全20件 (20件中 1-20件目)
1
そろそろ本格的なスポーツシーズンという言葉を耳にする機会が増えてくる頃になりました。寒くなるにつれ、長距離走なども増えてくるのではないでしょうか。それほどスポーツは苦手というわけではないのですが、長距離走だけはかなりの苦手となっています。それほど持久力がない方だとは思わないのですが、生来の貧血が災いして、呼吸困難になる事が原因ではないかと考えています。 長距離走の最中、身体には大きな負担がかかっています。特に血液に関しての負担が大きく、繰り返し足への衝撃が加えられる事で血管内の赤血球が破壊され、急性の貧血を起こしたり、汗や呼気を通して失われる水分による血液中の水分不足などが心配されます。特に水分の不足に関しては、ルールでも競技中の水分補給が認められ、必要に応じて水分を摂取する事ができます。 テレビなどでもテーブルに多数のカップが用意され、走りながら水分補給する姿がよく見られます。その水分補給が、場合によっては命に関わるほどの危険性を有している事はあまり知られていません。走行中、汗によって多くの水分が失われますが、同時にミネラルも失われ、汗のしょっぱさから想像できるように、ナトリウムの多くが汗によって排出されています。その状態で大量の水分を摂る事は、血液を一気に薄め、血中塩分の濃度を極端に低下されてしまい、低ナトリウム血症を起こして死亡するケースすら見られます。 これまで報告されてきた走行後の発症例の傾向としては、BMI(肥満指数)20前後の痩せ型の人、または女性に多く、これは体重が軽いにも関わらず、多量の水分を摂った事で血液が薄まった事が原因と考えられ、競技時間が4時間を超えたあたりから急速に危険性が高まります。通常のスポーツでは4時間を超えてというのは、あまり見られるものではありませんが、どのような場合でも水分は少量ずつ、適度の摂る事が大切です。無味無臭無害と考えられる水ですが、低ナトリウム血症という見地からは、実は致死量というものが存在します。それだけにたかが水と思われがちですが、上手に付き合いたいものです。
2005年09月30日
コメント(0)
医学誌に掲載されていた研究論文によると、コレステロールが身体に対して危険を及ぼす詳細が明らかになったそうです。米国ミシガン州立大学の研究チームの研究において、これまで危険性のみが認知され、そこに至る過程が詳細には明らかにされていなかったコレステロールの弊害が、今回明らかにされています。 血液中にコレステロールが増えると、きっかけは活性酸素あたりだと思うのですが、コレステロールが動脈壁に付着、蓄積してプラークと呼ばれる斑模様を作り、集まったコレステロール同士で結合し、結晶化して固体となります。それが広がって破裂すると、固体化したコレステロールが血液中に放出され、赤血球を傷付ける事で血液凝固因子を発動させ、血栓を作り出して本格的に動脈を閉塞させます。 研究チームのアベラ博士が行った実験では、シリンダー内に入れたコレステロールの顆粒を、室温で溶かして結晶化させたところ3分間で約45%の増量が見られ結晶化が起こっている過程で生物学的膜を投入すると鋭角に結晶化したコレステロール結晶体の突起によって、膜が突き破られる事が確認され、同じ現象が動脈壁で起こる事も充分に考えられます。 結晶化した際の突起が弊害を生み出すという意味では、乳酸と筋肉痛の関係がすぐに思い出されますが、その血液版という感じでしょうか。しかし、生命の危機に直結している分、怖い突起という事になります。ただ漠然と動脈硬化の元として怖れられたコレステロールですが、今回の研究で血液中の量を低く抑える事の大切さが理解されるものと思われます。
2005年09月29日
コメント(0)
テキーラというと、独特のクセを持つ、かなり強力な蒸留酒が思い出されます。穀物から作られるお酒が多い中、リュウゼツランから作られるというところも変わっていて、あまり一般的に馴染みはないわりには、その名は広く知られています。メキシコの原住民が飲んでいたプルケというリュウゼツランの樹液を発酵させた醸造酒が、16世紀になって入ってきた蒸留技術によって、より強力なメスカルというお酒になり、メスカル自体はメキシコ各地で作られていましたが、ハリスコ州テキーラ村の物が評判となってテキーラと呼ばれるようになっています。名称や産地に関してはシャンパンのような厳格な規定は設けていないらしく、メスカルよりテキーラと言った方が一般的に通じると思います。 現在では、プルケとメスカルは同じリュウゼツランをベースにしてはいますが、使われる品種は異なっています。そんなメスカル作りに用いられるリュウゼツランの一種、アガベ・アスール・テキラーナ種に健康に役立つ成分が含まれている事が判りました。実はこのアガベ・アスール・テキラーナ種、テキーラ作りに欠かせない品種でもあります。厳密ではないにしてもテキーラ村周辺で作られ、指定品種のアガベ・アスール・テキラーナを用いなければテキーラと名乗ってはいけないという意見もあるほどです。 グアダラハラ大学のジョージ・セグーラ博士をはじめとする研究チームによると、アガベ・アスール・テキラーナに含まれるフルクタンという成分には、腸内での脂肪吸収を阻害して血中コレステロール値の改善に役立つ働きがあり、イヌリンにも同様の効果が期待できるとしています。