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胎盤は妊娠中に一時的に形成される臓器です。出産時に体外へ出されてしまいますが、この胎盤の重量によって将来の乳ガンのリスクが、ある程度予測されるという研究結果が米国の医師会誌「JAMA」に掲載されていました。スウェーデンのカロリンスカ研究所のクナッティンギウス博士を中心とした研究チームによる報告です。 乳ガンの正確な原因については明らかにされていませんが、発症のリスクに関してはホルモンが関わり、何らかの役割を果たす事でリスクが増大する事がさまざまな研究によって示唆されています。妊娠期間中はホルモンの値が急激に増大しますが、妊娠期間中のホルモンは主に胎盤によって産生される事が知られ、特に最も強力なエストロゲン(女性ホルモン)の一種であるエストリオールの値は、胎盤の重量に比例して増大する事が報告されています。そうした事がその後の母体の乳ガン発症リスクに関わっていくのではと考えられます。 仮説を検証するために研究チームは1982年から1989年の7年間に出生登録に記載された女性30万人以上のデータを再検討し、乳ガンの発症した女性2216名を対象として胎盤の重量を評価しました。その結果、胎盤の重量が700g以上あった女性の乳ガン発症リスクは、500g以下の女性と比べ38%ほど高く、2回の妊娠を経験した女性では、2回とも500g以下だった女性に対し、1回が500~699g、もう1回が700g以上だった女性では82%高く、両方とも700g以上だった女性では2倍となる事が判りました。 妊娠時に胎児への栄養供給のために一時的に形成される胎盤の重量が多い事で、ホルモンの産生が豊富に行われ、そのホルモン量の多さによって、将来の乳ガンリスクが高まる傾向がある事を示した今回の研究結果は、胎盤とホルモン、ホルモンと乳ガンに関する関連性に基ずく興味深いものではありますが、明確な原因と結果を示すものではなく、単に相関関係を示したものとも考えられます。相関リスク自体はそれほど大きなものではないので、妊娠時に胎盤の重量が大きめだった女性は、その後の不健康な行いを若干控える。通常言われているような発ガンリスクを抑える生活をする程度で、あまり怖れる必要はなさそうです。
2005年11月30日
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特に夏場の事ですが冷たい麦茶を飲みたいので、冷凍庫で凍らせて持って行くと昼過ぎには頃合い良く溶けて、ちょうど飲み頃になっているという生活の知恵があります。一般的に行われている事ですが、麦茶が溶けて液体になる際に有害な物質が形成されるので、あまりお薦めできないという話を聞かされた事があります。事の詳細については語られていないのですが、麦茶に含まれる有害な成分と言えば、アクリルアミドの事でしょうか。 アクリルアミドは加工食品に含まれる発ガン性が疑問視されている物質で、未加工の食品からはほとんど検出される事がありません。2002年にスウェーデンの研究者によって食品に含まれている事が報告され、ジャガイモを高温で加熱調理する食品に比較的高く含まれる事から、ポテトチップスやフライドポテトなどが悪者視されるきっかけを作りました。調理方法によっても違いが生じるらしく、揚げたり焼いたりした物に多く、同じジャガイモを使っても煮た物にはほとんど含まれていません。 当初はデンプンを高温で調理すると生成されると考えられましたが、現在も詳細な発生メカニズムは不明のままで、複数の研究者から報告されているアミノ酸の一種、アスパラギンとブドウ糖が高温の条件下で反応する事が発生原因として有力視されています。LARC(国際ガン研究機関)による発ガン性の評価では、人に対しておそらく発ガン性があるとされる「グループ2A」に分類され、突然変異性が陽性と判断される事から遺伝毒性も考えられています。そのためそれ以下の量なら毒性が現れないとされる「閾値(いきち)」もないとされています。 高温で加熱する事が発生の条件でもあるので、凍結したものが溶けてきても発生する事はないのですが、麦茶は焙煎を行うので、その際に麦に含まれるアスパラギンとブドウ糖が反応している事は考えられます。麦茶を凍結させて解凍すると、純粋な水分だけが最後まで凍っているので、解凍途中では内容成分が濃縮された状態になります。おそらく解凍麦茶の話は、そうした事が元になっているのではないかと考えられますが、麦茶、ポテトチップス、フライドポテト、日常的な摂取量であればそれほど心配する必要もないと思います。何事もそうですが、怖がりすぎは不健康の素ですね。
2005年11月29日
