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血液中の尿酸値が高い状態を放置しておくと、痛風を引き起こすリスクが高まってしまいます。痛風は「風が吹いただけても痛みを生じる」といわれるほど激痛を伴う事から、放置され続ける事は少ないと思われますが、尿酸値が高まった状態を放置し続けると心筋梗塞や脳卒中などの命に関わる重大な疾患のリスクを高めてしまいます。 そのため尿酸値は低い事が好ましいように思えるのですが、尿酸値が低過ぎる事は死亡のリスクを高めてしまう事が最近の研究によって判ってきています。 痛風に罹った事のない健康診断の受診者35万4110人を対象に血液1デシリットル当りの尿酸値が2.9ミリグラム以下と極めて低いグループ、3.0~4.9ミリグラムと低いグループ、5.0~6.9ミリグラムと正常値のグループ、7.1~8.9ミリグラムと高めのグループ、9.1~10.9ミリグラムと高いグループ、11.1ミリグラム以上と極めて高いグループに分けて追跡を行ったところ、追跡期間中に3万3562人の死亡が確認され、死因を解析して各グループの1000人当りの死亡率が比較を行ったところ、極めて低いグループは52.5人、低いグループは19.7人、正常値のグループは17.4人、高めのグループが20.0人、高いグループが28.0人、極めて高いグループが41.1人という結果が得られています。 死亡率が最も低くなっている正常値のグループと比較するとそれぞれの死亡リスクは極めて低いグループが2.79倍、低いグループが1.32倍、高めのグループが1.10倍、高いグループが1.42倍、極めて高いグループが2.21倍となり、死因を関連性の高い心臓や血管の病気に限定しても同じような傾向が観察され、極めて低いグループと極めて高いグループで顕著に死亡リスクが高いという結果が得られています。 死因をガンに関連するものに限定しても同じ傾向が得られている事から、血液中の尿酸値は高過ぎても低過ぎても死亡のリスクを高めてしまう事が伺えます。血液中の尿酸値は生活習慣を通した管理が重要視されます。ここでも日常の生活を通した健康管理の大切さを感じてしまいます。
2013年01月31日
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昔から寒さに強かった事もあり、ほとんど意識する事がなかったのですが、最近になって自分が冷え症である事に気付きました。考えてみると寒さをそれほど強く感じない、我慢できるというだけで、冬場になると手がとても冷たくなり、小説に出てくる吸血鬼に対する描写、「ふと触れた手が死人のように冷たかった」という感じがするのではと触れられる事が苦手になっていました。 日頃の不摂生な生活や運動不足のせいだとは思うのですが、体温の元となる筋肉の量が減少したり、肝臓の働きが弱めになったりしたためか、最近は寒さを前よりも強く感じ、すぐに手足が冷たくなってしまいます。軽い運動を通して筋肉量を増やすにしてもそれなりに時間が掛かりそうなので、何か食を通して体を温めてくれる物を探さなければと思っています。 夏場や熱い地域にできる作物は、どちらかというと熱を冷ます働きを持つ物が多く、できるだけ冬場に旬を迎えたり、暖かくない地域にできる物が良いと思っていたのですが、意外にも私の中では熱帯の作物で、熱を冷まして体力を回復してくれるという夏の食べ物というイメージが強かったカカオに体を温める力がある事が報告されていました。 食を通した冷え症の対策には、血行を促進して体温を末端まで届けられるようにする事が大切とされる事から、血行促進に繋がるビタミンEを多く含むナッツ類、魚介類、カボチャなどや、血液の素となる鉄分を多く含むレバーやほうれん草などの緑黄色野菜が薦められ、代謝を高めて発熱するという意味からコショウや唐辛子などの香辛料も良いとされます。中でもショウガは体を中から温めてくれるとして、寒さが増してくるとショウガが配合された製品を多く見掛けるようになるほど、冷え対策の定番の素材となっています。 カカオによる温め効果はそんなショウガに匹敵するとされ、しかも長時間に渡って体を温め続けてくれるといいます。大手食品メーカーが行った研究によると、冷え症と診断された女性11名にココアを溶かした牛乳とショウガを溶かした牛乳を飲んでもらい、手足の冷えがはじまる23~24度の部屋にいてもらって、体温の変化をサーモグラフィーで経時的な変化を観察したところ、意外な結果が得られたといいます。 ショウガを溶かした牛乳では体温が急速に大きく上がり、その後、緩やかに体温は下がっていったのに対し、ココアを溶かした牛乳では、ショウガほどの急激で大きな体温の上昇は見られませんでしたが、緩やかに上がった体温はショウガよりも長く保たれ続け、有効に冷え症を抑制していた事が観察されています。 カカオに含まれるテオブロミンが血管を拡張させて血流を増やした事や、ポリフェノールがビタミンEと同じような抗酸化作用を発揮して血流を促したり、新陳代謝を高めた事などがそうした結果に結び付いた事が考えられ、いわれてみると納得できるものがあります。 ココアはショウガとの相性も良い事から、温めた牛乳にココアとショウガを溶かしたジンジャーココアがこの冬の定番となるのかと考えています。
2013年01月30日
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カルシウムを含むサプリメントの宣伝などでよく「牛乳○○本分の・・・」といういい方をされることがあります。水分の中にカルシウムが分散している牛乳と凝縮したサプリメントとでは状態のレベルが違うので比較するには無理があり、聞くたびに牛乳が気の毒に思えてきます。 サプリメントの場合はそれだけの大量の牛乳を毎日飲用する事は不可能なので、このサプリメントを利用しましょうという話になるのですが、牛乳有害論においてはもっと辛辣に牛乳を批判する話が展開されています。 牛乳は虫歯を助長するとして、子供の虫歯の原因を成長に必要となるカルシウムを確保するために牛乳を率先して飲ませるせいという意見を聞かされた事があるのですが、牛乳を日常的に飲用する事で虫歯の子供が増えたという学術的なデータは存在しないとされます。 牛乳は栄養豊富である事から虫歯の原因となるミュータンス菌の増殖を助ける事は考えられるのですが、そうなると牛乳が原因というより口内に食物がある状態を放置しているという生活習慣の方が原因という事ができ、牛乳が有害とする事には根拠が薄い気がしてきます。 