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季節柄風邪をひいた人が周りに増えてきました。流行の型ではないらしく、誰もがインフルエンザではないと口をそろえて言うのですが、怖いウィルスのキャリアである事だけは間違いないようです。この時期、一番の予防は出歩かず、人と接しない事ですが、そういうわけにはいかないのが現実で、やむなく身体の防御機能を高める事が大切になります。そんな時、重宝するのがビタミンCです。 ビタミンCが風邪に有効という説が根付くきっかけを作ったのは、2度のノーベル賞を受賞したポーリング博士です。1970年に「ビタミンCと風邪」という本を出版して、以降世界中に論議を巻き起こします。博士いわく、「1日5~10gという大量のビタミンCを摂取すれば風邪を予防でき、かかってからも進行を食い止めることができる」というのです。ビタミンCの働きは、細胞同士をくっつけるコラーゲンを作り出す働きを助けるというもので、細胞間の結合がよく行われていると粘膜が強化されます。粘膜が強化されると、ウィルスの侵入を防げられ風邪に感染しにくくなる事が考えられます。 感染しにくい状態を作り出す事は考えられても、基礎研究レベルでは風邪とビタミンCを結び付ける結論は得られておらず、効果に関する疑問は常に唱えられてきました。医者も患者もそれが本物か偽物か分からないようにして効果を見る「二重盲検法」という臨床試験の結果、予防効果と治療面でのある程度の効果が期待できるというものでした。 ビタミンCは、白血球と結び付いてウイルスを破壊する力を高めてくれます。また、新陳代謝には欠かせない成分でもあるので、不足する事は、病気になりやすく、治りにくい状態に陥ってしまいます。活性酸素を除去する働きもあるので、免疫細胞の正常な働きを助けてくれたりと、体内でさまざま働きを発揮して身体を健康な状態に保つ事に必要な成分となっています。特定の疾患を治療するというより、日常を通した健康管理に大いに役立つ成分という事でしょうか。過剰症の心配もないので、多めに摂っておいて損はなさそうです。
2006年01月31日
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忘年会、新年会の時期が通り過ぎ、やっとカラオケに誘われる機会も減ってきました。かつて音楽の授業では、あれほど人前で歌う事を嫌がっていた人が、カラオケとなると嬉々として謳いたがるのか、私的には不思議なものさえ感じてしまいます。最近は曲数も充実して選択の幅が広がり、曲自体の音の高さも調整できる事から、自分に合せて歌いやすくなったという事もあるからでしょうか、かなり上手い人もいれば、そうでない人もいたりします。このそうでない人、実は科学的に裏付けが得られているのです。 脳波検査(EEG)を実施して、さまざまな領域の脳細胞が音に対してどのように応答するかを評価するために、音痴の人、および正常音程の人を対象として、異なる音程を各音100ミリ秒ずつ、連続して聴かせてみると、音痴の被験者は、音程の差がわずかであるとその変化を感じ取ることが困難だった事が認められ、さらに音痴の被験者には脳の右側に正常音程の被験者との差異が認められたと言います。 そうした研究結果から、先天性の音痴であっても一次聴覚皮質の損傷などは無関係で、音程の認識が困難になるのは生後、聴覚処理の流れ(一次聴覚皮質の外側)で生じるものとされています。音痴は失読症などの言語障害や読字障害との関連が認められており、音痴に関する研究は、聴力、言語能力および読字に関する症状の診断法や治療法に寄与するものとさえ考えられています。また、同様の研究は治療の選択肢を増やす可能性を得るきっかけとなり、種々の治療法が脳に対してどのような影響を及ぼすかを評価する道を開くものという期待もされています。 人は半音を100分割したセントという単位で4セント、200分の4音というわずかな音程を聞き分ける事が可能と言われます。そこまで小さな単位ではなくても、音の違いを聞き取る力が弱く、聞いた音が何にあたるかという音感の欠如、意図する音の発声が上手くできない事、そうした事が積み重なって音痴と呼ばれてしまう、そう考えられます。すべてが決定的に欠如している事は考えにくい事でもあるので、訓練する事によってある程度は改善される事も期待できます。あまり重要な事ではないかもしれませんが、人生の楽しみを増やす意味では、取り組んでみる価値があるのかもしれません。
2006年01月28日