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子供の頃、河原で遊んでいたところ、釣りをしていた人が残していったと思われる真新しい小箱を発見しました。小箱の横には「りんたろう衛生みみず」という印刷があり、一見して餌として使用するミミズが入っていた事は明白です。捨ててある事から中身は空という事が予想されたのですが、何となく好奇心に駆られ小箱の中を見てみると、ビニール袋の中に綿のような物が入れられています。この中にミミズが入っていたのでしょうが、ミミズが商品になるという事に純粋な驚きがあった事が思い出されます。 それからしばらく勝手に「りんたろう」とはミミズ養殖会社、もしくは釣具屋の創業者の名前と思っていたのですが、先日、偶然にもその名の由来知る事となりました。箱の中で見たビニール袋に詰められた綿状の物は、「コットンリンター」と呼ばれる繊維で、綿100%、再生セルロース製品のベンベルグを作る際に副産物として出た物でした。このリンターの「リン」と男児の名前のイメージから「太郎」を合せて、「りんたろう」と名前が付けられたそうです。コットンリンターはミミズの餌になるだけでなく、ミミズが生息する土の代わりとしても優れているという事で、小箱の中はミミズの楽園だったりもします。 そんなミミズのりんたろうですが、最近では意外なところで役に立ってきています。ガーデニングの流行や有機志向、エコムーブメントの一環として家庭ゴミの減量などから、家庭でのコンポストの普及が進んでいます。自治体によっては補助金も交付されているようなので、庭先に特徴的なプラスティック容器が設置された風景も見かけるのですが、コンポスト=堆肥化は生ゴミを容器に放り込んでおくだけではうまくいかず、それなりに手をかける必要があり、その手間を省くために自動化された電気製品も販売されているようですが、価格的に高価でまだまだ一般的ではありません。そんなコンポスト容器にミミズを入れておくと、堆肥化が手早く確実にできると言います。 ベランダに安価な衣類の収納容器を置き、適当な土を入れて毎日の生ゴミをその中へ。それだけでゴミの減量と肥沃な堆肥ができるのですが、その手助けをしてくれるのがミミズという訳です。生ゴミは水分量が多く、焼却処理に高い温度が必要になるという困った一面を持っていますが、土に湿度を与え、ミミズの餌となります。今後ミミズが活躍して、生ゴミの量が減ってくれれば、投入時に燃焼釜の温度を下げ、ダイオキシンが発生しやすい温度にするという問題も少なくなると思います。あまり好きな生物ではありませんが、頑張ってほしいと思っています。
2005年11月26日
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近い将来、人への感染力を獲得し、猛威を振るうだろう。その場合、かつて大きな被害を生んだスペイン風邪に匹敵するものになるのではないか...。鳥インフルエンザについてそんな予想が付きまとい、実際に世界的な大規模感染が起こった際のシミュレーションが行われている事も、恐怖心をより大きくしてしまっているのではないでしょうか。そんな鳥インフルエンザに対抗する唯一の薬剤、それがリン酸オセルタミビル、「タミフル」です。 簡単に言ってしまうと、タミフルはウィルスが増殖する事を防ぐ薬剤です。インフルエンザはウィルスが体内に侵入し、一定の潜伏期間を経て高熱を発する事で発症します。タミフルはウィルス侵入後、そのウィルスの増殖を抑える事によって、体内の免疫系がウィルスを撃退するまでの時間を短縮させる働きがあります。感染後、適切な時期に投与する事によって、インフルエンザによる発熱期間を効果的に縮める事が可能という訳です。 実際にタミフルによって短縮する発熱期間は一日と言われています。この一日という時間に対する評価は個人の置かれた立場によって大きく異なるので、あえて触れないとしても、少なくともタミフルはウィルスを攻撃して治療してくれる薬剤ではない事は確かです。そんなタミフルですが、これまで世界中で3200万人の人が服用したと言われ、そのうちの2500万人は日本人が占めています。日本の人口は世界の50分の1程度なので、その一国に服用者の3分の2が集中するという事は驚異的とさえいう事ができます。 免疫系が成長し、体力が充分にある成人であれば、タミフルによってウィルスの増殖を抑えている間に自己の免疫力で回復する事が考えられますが、免疫系等が充分に成長していない小児の場合、タミフル服用後、免疫力が回復へと繋げる間に時間を要してしまう可能性は大いに考えられます。懸念されるのは、その間にウィルスがタミフルへの耐性を獲得する事です。人への感染力を獲得するのは世界の何処かかもしれませんが、抑え込む薬剤への耐性を獲得して、手に負えない存在となるのは日本でなのかもしれません。日常の生活を通し、しっかりと免疫力を高めておきたいものです。
2005年11月25日