牛乳には乳糖が含まれる事から、消化するには乳糖を分解する酵素が必要になります。乳糖を分解する酵素がないと牛乳をきちんと消化する事ができず、飲んだ後にいわゆるお腹がゴロゴロするといわれる状態になってしまいます。 乳糖不耐性と呼ばれる状態ですが、乳糖不耐が体が牛乳を拒絶している事の表れという事も聞かされます。乳糖不耐は繰り返し牛乳を飲む事で、失活していた酵素が活性を取り戻し、以降はゴロゴロしなくなるので、牛乳を飲まない事による弊害のようにも思えます。 牛乳を飲むとカルシウムの補給どころか、かえって体内のカルシウムの排出を促してしまい、骨粗鬆症を悪化させてしまうともいわれ、牛乳に含まれる悪いカルシウムが体内の良いカルシウムを一緒に連れ出してしまうというおとぎ話的なものから、飲用後、血液中のカルシウム濃度が上がり、一定のカルシウム濃度を保つために過剰にカルシウムが排出されてしまうという一見科学的な根拠を添えたものも見掛けられます。 血液中のカルシウム濃度が上がった場合、確かに一定レベルを保つような仕組みは働くのですが、誤って必要以上のカルシウムが排出される事はなく、カルシウム濃度が高い状態では骨からのカルシウムの取り出しも行われない事から骨粗鬆症が悪化する事は考えられない事が判ります。 牛乳の普及が進んでいる国では股関節の骨折が多く、普及がそれほどでもない日本では少ないとされますが、畳の生活で上下動が少なく、直に座る事による股関節の強化をはじめとする生活習慣の違いや、魚食をはじめとする食生活を考慮に入れると単純な比較はできないようにも思えます。 牛乳には母牛のホルモンが含まれる、もしくは搾乳期間を少しでも長く、乳量を多くするために投与したホルモン剤が含まれていて、それが健康や子供の成長に悪影響を与えるともいわれます。 ホルモン剤、特に人工的に合成されたホルモン様剤は微量でも影響が及ぶことがあるので、もっともらしく思えてくるのですが、かつて日本が子沢山だった頃、授乳期間中に次の子供を妊娠してしまったり、乳量が多い母親のために年長の子供が母乳を飲んでいるという話はよく聞かされ、人そのもののホルモン濃度が高まった母乳に接していても影響はなく、必要な期間を過ぎた後でも問題はないという事ができ、種が異なる牛の母乳の場合、より影響は少ないと考える事ができます。 さまざまな角度から眺めてみて、飲用するかどうかは個人の好みの問題として、少なくとも有害論が唱えられるほどの事はないように思えるというのが現在の結論で、これから新たな何かが見付かるのかと興味深く思えています。
2013年01月29日
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最近、それほど遠くない場所にディスカウントのドラッグストアができた事もあり、牛乳が安価に手に入るようになっています。コンビニエンスストアへ行くとPB商品として価格も手頃で、パッケージがお洒落な商品もあり、牛乳を購入する機会は増えてきているのですが、料理に使うだけで直接飲むという事は減ってしまっている事に気が付きます。 牛乳の飲用に関しては以前から有害論の存在が気になっていて、情報を集めてはみるのですがどれも説得力に欠ける気がして、いま一つどのように結論付けて良いものかと悩んでしまいます。 特に個人がインターネットを通じて情報配信を行うようになってから、ページ内で牛乳有害論を展開される例が多く、それだけ熱心に訴え掛けられているのだからそれだけの何かがあるのだろうと考えています。 牛乳を飲んではいけないとする根拠の一つに、牛乳は幼牛のための物で、幼くもない成長した人間が飲むべきではないとするものがあり、成長しても乳を飲み続けるのは人間だけだといういい方もされます。一見、もっともなようにも思えるのですが、成長期にのみ有益で成長した後は害となる成分が含まれているのだろうかというと、そうした成分に関する言及がなく、根拠について考えさせられてしまいます。 牛乳を飲むとアレルギーを助長し、アレルギー体質になるという意見も聞かされたのですが、牛乳自体がタンパク質を多く含む事からアレルゲンとなって牛乳アレルギーを起こす事は考えられても、牛乳以外の物質のアレルゲン化を促してアレルギーを誘発する事は考えにくく、あまり説得力を感じる事ができません。 牛乳の一人当たりの摂取量が最も多い北欧で骨粗鬆症が多いという事については、牛乳の消費量よりも日照不足によるビタミンDの不足の方が関係しているように思えて、牛乳のせいではないように思えます。 また、牛乳が今ほど普及していなかった頃の日本では、骨粗鬆症の患者はいなかったとされる事についても、昔話や古い文献に登場する高齢者の特徴として、腰が曲がって杖を突き、身長が縮んでいるという骨粗鬆症の特徴とも取れる姿をしていて、骨粗鬆症が病気ではなく加齢に伴う変化と捉えられていただけという事もできます。 牛乳は血液から作られ、血液と同じ成分だから飲むべきではないという事に関しても、血液からではなく血液によって運ばれてきた栄養素によって作られるというべきであり、血液を口にするべきではないのであれば本場ドイツのソーセージも食べるべきではない物となってしまいます。中には酵素の働きを使って赤い色と血生臭さを抜いて乳として分泌されるというものもあり、あまりの事に驚かされてしまいます。 それほど牛乳についてヘビーユーザーという訳でもなく、飲用に関して肯定的でも否定的でもないのですが、議論の結論を見たくて、気にしている事の一つとなっています。
2013年01月28日
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マグロといっても種類によって水銀の汚染度合が違うとされ、妊婦に対し一食分を80gと仮定して、週に一回以下の摂取に抑えるように推奨されているのはクロマグロ、メバチマグロ、メカジキとなっています。週に二回以下のグループにはマカジキとミナミマグロが含まれ、日本でツナ缶の原料として使われる事が多いキハダマグロは少ない部類に入れられています。 人間用のツナ缶であればキハダマグロと原料であるマグロの種類までラベルに記載されているのですが、猫缶ではただ単にマグロとだけ記載されているだけで、マグロの種類を詳細に知る事はできません。 個人の立場から猫缶の水銀含有量を調べたという方の資料を見せていただいた事があるのですが、その資料では意外と水銀の量は少なくなっていていました。水銀量が少ない種類のマグロが使われているのか、加熱によって水銀が気化したのか、マグロ以外の魚や鶏肉も使われているために結果的に水銀の比率が下がってしまったのかは不明という事でしたが、すべての製品が同じ傾向にあれば少しは安心と思えてきます。 