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かつて3Kと言われた事がありました。K=きつい、K=汚い、K=危険、もしくはK=高学歴、K=高収入、K=高身長の事でしたが、その3Kに似た感じで、これからのキーワードは3Tと言われるようになってきました。Tとはテクノロジーの事で、IT(情報技術)、BT(バイオテクノロジー)、NT(ナノテクノロジー)のTを指しています。世界市場の中、これらの先進的技術をいかにリードするかが問われてきているというのです。 3Tの中で、最も早くから浸透していたのは「IT」ではないでしょうか。日本は米国に次いで世界で2番目にインターネットに取り組み始めたという実績があります。パソコンの普及台数も多く、さまざまな環境が整っているように見える日本ですが、実はITの分野は遅れをとっています。発展途上国というと技術的な面では遅れたイメージがありますが、水準的には日本のITは途上国並みと言われています。 また、BT、NTの分野においても、日本での研究規模は、米国が2005年会計年度から続く4年間に総額37億ドルを投資する「ナノテク振興法」を成立し、ナノテクで世界をリードする意気込みを見せている事にはじまり、各国が相次いで取り組みを進めている事を考えると、先進国内では小さいとしか言えないものになっています。背景には、遺伝子組換えやナノ粒子の微細さが身体内でどのように作用するのかが、今一つ未解明である事への警戒感が拭いきれず、市場では大きな強みとなりにくいという事情もあると言われます。 携帯電話やカーナビゲーション、その他の情報端末となりえる機器の普及という点では、日本は先進的立場にあり、それが次世代のIT産業に繋がる可能性は大きく考えられます。また、BT、NTの分野においても、伝統的に利用してきた「発酵」というBTの分野では一日の長を持っており、NTの分野でも物をろ過する膜、クロマトろ過など抽出・精製の技術として使われてきたものには先進性が確保されています。解りにくい分野ではありますが、これからの技術立国日本を支える分野として、大いに期待したいと思っています。
2006年01月27日
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1月25日は観測史上最低の-41.0℃という気温を記録した事で、最低気温の日とされています。1902年の事ですから、100年以上もこの記録は破られていない事になります。実は非公式には、1932年1月27日に北海道美深町で記録した-41.5℃や、1973年2月17日に幌加内町母子里の北大演習林で-42.2℃などの記録が残されていますが、公式記録では-41.0℃が最低とされ、今日がその記念日となっています。 最低気温は文字通り一日を通して最も気温が低かった際の温度という事になり、通常では午前3時から6時の間に観測される事が多いとされ、その日の気圧配置によっては昼間に観測されることもあります。観測史上最も高い最低気温は、2000年7月31日に富山市で記録された30.1℃と言われ、原因はフェーン現象と考えられています。 逆に24時間の中で観測された最も高い気温を最高気温と言い、通常12時から15時の間に観測されることが多く見られます。最高気温もそのときの気圧配置によって観測される時間にばらつきがあり、夜中に観測されることもあります。公式記録における気温の最高記録は、非公式には、2004年7月20日に東京都足立区江北で観測された42.7℃などがあるそうですが、公式には1933年7月25日午後3時頃に山形市で記録された40.8℃で、やはりフェーン現象が原因とされています。 公式記録のみでも最高と最低では80℃ほどの差があります。日本は四季があり、南北に長い国土を持つ国ではありますが、かなりの温度差に驚かされてしまいます。-33.2℃が観測された2000年1月27日の寒波では、道の駅の前に設置された自動販売機の中で、「温かい」飲み物がすべて凍ってしまったそうです。それをさらに10℃近く下回った温度というか、すでに-30℃の時点で想像もできなくなってしまいます。冬は寒いというのは当たり前の事ではありますが、ほどほどであってほしいものです。
2006年01月26日
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レストランで食事をしていると、近くにいる人が何らかの処方薬を食後におもむろに取り出し飲用している・・・日常的にも見かける光景です。一定の年齢を境に生活習慣病の症状が見られる事から、それに合わせた薬剤の携行や飲用は広く行われている事でもあります。そうした日常的な行為の中にもさまざまな危険性が含まれ、その一端が報告されていました。 これまでガンやHIVの感染症などの治療に用いられる毒性の高い薬剤に関しては、薬剤の効果と保有する遺伝子の変異の関わりについての研究が行われてきました。しかし、日常的に用いられている比較的毒性が弱いと思われる薬剤に関しては、ほとんど研究が行われていませんでした。 今回、一般医療施設3件の外来患者607例を対象に検討した結果、患者の29%が、遺伝子によって効果が損なわれる薬剤16種類のうち少なくとも1種類は服薬していることが明らかになり、薬剤の中には広く用いられている抗欝剤のプロザックや血栓を防ぐ抗凝固剤のワーファリンも含まれています。処方頻度は若干低くなりますが、β遮断薬のメトプロロールやCa拮抗剤のジルチアゼムも含まれている事から、かなり一般的な薬剤と言えるのではないでしょうか。 遺伝子に一定の変異が認められる患者がそれらの薬剤を服用すると、薬剤の分解や排泄の指標となる酵素の特性に変化が起こり、消化管出血や腎機能障害、めまい、心拍低下、低血圧、脳血管出血などの有害反応を引き起こす可能性があると言われ、注意が必要です。今後、同様の研究が更に進められると、薬剤の安全性確保や効果的な処方が円滑に行われ、医療費の削減も期待できる事となり、治療の質的向上に繋がる事も期待できます。多くの人が日常的に薬剤を飲用しているだけに、研究の早い進展を望みたいと思っています。
