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人間は雑食性の生物であり、肉や野菜を食べる事ができます。犬はかなり肉食に近い雑食性とされ、一応、肉ばかりでなく野菜を食べる事もあります。しかし、猫は完全な肉食であり、野菜を食べる必要はないとされ、人間から見るとかなりの偏食という事ができます。 猫が偏食でも丈夫に育つ理由はビタミンなどの肉食では摂取できない栄養素を体内で合成できる事や捕食した獲物の血液中の微量元素を利用できるからで、人間には食物から摂取する事が欠かせないビタミンCなども体内で合成する事ができ、その意味ではビタミンCは猫にはビタミンではないといえます。 日本では猫は魚を好むと考えられ、ペットフードの売り場へ行くとカツオやマグロを中心としたフードが売られ、鶏肉のササミを使った物も見られますが、原料をササミとしながら味付けは魚という製品も多く見られます。 日本で猫が魚を好むとされるようになったのは仏教の影響が大きいとされ、経典や蓄えた穀物をネズミから守り、ペットとしても最適だった猫が日本人が仏教の影響で獣肉を食べなくなった事に付き合わされているうちに、魚を好むDNAが積極的に受け継がれたためともいわれます。 日本では猫には魚となっていますが、日本以外では猫には肉となっていて、魚由来のフードは少数派となっています。猫は狩の名人で水に入る事を好まないという点では、魚を獲って食べていたというより鳥や小動物を捕まえて食べていたという方が自然に思えるので、肉を食べさせる方が妥当なようにも思えます。 また、猫のフードに関しては乾燥させたドライフードと缶やパウチなどに入れられたウェットフードがあり、どちらも長所と短所がある事から賛否両論がいわれる状態となっています。 ドライフードの最大のメリットは保存性の高さにあり、水分量の少なさから比較的多めの量を買い置きする事ができます。気に入って食べてくれていると思っていても、ある日急に飽きて食べなくなる事があるので、保存性の高さを利用して数種類を買い置きしてローテーションさせて飽きさせないようにするという事も比較的簡単にできるようになっています。 かつてはドライフードは硬い食感が歯石を除く事に作用し、猫のオーラルケアに役立つという事が最大のメリットのようにいわれていましたが、最近ではドライフードによる歯石の除去は否定的に見られるようになり、むしろ主原料がトウモロコシや大豆といった穀物であり、肉食の猫には不向きな食材が使用されているともいわれるようになってきており、本来食べるべきではない穀物の摂取によって尿のpHが変化し、猫にとって日頃から注意すべき疾患である尿路結石を誘発するという意見も出されています。 ウェットフードは水分量が多い事から、日頃から水分を多めに摂って尿路結石の予防を図りたい猫には最適とする意見もありますが、食べ比べさせるとウェットフードを食べて水分を摂った分、水を飲まなくなる事からそれほどの違いはないようにも思えます。 ウェットフードの最大のメリットは猫が本来食べるべき動物由来のタンパク質を多く含んでいるという事で、多くの製品が加熱調理される過程で骨や組織から出たゼラチン質を含む事など、良質のタンパク源となる事が考えられます。 それぞれ長所と短所を併せ持つドライとウェットのフードですが、共通していえる事は選択が飼い主の主観に左右される事から、飼い主の目に美味しそうに見えるように不要な着色料が添加されている事や、品質を保持するために保存料を含む事、猫用に限った事ではありませんが缶入りの製品は内側のコーティングから染み出す化学物質や原材料の魚に含まれる水銀など、考えていくと多くの問題を内包しています。 猫まんまというとご飯に味噌汁という感じですが、塩分が多く動物性たんぱく質を含まず、米という穀物中心といった物よりは遥かに優れた栄養バランスを持つキャットフードですが、それにしても何を食べさせるべきか、何を食べさせないべきか難しいものがあります。
2013年04月30日
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何を食べるべきか、または何を食べないべきか。夕食の献立やレストランのメニュー選びではなく、もっと長期的な人生においてとなると非常に難しい問題のように思えてきます。よく書籍やテレビ番組などで何か一品の食材を採り上げ、それを食べれば健康になる、もしくは食べないようにすれば不調を回復し、健康的な生活を実現できるような事がいわれたりしますが、食と健康の複雑な関わりを思うと、事はそれほど単純ではないように思えます。 以前は食を通して健康的な生活を実現するために、一日に30品目の食材を摂る事が推奨されていました。多くの食材からバランス良く栄養を摂取する事を意識しての30品目で、その数字には根拠がないといわれ、出典元となっていた厚生省の「食生活指針」では2000年の改訂以降は記載が削除されています。 30品目と多数に上ったもう一つの理由として、日常的に栄養を摂取する食材を多岐に渡らせる事でリスク分散を行うという考え方もあります。 