マグロにはセレニウムが多く含まれ、水銀の毒性を中和してくれるともいわれ、水銀と一緒にセレニウムを摂取する事で高濃度の水銀汚染が行われていても中毒症状が発生しにくくなるというレポートもあるのですが、それをもって安全と結論付けるのは難しいようにも思えてきます。 また、猫缶には内側からの金属の腐食を防ぐためのコート剤からにじみ出す溶剤によって甲状腺機能亢進症を誘発するという懸念もいわれていて、水銀以外の部分も心配になってきます。 日頃から与えているドライフードにしても本来ならば猫が口にする事のない穀物が中心となっている事から、炭水化物が過多となり、尿路結石や慢性腎不全、糖尿病などに繋がるとも考えられる事から、それだけで済ませる事には大いに不安があります。 排出された毒素が再吸収されないように繊維質を増やしたり、小魚由来のタンパク質を増やしたりと、自分の食事よりも気を使う場面が増えてきています。猫も私の事を気にしてくれているように感じられる事も多いので、お互いに持ちつ持たれつという関係が成り立っているのかもしれません。
2013年01月25日
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我家の猫は食にあまり興味を示さず、人の食べ物にもほとんど関心を持ちません。私が何かを食べようとすると、それが何か確認に来るのですが、匂いを嗅いで安心すると去って行ってしまいます。二人の共通した食べ物といえばカタクチイワシのいりこと食パンくらいのもので、食パンは珍しく匂いを嗅ぎながら一口だけ噛み千切って小片を食べてしまいます。 猫専用のドライフードが基本的な食事となっているので、時折銘柄を変えたり、ウェットフードをおやつとして与えたりして飽きないようにしているのですが、なかなか気に入った物が見付からず、気に入ってくれないと食べてくれません。 そんな猫が最近、とても気に入ってくれた猫缶があるのですが、猫缶についてとても気になる事があるので、毎日食べさせてやる事ができずにいます。 外国へ行くと猫用の缶詰のフードは肉が主流で魚の物は少ないとの事ですが、日本では魚が主流となっていて、魚以外では鶏肉のササミが中心となっています。 以前、調べたところでは、猫缶は人間用のツナ缶を作る製造ラインの横で作られていて、マグロをさばいて人間用に使う部分を除いた後の部位を使って作られているとの事で、日本国内の製造工場よりもタイなどの工場の方が設備が充実していると聞かされています。 大手メーカーの猫缶は、人間用とほぼ同じ製造ラインで作られている事から安全性は高いとされますが、原材料となるマグロの方に水銀による汚染という心配が出てきていて、猫という解毒力が弱く、毒素を体外へ排出する事が苦手な生物に水銀汚染の心配がある物を与えてよいものかと悩んでしまいます。 アメリカ、次いで日本でも妊婦や小児のマグロをはじめとする一部の魚種の摂取量を少なくするように薦める報告が行われ、当初はツナ缶はその中に含まれていませんでしたが、後にアメリカではツナ缶もリストに含まれるようになっています。 汚染の元となっている水銀については、自然に循環している水銀がプランクトンから小魚、小魚から大型の捕食魚へと生態濃縮されていくために、大型の魚ほど汚染が進んでいるとされ、食物連鎖の頂点に近い魚種ほど体内での水銀の濃縮が多くなる傾向があるとされます。 水銀の出所についても常温で気化しているものが雨によって流され、海へと辿り着くとする意見もありますが、かつて使われていた有機水銀を含む農薬の影響とする意見もあり、汚染された土壌から浸み出す水銀は、これからも長い期間に渡って海を汚染し続けるともいわれます。 水銀の汚染がいわれはじめた頃、ツナ缶はマグロの身を高温で処理するために、常温以上では気化してしまう水銀は一気に気化されてしまい、残存量が僅かとなっているともいわれていましたが、メチル化した水銀はタンパク質としっかりと結合し、筋肉などの組織の中に蓄積していて加熱くらいでは含有量はほとんど変わらないとされ、実際、後にリストに加えられている事からも、業界団体からの圧力によって当初はリストに加えられなかったという事に変なリアリティを感じてしまいます。 体重比で考えると猫は人間の10分の1の大きさしかなく、その割には猫缶で食べるマグロの量は多くなっています。解毒力が弱い事を考えると、食べさせられる量や頻度はかなり少なくなり、あまり食べさせられないと思いながら、楽しみにしている姿を見ると胸が痛んでしまいます。
2013年01月24日
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ビタミンとは健康を維持する上で欠かせない物でありながら、体内で合成する事のできない微量元素とされる事から、体内で合成する事のできるビタミンDはどこか異色の存在のようにも思えます。しかし、消化吸収によるビタミンDの吸収量が低下すると、すぐにビタミンDの欠乏症を起こしてしまう事から、ビタミンDは不可欠な存在としてビタミンの仲間入りをしています。 ビタミンDは皮膚を紫外線に当てる事によってコレステロールから合成され、羽毛や毛皮を持たない人間の場合、陽射しが強くなる午前10時から午後3時に10分程度の日光浴を週に2、3回も行えば充分な量を合成する事ができるとされます。 最近では紫外線の有害さがいわれるようになった事もあり、日光を避けたり日焼け止めによって皮膚の内部に届く紫外線量を少なくする工夫が行われたり、ビタミンDを多く含む食材を食べる機会が減ったりして、ビタミンDは不足する傾向があるとされます。 従来は腸管からのカルシウムの吸収を助け、体外へのカルシウムの排出を抑え、血液中のカルシウム濃度を一定に保つなどの働きがいわれていたビタミンDですが、最近になってそうしたカルシウムに関わる働き以外の事が知られるようになってきています。 先日行われた研究では、結核の治療に高濃度のビタミンDを併用する事で大きな効果が上げられる事が判っていました。結核患者95人を対象に行われた研究では、治療開始からの最初の8週間に高濃度のビタミンDを投与するグループと偽薬を投与するグループにランダムに分け、経過を観察しています。 その結果、ビタミンDを投与されたグループでは、体内の炎症反応を示す血液中の数値が急激に低下し、痰に含まれる結核菌も短期間に消失した事が確認され、顕微鏡で結核菌の存在が確認できなくなるまでの日数が偽薬グループが36日掛かった事に対し、ビタミンDグループでは23日であった事が確認されています。 今回の研究でビタミンDが体内の炎症反応を速やかに抑えた事が判り、結核において患者に大きなダメージを与える肺組織の炎症反応を抑えるという、極めて重要な働きがある事が判ってきています。 結核に限らず、疾病の末期に肺炎を併発して命を落とす例は良く聞かされます。今後、ビタミンDによって肺の炎症を抑える事ができれば、最終的な病名が肺炎という事も少なくなると考えられます。脂溶性ビタミンである事から、過剰症の兼ね合いもあり、今後、最適な容量も含め研究を進めてほしいと思ってしまいます。