しかし、テキーラを作る際、さまざまな成分は蒸留される事でアルコールと分離され、そうした成分はテキーラには含まれないのではという声も一部からは出ています。 テキーラというとジン、ウォッカ、ラムと並ぶ世界の4大スピリッツ(蒸留酒)の一つですが、他のスピリッツと異なり雑味成分が多いとも言われます。そうした雑味成分の中に有効成分が含まれている可能性はありますが、健康効果を得るためには明らかに不健康な量を摂取する必要が生じてしまいます。特にテキーラの作法と言われるレモンをストレートのテキーラを注いだグラスに直接絞り、塩を舐めながら一気に...という飲み方は、胃粘膜が弱い日本人にはお薦めできません。何事もほどほどに、というのが健康の基本でしょうか。
2005年09月28日
コメント(0)
それほど大きなという感じではありませんが、何かに期待してそれが叶ったと思って喜んだ後、実はそれが思い過ごしだったり、あてが外れたりしてがっかりする、それを「ぬか喜び」と表現します。どちらかというと喜んでいる時間は短めで、すぐにがっかりするのですが、それほどがっかりも大きくないニュアンスの言葉でしょうか。 ぬか喜びの「ぬか」はその響き通り、玄米を精白する際に生じる種皮や胚芽の粉末、「糠」の事です。そう思って見ると不思議な言葉ではあります。なぜ糠と喜びなのでしょうか。似たような言葉には、「糠雨」や「糠星」などがあります。いずれも少ない、小さい、僅かなといった意味が糠に込められています。 米は果皮と種皮が一体化した状態で表面を硬く覆っています。食べられる状態にするためには、それを除去する必要があるのですが、その際に除去されるものが糠です。主食である米が最も多いために糠というと米糠を指し、大麦の糠を麦糠、小麦の糠はふすまと呼ばれます。穀物の表面に衝撃を与え、もろい表層を崩す事で取り除かれる事から、糠は通常粉末になっており、細かく砕けないふすまはふるいにかけて選別されます。 そうした粉末の形状から糠は、小さい、僅かなという喩えに使われるようになり、儚い、頼りないという意味でも使われるようになりました。本来の糠の利用法としては、油分が多い事から糠油を採ったり、栄養価が高いので漬物の素となる糠床にしたり、タケノコのアクを抜く際にも用いられます。また米糠に含まれるタンパク質に界面活性作用がある事から、合成洗剤が普及するまでは広く洗剤としての役割も持っていました。単体で使われる例こそ少なめですが、多くの役目を持っていた糠だけに儚いと表される事は失礼な感じがするのですが、含まれる油分が酸化しやすく、すぐに糠臭さが出る事からは儚いものと言わざるを得ないのかもしれません。
2005年09月27日
コメント(0)
年のせいか記憶力が...、ついそう思ってしまう事やそうした発言を耳にして、当たり前の事のように受け止めてしまいます。人は年齢と共に記憶力などが低下し、その代わりに多くの経験などから学んだ工夫を用いて、物事を円滑に行えるようになっていく、そう思い込みがちですが、実際は記憶力というものはそう簡単には失われるものではありません。 世界的な大会でもある記憶力コンテストの上位ランク者を見ると、意外と高齢の方が多くいる事に気が付きます。確かに記憶力コンテストの内容は、憶え方というテクニックが必要になりますので、経験が活かされる部分も存在してはいます。しかし、それだけで補えるものなのでしょうか。実は記憶力は訓練によって向上させる事ができるのです。しかもテクニックとして向上するのではなく、脳の機能、脳の神経細胞の量自体も増やす事ができる事が最近の研究で判ってきました。 東京大学の久恒辰博助教授(脳科学)をはじめとする研究チームの実験結果として、記憶を掌る脳の海馬の神経細胞は、勉強などに集中した時に出されるシータ波という脳波の刺激によって増える事が確認されています。脳に入った情報は海馬によって選別されて記憶されます。学習などで海馬が刺激されると、神経細胞が増える事は以前から知られていましたが、今回の実験ではシータ波と同じ波形を示す電流を実際に用いる事で、新たに生まれる神経細胞の量を約1.5倍に増やす事に成功しています。 脳は使えば使うほど学習機能が向上するという性質を持っていますが、そのメカニズムの一端が解明される事で、人為的に神経細胞を増やす事で衰えた記憶力を回復させたり、海馬の神経細胞の新生が少なくなっているうつ病患者の新たな治療法の確立に繋がる可能性もあります。とりあえず使えば減るものではなく、逆に増えるものなので、これからも頑張りたいと決意を新たにしています。
2005年09月23日
コメント(0)