食物には栄養と共に微量な毒素となりえる成分も含まれる事から、摂取する食材が偏らない事で一定の毒素の摂取量を低減したり、たくさんの微量な毒素に触れる事でより多くの毒素耐性を確保するというもので、どことなく後付けの理由のようにも感じてしまいます。 根拠がない30品目という数字ですが、毎日他品目を摂取するという事は健康にとても良いという印象を受けます。それに対しその正反対といえる偏食不健康で、健康面には大きなマイナスの要因として上げられます。 偏食は好き嫌いの結果のようにいわれ、何らかの食材に食事が偏ってしまう事を指し、また、稀に一日単位では必要な栄養素を確保はしていても、3食をそれぞれ1食ごとに見てみると人様な栄養素が均等に摂れていない状態を指す事もあります。 偏食を否定する理由としては、栄養が偏る事で健康体になれないとか頑丈な体に成長できないといった事がいわれます。しかし、アメリカの大リーグで活躍している日本人選手の食生活を取材したテレビ番組が、あまりの偏食加減に医師会からストップが掛かり、放映を見合わせたという事例や、アフリカ奥地の原住民の極端に炭水化物に偏った食生活を見ていると、偏食の弊害はそれほどでもないようにも思えてきます。 アフリカの原住民の例はかなり極端で、ほとんど食事で摂る事のないタンパク質を腸内細菌から得ているというのは、長年に及ぶ偏食に対し体がシステム的に対応した例という事もできると思えてきます。 最近の研究で何かの食べ物を急に強く食べたいと思ってしまうのは、何らかの栄養素の不足を補おうとする無意識の衝動ではないという事も証明され、そうした事を考えていると、何を食べるべきか、食べないべきか。本当に難しい問題と思えてしまいます。
2013年04月26日
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最近は明るい話をよく耳にするようになり、景気は良い方向へ向かっているのだろうかとニュースを眺めたりしてしまいます。かつてはバブル経済崩壊後の「失われた10年」といわれていたものが、いつのまにか「失われた20年」といわれるようになり、自動延長されている事にいつまで失われ続けるのだろうと不安になったりもしていました。 人々の生活に暗い影を落とす不景気ではありますが、全てにおいて「負」の影響ばかりではなく、中には良い方向へと作用する事もあるというレポートが報告されています。 経済不況が健康に及ぼす影響についての研究の舞台となったのは1980年から2010年にかけてのキューバで、ソ連産の石油と自国産の砂糖を物々交換していたキューバが1991年のソ連崩壊によって甚大な経済的打撃を被り、新たな経済改革によって95年以降の経済回復、その後の経済発展という社会の変化が背景となっています。 研究を行ったのはスペインのアルカラ大学医学部の研究チームで、キューバ全土の都市部のデータを検討し、国民の体重やBMI(肥満指数)、糖尿病の罹患率、死亡率などの変化を評価しています。 経済危機によって燃料や食料が不足すると、ガソリンの価格が高騰し、品切れとなる事も見られた事から自動車の利用率が減少し、徒歩や自転車といった移動手段が増える事となり、消費カロリーの増加が見られています。そこに食料の不足から摂取カロリーの減少が加わり、国民全体で平均5.5kgの体重の減少、BMIでは1.5の減少が見られています。 経済不況が続いた91年から95年の間に小太り(過体重)や肥満の割合も全体の33.5%となり、国民の8割が週に5日程度の充分な運動を行った計算になると分析されています。しかし、そうした傾向は95年以降の経済状況の回復に合わせて変化が見られるようになり、BMIは2.6の増加が見られ、95年当時は国民の半数以上(56.4%)が正常体重であった事に対し経済発展を遂げた2010年には42.1%と半数を切る結果となり、小太りや肥満の割合も52.9%と高い比率になっています。 ソ連崩壊という経済危機の始まりから5年後の96年に糖尿病や心臓病、脳卒中による死亡率の減少が観察され、その後、6年に渡って同じような傾向が続きますが、経済が回復した2002年以降は経済危機以前の状態に戻ったとされ、経済危機が健康面ではプラスに働いた事が裏付けられています。不況というとさまざまな閉塞感からくるストレスなどのマイナス面しか意識されませんが、プラスの面もある事を意識して前向きに考える事が脱却に繋がるのかもしれないとも思えてきます。
2013年04月25日