2013年01月23日
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ナイシン、最初にその名称を見た際、ビタミン類のナイアシンの間違いではないのかと思ってしまった事が思い出されます。ナイシンはアミノ酸が複数に連なったペプチドと呼ばれる物の一つで、34個のアミノ酸からなるペプチドであり、乳酸菌の一種である「ラクトコッカス・ラクティス」が産生する物質として乳酸発酵によって作り出されています。 日本では乳酸発酵が古くから食文化に採り入れられていて、代表的なところではなれ寿司や漬物、味噌やしょうゆなどに利用されてきています。乳酸発酵を行う事で風味や旨味が増すだけでなく、保存性が高まるという事も乳酸発酵が利用されてきた理由として上げる事ができます。 乳酸菌は糖分を分解して乳酸と二酸化炭素を大量に発生させ、乳酸の働きによって食品を酸性にする事で腐敗菌や病原性菌の発生を抑えて、食品を安全に食べる事ができる状態を長持ちさせてくれます。乳酸菌の食品の保存性を高める働きは乳酸のみではなく、乳酸以外の物質も関与している事が知られるようになり、ナイシンは乳酸菌が創り出す抗菌物質として知られています。 乳酸菌由来という事から乳製品との相性が良い事もあり、ナイシンはチーズやクリーム類などの保存料として使われ、多くの国で食品添加物として認可されています。日本では2007年に新たに認可されるようになり、それまでナイシンを含んでいるために輸入できなかった乳製品が輸入可能となり、これまで認可されていなかった添加物を含む食品が出回るようになったとして、攻撃的な論調の情報が多く出回った事は記憶に新しいところとなっています。 最近の研究でナイシンの新たな効果として、ガン細胞に対して選択的に働き掛け、細胞死を誘発させるという抑制作用を持つ事が判ってきています。 ナイシンをガン細胞に加えると細胞死に関する特殊なタンパク質が増加し、細胞内へのカルシウムの流入が増えて細胞死が誘導されます。健康な細胞ではなくガン細胞のみに選択的に働き掛ける事については、細胞がガン化した事によって細胞膜が変化し、ナイシンが作用しやすい状態が作られていると考えられています。 ナイシンはすでに食品添加物として認可されている事から、今後、人への応用を含めた研究が進めやすい状態にあるとされ、新たな抗ガン剤の登場も近いと思えてきます。 ナイシンは構造が複雑過ぎる事から、乳酸発酵によって作られたものを抽出するしか得る方法はありませんが、ヨーグルト作りと合わせてガン治療が進むというのも良いものだと思えてしまいます。
2013年01月22日
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以前、蛍光灯の光を受けてぼんやりと光を放つというガラス玉を持っていました。捨てた覚えはないので、今もどこかにあるとは思うのですが、途中に引っ越しがあり、多くの荷物がその際に消失している事から、無くなってしまっている可能性も高いかと思っています。 一度も光を放つところを見た事がないのですが、今ならブラックライトを持っているので、ブラックライトの暗がりの中で緑色の独特な光を放つようであれば、あの玉はウランガラスでできていたと確認する事ができると考えたりもします。 ウランガラスはガラスに微量のウランを混ぜる事で黄色や緑色の着色を施した透明なガラスで、1830年頃からウランが原子力の燃料として本格的に利用されるようになる1940年代頃まで、コップや花瓶、アクセサリーやオブジェなどとして盛んに作られていました。 現在のチェコにあたるボヘミア地方で発明されたとされ、当初はボヘミアの特産品的な商品として盛んに作られていましたが、その後イギリスやフランス、ドイツ、ロシア、イタリア、スウェーデン、フィンランドなどでも作られるようになり、現在ではアメリカとチェコで少量が収集家向けに作られているとされ、市場に出回っているウランガラス製品の多くは骨董品であるとされます。 日本でも大正から昭和にかけて国産化され、食器やガラス工芸品として大量に製造されています。蒸気機関車や電車のヘッドライトに使ったり、日常的な食器なども作られていましたが、第二次世界大戦を境に作られなくなっています。今日では天然ウランの産地として名高い人形峠の特産品として製造されるようになり、アンティークではない国産品のウランガラスを見る事ができます。 ウランガラスの発明は1830年頃とされますが、1世紀頃のナポリ近郊では1%程度の酸化ウランを着色料として混合したガラスが作られており、その意味では1830年代の発明は再発見という事ができます。 ウランガラスの最大の特徴は紫外線に当てると緑色の蛍光を放つという事で、可視光線を抑えて紫外線を照射するブラックライトで照らすと暗がりの中で妖しい光を放ってくれます。製品によっては緑色や黄色以外の色の物が存在し、水色や茶色、ピンク色などのウランガラスも存在しますが、全ての製品に紫外線を照射すると元の色に関わらず緑色の蛍光を放つ事となり、それを使って見分ける事ができます。 最も盛んに作られていた頃、ブラックライトや蛍光灯はありませんでしたが、夜明け付近の青みが増してきた空には紫外線が満ちている事から、夜明けが近付くと妖しい光を放つウランガラスは神秘的に見えた事と思います。 アンティークとなると敷居が高く、縁遠い物となってしまいますが、ウランガラスの製品が手に入る、もしくは無くなったと思っているガラス玉が出てきたら、今度こそは妖しい光を確認してみたいと思っています。
2013年01月21日