2006年01月25日
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手に取りやすい大きさの四角い形状で、各面が鉄板や平鍋で一面ずつ程よく焼き上げてあり、引きのある薄い皮の中には粒餡がたっぷり・・・和菓子の「金鍔」は全国的に広く知られた餅菓子の一種ではないでしょうか。金の鍔という名前ですが、確かに小麦粉を緩く溶いた皮は、小麦色に焼き上げると金に例える事はできる感じはしますが、形状としてはあまり刀の鍔には似ていないように思えます。 金鍔は正式には「金鍔焼き」と言い、略して金鍔と呼ばれています。江戸の中期頃から作られるようになったお菓子で、本来は鍔と例えられるに相応しい丸く、薄い形状だったと言います。粒餡を練った物を薄く丸い形に伸ばし小麦粉の生地をかけて、平鍋で焼き上げる、それが元々の金鍔の製法とされ、今日のような角金鍔が登場するのは明治に入ってからの事で、粒餡を寒天で固めて成形するという手法もその頃から行われるようになっています。 原形となったのは、将軍綱吉の頃、京都で流行したお菓子で、小豆餡を上新粉で包み、焼き上げた焼き菓子、「銀鍔」と呼ばれていました。それが江戸の街にもたらされると、「銀より金の方が価値が高く、お目出度い」として「金鍔焼き」と名称が変わり、原料も上新粉から小麦粉へと変更されました。小麦粉の生地を薄く伸ばして焼き上げ、その何倍かの量の粒餡を包むという製法は、初期のどら焼きにも共通したものがあります。 その後、薄く丸いままの状態では食べる際に崩れやすくて食べにくいという事もあり、二つに折り曲げて仕上げられるようになります。二つ折りの段階で「鍔」から離れた形状は、更に角形へと変わり、今日の金鍔のスタイルが確立されます。バリエーションとして粒餡の替わりに芋餡や厚く切った芋羊羹を使った「薩摩金鍔」がありますが、最近、その薩摩金鍔に紫芋を使ったものが評判となり、金鍔としての認知度が上がってきています。お菓子の世界は非常に新陳代謝が激しいものがありますが、伝統的なお菓子はしっかりと後世に伝えられる事を願っています。
2006年01月24日
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素朴な疑問という感じで、「ウィンナーとソーセージの違いは?」という質問をいただく事があります。簡単に言ってしまえば、ソーセージという肉料理の中の一つ、それがウィンナーです。ウィンナー・ソーセージと言った方が解りやすいでしょうか。豚肉と牛肉を塩漬したものにスパイスを加えて練り合わせ、ケーシングと呼ばれる羊の腸などに充てんした後、燻したり、茹でたりして仕上げるソーセージの事で、オーストリアのウィーンが発祥とされるポピュラーなソーセージの一つです。なぜか本場ウィーンではウィンナーではなく、フランクフルトソーセージと呼ぶそうです。 JAS(日本農林規格)では原料となる肉の種類や燻すかどうかに関わらず、一定の基準で作られたソーセージのうち、羊腸もしくはこれに準じた太さとされる20mm未満のケーシングに詰められたソーセージは、「ウィンナーソーセージ」という名前をつけることができるとされています。この20mm未満という太さは使い勝手が非常に良い事から、一般的に売られている製品に多く採用され、ウィンナー=ソーセージという感じで名称の混同が起こり、判りにくさの元となっています。 世界的に知られたソーセージというとウィンナー、フランクフルト、ボローニャが有名で、それぞれ発祥の地名が付けられていますが、JASの規格上では、フランクフルトは豚の腸をケーシングとして使用して、太さが20mm以上36mm未満。ボローニャは牛の腸を使用して、太さが36mm以上となっています。それ以外にもヨーロッパを中心に地名を冠した物が多く、郷土料理のように各地にたくさんのバリエーションが伝えられています。ソーセージの語源に関しては、Sau(雄豚)とSage(セージ、香辛料)が合さったという説がありますが、ソーセージと思われる料理が記載された最古の文献には、山羊の肉を原料として豚肉の記載がない事から、豚香辛料説は否定的に見られています。 ラテン語で塩で味付けした物をSalsusと言い、それが元になったとする説が今日では有力視されています。Salは塩を意味する言葉で、サラダ、ソース、サラリー(給料)の語源となった言葉でもあります。肉を細かく切った物をSiciumという事から、SalsusはSiciumと合さってSalsicium(塩で味付けした細切れ肉)となります。フランク族の大移動に伴いフランス語圏へと伝わったSalsiciumは、フランス語Saussicheとなった後、ドーバー海峡を越えてイギリスへわたり、英語のSausageとなってソーセージと呼ばれる事となります。似たような塩由来の説では、Sauce(塩水)にAge(寝かせる)が合さったというものもありますが、途中経過となる言葉が各地に残されている事から、ラテン語のSalsicium由来説が有力な事は揺らがないように思えます。最近は荒挽き肉を使った製品が主流なようですが、以前見かけていた「絹挽き」などの製品が懐かしく思えてしまいます。