ポリグルタミン酸、略してPGAと表記される事があります。言葉の響きから、何かの化学物質のようにも思えてしまいます。ポリという言葉が付いているくらいですから、何かが多数結合してできている、この場合グルタミン酸が多数結合してできているものという意味でしょうか。グルタミン酸といえば旨味成分でもあります。PGAは、このグルタミン酸が約3000個も結合してできています。実は納豆のねばねばの素がこのPGAで、あの特徴的な糸はこのPGAによって作り出されています。 納豆が嫌いな理由の中には、比較的高い率で糸の存在が上げられますが、PGAの人気はここのところ高まってきています。本家本元の納豆製品においても糸をより強力に出す製品が発売され、食品を離れた分野でもPGAが持つ保湿効果は注目を集めています。また保湿効果は人の皮膚に限らず、地質の改善にも役立つとして、砂漠の緑化という観点からも注目されています。 そんなPGAに新たな効果がある事が発見されました。PGAと組み合わせる事によって、カルシウムの吸収率が高められる事が確認されたのです。カルシウムは日本では、唯一足りないという言われる栄養素です。小魚をはじめとしたカルシウムを多く含む食材の不人気に合せ、肉類やスナック菓子等、リンを多く含む食材の普及で、カルシウムが摂りにくい状況が日常化しているからです。カルシウムはリンと一緒になる事でリン酸カルシウムとなり、骨を形成しています。しかしリンを摂り過ぎる事は、カルシウムの吸収を阻害し、カルシウム不足を助長してしまいます。 PGAはカルシウムやミネラルと一緒になる事で、腸壁での吸収力を高める働きを持っています。摂取したカルシウムをより効率良く吸収するには、腸壁での吸収率が重要になりますが、PGAは長い分子形態を活かし、カルシウム吸収率を高めてくれます。納豆菌の働きとして骨とカルシウムの関係を良くするビタミンKを生成する事や、カルシウムの吸収を促すイソフラボンを含む事、骨の維持に欠かせない良質なタンパク質も供えているので、あまりカルシウムのイメージではないのですが、骨にとって納豆は非常にお薦めの食べ物となっており、食というものの奥深さを感じさせてくれます。
2005年09月22日
コメント(0)
室内で空気清浄機やエアコンなどを使っていると、いつの間にかインフルエンザウィルスが無効化されて、風邪の予防ができているとしたら、これからインフルエンザが流行する時期に近付いていき、怖い新型インフルエンザの流行も懸念されている中では、なんともありがたい話です。そんな夢のような事が実現化されようとしています。県立広島大学生命環境学部の宇田泰三教授(生物工学)をはじめとする研究チームによって、世界で初めて人工的に作り出された「抗体酵素」を用いれば、将来的にウィルスを撃退する家電製品の開発が可能となります。 インフルエンザウィルスは、「HA(ヘマグルチニン)」というウィルスの表面にあるタンパク質を使って人の細胞に結合します。増殖には「NA(ノイラミンダーゼ)」という別のタンパク質を用い、1日で100万倍もの数に増殖しています。HAタンパク質はタンパク質の性質を決める塩基配列を頻繁に変更するために、毎年新しいタイプのインフルエンザが生まれ、流行しています。 宇田教授らは、多くの犠牲者を出し、大流行したスペイン風邪などのウィルスが、頻繁に変化させるHAの中に変化しないアミノ酸配列を持つ事を発見し、その配列を狙って破壊すればウィルスそのものを無力化できると考えました。マウスに変化しないアミノ酸配列を持つ化学物質を注射し、できた6種類の抗体からタンパク質を分解する働きmの兼ねた2種類の抗体酵素を発見しました。 今回作り出した抗体酵素は、過去に流行したスペイン風邪にソ連A型、アジア風邪を無効化する事が確認され、50万分の1gの抗体酵素を1ccのインフルエンザウィルスに混ぜたところ、10時間で数億個のウィルスHAを無力化し、結合機能を失わせたそうです。これまでのインフルエンザ治療薬は、感染の拡大は防げましたが感染そのものは防げませんでした。今回の抗体酵素の研究が進めば、感染・拡大の双方に対し有効な治療薬となりえます。今後の研究に期待したいと思っています。
2005年09月21日
コメント(0)
食品、特に野菜を選ぶ際、残留農薬は安全性という面から非常に気になる要素となっています。最近は表示や栽培方法に関する規制が厳しくなり、信頼できるようになってきましたが、かつては有機、無農薬栽培と記載されていても安心できない事がありました。今でも食に関するアドバイスを行う際、熱心に質問を受けるのが農薬の残留の可能性とその除去方法なので、この問題の関心の高さが伺う事ができます。 本来農薬とは、作物を病害虫や雑草などから守る目的で使われるものであり、私達が日常接する風邪薬や健康補助食品の類と考える事ができます。記録では、すでに3千年も前の古代オリエントで硫黄が農薬として使われていたというものがり、日本でも江戸時代に入ると硫黄や天然の硫化砒素である雄黄を燻して使ったという記録が残され、農薬と農業の関わりの深さを物語っています。そんな農薬に決定的な悪者イメージが付けられたのは、第二次大戦後、合成有機化合物の農薬の登場と安全性への配慮を欠いた使用によります。 安価な合成有機化合物が登場した当初は、安全性や環境残留性についての知識や配慮が乏しかったために取り扱い中の事故が頻発し、後に環境中に残留したものが分解せず、食物連鎖を通した生体濃縮という新たな危険も明らかになりました。その後、農薬を本来の目的である作物への医薬品と捉え、生物への影響を極力小さなものとする努力も行われていますが、農薬そのものが無害とは言い切れない部分もあるので、農薬への悪者イメージは払拭される事なく続いています。 地球上には無数の化学物質が存在していますが、農薬は使用量が過剰にならないように最も管理された化学物質という言い方もあります。毒性そのものの判断については、皮膚吸収、経口摂取などの要因が考慮される必要があり、農薬はその配慮が充分行われているとの事です。それでも、やはり心配は残ってしまいます。そんな場合は、農薬が水溶性か脂溶性かを考え、水溶性のものなら水洗いをよく行う事、脂溶性なら皮を厚めに剥くといった方法で大きく危険性を軽減させる事ができます。遺伝子組換え作物と比べたら、確かに安全の確保が容易に思えてしまいます。