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原子力関連で最近何かと耳にする機会が増えたプルトニウム。核燃料であり自然界にはほとんど存在しないものという以外には、あまり馴染みのない物質というか、できれば馴染みがないまま済ませたい物質とも思えてきます。 プルトニウムの元素記号は「Pu」、原子番号は94となっていて、放射能の半減期は24100年と長い期間に渡って強烈な放射線を出し続ける力を持っています。化学的には猛毒とされる事から専門家でも現物を見る事はあまりないとされ、水の19.8倍にも及ぶ重量と常にガンマ線を出し続け、そのエネルギーが熱に変わる事から触れると熱い金属という特異な特徴があります。 原子番号が大きくなると元素として大きくなる事から、かつては原子番号92のウランが自然界に存在する元素としては最大で、それ以上の大きさの元素は原子炉や加速装置などを使って人為的作り出さなければ存在しないと考えられていたのですが、天然ウランの鉱脈の中でも微量のプルトニウムが生成される事が確認されたため、プルトニウムは天然に存在する最大の元素ともなっています。 原子炉の燃料というとウランが思い浮かびますが、自然界から採れる天然ウランは安定した物質である事から、そのままでは核燃料として使う事ができません。そのため天然ウランであるウラン238に中性子を当てるとウラン238はガンマ線を放射してウラン239に変わり、ベータ線を出した後にプルトニウムへと変化します。 核分裂を起こしやすいプルトニウムは燃料としては効率が良いとされ、核分裂によって放出する中性子によってウラン238をウラン239に変え、プルトニウムへと変化させるだけでなく、量的にも増えていく事から、使うと増えていく燃料として高速増殖炉の燃料として採用されていました。 ウランが自然界最大の元素と考えられ、プルトニウムが天然には存在しないと考えられていた理由はプルトニウムとウランの性質の違いにあり、プルトニウムが強力な放射線を放出しながらやがて崩壊していく事に対し、ウランは安定していて半減期も44億6800万年と非常に長い事から、長寿の放射性物質として存在していると考えられた事によります。 天然にも微量ながら存在するとなると他の元素にも通じるものを感じてしまいますが、その毒性の強さには狂言の演目である「附子(ぶす)」に出てくる猛毒が思い出され、附子の方がら吹いてきた風に当るだけでも死んでしまうという怖ろしげな事を思ってしまいます。今後も縁がないまま済ませたい天然物の一つかも知れません。
2013年01月18日
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最近は随所で見られる風力発電の大きな風車ですが、太陽光発電と比べて建設費用が安価で高い発電性能が得られるとしてメリットが多いとされる半面、騒音や低周波の振動による周辺住民への悪影響や強風による風車の倒壊、羽の落下事故などの安全上の問題もいわれるようになってきています。 風車による弊害は人に限った事ばかりではなく、高速で回転する羽が周辺に生息する鳥にとっても脅威となる事も報告されており、一見、優雅に見える羽が高速回転時には先端部の速度が時速300kmにも達すると聞かされると、野鳥にとって怖ろしい存在となる事が容易に想像する事ができます。 そんな風力発電と野生動物との関わりについて、地中海の入り口に位置するジブラルタル海峡では、海峡の両岸の狭い地域に密集した高さ170mにも達する風車からハゲワシをはじめとする絶滅危惧種の猛禽類などを守るために生物学者を雇用し、風車に向かって鳥が飛んで行くのを発見するたびに制御室と連絡を取り合い、風車を止めて猛禽類を通過させるという取組を行っています。 通過の度に風車を止めていたのでは発電効率が落ちてしまいそうな感じがしますが、実際の発電効率の低下は0.07%しかなく、鳥の風車との衝突による死亡事故は半数に減少させる事ができています。 アメリカのカリフォルニア州にある風力発電所では、近隣にイヌワシが巣を作って日常的に飛び交っている事からジブラルタル海峡のような試みを行う事ができず、代わりに古くなった風車は早々に撤去して大型の風車に交換して風車自体の数を減らしながら、猛禽類の行動を詳細に調査して新たに設置する風車の位置を充分に検討し、影響を最小限にしたところ、衝突による死亡事故を4分の1にまで減らす事ができています。 周辺にはコウモリも多く、コウモリの衝突事故も問題視されましたが、コウモリは風の強い日には飛ばない習性がある事から、発電を開始する風力を秒速5.5mまで引き上げたところ発電効率は1%低下しましたが、コウモリの被害は激減したといいます。 環境に優しい発電といわれる風力発電ですが、日本での取り組みはどうなのかと見てみると、いつ吹くか判らない風に電力は任せられないと本格的な電力源とはみなされていないとの事で、どこか寂しいものを感じてしまいます。電力が話題になる事が多い昨今、良い手立てはないものかと思えてきます。
2013年01月17日
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よく感情の起伏が感じられず、表情が乏しい顔の事を「能面のような」と表現する事があります。確かに伝統芸能である能に使われている面は無表情で、感情が感じられない作りになっています。しかし、一旦能が舞われると僅かな角度で表情が作り出され、感情豊かな面であるように思えてきます。 能は能楽の一分野とされ、能楽は江戸時代までは猿楽と呼ばれていました。猿楽の起源については定かではないとされながら、7世紀に中国大陸から伝えられた伎楽や奈良時代に伝えられた散楽に端を発すると考えられ、民衆の間にも広まって独自の発展を遂げています。 室町時代に入ると寺社との関わりを深め、寺院において行われる芸能の延年や、庶民の間に広まっていた田楽などと相互に影響を与え合いながら集大成され、ほぼ今日に繋がる様式が確立されています。 能面も同じ頃に確立され、約250種類、60種の基本形を持つとされる面が制作されています。室町時代から安土桃山時代にかけて打たれた面を「本面」と呼び、後の物は基本形を元に模倣する形で再現されている事から、室町時代から安土桃山時代にかけて完成されたと見る事もできます。 無表情な作りの能面は、上下方向の傾きによって表情が変化させられています。伝統的な決め事によって細かく決められた表現方法では、面を上に傾ける事によって喜びのい表情を作り、悲しみには下側へ傾ける事が行われています。 能面に関する調査で、ボランティアの被験者を使って上下に傾かせた能面を見せて、それでどのような表情が読み取れるかを聞き取ったところ、意外な事に伝統的な表現技法に対して逆の結果が報告され、悲しみには上向き、喜びには下向きの傾きが過半数を占めるという結果が得られています。 