2006年01月21日
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以前、アルプスの氷の中から5000年も前の石器時代の人の死体が、凍結保存された状態で発見されました。後にアイスマンと呼ばれる男性の死体は、非常に保存状態が良く、さまざまな所持品から生存当時の様子を伺う事ができる貴重な資料となっています。その彼の持ち物の中に、いろいろな物をいれていただろう小物入れの袋があり、中身の一部は失われていたそうですが、黄鉄鉱の粉末と乾燥させたキノコが入っていたそうです。 黄鉄鉱は火打石に用いられます。効果的に火花を発生させるには、片方を火打石、もう片方を鋼とするのが良いのですが、時代的に鋼は存在していません。アイスマンが持っていたナイフは、加工しやすい青銅ではなく銅製だったそうなので、既に高度な文明があった事も考えられます。興味深いのは、乾燥させたキノコを持ち歩いていた事で、そのキノコはカリウムを多く含む特殊なものであったそうです。おそらくカリウムが多いキノコは、乾燥させて粉末とする事で引火性が高まり、火打石からでた火花を受ける「火口」の役割を果たしていたものと思われます。 火の利用が文明の出発点と言われますが、長らく火を起こすためには木と木を擦り合せ、摩擦熱を生じさせて発火させる方法が採られてきました。良質な火打石は産出量や産出する地域が限られていた事から、それを利用できる事は高貴な身分の象徴でもあり、実際に古墳からは大陸から持ち込まれたと思われる火打石が多く出土しています。アイスマンが高貴な身分であったかは定かではありませんが、比較的火打石を多く産出する地域の出身であった事が想像されます。 起こした火種を保持する袋も持ち歩いていた事から、日常的に火を利用し、いつでも火を使うための火種を大切にしていた事が伺えます。火を利用する事で食材を食べやすい状態に加工する事ができ、消化に要する時間も短縮できます。食材の日持ちも良くできる事から、貯蔵によって食べ物を採りに行く頻度も下げる事ができ、そうしてできた時間を余暇に使うという概念が生まれます。微細な黄鉄鉱の粉塵と乾燥したキノコからアイスマンの豊かな生活を伺う事ができて、太古の世界への想像が広がってしまいます。
2006年01月20日
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以前、「爆弾おにぎり」というメニューを見た事があり、好奇心にかられて注文してみると、丸々と大きくにぎられたおにぎりを黒々と海苔で巻いて爆弾に見立て、導火線を思わせる花火が斜めに突き立てられた料理が出てきました。パチパチと小さな火花を散らす花火が一段落すると、辺りに漂う硝煙の臭いも手伝って、皿の上の黒く巨大なおにぎりがいかにもマンガに出てくる爆弾に見えてしまいます。周囲の視線を気にしながら箸で切り目を入れてみると、中身にもこだわってくれたのか「かやくご飯」が出てきて、思わず笑ってしまった事があります。 しかし、この「かやくご飯」の「かやく」、細かい事を言うと「火薬」ではありません。かやくご飯に限らずカップ麺を食べる際にも、「かやく」と表記された小袋が入っている事があるので、目にする事も多いのではないでしょうか。袋の中には薬味や具材、場合によっては調味料も一緒に入って、さまざまなものが混じりあって入っている姿は、確かに硝石、硫黄、木炭を混合して得られる火薬のようではあります。 小袋のかやくやご飯のかやくは、正確には「加薬」と書き、漢方薬で使われる言葉で、「加役」と書かれる事もあります。主剤となる生薬の効き目をより大きく効率的にするために用いられる補助剤の事で、そこから転じて料理のメインとなる食材の味を引き出す脇役の具材や、料理そのものの味わいを引き立たせる薬味の事を指すようになり、歴史的には室町時代の和歌山、兵庫、高知あたりから使いはじめられたと言われます。 その後、料理の美味しさ引き立てる薬味は、加薬という言い方はあまり用いられなくなり、料理に加えられる多彩な具材が加薬と呼ばれるようになりました。その意味からご飯にさまざまな具材を入れ、炊き込む五目ご飯はかやくご飯と呼ばれ、今日も親しまれています。日本人がはじめて火薬に接したのは元寇の時だと言われ、広く知られるのは鉄砲伝来以降だと考えられます。その点から見ても火薬とは関係がない事は明白で、爆弾おにぎりは不発弾だったという事になります。
2006年01月19日