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ほとんどファミリーレストランを利用する事がなく、利用してもコーヒーのみという事が多かったのですが、久々に食事をする事となり、その気になって眺めてみるとメニューの多彩さに楽しさを憶えてしまいます。 メインのおかずを選び、それに主食となるご飯やサラダ、スープ、飲み物などのセットを追加するシステムなのですが、普段だと食べやすさから主食をパンにしてしまうところをあえてご飯にして和定食にしてみました。 しばらくすると四角いお盆に載せられた和定食のセットが届けられます。ご飯が盛られたプラスティック製の黒い器は茶碗というには深く、丼と茶碗の中間のような形状で、箸の使い方が上手ではない人でも食べやすいような合理的な形状のように考えられた物であると思えてきます。 自分で炊いたよりもかなり柔らかめのご飯を食べ進めていくと最後の一粒まで綺麗に食べる事ができ、プラスティックの器の表面を眺めながら、本来であれば多量のご飯粒がこびり付き、上手に食べる事ができないはずの器でもそうならずに綺麗に食べ終える事ができた理由について考えてしまいます。 子供の頃、洋食店で初めて洋皿にご飯が盛り付けられて出された際、それまでに経験した事がないスタイルが嬉しく思えたのですが、食べ進めていくと皿の表面にご飯粒が多量にこびり付き、綺麗に食べ終える事ができない事が悲しく思えた事があります。 今でこそフッ素樹脂加工による表面処理やポリプロピレンなどの素材が発達、普及していますが、子供の頃の私の食事はともかく、製造の現場では機器類へのご飯粒のこびり付きは大きな問題となっていました。 炊飯釜の表面や型枠などへのこびり付きはご飯のロスとなるだけでなく、機器類の洗浄に要する手間を大きくしてしまいます。そこで使用されるようになったのが「炊飯油」と呼ばれる油脂類で、少量の油脂を炊飯するご飯に加える事でこびり付きを大幅に減らす事ができます。 炊飯に油脂を加えるメリットはそれ以外にもたくさんあり、ご飯がふっくらと艶やかに炊き上がる、粘りがなく冷めても硬くなりにくい、水分が逃げにくく乾燥しにくい、古米や外国産米特有のにおいを和らげたり香りを良くするなどの利点があるとされます。 本来、油分を含まずにご飯は炊かれるため、油脂を加える事で油っぽさが気になるようにも思えるのですが、炊飯時に加えられた少量の油は、米に含まれるデンプンなどの作用によって乳化してしまうためにほとんど炊き上がった際には油の存在を感じさせなくなり、油分が加わる事で微妙なコクが加わったり糖化したデンプンによる甘味が加わる事で、本能的な味覚を刺激して美味しさをより強く感じるようになるともいわれます。 そのため油脂メーカーごとに配合が異なる内容を見てみるとくせのない油分がベースとなり、乳化をより円滑に行うために植物由来のレシチンを乳化剤として配合したり、素材の内部に浸透しにくい脂肪酸グリセリンエステルなどが使われるといった工夫を見る事ができます。 家庭でもご飯を炊く際に少量のサラダ油などを加える事で美味しく炊き上がり、炊飯器にも問題はないともいわれますが、油分が多くなってしまったり乳化が充分ではない場合、ご飯を水に漬けると油分が浮いてくる事があるともいわれ、できる事なら普通に炊いたご飯を食べたいものだ思ってしまいます。食べやすさや食べ終わりの状態にこだわってしまう私ですが、炊飯油という合理性とは距離を置いておきたいと考えています。
2013年04月24日
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子供の頃から接していた事もあり、納豆にはほとんど抵抗を感じる事はなく、西日本では敬遠される傾向が強い食品という話や関西の人の納豆に対する酷評を聞かされると、少々違和感を覚えてしまいます。 熊本は西日本でも例外的に納豆が大量消費される土地柄らしく、熊本のみで流通するパン食専用の納豆の存在などが全国ネットのクイズ番組で採り上げられると、納豆という食品に関して特殊な環境下で育ったという事が強く意識されてきます。 納豆が嫌われる理由の一つとして臭いの存在が上げられる事が多いのですが、食べる時にそれほど臭いを意識する事がなかった私でも健康食品の原料素材として精製されたナットウキナーゼに接した際は、とても強烈なものを感じてしまい納豆が臭い故に嫌われるという事を強く意識しました。 ナットウキナーゼは納豆菌が作り出す酵素の一種で、日本の須見洋行によって発見、命名されています。茹でた大豆が納豆菌によって納豆に変えられていく結果として生じる酵素ともされ、ナットウキナーゼを含んでいるのは納豆だけといわれます。 強力な血栓溶解作用がある事で知られ、血栓症の予防や血液サラサラ効果などを目的とし利用などが見られています。同じく血栓の生成を予防し、血液をサラサラにする健康法としてアスピリンの常用などが知られていますが、アスピリンの代替品としても推奨されています。 最近ではアルツハイマー病の原因とされる有害なタンパク質、アミロイドβを異性化する働きが知られるようになり、今後の研究によっては益々人気が高まりそうな酵素ともなっています。 納豆菌自体も高い生存能力や有用な働きを活かした整腸作用や、水質の改善能力を使った環境改善作用などで注目が集まってきていて、納豆に関する意識は新たな変化の時を迎えそうな気がするのですが、抽出されたナットウキナーゼに接して初めて感じた納豆への嫌悪感は何ともいえないものがあったようにも思えています。
2013年04月23日