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イソフラボン・・・大豆に含まれる植物性エストロゲンと言われ、大豆の健康効果の一つの源となっています。エストロゲンとは女性ホルモンの事であり、女性ホルモンは栄養の吸収を良くするなど、幅広く作用するホルモンであり、ストレスなどによっても不足しがちになるものでもあります。そんな女性ホルモンと同じような働きをする成分を、食によって補う事が大豆の健康効果の一つでもあるのですが、体内でホルモンのような成分が作用する事は必ずしも良い事ばかりとは限りません。 例えば女性ホルモンをそれほど必要としなくなった閉経後の女性が、大量の植物性エストロゲンを摂取し続ける事は、子宮ガンの発症リスクを増大させるのではないかという懸念が持たれていました。長期間に及ぶホルモン補充療法の施行によって、乳ガンや脳卒中のリスク増大との関連性が指摘されて以来、処方されるホルモン様体の代替として大豆の摂取を積極的に行う女性も増えています。安全性の確認は、非常に重要な意味を持っています。 先ほどシカゴで開催された「慢性疾患の予防及び治療における大豆の役割に関する第6回国際シンポジウム」の席上では、大豆の摂取によって子宮ガンの発症が促進される事はなく、そればかりか予防効果が示されたケースもある事が報告されていました。その逆の大豆製品の摂り過ぎに対する健康への懸念を取り上げた記事も、先日記載されています。 また、遺伝子組み換えを行われた品種の混入による、大豆その物の安全性への懸念も広がってきています。大豆の輸出国の一つでもあるブラジルでの遺伝子組み換え大豆の承認は、今後輸入大豆の安全性を疑問視する要因となる事と思われます。さまざまな思いが交錯する大豆をめぐる諸説の存在ですが、節分の折に言われる「年の数だけ・・・」の言い伝えを信じて、健康に役立つものであってほしいと思っています。
2005年11月22日
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農薬、その一言は消費者の立場からは、非常に印象が悪いものではないでしょうか。殺虫剤や消毒薬、除草剤など生物を殺すという強力な薬剤というイメージが付きまとい、怪しげな茶色の遮光ビンに入れられ、ラベルにはドクロのマークが印刷されている、そんな感じに思えてしまいます。 農薬取締法の定義では、農薬の事を「樹木を含む農作物を害する菌、ウィルス、虫、その他動植物の防除、成長阻害、発芽抑制に用いる天敵を含む薬剤」と規定しています。この文言から判断すると、非常に幅広い薬剤が農薬と成りえる可能性を持ち、天敵が含まれる点では生物も農薬に指定される事もあるという事になります。 過去には有機水銀や砒素、有機リン剤、有機塩素剤など、かなりの毒性を持つ農薬が製造、使用されていましたが、今日では登録失効という形で姿を消してしまっています。最近、残留農薬としてよく検出される物として、「イプロジオン」の名前が聞かれますが、それでも1000の検体から40例出るか出ないかという確率で、0.1ppm程度の微量となっています。イプロジオンの毒性の判断基準となる半数致死量は、体重1kgあたり2gと言われるので、体重50kgの人なら、検出された農産物をそのまま皮も剥かずに100kgほど食べれば、命の危機に至るという計算になります。 同様に柑橘類の残留農薬として知られたメチダチオンも体重1kgあたり0.004mgとイプロジオンより強力な毒性となりますが、皮に残留しているため、剥いて食べれば問題がなく、皮をマーマレードなどに加工した場合を想定しても、加工の段階で洗浄や茹でこぼしなどをするため、残留量は非常に少なくなり、マーマレードを50~60kgも食べないと危険ではないと考える事ができます。それらの数字的な事から危険性はないかというと、そうでもない部分もあります。毒性を気にする事のない量でも、体内で分解する際に活性酸素が発生する事や、極めて微量でも環境ホルモンとして作用する可能性などを考えると、神経質になりすぎる必要はありませんが、やはり気にしないというわけにはいきません。よく洗浄するなど一手間を惜しまない程度が適当ではないでしょうか。
2005年11月19日
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食べ物が美味しい季節が訪れ、続いて忘新年会、年末年始という食べ物との縁が深い時期が続きます。そんな時節柄という訳ではありませんが、栄養過多な状況が日常的に続く中、確実にその数を増やしているのが糖尿病ではないでしょうか。実際、糖尿病の患者は700万人と推定され、身近な病気となっていますが、治療を受けている患者は200万人程度と全体の3分の1以下となっています。 糖尿病が治療を受けず、ほったらかしにしてある背景には、糖尿病自体がそれほど怖い病気ではないという事があります。自覚症状がそれほど明確ではない上、目に見えた弊害も生じにくいという点や、発症して自覚していても、きちんとした治療を受けて、血糖をコントロールしてさえいれば健康な人と変わらない生活を送る事ができます。 そんな糖尿病ですが、本当に怖ろしいのは糖尿病自体ではなく、糖尿病によって引き起こされる合併症です。糖尿病の症状が3~5年も続くと、最初の合併症「糖尿病性神経障害」が起こる可能性が高まります。知覚神経に障害が及ぶと痛みに対して鈍感になり、気付かないうちに傷を負ってしまい、健康な人よりも血液中の栄養が豊富な状態にあるため、細菌による感染症を起こしてしまいます。 そうした合併症の多くは、神経障害の場合を除き、自覚症状に乏しいという特徴があります。症状が進行してから治療に取り組むという例が多いのも、そうした糖尿病とその合併症の特徴ゆえという事ができます。糖尿病は多くの場合、疲れや気のせいとして見過ごしがちですが、早期に気付いて血糖のコントロールを行えば、ほとんど怖い病気ではなくなりますので注意したいものです。