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骨粗鬆症・・・読んで字のごとくとは言えない難しい四文字熟語ですが、広く知られた症状でもあります。骨密度が低下し、骨自体がスポンジのような状態になってしまう症状ですが、高齢者に多く、骨折しやすくなる事から、高齢者の骨折、リハビリの不備による寝たきりに繋がる可能性を持ち、最近よく言われる人生の質=QOLを著しく低下させてしまう危険性を秘めています。 そんな骨粗鬆症を予防する意外な方法が明らかになっていました。妊娠期間中のビタミンD補充によって、生まれた子供が後年、骨粗鬆症になるリスクが低減されるというのです。英国の医学誌「ランセット」に掲載された研究論文では、妊娠後期にビタミンDの補充が不十分であった母体から生まれた子供が、9歳になった際に骨量を測定すると骨が脆弱である事が判明し、妊娠期間から始まる種々の状態が最終的な骨の健康状態および強度に影響を及ぼすという仮定の下に研究が進められました。 ニューヨークの関節疾患専門病院骨粗鬆症センター長のホーニング博士による今回の研究は、1991年および1992年に英サウサンプトンの病院で出生した小児198例を対象に、妊娠期間の母体の体格、栄養状態およびビタミンD値を評価し、子供の9歳時の体格および骨量を測定するという形で行われ、妊娠後期にビタミンD値が低かった女性から生まれた子供は、9歳時の骨量が低いという結論を得ました。 今回得られた結論は、低体重出生など生後すぐに認められる種々の問題が、後年の骨粗鬆症の発症リスクに影響を及ぼす可能性があることを示すいくつかの研究結果と一致していると言われ、骨の成長に関して、閉経後に生じる疾患としてのみではなく、妊娠時での状態が後年大きな影響を与える可能性がある事を示唆しています。ビタミンDは骨の成長・維持に欠かせないカルシウムの吸収を、最適な状態で維持するために必要な栄養素として広く知られ、日光を浴びる事で体内でも合成される栄養素ですが、ほとんどの人で不足していると言われ、「日焼け止め」の普及でより不足した状態が加速しているとも考えられています。妊娠中の女性は特に、日照量が少なくなる冬場や梅雨時にはビタミンDの積極的な摂取を心がけたいものです。
2006年01月18日
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好きなお菓子の一つにシュークリームがあります。最近の流行でシュー皮の外側をサクサクとした食感にさせた物が増えてきているのですが、クッキーの生地が使われている事もあり、私的には本筋ではないように思えてしまいます。シュー皮を上手に焼き上げるにはそれなりに熟練が要る事でもあるのですが、比較的熟練度が必要ないクッキー生地を用いる手法は、どことなく手抜きに見えてしまうからでしょうか。 シュークリームの語源となる「シュー」は、フランス語でキャベツを意味しています。正式には「シュー・ア・ラ・クレーム」、クリーム入りキャベツというところでしょうか。葉がよく巻いたキャベツの丸い姿に見える事が元になっています。日本ではシュー皮を使ったものや製法を似せたものに「○○シュー」というネーミングをしますが、本来の意味から考えると何となくキャベツの名前のようでおかしくもあります。 同じ素材、同じ製法ですが、シュー皮を細長く焼いて切り目を入れ、クリームを詰めてチョコレートで包み込むと「エクレア」と呼ばれるお菓子になります。こちらの語源もお菓子とは関係無さそうな感じで、フランス語のエクレア=エクレールは「稲妻」の意味です。キャベツよりも食べ物から遠ざかった感じがしますが、いかにもという説が3つほど知られています。 シュー皮は焼き上げると内側から膨らみ、表面に複雑な模様のひび割れを作ります。このひび割れが稲妻のようなので名付けたとする模様由来説。表面をコートするチョコレートが内側のシュー皮の形状を受けて複雑な面を作り、それがキラキラと稲妻のように光るとした光沢由来説。そしてフォークを使って上品に食べようとすると、チョコレートのコートが割れてクリームが飛び出してしまうので、一気に稲妻にような早さで食べなければならないとする食べ方由来説の3説が広く知られ、中でも食べ方に由来したというのが有力となっています。エクレアと言うとちょっとお洒落な感じですが、由来を知ってしまうと何となくせかされた感じがしてしまいます。これも知らない方が幸せな事の一つでしょうか。
2006年01月17日
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先日、ボブスレー・スケルトン競技のワールドカップで総合首位に立つザック・ルンド選手が、ドーピングに関する検査の結果、禁止薬物の検出という事でトリノ五輪への出場が危ぶまれています。検出された物質はα-還元酵素阻害剤「フィナステリド」、利尿剤、隠蔽剤として使用される薬剤です。隠蔽剤とは、禁止された物質が検査で検出されないように排出を阻害したり、検査を行うまでに成分を変質させて検出されないように用いられる薬剤で、尿の量を多くして含まれる禁止物質の比率を下げる利尿剤と同様に禁止されています。 今回問題となったフィナステリドは、本来前立腺肥大症の治療や進行の抑制、症状の緩和を目的とした薬剤として開発されました。「プロスカー」の商品名で販売され、処方薬として医師の処方のもと使用されていたのですが、ある副作用が注目され、一躍有名になりました。プロスカーの副作用、それは抜けてしまっていた頭部の毛髪が、再び生えはじめるという非常にありがたいものでした。 フィナステリドは一部の男性ホルモンの活性を阻害する事によって、前立腺肥大症の症状を緩和させる働きがあります。その男性ホルモンの中にDHT(ジヒドロテストステロン)が含まれていました。頭皮のDHT量が増えると頭髪の成長サイクルに影響が出て、頭髪の減少が促進される事が判っています。フィナステリドはDHTの生成を阻害する働きで発毛を促進していました。