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最近になって伝統的なスタイルから大きく姿が変わってしまった物の一つに「ロールケーキ」があると思います。幅広く焼き上げられたスポンジにクリームをのせ、巻き込んで仕上げられるロールケーキは、かつては断面が「の」の字になっていたものが最近ではスポンジを内側に入れない形で「○」が断面となっていて、大量のクリームをスポンジで包んだ物という印象になっています。 以前はスポンジの比率が高く、クリームが少ない事にがっかりする事もあったと考えると歓迎すべき変化ともいえるのですが、ホイップした柔らかい生クリームの部分が増えた事で食べにくくなったり、カロリーが気になったりと少し贅沢な悩みも発生させてくれています。 ロールケーキの誕生には、世界が大きな変革の時を迎える事となった新大陸の発見、大航海時代の到来が大きく関わっています。15世紀の後半、ヨーロッパ諸国が貿易の拡大、植民地の獲得という覇権争いを繰り広げる中、いち早く力を着けたスペインは中南米や西インド諸島においてサトウキビの栽培に着手します。 植民地からもたらされ、ヨーロッパ中に普及した砂糖は製菓技術を飛躍的に発展させ、小麦粉に卵を加え、砂糖で甘く味を着けて焼き上げるビスケットの誕生に繋がりました。小麦粉と卵の比率は変化し、卵を攪拌して泡立てて窯でふんわりと焼き上げたスポンジケーキも登場し、最新の洋菓子であるスポンジケーキは日本へも伝えられ、カステラとなって日本の食文化に根付いています。 日本においてスポンジの部分が洗練されてカステラとして成立した事に対し、ヨーロッパではスポンジにジャムやクリームを塗る事でケーキが成立していきます。その中で片側にクリームを塗って巻き込む事で作られるロールケーキは早い時期に誕生していたと考えられ、16世紀の初めには作られていたとされます。 当時、ケーキは生命を維持する食と大きくかけ離れたものであり、贅沢品以外の何物でもなかった事から、独自の発展を遂げる事となり、より贅沢で華美な物へと変貌を遂げていく事となります。 そんな中、誕生当時の姿でどちらかといえば質素な雰囲気を残した物としてロールケーキが存在していたのですが、ここにきて町起こしと一体化した地域性豊かなご当地ロールケーキの登場や、○型のロールケーキといった物へと急激な変貌を遂げています。 長い歴史の中、最近になって急速な進化を遂げはじめたロールケーキですが、その変化によって地域の食文化への融合も見られている事から、新たな道を歩んでいるという事もでき、歓迎すべき変化なのではとも思えてきます。
2013年04月22日
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ラジオ焼きというと、あまり美味しそうな響きに聞こえてこないのですが、人気のB級グルメの祖先の一つと考えられています。丸く窪んだ鉄板の中に小麦粉を溶いた生地を流し込み、具材を入れて回転させながら焼き上げるというスタイルは、今日のたこ焼きそのものに見えてきます。 ラジオ焼きは明治から大正にかけて繊維工業や鉄鋼業、造船業などの産業で賑わう大阪の街で誕生したとされ、屋台を中心に売られていました。たこ焼きとの最大の違いは主役となる具材がコンニャクであった事で、その後、おでんの具材として売られていた牛スジ肉をしょうゆ味に煮込んだ物が使われるようになるのが昭和8年の事で、「明石焼き」をヒントに牛スジ肉がタコに置き換わるのは昭和10年の事だったともいわれます。 濃厚な味のソースやマヨネーズが味付けに使われるようになるのは第二次世界大戦終了後の事となっており、そこから全国的な人気の食べ物として普及する事となります。 ラジオ焼きの名前は当時、非常に高価で高級品として扱われていたラジオに因んだもので、同じくたこ焼きのルーツとして語られる事のある「ちょぼ焼き」も少なからずラジオと関係しているとされます。 ちょぼ焼きはラジオ焼きやお好み焼きの原型といわれる事もあり、安価でハイカラな軽食とされた「一銭洋食」に端を発するともいわれます。窪みが並んだ金型に小麦粉を溶いた生地を流し込んでコンニャクや紅ショウガ、エンドウ豆などの具材を入れて焼き上げられ、四角く成形された形に丸い突起が並ぶ姿がラジオを彷彿とさせる事や、大阪ではラジオのつまみの部分をを「ちょぼ」と呼んだ事がその名に由来するともいわれます。 ラジオ焼きに影響を与えてタコを使うという着想の元となり、丸く焼き上げられる姿も似ている明石焼きこそがたこ焼きの元祖のようにも思えてくるのですが、明石焼きは主原料が卵という点がたこ焼きとは大きく異なり、その点ではラジオ焼きの方が近い存在と思えてきます。 明石の街では江戸時代を中心に、かんざしに使われる色鮮やかな装飾品である「明石玉」の製造が一大産業として発展していました。鉛で作った玉に鮮やかな彩色を施すために下地として使われたのが卵白で、たくさん余ってしまう卵黄の利用法として「玉子焼き」と呼ばれる明石焼きが考案されたとも、明治に入り安価なセルロイドが大量に輸入されるようになり、職を失った職人たちが明石玉の型を使い、明石玉に見立てた玉子焼きの屋台をはじめたともいわれます。 姿や製法が非常に近いラジオ焼き。ラジオ焼き成立に深く関わっていると考えられるちょぼ焼き。多大な影響を与え、タコを入れる元となった明石焼き。それぞれがたこ焼きの成立には欠かせない存在という事ができ、大阪に花開いた粉物文化の集大成ともいえるたこ焼きへと繋がる祖先となっているのかもしれません。
