這い巻き付く姿から「緑の蛇」とあだ名され、Kuzuの名は、そのまま英単語にもなっています。 葛の強さは、夏の盛りを過ぎ、他の雑草が来年に備えて養分を備蓄にかかる秋口になっても、まだ養分の蓄積を行わず、成長に全力を注いでいるところです。そうして他の雑草の上を覆い尽くし、枯らしてしまう事で、養分の独占をはかり、その後に養分の備蓄を開始します。葛粉は、そうした葛の根に蓄えられたデンプンを取り出す事で得られますが、真冬の限られた期間しか取る事ができません。ぎりぎりまで養分を蓄えず、早めに春に備えるためですが、そうした徹底した合理性が、あの驚異的な増殖力に繋がっているのかもしれません。そのため、葛粉は貴重な物として、全国に溢れている割には高価なものとなっています。
2005年08月02日
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