その後、メーカーであるメルク社は、発毛を目的とした世界初の飲む発毛剤「プロペシア」として発売を開始し、世界50カ国以上で広く販売される事となります。 プロペシアは07年には日本でも販売が開始されるそうですが、ルンド選手は頭髪を気にしてこのプロペシアを飲用していたため、ドーピング検査によって禁止薬物の反応ありとなってしまったと言われています。ボブスレーはヘルメットを着用する競技なのであまり頭髪は関係ない気はしますが、選手にはスポンサーの関係からスター性が求められる昨今、それ故の悲劇と見るべきでしょうか。競技者でなければフィナステリドの飲用は問題ないと思われますが、前立腺ガンのスクリーニングに使用される前立腺特異抗原(PSA)と呼ばれる血液検査の結果に影響することがあるらしく、PSAテストを受ける際、服用している事を医師に事前に伝えておかないと、せっかくの検査が無駄になる可能性があるので注意が必要です。
2006年01月14日
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年末年始となるとお酒を飲む機会も増えます。雰囲気に飲まれてつい量が過ぎてしまうと、次の朝にも酔いが残ってしまう、いわゆる二日酔いの状態に陥ってしまいます。二日酔いは摂取したアルコール量が肝臓の分解能力を超えてしまうために起こる症状で、アルコールの分解過程で発生するアセトアルデヒドによる強烈な頭痛を伴う事が多く見られます。この段階で禁酒を誓う人は多く見かけますが、実行できた人はかなり少ないのではないでしょうか。 アルコールは体内では毒物の一種なのでえ、肝臓によって分解、解毒されます。その際、アルコールを分解するための酵素が必要となるのですが、人によって酵素が少ない人がいて、二日酔いしやすい人という事になります。そんな人でも繰り返しお酒を飲んでいると、別な酵素がアルコール分解酵素の働きを肩代わりしてくれるようになるので、鍛えられて強くなったような錯覚を覚えてしまいます。 アルコール分解酵素をしっかりと備え、分解能力に余裕がある人でもこの時期、経験的な許容量の中でも思いがけず二日酔いしてしまう事があります。肝臓が別な仕事で目一杯になっている事、風邪薬などの服用によって、肝臓が薬物の分解にやっきとなっている事が原因です。薬と認識していても薬剤は体内では毒物以外の何物でもなく、肝臓はアルコールよりも先に薬物の分解にかかってしまいます。そのため後回しにされたアルコールが思わぬ二日酔いを起こしてしまうのです。 昔からアルコールを体外に追い出すため、汗をかく事が有効と言われてきましたが、肝臓が分解してくれる事が大切なので、汗をかくために無理な運動をするよりは、肝臓への血流が確保できる「寝ている」事の方が、より二日酔いからの脱出を早めてくれます。さまざまな二日酔い対策が伝承されてきていますが、有効性がありそうなものから根拠となるものを集めると、果物に含まれる果糖やアセトアルデヒドと結合して毒性を打ち消す卵のシステイン、利尿効果があるお茶やコーヒーのカフェイン、梅干のクエン酸などがあります。最も良い予防法は、当然「飲まない」事です。
2006年01月13日
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先日、急性胃腸炎を引き起こす寄生虫、「アニサキス」に汚染された恐れのある養殖カンパチ約9000匹が出荷されたという、何ともショッキングなニュースが報道されていました。問題のカンパチは高知県の養殖業者によって中国から輸入されたもので、アニサキスに汚染された可能性が高い事から、出荷前には冷凍するなどしてアニサキスを死滅させてから出荷するよう、高知県によって指導されていたものが、一部の業者によって何の処理も行われないまま和歌山県の加工業者へ出荷されたというのです。 幸いにも今のところ健康被害は報告されていないという事ですが、県側では現在、流通経路や出荷先を調査中との事で、アニサキスによる健康被害は比較的早い時期に発生するため、今後の被害の発生が懸念されます。アニサキスによる急性胃腸炎は、正式には「消化管アニサキス症」と呼ばれ、新鮮な魚介類を生の状態で食べる事の多い日本では、比較的多く見られる症状でもあます。 アニサキスは本来、イルカやクジラの腸に寄生する回虫で、イルカやクジラの糞にたくさん含まれた卵を魚が食べる事で魚の体内に入り、魚の腸で孵化、幼虫になります。その魚をイルカやクジラが食べる事でイルカやクジラに寄生し、腸内で成虫になって卵を産むという一生を送っています。そのサイクル内で生息している分には、アニサキスもそれほど害悪視される事もなかったのですが、その食物連鎖に人間が入り込んだ事で生じた弊害が消化管アニサキス症という事になります。 酸には強いので胃の中で活動する事ができ、胃の中にいる時は内視鏡で取り出す事も可能ですが、小腸に入り込まれると摘出が不可能となり、死滅するのを待つしか手立てがなくなります。元来、イルカやクジラの腸内で生活するため、人の消化管内での生息にはむいておらず、苦し紛れに消化管の壁を食い破り、胃や腸の壁に潜り込んでしまう事があります。その際、小腸などのように壁が薄い部位の場合、消化管に穴が開けられてしまう事もあり、アニサキスによる最も危険な状態と考える事ができます。