2013年04月19日
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少し前の事となるのですが、知り合いと中華料理店で食事をしていて、知り合いが北京ダックを注文すると店のシェフが「北京じゃないけど良いですか」と確認を取りに来て、「大変ですね」「そうなんですよ。単なるインフルエンザなんですけどね」という会話が交わされ、中国で鳥インフルエンザが流行し、鶏やアヒルの肉の輸入が禁止された事を意識してしまうという場面がありました。 当時は牛や羊の口蹄疫と同じように人への感染という影響よりも養鶏業への打撃の方が心配されていたのですが、その後、人への感染力を得て大流行し、大変な被害を出すという怖ろしげな話がされるようになり、いつの間にかそれが必然のようにもいわれるようになってきています。 インフルエンザにはA、B、Cといった型があるとされ、その中で人がAやB、Cにも感染するのに対し鳥はA型のインフルエンザにしか感染しないとされます。通常は鳥と人では遺伝的に大きく異なる事から、共通のインフルエンザウィルスによる感染は起こらないとされますが、鳥から比較的遺伝子的に感染しやすい豚、豚から人へとウィルスが突然変異を繰り返しながら人から人へと感染する力が培われていくと考えられています。 そのため鳥と豚、人間が近い位置関係で生活する都市でインフルエンザの感染力は形成されるとされますが、鳥インフルエンザは鳥から人へと幾つかの段階を飛び越して感染するという部分がこれまでにない存在とも思えてきます。これまでにない存在となると罹患して回復したという免疫を確保した人の存在がない事となり、一旦感染すると重症化する事も考えられ、鳥インフルエンザの脅威をより大きいものとしています。 今回の鳥インフルエンザに関しては、抗インフルエンザウィルス薬のタミフルやリレンザが効果的という予測が出されています。おかしな偶然なのですが、中華料理店で鳥インフルエンザの話を聞いた直後、中華料理もいろいろと大変だという話の一環として、中華料理で使われる「八角ウイキョウ」の値段が高騰して困るという話も聞かされています。 タミフル(オセルタミビル)は、ウィルスが感染した細胞から別な細胞へと感染を広げようとする際に使う酵素の働きを阻害する事で、インフルエンザウィルスの増殖を抑え込む働きがあります。一般的にC型には効果がないとされ、B型にも効きにくいされる半面、A型には効果があるとされる事から、鳥インフルエンザには有効と考える事ができます。 タミフルはシキミ酸から10段階ほどの工程を経て作られています。シキミ酸は当初、植物のシキミから発見され、その名が付けられましたが、ほとんどの植物に含まれており、八角にも多く含まれています。 中華料理店で鳥インフルエンザに関する話を聞いていた頃は、SARS(重症急性呼吸器症候群)が話題となり、パンデミック(世界的大流行)という言葉がよく聞かされていました。そんな中、タミフルの増産と確保がいわれ、原料となる八角の品不足にも発展していたという事になります。 そうした事情から私の中ではどちらも中華料理店から始まったような呑気な印象があります。しかし、呑気な事をいっていられないのは、中国では鳥インフルエンザに感染した事が判ると強制的に隔離され、治療が行われるのですが、退院後、日本円にして100万円近い治療費が請求される事となるといいます。 現地の人の収入を考えると感染して生還しても復旧できないほどの経済的損失を受けてしまう事となるため、体調不良を隠して自宅療養する人も少なくないという予測もあり、実際には感染者の数は遥かに多いという見方も存在します。今回の感染の発生がどのような展開を見せるのかは、今のところ不明なままとなっていますが、一刻も早い収束を待ちたいと思っています。
2013年04月18日
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昔、飼っていた猫はなかなかの長寿だったのですが、若い頃にFLUTH(猫下部尿路結石)を患い、結石体質が災いしたという事で以降をリンなどの含有量が低く抑えられた処方食のみを食べていました。今ではFLUTHに関する研究も進み、処方食の内容や予防に関するアプローチも変わってはいますが、当時の結石の原因となる考えられていた成分を抑えた低ミネラルな内容の食の影響は、高齢になってから思わぬ弊害となって現れてきました。 ある日、後ろにいる私の気配を感じた猫が振り返ろうとした際、まるで電源が切れたみたいに下半身の力がなくなり、その場に倒れ込んでしまいました。