2005年09月20日
コメント(0)
デング熱、日本ではほとんど馴染みのない言葉です。もう少し温かい地域、熱帯亜熱帯地域では、広く感染者が見られ、年間一億人の患者が発生していると言われています。原因となるのはウィルスで、デング熱ウィルス(フラビウィルス属1~4型)を保有する蚊によって媒介され、近年、広い地域で爆発的な流行が頻発しています。ワクチンが存在しない事から、蚊の駆除のみが有効な対策となっていますが、困難を極めているというのが実状です。 デング熱を媒介する蚊は、ネッタイシマカ、ヒトスジシマカが知られていますが、どちらも繁殖力が旺盛で、空き缶や竹の切り株に溜まった水でも発生する事ができるので、あまり蚊とは縁がなさそうな都会でも流行する事があります。同じ蚊を媒介する感染症であるマラリアよりも、はるかに感染の危険性は高いと考えられます。 現在このデング熱が、清潔さで知られる近代的都市国家、シンガポールで大規模な流行の兆しを見せています。すでに9000人以上が感染し、8名の死亡が確認されています。過去最高と言われた昨年は、感染者9459人、死者8名を上回る可能性が高くなり、SARS(重症急性呼吸器症候群)以来最悪の保険機器を迎えると考えられます。マラリアに対するクロロキンのような予防薬もないため、予防接種をする事もできない状態で、厚手の服の着用や防虫スプレーの使用といった、蚊に刺されない事が唯一の予防法となっています。 一般的に流行するデング熱は高熱の発生、激しい頭痛、関節痛、発疹が主要な症状で、死亡率は1%と低くなっていますが、ごく稀に出血傾向を伴う重症疾患が発生する事が確認されています。デング出血熱と呼ばれる症状は原因が定かではなく、ウィルスの型が特別なのか個人的な体質によるものなのか特定されていません。皮下、鼻腔、歯肉からの出血が見られ、死亡率は10%。治療が遅れた場合は40~50%が死亡すると言われています。熱帯亜熱帯の地域の話なので、遠い世界のように思えてしまいますが、最近、地球温暖化の影響で徐々にそうした感染症が北上してきていると言われます。都会の暖かさから冬でも蚊が見られるようになりましたが、怖い感染症の来襲は遠慮したいものです。
2005年09月16日
コメント(0)
日々何気なく使っている言葉で、これといった使い分けをしているわけではないのですが、食品と食物という言葉は、同じ物を示しているようで、何か大きな違いがあるような感じがします。動物は他の生物を捕食する事で自分が合成する事のできない栄養素を確保し、生命を維持しています。そのために必要となる獲物の食べられる部分、いわゆる可食部を示す言葉が食品であり食物であると思います。 食品というと製品、商品といった言葉に似ているせいでしょうか、人為的に手を入れた加工品のような感じがします。加工食品とは言いますが、加工食物とは言いません。しかし、自然食品という言葉も存在するので、一概に人が手を加えたものばかりという決め付けは難しいのかもしれません。 食物というと供物、獲物に似ているため奉げられた感じがして、ある意味、素朴。別な観点からは、わずかに古めかしい感じもします。極力手を入れていない無加工な感じがして、サプリメント等とは正反対にあるもののように思えます。また栄養を確保するために義務的に摂取するものというニュアンスも、若干ですが感じてしまいます。物が付くせいでしょうか。 実際、両者に関してはある程度の定義付けが存在します。動物や植物の食べられる部分、可食部で素材に近い状態の物、一先ずそれを食品と呼びます。さらに食品には、生命活動を維持するために必要な栄養を含んでいる事、有毒成分を含まず、安全である事、人の嗜好に合っている事、という要素が求められます。それに対し食物は食品を調理したり加工して、すぐに食べられる状態にしてある物を指します。米が典型例で、通常売られている状態では食品ですが、炊飯する事によってご飯という食物になります。というように簡単に言ってしまうのですが、実は野菜や魚、肉などに生でほとんど手を加えなくても食べられる物がある事から、両者の定義はあいまいなものとなったままで、それほど厳密なものではありません。やはり感覚的に使い分けるしかなさそうです。
2005年09月15日
コメント(0)