2005年11月18日
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目に優しくなったとはいえ長時間モニターを眺めての作業には、それなりの疲労が伴います。職場でのパソコンの普及は、ドライアイという新たな問題を広範囲に拡大させてしまいました。ドライアイはその名の通り目が乾燥し違和感を感じたり、目の表面に痛みを感じるという症状を指します。目の湿り気を保つ役割の涙が量的、質的に低下し、乾燥やざらつき感を発生させてしまいます。 単に乾燥やそれに伴うざらつき、痛みなどの不快感だけならそれほど大変な感じはしないのですが、角膜が乾燥する事で潰瘍に繋がってしまうと、後遺症が残ったり、最悪の場合失明に至ってしまう可能性もあります。また、乾燥する事で表面の免疫力が低下すると、思わぬ感染症を引き起こす可能性も高まります。 そんなドライアイに関して、興味深い実験が行われています。脂肪酸の摂取とドライアイの関係を調べるもので、1.オメガ-3系の脂肪酸の摂取量が最も多いグループは、最も少ないグループよりもドライアイの発生が20%ほど低かった。2.オメガ-6系脂肪酸とオメガ-3系脂肪酸の摂取比率が15対1を超えるとドライアイの発生が2.5倍になった。3.オメガ-3系脂肪酸が豊富なマグロを週に少なくとも5回摂取している場合、1回の摂取よりもドライアイの発生68%も低かった。4.オメガ-3系脂肪酸の含有量が少ない魚では、ドライアイの予防効果は認められなかった。以上の結論が得られています。 オメガ-3系脂肪酸は、魚や穀物などに含まれる健康に良い油脂でオレイン酸、リノレン酸、DHAなどもその系列に含まれます。それに対しオメガ-6系脂肪酸は動物系の油脂に多く、リノール酸もその系列に含まれます。ドライアイの予防にはオメガ-3系の脂肪酸が効果的で、オメガ-6系は効果が確認されていませんが、いずれも身体にとっては欠かす事のできない脂肪酸です。脂肪酸については、ビタミンのように欠乏した際の弊害について、ほとんど知られていません。現代人の体調不良の影に脂肪酸不足あり、と言われるだけにバランスよく摂取できるようにしたいのもです。
2005年11月17日
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最近は公共の場所での喫煙が制限され、限られたブース内での喫煙が行われるという場面をよく目にします。特に大型ショッピングモールや子供が集まりやすい場所では、そうした分煙施設の存在が、それほど特殊なものではない感じさえしてきています。仕切られた狭いブース内に閉じ込められ、煙を上げている姿は、愛煙家には気の毒なのですが、禁煙を薦めたい気になってしまいます。 医療制度の改革が審議されていますが、その中で禁煙治療を保険の対象とする案も出て、喫煙が健康に及ぼす影響の大きさを感じさせてしまいます。タバコについては、日常、すぐに購入する事ができる点や、ニコチンの依存症であるという意識が薄い事、周りに禁煙の必要性を感じる人が少なく、協力が得られにくい点などで、失敗する例が多いとも聞かされます。そんな禁煙に非常に効果を上げる「ニコチンに対抗するワクチン」の登場が近付いてきています。 現在開発段階にあるニコチンワクチンは、体内の免疫系統を刺激して抗体を産生させ、ニコチン分子に接着するように仕向け、抗体が接着したニコチンは分子量が大きくなるため、血液、脳関門を通過する事ができなくなり、脳内にニコチンを到達させない、もしくは到達する時間を延長し、到達量も減少させる働きを持っています。 副作用として関節痛や頭痛、疲労感、筋肉痛などが報告されたそうですが、いずれも数日内には治まり、危険と判断するものではなかったそうですが、現在安全性に関する確認も進められています。今後、有効性は確認されているので、その持続性や追加投与の必要性、喫煙習慣が復活する可能性、幼少期の投与についても検討が進められるそうですが、4~6年の後には登場する可能性が高いと言われています。日本への輸入、承認は、さらにその後となるのでしょうが、禁煙を志す人には良い知らせかもしれません。作家のジョナサン・スイフトの弁によれば、「禁煙というのは簡単である。私は何度もやっている」との事ですが、それが一度で終わる事になるのかもしれません。
2005年11月16日