自分でも何が起こったのか理解できないらしく、パニックになりかけている猫をとりあえず立たせて様子を見るのですが、体の角度を変えようとする度に同じような事が起こります。 尋常ではないものを感じ、急ぎ掛かり付けの獣医の下へ連れて行き、レントゲンを撮影してみると骨が異常に隆起していて、体の角度を変える際に神経に当っている事が判りました。 低ミネラル食でうまく利用や排出ができずに骨に沈着したカルシウムが原因という事ですが、高齢であるために外科手術で突起部を削る事は見送られ、代わりに意外な治療法が採られる事となりました。 ステロイド剤は皮膚炎から喘息、関節リュウマチなどの免疫関連の疾患の治療に広く用いられ、聞き目が強い半面、副作用も多く、強めである事が知られています。ステロイド剤の副作用の一つに骨からカルシウムを流出させて骨粗鬆症を生じるというものがあり、その副作用を利用して骨の隆起を小さくしようという治療法が行われる事となりました。 薬は意図した働きが作用とされ、意図しないものは副作用として悪い事と認識されますが、時にはそれも作用となると副作用の定義を改めて考えてしまうと同時に、ステロイド剤とカルシウムに関する強烈な記憶として残されています。 先日、血液中のカルシウム量の増加によって血栓症のリスクが高まるといった研究レポートに触れたのですが、それに関連した新たなレポートを知る事となりました。新たなレポートでは、ステロイド剤の使用によってエコノミークラス症候群のリスクが引き上げられるとされています。 静脈血栓塞栓症、いわゆるエコノミークラス症候群は長時間、同じ姿勢でい続ける事で血栓を生じる事によって起こるとされ、座席が狭くて窮屈なエコノミークラスの座席で起こりやすい事からその名が付けられていますが、実際には座席が広いファーストクラスや飛行機以外のバスや列車の座席でも起こる事が確認されています。 デンマークにおいて40万人以上を対象に検討を重ねた結果として、ステロイド剤の使用でエコノミークラス症候群の発生リスクが倍以上に高められたという結果が得られていますが、ステロイド剤が骨からのカルシウムの流出を促す副作用を持つ事、骨からカルシウムが流出して血液中のカルシウムの濃度が高まると血栓を生じるリスクが高まる事などを考慮すると、当然の結果のようにも思えてきます。 以前、お話を聞かせていただいた某体育大学の教授によると、エコノミークラス症候群を予防する最も簡単で有効な方法として「貧乏ゆすり」が推奨されていました。乗り物による長時間の移動や同じ姿勢を長く続けるデスクワークを日常とする人で、ステロイド剤を使用している場合は定期的に貧乏ゆすりを行う事が大切となってくるのかもしれません。
2013年04月17日
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以前、パソコンに向かって原稿を書いていて、週末という油断と疲れでそのまま眠ってしまい、座ったまま朝を迎えるという事がありました。何事もなければ風邪をひかなくて良かったと思いうながら、今後、そんな事がないようにと注意するだけで済むのですが、その日は右手に力が入らず、手首がだらりとぶら下がったままになっています。 動かしてみようとしてもまるで力が入らず、手を真っ直ぐ伸ばそうとしても変な方向に曲がってしまうので、何らかの麻痺だとは思えたのですが、原因となる事は何も思い浮かばず、脳の虚血障害とかではないと良いなと思いながら当番で休日の診療を行っている近くの外科へ行く事にしました。 病院では朝起きたら腕が麻痺していた事を説明し、何も思い当たる原因はない事を説明すると、とりあえずという形で握力計を渡され、いわれるままにハンドル部分を握ってみても計測盤の針がまるで動かず、真面目にやりなさいといわれはしないかと心配になってきます。 手の甲の感覚を確認するために数カ所を鋭利な先端の物で突いてみて、動かない指や知覚などの特徴から典型的な週末麻痺だといって笑われてしまいました。 一週間分の疲れが溜まっている週末は、次の日が休みという油断もあって私のように椅子で眠ってしまう人が多く、椅子の角などに神経が圧迫されても起きたり姿勢を変えたりせずに寝ていると、麻痺が起こって私のような状態になるのだと説明され、症状ばかりでなく原因まで典型的だと思えてきます。 私ほどひどい状況ではないにしても腕を頭の下に添えて「腕枕」で眠った後、起きてみると手首に力が入らないという状態になった経験を持つ人は多い事と思います。腕を走っている橈骨(とうこつ)神経が圧迫される事によって起こる麻痺とされ、そのままの名称、「橈骨神経麻痺」と呼ばれています。 橈骨神経は手首を反らしたり、指を伸ばすといった動き、親指から中指にかけての手の甲の部分の触覚や温度変化などを感じる役割を担っています。その橈骨神経が一定期間圧迫された事で麻痺が起こるために、気が付くと手首を支えられないという状態になってしまいます。 基本的な治療は安静にする事と神経の回復を促すビタミンB12の投与、神経の傷みが激しい場合は消炎鎮痛剤の服用となりますが、私の場合も医師に迂闊な居眠りを笑われた後、ビタミン剤の処方のみとなっていました。 橈骨神経の麻痺が起こった場合、まず3分様子を見て回復しないようなら30分。それでも変化が見られないなら3時間、3日、3週間と3の単位で経過を観察すると良いというアドバイスも受けました。 橈骨神経の圧迫が長い期間になると神経線維に変形が生じ、そうなると回復までに多くの時間を要する事にもなるともいわれます。最近、疲れている人が増えたせいか、患者は増加傾向にあるともいわれるので、事前に症状を知っておき、慌てずに対処する事が大切なのかもしれません。