個人的に頭痛は平気というか、生きている証と思って我慢する人なのであまり縁がないのですが、我慢している余裕がない場合は、やはり鎮痛剤のお世話になる事があります。鎮痛剤の成分としては、比較的広範囲に使われているものに「イブプロフェン」があります。イブプロフェンは痛みを和らげる他に熱を下げたり、腫れをとる事に強い作用があり、即効性がある事、副作用が少ない事もあって、市販の薬に多く配合されています。そんなイブプロフェンと同じ作用を持つ成分が、オリーブ油に含まれているという研究結果が科学誌「Nature」に掲載されていました。 米国フィラデルフィアのモネル化学感覚センターの研究チームによると、今回発見された成分は「オレオカンタール」と名付けられ、イブプロフェンと同じように疼痛や炎症を引き起こす物質(cox-1、cox-2)の働きを阻害する作用を持っている事が明らかになったそうです。しかし、現段階ではオレオカンタールの作用性は低く、イブプロフェンと比較すると、同様の作用を得て疼痛を緩和させるには、オリーブ油を500gも摂取する必要があります。オリーブ油の比重から考えると、550ccほどでしょうか。 今後、オレオカンタールという成分について更に研究が進められる事によって、充分薬効を確保できるようになれば、オリーブ由来の鎮痛剤が登場するのではと期待できる研究結果といも言えます。オリーブ油の健康効果は、既に広く知られているので、新たな薬効の発見は更にオリーブ油の人気を高める事と思います。 今回の発見では、すぐに効果を発揮する有効成分と言うには、少々量的な問題がありましたが、研究チームのリーダー、ブレシン氏によっても「オリーブ油を大量に摂取する事を推奨する発見ではなく、料理に用いる油分をオリーブ油に代える薦めにはなる発見」と位置付けられています。既に米国ではFDA(米国食品医薬品局)によって、オリーブ油が冠動脈疾患のリスクを軽減するのに有用との公式な見解が出され、食を通した健康維持に良い食材である事は確かです。少々クセはありますが、上手に使っていきたいと考えています。
2005年09月14日
コメント(0)
普通に生活していた人が、突然原因不明の倦怠感、微熱、頭痛、筋肉痛、神経症状に襲われ、6ヶ月以上もその状態が継続、もしくは断続的に症状が続き、健全な社会生活が送れなくなる。運動や過労が原因ではなく、充分な休養を摂っても回復しない。そんな誰にでも突然訪れるかもしれない症状が、慢性疲労症候群と呼ばれるものです。 現在、慢性疲労症候群の正確な原因は判っていません。しかし、ウィルス等の何らかの感染症を示す幾つかの可能性は報告されています。治療方法として抗うつ薬、ステロイド剤、抗ウィルス薬、サプリメント、ビタミン剤など、さまざまなものが使われ、それなりの効果が報告されていますが、決定的な治療薬や療法は確立されていないのが実状です。 典型的症状の中には、発熱や喉の痛み、リンパ腺の腫れが起こる事や集団的発生も見られる事から、ウィルスによる感染症が疑われますが、集団感染については、全員が同一の環境下に置かれる事で同様のストレス受ける事に理由を求める説もあります。ウィルス説の中では、特にエプスタインバーウィルスが有力視されており、感染した際の症状や一般的に多くの感染者が存在する事から関連性が指摘され、同じウィルスでも1985年に改めて精神、神経疾患の病原性を持つ事が再認識された馬の病気ね原因ウィルスとして古くから知られたボルナウィルスも症状という点では有力とされています。 また、湾岸戦争の後遺症として原因不明の慢性的疲労を訴える患者が多く確認されていますが、多くの場合、マイコプラズマに感染しており、適切な抗菌薬を投与する事で7割程度の患者が治癒した事から、マイコプラズマも原因の一つとして考えられています。実際、慢性疲労症候群の患者の細胞を電子顕微鏡で観察すると、マイコプラズマの存在を確認する事ができると言います。そうした幾つかの原因説に対し、ストレス等によって免疫に異常が生じ、感染していたウィルスやバクテリアが活性化、体内の感染を知らせるサイトカインやインターロイキンの異常分泌が続く事が慢性的な疲労感の原因と考える説も出されています。治療法に関するデータもまだまだ少なく、確たる治療法も無い上に、傍からは怠けているだけに見えてしまい、周囲の理解が得られないという困った疾患です。罹らないに越した事はないので、有力視されている原因の一つ、ストレスは溜めない様にしなければなりません。
2005年09月13日
コメント(0)
先日、蜂に刺されてしまったのですが、刺されて腫れるというより恐怖を感じた事があります。それは、刺されるのがこれで二度目だったという事です。年間を通し、稀に蜂に刺されて亡くなられる方がおられます。多くの場合、獰猛で身体の大きなスズメバチが原因となっているため、スズメバチの強力な毒によるものと考えられていますが、蜂に刺された事による死亡事故は、蜂毒へのアレルギーが原因となっています。一度でも刺された経験があると、体内に蜂毒への抗体が作られている可能性があり、二度目を怖れたのは抗体ができていて、過剰な反応が起こる事を懸念したからです。 蜂は巣や仲間に危険が迫った際、まず毒針を出して威嚇し、それでも相手が引かない場合、毒針から毒液を空中に散布して危険を仲間に知られます。その後、危険が去らない事を察知した場合、相手に体当たりして毒針を突き刺すという攻撃に出ます。無意識とはいえ私の行ったいきなり巣を蹴飛ばすという行為は、全行程を無視して最終的な攻撃の決定へと繋がった事になります。 蜂の毒針は、産卵管が起源になっています。