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寒い時期に限らず、クーラーが効いている夏場も「冷え」についての対策は必要です。冷えは万病の元と言われるくらい、気付かないところで体調への悪影響を及ぼしてしまいます。そんな冷えの対策として、さまざまなものが上げられますが、身体の中から温めてくれるという意味でお薦めするのが「生姜(しょうが)」です。 生姜がメインとなる料理と言えば、「甘酢漬け」くらいしかすぐには思い浮かびませんが、薬味としてなら幅広く愛用されています。寒い時期の身体を暖めてくれるものから、暑い時期の清涼感を演出するものまで、個性的でありながら多くの料理の名脇役ともなっています。また、世界的にも民間療法の素材として使われ、風邪に関しては特に重宝する素材でもあります。 風邪をひくと体内ではさまざまな物質が生成されています。中でも「ロイコトエリン」は喉の平滑筋を収縮させて咳の原因となり、「プロスタグランジン」や「セロトニン」は悪寒や喉の炎症、頭痛などの原因となります。生姜の辛味の中に含まれるジンゲロールや芳香成分に含まれるガラノラクトンには、そうした体内成分の働きを抑え、風邪の症状を緩和させる働きを持っています。 また、寒さによって筋肉が収縮して血管が細くなり、血液の流れが悪くなる事で全身に冷えが及びますが、ジンゲロールは血管を拡張させる事で血行を確保し、身体を暖める働きを持っています。独特の辛味が胃壁を刺激し、胃粘膜の血行も促進する事から胃粘膜の修復にも役立ち、ガラノラクトンが消化を助ける働きも持っているので、風邪によって下がり気味の食欲を確保する事にも役立ちます。インドのアーユルベーダにも紹介され、日本でも奈良時代には既に風邪に効果ありとされていた事からも、その効果が伺えます。寒さが本格化する頃には、常備しておきたい素材の一つになっています。
2005年11月15日
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眠り・・・必要不可欠というか避けられないものです。人は眠らないとどうなるか?答えは簡単、眠ってしまうだけです。人生でもっとも多くの時間を費やす事でもありますが、謎とされる部分も多く残されています。何故眠るのか、それさえも謎だと言われています。消化など身体を動かす以外の事にエネルギーを向けるために活動を停止した状態を作り出すのか、必要の無いエネルギーを使わない習慣の積み重ねの中から生まれたのか、諸説が唱えられています。 歴史を遡った極めて初期の眠りは、単純に地面に横になって身体を丸めただけのものだった事が想像されます。睡眠をより安定的にするためには洞穴などを利用する事も考えられますが、平地では浅い縦穴を掘っていたようです。縦穴を掘るのは、外敵に見つかりにくく、風にも当らないのでより安心して眠る事ができます。 また、日常生活に火を使うようになった事も睡眠をより安定したものとしました。火は獣を遠ざけ、寒さを防いでくれます。食物を食べやすい状態に加熱調理できる事は、食事に要する時間を短くし、睡眠に使える時間を長くしてくれました。その頃、身体を保温するために使われた獲物の毛皮が、おそらく最初の寝具だと考えられます。枕という概念は後の登場となります。 最初の寝具が掛け布団と考えられますが、今日のような掛け布団の登場はかなり後の事となっています。昔からという感じがしますが歴史は浅く、幕末の頃の成立です。それまではかい巻きが主流で、そのかい巻きですら室町時代からの事です。それ以前となると衣片敷きのような服を寝具としていました。畳や褥(しとね)、衾(ふすま)、菰(まこも)など、時代に合わせた変化が見られ、寝具はその時代の最新の技術が取り入れられている事が伺えます。今日の機能性寝具もやがてその列に加わる事になるのでしょうか。
2005年11月12日
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「噛む」という行為は、単に食物を細かく砕いて唾液と混合し、消化に適した状態にするばかりではなく、それ以外にもさまざまな効用が知られています。よく噛む事は頭を取り巻く筋肉のみではなく、全身の筋肉にも影響を与え、肥満の防止や味覚の発達、脳の発達、消化器系の調子を整える、あごを制御する筋肉の発達による発音の適正化、唾液の解毒作用を発揮させる事から、ガンを予防するとまで言われています。 物を食べるという生命の根源的行為の入り口でもあるので、噛む事が全身のさまざまな事に影響を与えるのは納得がいく事ですが、そんな噛むという行為にまた新たな効用が確認されています。最近、注目されている手術法に「腹腔鏡下手術」があります。腹腔鏡下手術はこれまでの手術法と異なり、患部を大きく切り開くのではなく、最小限に切開した部分から超小型のカメラを入れ、その監視のもとに手術を行うため、従来の手術法と比べ患者への負担が少なく、術後の回復も早いと言われます。そんな腹腔鏡下手術の回復を、噛む事によってより早くする事が判ってきました。 選択的結腸切除手術を行った患者102名を被験群と対照群に分け、術後の標準的な栄養摂取の下、被験群にはガムを噛ませたところ、被験群では対照群に対し入院期間が一日短いという結果が得られています。特に術後の一定期間に見られる腸閉塞が予防または軽減されている事から、術後の経過に有効な働きを持っている事は明白です。 術後なので食物を消化管内に送り込む事はできないのですが、ガムを噛む事で食事をしていると身体が判断し、消化器系が活動する事が良い方向への刺激へと繋がっている事が考えられます。噛むという行為は脳の血流量を増やすという事で、身体活性に優れた働きをもたらします。現代人は特に噛む回数が少なくなっていると言われ、古墳時代と比べると6分の1、戦前と比べても2分の1と言われ、いかに少なくなってきているかが伺えます。人類の進化に関しては、物を軟らかくして食べる工夫が加わった事で噛む力が弱くて済むようになって頭蓋骨の強度が下がり、結果として脳の容量が増やせたという説があり、噛む事は大きな影響を持っていると言えます。最近、軟らかい食物が増えてきていますが、きちんと噛む習慣は忘れないようにしたいのもです。