2013年04月16日
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戦国武将の中には謎めいた部分を持つ人は少なくないのですが、その中にあってよく名前を知られていながら明智光秀は特に謎の多い人物のように思えます。 明智光秀は三好三人衆と松永久秀の連合軍によって都を追われ、有力な大名の後押しによって都に返り咲く事を切望する室町幕府第15代将軍の足利義昭と上洛する口実を求めていた織田信長の間を取り持つ者として、歴史の表舞台に登場してきます。 その時、すでに40歳を超えていた光秀ですが、後の有能さを思うとそれまで無名であった事が不思議に思え、典型的なナンバー2的人物で、強力なナンバー1不在の状態ではそれほど実力を発揮できないタイプなのかとも思えてきます。 経歴に関する部分も謎が多く、若狭の刀鍛冶冬広の次男であったという説や美濃の明智郷の住人であったとする説、斎藤道三の息子である義龍によって攻め滅ぼされた土岐明智氏の出であるという見方もされています。 表舞台に登場した段階ですでに茶の湯のい作法を身に付け、和歌や連歌にも精通するという高い教養を持っていた事や、当時の最新兵器である鉄砲の腕前もかなりのものであったとされるなど、一介の無名の武人とは思えない側面を持っています。 諸国を放浪したとされる事から、放浪中にさまざまな事を見に付けていったと考える事ができるのですが、放浪中の様子を伝える話は残されておらず、唯一、汁講の逸話だけが残されています。 汁講とは当時流行したホームパーティーのようなもので、参加者は弁当箱にご飯だけを詰めて持参し、もてなす側の主人は味噌汁を作って鍋ごと参加者に振舞い、皆で味噌汁を食べながら談笑するという催しなのですが、当時の武士たちには諸国の情報を共有したり兵法に関する議論を行ったりと、情報交換の重要な場ともなっていました。 丸岡にいた光秀も現地の武士たちと交流めながら汁講に参加していたのですが、持ち回りの主人役が回ってきてしまい、諸国を放浪中でありその日の食事にも窮していた光秀は頭を抱えてしまいます。しかし、当日を迎えると誰よりも立派と評されるほどの料理を用意し、無事に汁講主人の役を果たします。 余裕がないはずの我家で、どのようにしてこれだけの食材を工面できたのだと問い掛ける光秀に妻はにっこりと微笑んで被っていた手拭いを取ると、長くて綺麗だった妻の髪が短く切られていて、食材を買うために髪を売った事が判り、光秀は大いに感謝したと伝えられています。 この逸話は陰で夫を支える妻の美談として広く知られる事となり、松尾芭蕉も「月さびよ 明智が妻の 咄せん」と歌を詠んでいるほどなのですが、生涯に2度結婚している光秀の先妻の事なのか後妻の事なのかが判っておらず、いまだに謎のままとなっています。 動機が謎に包まれたままの本能寺の変や山崎の合戦後の生存説など、何かにつけ謎の多い人物であり、生涯、側室を持たずに愛し続けたとされる妻の煕子(ひろこ)の「光秀よりも先に病死した」、「山崎の合戦後、落城する坂本城と運命を共にした」という死亡時期も合わせ、謎だらけとなっています。
2013年04月15日
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ビタミン剤を摂取しなければならない場合、何を選びますかと聞かれるとビタミンCを選択します。ビタミンCは水に溶けやすく壊れやすいため、食材の鮮度や調理方法によっては失われやすく、日常的に不足しがちなビタミンであると考えられるためで、摂り過ぎても問題がないとされる事も安心感に繋がっています。 比較的不安定で光や熱によっても分解してしまうビタミンCは、ストレスを感じた際、ストレスに対抗するために分泌される抗ストレス物質である副腎皮質ホルモンの生成に多く使われる事から、高ストレス社会といわれる現代には不足する事が避けられないビタミンのようにも思え、サプリメントによって補う必要性も感じられます。 ビタミンCは小腸での吸収に限界があり、組織や臓器における飽和度にも限度がある事や、水溶性で利用されない分はすぐに排出されてしまう事から過剰症はないと考えられています。ごく稀に空腹時に大量のビタミンCを一度に摂ると、ビタミンC自体が酸として働いてしまい、腸の蠕動運動を促してお腹が緩くなるという可能性はあるとされますが、空腹時に純度が高いビタミンCを大量に摂るという限定的な条件下での事となっています。 