先端が相手の皮膚に触れた瞬間、中の一対の尖針が飛び出し、付着した毒液を注入する事になります。一度針を刺すと体から針が抜け、死んでしまうと考えられていますが、一度の攻撃で死ぬのはミツバチだけで、気性の荒いアシナガバチやスズメバチは何度でも攻撃する事ができます。この事も被害発生の確率を高めています。蜂毒の成分としては、ヒスタミンなどのアミン類、低分子ペプチド、酵素類が含まれ、中でも高分子の神経毒がアレルゲンとなってしまいます。 蜂毒は、単純に毒性だけで死に至る致死量に関しては不明となっていますが、かなりの痛みを伴うのは事実です。万が一刺された場合、アンモニアは無力なので、柿渋やアロエの汁などの方が有効です。どちらも無い場合は、タマネギの汁でも応急処置はできます。流水で患部を冷やしながら洗い、応急処置を行いますが、注意深く経過を観察し、過去に蜂に関するアレルギーの可能性があるかを考慮します。急激なアレルギー症状の場合、咽頭に浮腫が出たり、急激に血圧が下がったりという極めて危険な症状も見られるので、蜂といっても軽く考えない事が大切です。
2005年09月10日
コメント(0)
先日、スーパーにいかにも在庫処分と言わんばかりに並べられた寒天を見ました。テレビでの特集が組まれたらしく、「粉寒天あります」という張り紙をみたのは、それほど前の事ではなかったように思うのですが、あっという間に関心が薄れてしまったのでしょうか。それっぽくアルミのチャック付き袋に入れられ、いかにも健康食品然とした姿がなんとも寂しげです。 寒天の元となったところてんは、中国から製法が伝えられたと言われています。それをさらに発展させ、寒天の製法を確立したのは日本での事で、そのため寒天は、伝統的な日本の食材という事になります。その歴史は奈良時代にまで遡り、天平5年(733年)の出雲国風土記には、テングサを使い寒天を抽出し、食用としたという記述が残されています。 そうして抽出したところてんを、乾燥させて保存性を高め、貯蔵に適した寒天とするのは、江戸時代の初期になって事です。有名な話ですが、京都伏見の旅館の主人、美濃屋太郎左衛門が、薩摩藩主島津候のためにところてんを作り、残りを屋外に放置しておいたところ、冬の寒さで凍り、数日後には乾燥した寒天が出来上がっていたと言います。そのため、寒い空(天)の下で作られる事から、寒天の名前が付けられています。 寒天には、冬の寒さを利用して作られる天然寒天と、工業的に機械生産される工業寒天があります。天然寒天は製造が季節や気候に左右され、品質にも多少のバラつきが生じてしまいます。また不純物を含んでいる事があるため、使う際に裏ごしが必要となります。それに対し工業寒天は気候や天候に左右されず、品質も一定で、裏ごしも必要ありません。便利ではあるのですが、味わいに欠けるという考え方もできます。ところてんや和菓子など、限られた利用例しか見られないような感じがする寒天ですが、実はかなり幅広く使われています。製品に少し粘りを持たせたい際に用いる増粘多糖類、カラギーナンは工業寒天の代表格となっています。知らないうちに寒天に接している毎日ですが、さすがに割引がされているとはいえ、健康食品として高値の付けられたものを購入する気にはなれませんでした。
2005年09月09日
コメント(0)
世の中にはさまざまな健康法があり、手間隙のかかるものから簡単に実践できるものまで、多岐にわたっています。そんな中、最も手軽で伝統的とでも言えそうな健康法があります。「腹八分を守る」というものです。昔の人はよく言ったもので、健康でいたければ満腹になるまで食べる事を避け、やや足りない程度で止めておく事を薦めています。それには根拠がある事が、今回、研究結果として発表されていました。 東京医科歯科大学分子腫瘍医学科の湯浅保仁教授らの研究グループによると、満腹するまで食べる習慣のある男性は、ガン化を抑える遺伝子の働きが弱まっている率が高くなる傾向があるとの事です。ガンに関する遺伝子の働きが、食生活によって変化する事が初めて解明された今回の研究は、実際に胃ガンの手術を受けた患者に聞き取り調査を行い、ガンになる以前の食生活について食事の量や内容などを調査する事から始められました。 また、一方で手術で切り取ったガン細胞を分析し、ガン化を抑える働きを持つと考えられた遺伝子「CDX2」の働きについても調査を行い、満腹するまで食べていたと答えたうち45%の人の細胞の一部で、CDX2が化学変化を起こし、働かなくなっている事を発見しました。腹八分、もしくは食事の量を少なくしていた人では、CDX2の化学変化は低い率に留まっていました。 このメチル化と呼ばれる化学変化は、緑茶を多く飲む事やキャベツ、ブロッコリー、カリフラワーといった食材を多く摂る事でも、発生を低く抑える事ができるそうで、食生活の改善でガン抑制遺伝子の働きを強めて、ガン予防に役立てる事に繋がる事が考えられます。とりあえず満腹で苦しいという状態を避ける、それだけでも健康が大幅に身近なものになる事は確実みたいなので、さっそく実践してみましょう。
2005年09月08日
コメント(0)