コンピューター上でCGを使い、能面の表情をさまざまに作り出して見せ、それが喜びや悲しみのどちらに見えるかについて分類を行ってもらったところ、口の表情が全体の感情を判断する事に最も重要視されている事が明らかにされています。 能面の口の部分に注目してみると、面が下側に傾いた際は口角が上がって見える事から笑顔の印象があり、逆に上側に傾くと口角が下がって見えます。伝統的な技法に矛盾する結果が得られた事になりますが、それには高度な心理的な仕掛けが施されているのではないかという意見もあります。 それまでの話の展開や音楽、全体の雰囲気によってすでに充分な悲しみが演出されている中、すべてを悲しみ一色にしてしまうのではなく、口元に逆の表情を見せる事で潜在的に受ける感情に対する情報が複雑化され、見る者の感情をより大きく揺さ振る事が意図されているともいわれ、早い時期に完成の域に達し、その後も洗練され続けてきた伝統芸能の奥の深さを感じる事ができます。 能面というと、以前、展示会に赴いた際のポスターに書かれていたキャッチコピー、「幽玄なり、夢幻なり」が思い出されます。時を超えて伝えられる神秘性を大きく感じてしまいます。
2013年01月16日
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DHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)、小魚に多いDHAと比較的大きな魚に多いEPA。学習能力を上げてくれるのがDHAで血液をサラサラにしてくれるのがEPAなので、今更、勉強の必要がない人に必要なのはEPAなどといった話を聞く事があり、健康食品としても分けて使われる事が多い両脂肪酸ですが、実は両者の間には可逆性があり、体内では必要に応じてDHAからEPA、EPAからDHAが作られる事はあまり知られていません。 DHAはプランクトンが冷たい海水の中でも凍ってしまわないように、低温でも液体の脂肪酸として作り出しています。それを小魚がプランクトンを捕食する事で体内に摂り込んで蓄積し、小魚を捕食した大きめの魚の体内でEPAへと変化するという経路を辿っています。人間は体内でDHAやEPAを作る事ができるのですが、原料となるリノレン酸を合成する事ができない事からDHAやEPAは必須脂肪酸として扱われる事もあります。 DHAやEPA、リノール酸やオレイン酸など、最近では固有名を聞く事が多くなってきた脂肪酸ですが、あまり馴染みのないものである事や、個々には健康効果がある事を知っていても全体では「脂肪」と付いてしまう事から、どこか健康的な物ではないような感じがしてしまいます。 脂肪酸に関する研究は、19世紀の訪れと共に始められています。1813年から1823年にかけて行われた脂肪に関する研究において、フランスのシェヴルールが脂肪が脂肪酸とグリセリンによって構成されている事を発見し、オレイン酸やパルチミン酸、ステアリン酸などの存在が確認されています。 その後、ガスクロマトグラフィーなどを使用した分析技術の進歩もあり、1844年にはリノール酸、1867年にはリノレン酸が発見されています。1909年には肝臓の脂質からアラキドン酸が発見され、日本でも1935年にイワシの抽出物からアラキドン酸の存在が発見されるなど、急速に脂肪酸の存在は知られるようになってきています。 脂肪酸の存在が知られるようになると、脂肪酸の不足が健康に与える影響も研究されるようになり、脂肪酸の不足によって皮膚疾患、発育や成長の障害、生殖障害などが起こる事が確認され、同様の障害にリノール酸やリノレン酸を投与する事で症状を緩和できる事が確認されてから、人間の体内では合成できず生理機能の維持に不可欠な脂肪酸である「必須脂肪酸」という概念も生まれています。 必須脂肪酸は必須アミノ酸やビタミン類などのように不足すると健康の維持に支障をきたす物であり、体内で合成する事ができる必須ではない脂肪酸であっても合成に必要となる脂質が不足すると必要量を満たす事ができず、何らかの健康障害が生じる事が考えられます。しかし、ビタミン類ほどには過不足による弊害が知られてはおらず、原因がはっきりしない長期に渡る慢性的な体調不良の原因となっているのではないかという意見もあります。 いまだに食材や調理で極端な脂肪分の排除を行った料理をヘルシーとする場面を見掛けます。脂肪との上手な付き合い方を見付ける事も、これからの健康作りにおいてはとても重要な事となると考えています。
2013年01月12日
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子供の頃、近所の駄菓子屋に行くと小さなビンに入った液体と、ストローの先が広くなるようにプラスティック製の器具が取り付けられた「シャボン玉セット」が売られていて、たまに買ってみては飽きもせずに風に流れていくシャボン玉を見ていました。 ビンの中の液体が少なくなると石鹸水で代用できると聞かされていた事から、手洗い場に置かれた石鹸を使って石鹸水を作って補給するのですが、元の液体ほどには綺麗なシャボン玉ができないような気がして、いつもシャボン玉遊びはそこで終了していました。 手洗い場に置かれていた少し硬くなったレモン石鹸が良くなかったのかと、今となっては懐かしい小学校の旧校舎の中庭を思い出しながら、シャボン玉を上手に作る決め手の一つとなる界面活性剤をいろいろと選べる今ならもっと立派なシャボン玉が作れるのにと思ってしまいます。 天保8年(1837年)から約30年に渡って江戸時代の風物を記載した「守貞謾稿」の28巻には、大阪では特土神祭祀の日にシャボン玉売りがたくさん現れ、子供たちが石鹸の粉を水に浸した物を細い管で吹いて5色に輝く丸い球を飛ばして遊んでいる様子や、京都では「吹き玉」や「サボン玉」と呼ばれていた事が記載され、一説にはシャボン玉を生業とする商売は延宝5年(1677年)には登場していたとされる事からも、シャボン玉は日本において古い歴史を持つものである事が判ります。 古い歴史を持つシャボン玉ですが、近年になって身の回りにある物の変化に伴い、昔とは様相が異なる物ともなってきています。かつては石鹸を水で溶いた石鹸水が使われていましたが、液体の台所用中性洗剤の登場で溶け切っていない石鹸の粉という不純物を含まず、合成の界面活性剤の働きもあってより良い状態でシャボン玉を作る事ができるようになっています。 液体の中性洗剤を薄めて使う際、砂糖やガムシロップなどを入れるとシャボン玉がより長持ちするようになり、薬局で売られているグリセリンや洗濯のりやシート状の洗濯機用洗剤などに含まれるポリビニルアルコールを少量加える事でも頑丈なシャボン玉を作る事ができます。 最近、強力な保水力を持つとして化粧品をはじめ関節や皮膚を守る健康食品などの素材としても話題となる事が多いヒアルロン酸ですが、1gで6リットルもの水分を保持できるという強力な保水力はシャボン玉作りにも利用する事ができ、ヒアルロン酸入りの化粧水を少量シャボン玉用の液に加える事で大きな割れにくいシャボン玉を作る事ができます。 ヒアルロン酸入りのシャボン玉は、接触面積を小さくする事のできる毛糸の手袋などをした手で触れる事もできので、かつての触れる事のできない儚い物というシャボン玉のイメージからは大きく違ったものが感じられるかもしれません。江戸の子供たちに見せてあげたい気がしてきます。