2005年11月11日
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食材の機能性、特にガン予防に対する効果を、有効性別にピラミッドの状態に表示したイラストがあります。デザイナーズフーズといも呼ばれる機能性食品を、階層的に表示したそのピラミッドの頂点には、決まってにんにくが描かれています。二位以下の階層となると、微妙に入れ替わる事があるのですが、その中にあってにんにくと同じように不動という感じで、二位という地位を確保しているのがキャベツではないでしょうか。 日常接するキャベツは主菜となる事も少なく、にんにくほど健康効果に優れたイメージはありません。しかし、キャベツの原種といわれるケールが健康食品の原料となっている事を考えると、その効果も納得がいくものがあります。そんなキャベツの健康効果に関する研究が、また一歩進展を見せてきています。 英国の医学誌「ランセット」10月号に掲載された論文によると、キャベツをはじめとするアブラナ科の野菜を、少なくとも週に一回以上摂取する事で発ガンのリスクを下げる事が明らかになったとしています。フランスのリヨンにあるガン研究国際機関遺伝疫学部部長のブレナン博士による研究の結果、これまでキャベツやブロッコリー、芽キャベツなどのアブラナ科の野菜がガンに対して予防効果を示していた事に関し、有効成分となる硫黄化合物の一種であるイソチオシアネートの体内での働きが明らかにされています。 イソチオシアネートの化学的予防効果は知られていましたが、人によって有効性に差異がありました。その原因としてGSTM1やGSTT1と呼ばれる遺伝子によって産生される酵素の働きで、イソチオシアネートが体外へ排出されていた事が明らかにされ、GSTM1の働きが不活性で、アブラナ科の野菜を摂取している人の肺ガン発生率は33%も低く、GSTT1が不活性な人では37%、両遺伝子が不活性な人では72%も低かったという結果が得られています。この結果はアブラナ科の野菜による予防効果を示すもので、さらに研究が進めば日常の食材による有効な健康法が確立される事が考えられ、今後が楽しみになっています。
2005年11月10日
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先日、ちょっとした不注意から小さな怪我をしてしまい、数日が経過した今、治りかけの状態でかすかなかゆみを感じています。怪我をしてしまうと当然、自己治癒力によって傷は回復します。個人差や体調などによって微妙に完治までの時間的違いはありますいが、簡単な怪我ならほぼ数日で治ってしまいます。その治りかけの塞がった傷口にかゆみが生じる事があります。 やっと傷口が塞がったばかりで、まだ表皮の状態も完全ではないため、かゆみを感じるまま掻いてしまうと傷の治りを邪魔してしまう事もあるのに、なぜそのような事になるのでしょう。傷ができた際は痛みが生じ、それが治りかけるとかゆみが生じます。そこで掻きすぎてしまうと、また痛みが生じます。それには皮膚の構造が深く関わっています。 私達の皮膚には、何かが触れた事を感じたり、温度を感じたりするセンサーのような神経が無数に配置されています。それは均一に表面を覆うのではなく、スポット的に存在している事は、先端が鋭利な物で突いてみると、痛みを強く感じる場所とそのすぐ横でもあまり痛くない場所が存在する事からも判ります。また痛みを感じる神経は、皮膚に比較的深いところに配置されているので、傷を受けた際、その神経が反応して痛みを生じ、怪我を知らせてくれます。 それに対し皮膚の表面には、何かが触れたり、付着したりといった皮膚表面の異常を知らせる神経が配置されていて、かゆみを生じさせる事によって皮膚の異常を排除させるように仕向けてくれます。怪我をした際、皮膚の深い部分にまでダメージがいくので、痛みを感じる神経が反応し、痛みによって怪我を庇い、緊急的に治療を行う必要性を知らせます。怪我が治る過程では深い部分の痛みを感じる神経が反応を続け、それが修復されると浅い部分にあるかゆみを生じる神経の再生が行われます。この神経の再生によってかゆみが生じると考えられています。そう考えると妥当なかゆみですが、怪我の速やかな回復という点では、ちょっとやっかいなものかもしれません。
2005年11月09日