初期の症状として見られる腹痛は、アニサキス自体によるものというより、アニサキスに対する過剰な免疫反応によるもので、一種のアレルギー反応として捉える事ができます。そのため、個人の体質によってはアニサキスが体内に入り込んでも腹痛を起こさない人や、これまで平気だった人が急にアニサキスアレルギーになる事も考えられます。 魚の腸内にいたアニサキスは、宿主の魚が死ぬと腸から身へと移動するので、生きた魚を調理したり、逆に非常に古くなった魚では感染しない事が判っています。また、熱や低温には弱いので、充分加熱する事や冷凍すれば死滅してしまいます。以前、寿司屋の裏方で、魚屋さんと寿司屋さんが口論しているのを聞いた事があります。寿司屋さんは魚のお腹から虫が大量に出たという事で、古い魚が納入されたと言って聞かず、魚屋さんは市場から直送したと言い張っていました。「その虫はアニサキス、お腹にいるって事は新鮮な証でもあるのにな...」そう思いながら、同じまな板で調理された寿司を食べている自分に一抹の不安を感じてしまいました...。
2006年01月12日
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年も改まり、さまざまな「初・・・」が各地で行われています。毎年の定番として広く普及しているものから地域密着型のものまで、ユニークなものはニュースで取り上げられたりするので、比較的知られていたりするのですが、あまり目立たないものまで入れると、新年の行事は非常に多いのではないでしょうか。そんな新年の行事とは関係なく、それでも「初」が付く行事の一つとして、「お食い初め」があります。 お食い初めは、地方によっては110日や120日というところもあるそうですが、よく知られたところでは生まれた日も含めた100日目の日に、「子供が一生食べ物に困らないように」「いつまでも丈夫な歯で何でも食べられ、健康長寿でありますように」といった願いを込めて行われる行事で、箸揃い、お箸初め、歯固めの祝いとも呼ばれる事があります。 平安時代に生後100日目を祝ってお餅を入れた重湯を作り、子供の口に含ませる「百日(ももか)の祝い」や、その後、本格的な食事に切り替える準備として、初めて肉や魚を口にする日に「魚味始(まなはじめ)」という行事が行われていたので、その二つの行事が合わさった、もしくは片方を簡略化し、片方のみとなったのが今日の「お食い初め」になったのではと考えられます。 生後100日目、まだまだ本格的な食事も作法も程遠い状態なので、介添人が子供には付けられ、多くの場合一族の長老格の異性となっているので、男の子にはお婆さん、女の子にはお爺さんが付く事となります。最近では100日目と限定せず、子供の体調が良さそうな日に離乳食を使ってという家庭も増えているそうですが、本式に行うには本膳と二の膳を用意し、男の子は朱塗りの、女の子には外側を黒く塗った朱塗りの膳に、大盛りのご飯とその上に小さなおにぎりを2、3個。汁物と尾頭付きの焼き物、副菜に梅干5個。小皿には歯固めの意味を持った小石を3個乗せ、二の膳には紅白のお餅5個を盛るという独特な用意が要ります。ヨーロッパにも同じように「一生食べるに困らないように」とスプーンを新生児に送る習慣がある事から、洋の東西を問わず親の願いは同じような形に出てくるものです。
2006年01月11日
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摂取された糖分は最終的にブドウ糖となり、体内で欠かす事のできないエネルギー源となります。植物が蓄えたデンプンや甘い果実を動物が求める事は、そうしたブドウ糖の摂取を目的としての事です。広く多岐にわたる食材やその調理法を確保している私達も、甘い味を求めるという事に関しては例外ではありません。そのため甘味を添加した食品が多く存在するのですが、糖分は肥満に直結すると考えられてきました。このほどブドウ糖の類似関係にある「果糖」による肥満への影響とメカニズムが明らかにされ、糖分と肥満との関係がよりいっそうはっきりとしたものとなってきました。 米国フロリダ大学の研究チームによると、加工食品に含まれる果糖や蜂蜜、コーンシロップなどは、実際よりも空腹感を強く感じさせてしまう作用があり、食事量の増加を招くきっかけを作ってしまう事が明らかにされていました。果糖の過剰摂取は体重を増加させ、2型糖尿病の前兆でもある代謝異常を引き起こす生化学的連鎖反応に繋がる可能性があるとの事です。 今回行われた研究では、果糖が血液中の尿酸値を上昇させる事が明らかにされていましたが、一時的な尿酸値の上昇は、身体の細胞での糖分の貯蔵や使用量をコントロールする役割を持つインシュリンの反応を阻害し、尿酸値の上昇がある程度の頻度で発生すると、時間と共に肥満、血中コレステロール値の上昇、高血圧などの代謝異常の兆候が現れる事も確認されています。 研究結果を受けて尿酸の働きを阻害したり尿酸値を減少させる事によって、代謝異常の特性が大きく抑制されたり、後退させる事が可能で、体重の増加を有意に減少させたり、血中の中性脂肪の増加を抑えたりする事が可能であり、インシュリンに対する抵抗性が減少する事で、血圧も低下する事が判ってきました。果糖の摂取に少し気を付けたい気分にさせる研究結果ですが、果糖は広く加工食品や清涼飲料水に使われています。元々甘味が強い糖分であり、温度によっても甘味の強さが変わるので、少し冷やして甘味をより強く感じるようにして、少しでも摂取量を減らす工夫をしてみようかと考えてしまいました。甘党としては、ちょっと辛い研究結果です