2013年01月11日
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1月も7日を迎えると正月気分も終わりという感じがするのですが、毎年、気が付くとその日を迎えていて、「七草粥」の話題を聞きながら今年も食べずに終わるのかと思ってしまいます。子供の頃、聞かされた七草粥を食べる理由は、正月にご馳走をたくさん食べ過ぎて弱った胃腸をケアするというものだったので、これといって特別な正月を過ごしていない身には縁がないままでも良いかと思いながら、食文化や風習の一環として興味だけは持ってしまっています。 七草粥の歴史は非常に古く、中国から伝えられて平安時代の中期には日本でも定着していたとされます。しかし、日本では古代から雪の中から出てきた新芽を、「若菜摘み」と称して摘み、生命に満ちた食材として食べる習慣があった事から、それを七草粥の原点と見る事もできます。 六朝時代の中国で書かれた「荊楚歳時記」には、1月の7日を人を殺さない「人日」と定め、7種類の野菜を入れた「七種菜羹」というとろみのある汁物を食べて、一年間の無病息災を祈る習慣がある事が書かれており、「四季物語」にも古い時代から7つの草を集めて人日に汁物を作れば、一年間の病魔から逃れられるといった事が書かれている事からも、中国でも古くから根付いた習慣であった事が伺えます。 日本で七草粥と思える物が文献に登場するのは平安時代の中期に編纂された律令の施行細則である「延喜式」が最初とされ、「餅がゆ」として登場するのですが、使われている材料は今日の七草粥とは大きく異なる米や栗、きび、稗、みの、ごま、小豆といった穀物が中心となっています。 餅がゆが振舞われるのは一定以上の高貴な官職にある人だけとされ、一般的な官職の人には小豆だけが入れられた「御粥」と呼ばれる物がだされています。いずれも1月の15日に振舞われて、一年間の邪気を払う物とされていた事から、今日の七草粥とは少々趣が異なるものであったようにも思えます。 餅がゆの習慣の由来については定かではないとされながら、寛平年間(889~898年)に宇多天皇が自ら民間の風習を宮中に導入したとされ、若菜摘みや七種菜羹とは違った系統が存在するようにも考える事ができます。 その後、餅がゆについては「土佐日記」や「枕草子」にも登場し、正月の行事として定着したものとなっている事が伺えるのですが、徐々に使われる穀物が正月の頃に調達する事が可能な野菜に置き換わっていき、今日の七草粥に近い物へと変化していきます。 室町時代の初期(1362年)に書かれた源氏物語の注釈書、「河海抄(かかいしょう)」に「芹、なずな、御行、はくべら、仏座、すずな、すずしろ、これぞ七草」という歌の記載があり、今日の七草粥はこの頃に成立、定着したものと見る事ができます。 七草粥が庶民の間にも定着するのは江戸時代に入ってからの事で、武家の間で幕府の公式行事として正月の7日に将軍以下、全ての武士が七草粥を食べる儀礼が行われた影響も大きいとされます。 毎年、気が付くとその日を迎えている七草粥の日ですが、正式な作法では前日の晩に囃子歌と共に七草を刻んでおき、当日の朝にお粥にするという物なので、毎回、当日に気付いても遅いと思ってしまいます。滋味溢れるお粥を来年こそはと年の初めに思ってしまいます。
2013年01月10日
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食材に含まれる主要なアロマから相性を判断し、これまでにない組み合わせを見付け出す事を可能にするフードペアリング。食の世界に新たな可能性をもたらす事が期待される概念に早くも「破綻」という言葉が先日出されており、気になって詳しく調べた事があります。 フードペアリング破綻のニュースは、世界的な学術雑誌であるネイチャーに掲載された洋の東西における料理の味の違いに関する研究結果の記事が元になっていて、食材の選択に関する傾向についてフードペアリングの理論に当てはまらない部分の存在が言及されていました。 アジアと欧米の料理の味の違いについて56498件のレシピを分析した結果として、381種の食材の組み合わせが存在する事が明らかにされていますが、欧米の料理には風味が共通する食材を好んで選択するというフードペアリングの理論に適った傾向がある事に対し、アジアの料理では同じような風味を持つ食材を組み合わせる事を、系統的に避けるという欧米とは正反対の傾向があり、フードペアリングにおいて組み合わせが肯定される主要なアロマに共通するものが多い食材ほど組み合わせる事を避けるという事が解明されていました。 研究結果については食材の選択傾向の違いと、選択した食材の組み合わせを最大限に活かすような調理手法と味付けの違いが料理の味の違いとして生じてきたと受け止める事ができるのですが、見方によってはアジアではフードペアリングの理論を真っ向から否定しているようにも受け取る事ができます。 しかし、そうした食材の組み合わせの選択に関する傾向の違いは、出汁に関する考え方の違いにあるように思えてきます。基本的に料理に使われる水が硬水で、出汁自体が出にくい欧米では同じ風味を持つ物を組み合わせる事で風味を強化し、軟水が用いられる事で素材から出汁が出やすいアジアでは同じ風味を出す食材の組み合わせを避けて、別な系統の風味を持つ食材を合わせる事で出汁の成分の味覚強度を向上させるという手法が採られていたように思えます。 主要なアロマを分析して組み合わせの相性を探るという手法がアジアの料理には通用しないという事は、フードペアリング理論という一つの方程式では充分な解が得られないという物事の難しさを感じさせてくれるのですが、素材のアロマではなく出汁の素となる旨味成分の組み合わせを元に探っていけば、アジアの料理におけるフードペアリング理論が確立されるように思えてくるのは主婦の浅知恵とも考えてしまいます。