私たちの健康は、体内の免疫機構によって守られています。免疫は体内に侵入した外敵、ウィルスや細菌に対しその発見や認定、さまざまな攻撃を加えて排除する働きを行います。一連の作業が終了した後、ウィルスや細菌に対する傾向と対策がまとめられ、後の感染に備えます。そのため、すでにデータとして蓄えられた外敵に対しては、免疫機構が正常に作用している限り遅れを取る事はありません。 しかし、まったくのデータを持たない存在、新生児の場合、すべての感染症が未知の脅威となってしまいます。必要最低限の免疫データを確保するまでの保険となるもの、それが母親が新生児に与える初乳の中に含まれています。初乳に含まれるさまざまな成分の中で、特に免疫に関わる成分がラクトフェリンです。ラクトフェリンは1939年、哺乳動物の母乳に含まれるタンパク質として牛乳から発見されました。 免疫力を整えて有害な細菌やウィルスから身体を守るラクトフェリンは、母乳以外にも涙、唾液、胆汁などにも少量含まれ、免疫に関する働き以外に血液の酸素運搬に関係した働きが知られています。当初、ラクトフェリンが発見された際、血液に対する作用が注目され、ラクトフェリンの名称も乳由来の「ラクト」と鉄を運搬するという意味の「フェリン」からきています。そんなラクトフェリンに新たな働きが発見されていました。運動性貧血に対し有効な予防効果を発揮するという事です。 継続して行われる運動、特に長距離走などでは、足の裏に繰り返し衝撃が加えられる事で、血管内の赤血球が破壊され、血液中の赤血球数が減少してしまい軽度の貧血状態を起こす事があります。そうした運動性貧血にラクトフェリンを与える事で、赤血球数の減少が見られず、運動性貧血を有効に防ぐ事が確認されています。また、酸素運搬が確保される事から血液中の乳酸値の上昇も抑えられ、筋肉疲労も予防する事ができます。アスリートは大会前のストレスから免疫力が極度に低下する事が知られています。大会前の疾病予防から運動中の貧血予防、大会後の疲労軽減までラクトフェリンが幅広く守ってくれます。これから人生のスタートダッシュを切る新生児もアスリートという事でしょうか。
2005年09月07日
コメント(0)
暦というと、日常たいして意識せず使っている現在の暦「グレゴリオ暦」は、1582年、時のローマ教皇グレゴリオ13世の命によって、それまで使われてきたユリウス暦から改暦されたものです。ユリウス暦は有名なローマ帝国の終身独裁官、ユリウス・カエサル(ジュリアス・シーザー)の命によって、天文学者の研究の末に制定されていました。当時としては非常に優れており、1年の長さが実際の太陽年と比較すると11分しか違っていませんでした。わずか11分少々長いだけではあったのですが、1000年以上も使われ続けているうちに、このわずかな差が積もり、すでに無視できないものとなっていた事が、当時の改暦に至る背景にはあったそうです。 突然の改暦は、少し違和感のあるものだったらしく、1582年10月4日の翌日は、10月15日となり10日が一気に省略されてしまいました。日本がグレゴリオ暦を採用するのは、そのはるか後、1873年の事なので、世界の時を定める事で、より大きな権威を得ようとしたローマ教皇の思惑など知る由もなかった事になります。そんなグレゴリオ暦の特徴として「閏(うるう)年」の採用があります。一年の長さが365日よりも5時間49分長い事を調整するためで、4年に一度閏年を設定する事で暦が実際の季節より先行するのを防ぎ、暦と季節を等しいものとしています。 この閏年には、実は更に細かい決まり事があります。基本的に4年に一度、西暦年が4で割り切れる年(1992年、1996年)を閏年とします。しかし、それが100で割り切れる年(1800年、1900年)の場合、閏年とはしません。100で割り切れる年であっても、400で割り切れる場合(1600年、2000年)は閏年とします。このような細かな規定の下に現在の時は管理され、暦と季節を等しいものとしています。最近、異常気象などで季節が季節らしくなくなってきている感じがしていますが、馴染んでいる暦だけにあまり大きな変化が起きて使い物にならなくなっていまわない事を願っています。
2005年09月06日
コメント(0)
今年の夏はかなり暑い夏となり、地球温暖化という言葉を露骨に感じる季節となったのではないでしょうか。屋外へ少し出るだけで、耐え難く感じるほどの日差しと熱風に一気に体力を奪われる、そんな感じが日常の中で何度も繰り返されたように思えます。しかし、そんな暑さの中でも「冷え」は確実に存在し、冷え性の人には油断できない状態が続いている事と思います。 外気温と冷房との温度差は、5度以内が適切と言われますが、35度を超える事もある毎日の中では、30度程度の設定では、冷房の存在自体感じにくくなってしまいます。また、オフィスビルの効率化によって個別の温度設定ができない場合、同じオフィス内でも温度差がまばらに生じる事もあり、暑い季節に凍えるという現象も見られてしまいます。 さらに冷え性に拍車をかけるのが水分の摂取です。汗をかくので、充分な水分の摂取が必要なのですが、手軽に入手できるペットボトルの飲料に水分補給を頼ってしまう事は、身体の内部からの冷えを助長してしまいます。特に屋内外への出入りが激しい場合、体温調整機能に負担がかかり、調整機能自体が低下してきているので、そこへ冷たい飲料による冷えを体内へ持ち込む事や、多量の水分を一気に摂取する事は、冷えからの脱却を難しくしてしまいます。 また、ペットボトル飲料に含まれる多量の糖分も、糖代謝に必要となるビタミンB1の消費を一気に行わせ、エネルギーを作りにくい状態、熱を発生しにくい状態を作り出してしまい、冷え性を悪化させてしまう事があります。夏野菜には身体を冷やす働きのあるものが多く含まれていますが、そうした中からビタミンB1が多く含まれるものを選び、冷房の風には直接当らない事、膝掛けなどで体温の損失を防ぐ事、水分は少量ずつ分けて摂り、冷えている飲物はしばらく置いて、体温との温度差を小さくする。そうした工夫で夏の冷え性を乗り越えたいものです。