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早期定年を迎え、家族と悠々自適、趣味に没頭する時間を過ごし、余生を楽しむ。長寿のためには理想的な生活スタイルではないでしょうか。それまでが仕事に追われ、ストレスに囲まれて生きてきたので、早めにそんな環境から抜け出す。確かに精神衛生上もその方がよく、確実に長生きに繋がりそうな気がします。ところが必ずしもそうではない事が明らかになってきています。仕事や職場から受けるストレスが極度のものでなければ、仕事を続けた方がその後のリスクを下げられるというのです。 英国の医学誌、ブリティッシュメディカルジャーナル10月号に掲載された研究レポートによると、55歳で退職すると、その後10年間に死亡するリスクが65歳で退職した人に比べ、有意に高い事が明らかにされています。報告者であるシェルオイル社の健康サービス部門のツァイ氏によると、1973~2003年までに同社を退職した元従業員3500名を対象に評価したところ、60歳、もしくは65歳で退職した人の死亡率は高くない事が判ったそうです。一般的に考えられてきた退職がもたらす肉体的、精神的有益性からは逆の結論となります。 この結果に対し、早期退職者は退職を早期に切り上げるに至る健康上の理由を抱えている人が多い、という見解も出されています。米国の国立加齢研究所疫学、人口統計学、生物統計学部長のグラルニック博士もこの見解に同意し、早期退職者のようなグループには、健康上の理由により退職する人が相当いる点を考慮すべきと述べています。確かに55歳という年齢は、まだまだ現役という色合いも濃く、退職に至るにはそれなりの理由があるのかもしれません。 それに対しツァイ氏は、そのような健康上の影響を取り除かなくても、65歳時退職者は55歳時退職者に比べ、生存率が有意に高かったとしています。また、カナダの「活力ある高齢化に関する国際評議会」の最高責任者であるミルナー氏によると、健康上の問題が生存期間に及ぼす影響は避ける事ができないとした上で、退職時に仕事の重要性を過小評価している人が多い点を指摘し、退職後に新たに何かを始める人は生活を楽しみ、健康も維持できる事から、退職後の生活を活気あるものにする事が大切としています。長寿で知られた沖縄、南西諸島のお年寄りを見ていると、高齢にも関わらず家族の中でしっかりと役割と責任を持って、生涯現役というライフスタイルに気付かされます。やはり人生の質を高める事、適度なプレッシャーを持つ事は長寿の秘訣なのでしょうか。
2005年11月08日
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第405回 不死の山 2005年11月04日 有名な話ですが、かつて中国全土を統一した秦の始皇帝は、自らの延命を求め不老不死の薬の発見に精力を注ぎました。そのために世界各地へ部下が派遣され、さまざまな研究が行われますが、この研究の成果は、後の漢方薬の発達の基礎となったと言われています。そんな秦の始皇帝が特別な興味を持った土地、それが中国の東に位置する蓬莱と呼ばれる仙人が住む国、日本です。 元来、仙人は人里離れた高い山の中に生活の場を求めると言われ、日本有数の高山と言えば富士山という事になります。富士山は不死が語源と言われ、不死の山が富士の山となったと考えられています。そうした何らかの情報が伝わった事が、始皇帝の目を日本へと向けさせるきっかけとなったのかもしれません。 また、古い民話の中で不老不死の薬を取り扱ったものは、いくつか確認されていますが、代表的な存在として「竹取物語」があげる事ができます。月に帰る事になったかぐや姫は、自分の事を熱烈に想い続けてくれた時の帝に対し、旅立つ間際に不老不死の薬を渡しています。一旦、不老不死の薬を受け取った帝ですが、かぐや姫を失った事から生きる望みを無くし、せっかくの薬を燃やしてしまいます。 一連の竹取物語の舞台は、「駿河の国、大綱の里」だったと言われています。大綱の里は現在の富士市にあたり、因縁の深いものを感じてしまいます。人は細胞分裂の回数限度から125歳くらいが限界の寿命ではないかと考えられています。しかし、それは現代の科学が出した結論であり、絶対的な事ではないという意見もあり、いつの日かかぐや姫の薬が再現される時がくるのかもしれません。不死にはあまり興味がないのですが、不老は大変ありがたい気がします。いつまでも若々しくありたいものです。--------------------------------------------------------------------------------第404回 和食? 2005年11月02日 最近では日本通の外国の方も増え、難関とされた刺身や納豆も平気という発言も多く聞かれるようになってきました。そんな日本通の方に何でもOKと言われた後にお出しすると、これだけは...と言われてしまうものがあります。それが「卵ご飯」です。卵を生で食べる習慣は世界的に珍しいとは言われますが、その生卵の素材感がダイレクトに感じられる卵ご飯には、納豆が平気な方でも辛いものがあると聞かされた事があります。 卵ご飯、または卵かけご飯と言われる事もありますが、極めてバリエーション豊かな卵料理の中で、ゆで卵と双璧を成すと言っても過言ではないほどシンプルな卵料理となっています。