2013年01月09日
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嗅覚は視覚や聴覚よりも遥かに強く記憶と連動し、呼び起こす作用を持っている事が知られています。香りの中に懐かしさを感じたり、特定の場面が浮かんできたりという経験を持つ人も多い事と思います。 嗅覚は物を口にして味覚の情報を得る前に物の状態を判断し、安全を確保するために過去に経験した事を元に香りをデータベース化し、照合を行う機能が記憶との関連の深さに繋がっているという事ができます。 空気中の化学物質を鼻腔の粘膜内にある受容体と結合させる事で嗅覚は感知されているのですが、人間の場合、正常に機能している受容体の数は347種とされ、受容体は一種類のみの化学物質を感知するのではなく、複数の物質を感知できる事から嗅覚が高性能の感覚器官によって感知されている事が判ります。 無意識のうちにたくさんの情報を得ている嗅覚ですが、単に香りを感知し、記憶のデータベースを元にさまざまな物事に関する情報との連動を取るだけでなく、味覚などにも深く関わっている事も判ってきています。 嗅覚と味覚の連動性については、子供の頃に飼っていた猫が鼻風邪を患い、全く水や食べ物を検知できなくなってしまったという経験があり、その強い結び付きを伺う事ができます。日に日に衰弱していく猫の姿を見ながらこのままではいけないと、食べ物を口に運んでやれば味覚から食べ物に気付いてくれるのではないかと思い、何度も口へ食べ物を運んであげたのですが、迷惑そうな顔をするだけでまったく食べてくれなかった事が思い出されます。 後に自分でも嗅覚が麻痺すると食べ物の味を感じる事ができなくなる事を実感し、人間よりも嗅覚が発達した猫の場合、そうした傾向はさらに強いのではと思えた事があります。嗅覚と味覚のそうした関係は、最近では「分子調理法」という形で一つの分野を確立しつつあり、「フードペアリング」「フレーバーペアリング」という言葉で耳にする機会も増えてきています。 フードペアリングはベルギーのブルメンソール・シェフのアイディアが元になっていて、キャビアとホワイトチョコレートという明らかにかけ離れた食材の相性の良さを研究中に主要な香りの成分に共通点が多い事が見出され、相性が良いとされる食材同士には同じ傾向がある事が判り、それを体系化する事で確立されています。 フードペアリングによって客観的に食材の香り成分を分析し、近い成分を多く含む物を図案化した事でこれまでは考えもしなかった食材の組み合わせが発見されるようになってきており、今後の料理の発展性を握る一つの概念ともなってきています。 まったく新しい食材同士の組み合わせはこれまでにない料理を生み出し、新たな調理技法を確立する事にも繋がる可能性を持っています。伝統を継承しながら発展させていく方法論とは全く異なる概念が味覚ではなく嗅覚から始まろうとしている事にも、興味深いものを大いに感じてしまいます。
2013年01月08日
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人は約8割の情報を目からの視覚情報によって得ているとされます。そのため、視覚にのみ頼ってしまいそうになるのですが、残りの2割の部分、嗅覚や聴覚によっても意外なほど影響を受けていて、2割といえども重要な情報源となっている事が判ります。 嗅覚は回りの空気の振動を鼓膜という感覚器官で感じる聴覚とは異なり、受容体で臭いの元となる化学物質の存在を感じ取るという意味では味覚に近い感覚という事ができます。嗅覚と味覚の主な違いは味覚が受容体が感じる化学物質に選択的に直接触れる事に対し、嗅覚は不特定多数の化学物質に非選択的に触れているという事ができます。 味覚が口にする物の状態や含まれる栄養素、毒素の有無などを感じる事に対し嗅覚は味覚と同じような機能に加え、外敵の存在や隠れた物の検出、仲間の状態や自分を取り巻く環境の状況を察知するなどの幅広い機能が要求される事から、重要な機能として発達してきた事が判ります。 かつて生物の進化を化石という形で観察していた頃、貴重な化石を破壊するしか内部構造を知る術がなかった事から、脳の進化を知る事は困難なものとなっていました。現在ではX線を使ったコンピューター解析の技術が発展した事から、貴重な化石を傷付ける事なく内部構造を調べる事が可能となり、脳の進化をより詳細に知る事が可能となっています。 X線解析によって得られた頭蓋骨内部の空間の形状や脳組織の痕跡、脳の表面の詳細な画像を元に哺乳類のルーツであるキノドン類に属する7つの化石とキノドン類から6500万年ほど後の1億9千万年前に生息していた初期哺乳類の化石、現在の哺乳類を比較し、脳がどのように変化したかを調べると、キノドン類と初期哺乳類では脳の容量は1.5倍ほど大きくなっており、その後、さらに脳の容量は大きくなり続けている事が判ります。 特に巨大化が著しかった領域として嗅球や嗅覚皮質といった嗅覚情報の処理に関する部分があり、継続的に進化が行われ、嗅覚の機能が向上させられきたといえます。 嗅覚に関する領域以外では、体毛からの触覚情報を処理する領域や知覚と運動機能を統合する領域なども拡大してきている事から、捕食動物から発見される事を避けるために夜行性の生活を余儀なくされたために、暗がりではあまり役に立たない視覚情報の代わりに嗅覚や触覚を発達させ、異常を察知すると素早く逃亡できるような運動機能の向上が図られてきた事を考える事ができます。 同じ時を経ていながら爬虫類には同じような嗅覚の進化が見られない事については、哺乳類が恒温動物であり、活動に必要な体温を確保するために日光を必要とせず、躊躇なく夜行性に移行できた事を上げる事ができます。 同じ進化は人間に対しても当てはまり、類人猿から現代人へと進化する途中の14体の頭蓋骨を測定すると、臭いを感じる嗅球と嗅球で得られた嗅覚信号が最初に伝わる側頭葉の発達が著しく、人間も同じように嗅覚と共に進化してきた事が判ります。 嗅覚は記憶と連動する事も知られており、嗅覚の重要性が改めて認識されてきています。進化によって脳が巨大化し、それに合わせて嗅覚を掌る分野も強大化したのか、より迅速で細かな情報処理が求められた結果として嗅覚に関する分野が巨大化され、それに合わせて脳も巨大化したのか、自分の脳に聞いても答えてくれない事もあり、大いに興味が湧いてしまいます。
2013年01月04日
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