2005年09月03日
コメント(0)
先日、化粧品の防腐剤「パラベン」と紫外線に関する話をしました。実際に化粧品などの成分表示を見ると、広範囲にパラベンが使われている事を発見する事ができます。それほど広く使われているパラベンについて、少し話しをしてみたいと思いました。 パラベンとは略称で、正式にはパラオキシベンゾエート(パラオキシ安息香酸エステル)と言い、多くの化粧品やシャンプーなどに防腐剤として使われています。食品でもないのに防腐剤というと、若干の違和感を感じてしまいますが、薬事法上、原則として化粧品は3年間の品質保持期間が要求されるので、何らかの防腐剤が必要となり、パラベンを使用する製品が多くなっています。 パラベンには、防腐、抗菌作用があり、その作用のわりには刺激が少ないので、広く利用されています。パラベンには、メチル、エチル、ブチル、プロピル、ベンジルという5種類が存在し、使用例としては、若干守備範囲が異なるエチルとメチルを組み合わせて使う事が多いようです。海面活性作用がない事から、皮膚のバリア層を壊して皮膚内部へ浸透する力は、単体では無く、その事が毒性の低さと相まって、安全性をより大きくしているとも言われます。 長い間安全性が確認されてきたパラベンですが、別な毒性への懸念もあります。パラベンの中でエチル、ブチル、プロピルの3種には、環境ホルモンとしての作用の可能性が考えられています。化粧品を河川に流すという事は、ほとんど微量で考えられないのですが、合成洗剤となるとかなりの量となります。それらが食物連鎖に取り込まれ、生体濃縮を経て環境ホルモンとして作用する事は、充分考えられる事です。シャンプーや台所洗剤、直接皮膚に触れる事の多いもので、それらが雑菌に汚染される事も困った事ではありますが、できる限り使う量を制限できればと思っています。パラベンを使用しない事で、高濃度のアルコールを添加する例もありますが、安全性には疑問が生じてしまいます。パラベンについて考える時、添加物という問題の難しさを実感してしまいます。
2005年09月02日
コメント(0)
かつてカビのコロニーの回りに、他のバクテリアが繁殖できない事に着目し、抗菌剤の素とする事が発見されました。抗生物質の誕生です。その後、さまざまなカビが研究され、新型のより協力で応用範囲の広い抗生物質が開発されていきます。その一方で、抗生物質の抗菌作用に対抗する力をバクテリア達は確保していき、果てのない抗生物質とバクテリアの競争が繰り広げられました。しかし、その競争には限界があらかじめ設定されていました。地球上に存在するカビの種類が限られているからです。 やがてほぼ全てのカビの種類を使い切った後、バクテリアが耐性を確保した時点で競争に終止符が打たれるはずだったのですが、そのまま手を拱いている訳にはいきません。さまざまな新素材の研究が急ピッチに進められています。そんな新素材として、ある強い生物が注目されています。その生物とは、最強の爬虫類、「ワニ」です。 野生動物の生態を扱ったテレビ番組を見ると、いかにワニという生物が強力な力を持っているか、簡単に想像できる事と思います。鋭い牙と強力な顎、全身の屈強な筋肉、大きな体躯。どれをとってもあまり争いたくない相手だと言えます。そんなワニも肉食獣の習性から、強い縄張り意識を供えています。別なワニが自らの縄張りに入り込んだ場合、実力でそれを排除しなくてはいけません。時としてその争いは、大きな傷を負う事となります。熱帯の密林という生活環境を考えると、わずかでも傷を負う事は命に直結する危険な事でもあります。しかし、ワニはその傷の大きさに関わらず、感染症を患う事がほとんどありません。 なぜワニは、感染症とはほとんど無縁でいられるのか?その秘密は血液にあります。ワニの血液中には、感染症を予防する強力な免疫機構が備えられているのです。1998年の研究でワニの免疫機構には、ペニシリンが効かない黄色ブドウ球菌を殺す働きがある事が判っていました。また、試験管中のHIVにワニの血清を加える実験で、多くのウィルスが死滅する事も確認され、強力な抗生物質としての素材となりうる事が期待されています。現段階では、ワニの免疫機構をそのまま人間に用いた場合、強力すぎる可能性があるとの事で、製品化には数年を要するのではと見られていますが、なんとも頼もしい素材の発見ではないかと思っています。
2005年09月01日
コメント(0)
全20件 (20件中 1-20件目)
1