大きく分けると全卵を用いるパターンと卵黄のみを使うパターンがありますが、基本的には、温かいご飯に生の卵、しょうゆを使って味付けをするというものです。かつて卵が貴重だった時代には、大変高価なものだったのではないでしょうか。 シンプルな料理だけに根強いファンが多く、先日そんなファンが集まり、「日本たまごかけごはんシンポジウム」が開かれました。発開催ながら約200名が出席し、こだわりのレシピから食文化に関する話題と、多岐にわたる話が行われ、最終日には「たまごかけごはん宣言」が採択されたそうです。「日本たまごごはん楽会」も設立されたとの事ですから、今後も卵ご飯の世界は楽しみながら広がっていきそうな気配です。 そんな卵ご飯の主役、生卵ですが、諸外国で食べられない理由としては、サルモネラ菌の存在が大きいと言われます。特に母鶏の血液を介して卵の内部に入り込んだとされる、サルモネラ菌内包卵に関しては事の真偽をめぐり諸説が分かれています。卵の内部にまで入り込むほどサルモネラ菌が体内で増殖しているのに、母鶏は卵が産めるほど元気という事が考えられないので、私もサルモネラ菌内包には否定的な立場を採っています。栄養のバランスに富んだ食品なので、これからも愛用していきたいと思っています。
2005年11月04日
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鮭の切り身を見ると、文字通りサーモンピンクの鮮やかな色をしています。その色のせいで鮭の事を赤身の魚と思ってしまいますが、鮭はマグロとは違った質感の身をしていて明らかに違う物だと判ります。鮭は白身の魚、タラや鯛の仲間です。 何故、白身魚の鮭が赤い身をしているかというと、赤い色の餌を食べているうちに、体内にその色素の影響が出たからです。赤い色の餌、小エビなどは赤い色素、アスタキサンチンを豊富に含んでいます。海産物に含まれるアスタキサンチンは、植物のアントシアニン色素と同様に強力な抗酸化作用がある事で知られていました。どちらかと言うと、目に良いと言われるアントシアニンの方が注目されていますが、アスタキサンチンにも目に良い働きがある事が判ってきました。 富山大学と富山化学工業による共同研究の結果、アスタキサンチンには眼精疲労緩和に有効な働きがあり、眼圧を降下させる事なく網膜毛細血管血流量を増加させる事が明らかになりました。網膜は眼圧という一定の圧力で圧迫されているため、それを緩和させるだけでも毛細血管の血流量を増加させる事ができますが、眼圧を保ったままで血流量を増加させるのであれば、血流量の増加に有効に作用している事が伺えます。 さらに乳頭周辺の血流量が増加する事によって、緑内障の治療にも効果が期待されるとの事なので、アスタキサンチンの新たな効果には、今後の展開が楽しみになります。専門医からの問い合わせも殺到しているそうなので、そう遠くない将来、赤い錠剤が処方される事になるかもしれません。それまでは、赤い海産物を食べて待てというところでしょうか。マツバガニの鮮やかな赤など、かなり多く含んでいる気がします。
2005年11月02日
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カビを培地の上で培養すると、それぞれの塊(コロニー)を形成して増殖していきます。そのコロニーの周辺には、その他のカビや雑菌が生息していない事から、カビがコロニーを形成するにあたって、他の生物が生活圏を脅かす事がないように、何らかの毒素のようなものを出している考えられます。その毒素をうまく利用できれば、感染症などを起こす有害な雑菌に対抗する事ができるようになる。それが抗生物質、ペニシリン開発の最初の発想でした。 その後、さらにカビの研究は進み、より強力な抗生物質が開発されます。しかし、それに対抗して微生物たちも抗生物質に対して耐性を獲得し、新薬の開発、耐性の獲得というプロセスを繰り返していきます。幾度かそれを繰り返した後、抗生物質のネタ元となっていたカビの種類が尽きてきました。 カビ以外の素材も急速に研究が進められています。最近、北欧の松林で発見された菌類(真菌)が産出する抗菌ペプチドに、強力な抗生物質であるペニシリンやバンコマイシンと同等の作用がある事が発見されました。この抗菌ペプチドは肺炎の原因菌や、連鎖球菌性咽頭炎、重度の皮膚感染症の原因菌に対して、きわめて有効な働きを持つとされています。 プレクタシンと名付けられた抗菌ペプチドは、すでにさまざまな実験によって従来の抗生物質に耐性を持つ細菌にも有効に作用する事が証明され、安全性も確認されています。人を対象とした試験で、有効性や安全性が確認されれば、2012年頃には薬剤として市販される事になるそうなので、耐性菌への感染症に対する安心感が増す事にはなりますが、薬剤で叩くだけという細菌との付き合い方について、もう少し考えるべき時がきているのかもしれません。
2005年11月01日
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