2006年01月07日
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寒い季節のお薦め料理に麻婆豆腐があります。栄養価の高い豚肉に良質のタンパク源、豆腐が加わり、胡麻油、生姜、唐辛子を利かせ、身体を内側から温めてくれそうです。美味しく作るコツは、豆腐をあまり煮立たせない事ですが、温かいイメージからはグツグツと煮立っている方がより美味しそうに見えてしまいます。 有名な話ですが、麻婆豆腐は料理の鉄人として知られた陳建一氏の父、健民氏が来日した際に紹介され広く普及しています。正式には「陳麻婆豆腐」というそうですが、ほとんど麻婆豆腐で通っています。由来に関しては文字から連想して、麻というお婆さんが考案した料理のように思えてしまいますが、正式な物語が語り伝えられています。 清の時代、四川省成都に陳富文という人が市場に近い所に住んでおり、彼の妻は非常に気立てがよく、愛らしい女性として知られていました。不幸にも富文は若くして亡くなるのですが、残された富文の妻は元来が働き者だった事も手伝って、その後市場を訪れる人に対し料理をふるまう事で生計を立てるようになりました。彼女が得意としていたのが「豆花飯(ドウホワファン)」と呼ばれる豆腐料理で、豆乳にニガリを入れてすぐの固まりかけの豆腐、豆花をご飯にかけ、辛味を利かせたタレで食べさせるという物でした。 ある日、市場で肉を買い求めた油売りが彼女の店に立ち寄り、これで何か美味しい物を作ってくれと肉を差し出しました。彼女はその肉を細かく刻んで炒めて辛いタレと絡め、豆花にかけて料理を仕上げます。その美味しさが評判となり、店は大繁盛したそうです。愛らしさで知られた彼女ですが、顔にはたくさんの痘痕(あばた)があったそうで、麻とはその痘痕を指す意味があり、痘痕の陳おばちゃんが作ってくれる美味しい料理という事から「陳麻婆豆腐」と呼ばれるようになり、いつしか「麻婆豆腐」となりました。また婆には「身持ちの良い女性」という意味があり、料理一筋に勤しむ彼女の姿が想像されます。麻婆豆腐には豆板醤と豆鼓味噌が使われますが、豆鼓味噌を使うと豆鼓が黒い粒として料理の中にたくさん見られる事から、それが痘痕顔の陳おばさんのようだとして、麻婆豆腐を見るたびに思い出すという話も残され、働き者の彼女の姿を今日に伝えているとも言われます。唐辛子のカプサイシン効果とは別な意味ですが、なかなか温かい話だと思っています。
2006年01月06日
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2006年、年明け早々めったに見れないものが見られたのですが、その現場をリアルタイムに確認したいと思いながら、うっかり見落としてしまいました。それはたった一秒の事、天体の動きに基づく天体時と原子時計が刻む原子時のズレを補正するために、ズレが0.9秒以上にならないように1秒を加えたり、除いたりする事が行われます。今年の1月1日はその「うるう秒」が行われる事が決めらていて、9時にそれが予定されていました。 カウントダウンをしておくと、意外とあっけない感じがします。8時59分55秒、56秒・・・58秒、59秒、60秒、9時00分00秒。一見何の変哲もない感じですが、実は59秒の次、60秒は本来存在しません。この60秒が一秒のうるう秒挿入というわけです。7年ぶりのうるう秒挿入で、前回は1999年に行われてます。うるう秒の制度は1972年に始まっているので、これまでの34年の間に23回のうるう秒による補正が行われた事にないます。 これまで1月1日にうるう秒が追加されたの14回、半年の開きをおいた7月1日に追加されたのが9回行われています。うるう秒の必要性は50年ほど前、正確な原子時計の開発に成功するまでは必要ありませんでした。地球の公転、自転を元に天体時によって時間を定めていた頃は意識されていなかったのですが、地球の自転速度は実は一定ではなく、現在採用されている原子時とは微妙に誤差が生じてしまい、また一定ではない事から長期にわたる予測も不可能です。そのために必要となったのがうるう秒というわけです。 制度が始まった1972年から83年までの12年は、ほぼ毎年うるう秒が追加され、90年から94年までは5年連続で追加されています。この7年ほどは追加はなかったのですが、累計で23秒、原子時計が時を刻みはじめた58年からは32秒のズレが生じていると言います。地球の自転がそれだけ微妙に遅くなったという事ですが、日々忙しさに追われ、一日があっという間と感じている身にとっては、自転はどんどん早くなっている感じがして、遅れ気味と言われると意外な気がします。この数年はうるう秒を必要としなかったという事は、それまでよりも若干は早くなっていたという事でしょうか。できればもっとゆっくり回ってほしい気がします。
2006年01月05日
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