不足しがちなものである事や過剰症がないとされる事、ストレスにさらされると多量に消費される事、抗酸化物質としても作用する事を考えると、日常的に多量に摂取しておく事が大切なように思えるのですが、単純な考えの下にビタミンCの大量摂取を行う事のリスクに関する報告が行われていました。 スウェーデンのカロリンスカ研究所において腎臓結石の既往歴のない男性約2400人を対象に11年に渡って追跡調査を行ったところ、サプリメントによってビタミンCを1日に1000mg以上摂取していた人は、全く摂取していなかった人に比べ、腎臓結石になるリスクが2倍ほど高い事が判ったとされています。 ビタミンCの大量摂取が結石を生じさせるメカニズムについては今後の研究を待つ事となりますが、ビタミンCの1日当たりの摂取目安は100mgという事を考えると、1000mgは甚だしく摂り過ぎと思えてきます。しかし、サプリメントの中には高含有を特徴としていて、無意識のうちに大量摂取になってしまっている事も考えられます。栄養素の摂り方については、充分な注意が必要という事を教えてくれる研究結果ともいえると思えてきます。
2013年04月12日
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以前、ロサンゼルスのレストランで食事をしていた際、近くのテーブルに仲の良さそうな二家族が食事をしながら談笑していたのですが、食事を終えると一人の男性が席を立って外へ出て行き、奥さんが「彼はタバコを吸いに行った」と他の人たちに話していました。 そういえば少し前にカリフォルニア州では、建物の中での喫煙が全面的に禁止になったというニュースを聞かされていた事を思い出し、それがこのような場面に繋がるのだと考えてしまった事が思い出されます。 それから時は流れ、米国では50州の全米の州のうち29州で喫煙習慣を理由に喫煙を見送る事を禁止しています。見方を変えると21の州では喫煙習慣を理由に雇用を見送る事ができ、また29の州でもあえて禁止しなければならないほど喫煙の習慣が雇用を見送る要因の一つとなっていたという事ができます。 何かと合理的な国民性もあり、喫煙者を雇用しない理由について、医療保険料の増加や生産性の低下などにより、喫煙の習慣がない者と比べて一人当たり年間4000ドルほどのコスト増が見込まれるためとされ、年間40万円ほどという数値的な事まで提示されると何となく納得させられるものがあり、健康と直接関連性がない業種においても喫煙者の雇用が控えられているという実情も仕方のない事のように思えてきます。 喫煙はニコチンという化学物質への依存症であり、喫煙者の7割近くが禁煙を望みながら成功する者は5%にも満たないとされ、習慣化した喫煙は個人の力ではコントロールする事が難しい状態にあるとされる事や、喫煙者の多くが低所得層に属している事から喫煙習慣を理由に雇用の機会を低下させてしまう事は、社会的な弱者をさらに苦境へ追い込む事に繋がるという意見もあり、今後、複雑な問題となってくる事も予想されます。 かつて社会が喫煙に非常に寛容だった頃、喫煙者は雇用しないと決めていた経営者にその理由を尋ねた事があります。答えとして返ってきたのは、「喫煙者は、仕事中は禁煙という条件を提示するときちんとその条件を守ってくれ、仕事時間中は禁煙してくれます。しかし、その間、ずっと何かを我慢している状態が続く事となり、それが精神的に良い状態とは思えないから」というものでした。 依存症の克服の難しさは社会的にも知られるようになってきている事もあり、今後、社会への参加を通した克服プログラムの普及が進む事を願いたいと思ってしまいます。
2013年04月11日
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根菜類や海藻にキノコ、好きな食べ物に食物繊維が多く含まれている事から、日頃の食生活で食物繊維の過不足はどうなっているのだろうとふと考えてしまいます。かつては栄養的な価値はないといわれていた食物繊維も、その後の研究で健康を守る働きの多さから、今日、不足が懸念される栄養素の一つとしていわれるほどになっています。 以前は食物繊維を多く摂る事で腸内にできるポリープを削り取り、将来的にガン化する事を未然に防ぐといttいわれ方をした事もありましたが、現在はその考え方については否定されていても食物繊維の健康効果は重要視されています。 これまで単体の研究で食物繊維が健康の維持に大きく関わっている事を示す報告は行われてきていましたが、さまざまな研究を包括的に検討する「メタ解析」の手法は採られていなかった事から、より信頼性の高い研究結果としての結論は得られていませんでした。 先日行われた食物繊維と脳卒中に関するメタ解析では、食物繊維の摂取量が多いほど脳卒中のリスクが低下し、一日当たりの摂取量を7グラムほど増やすごとに7%程度のリスク低下が見られたとされ、食物繊維の健康効果を裏付ける形となっています。 今回の報告は米国、日本、フィンランド、スウェーデン、オーストラリアの各研究機関で行われた一定以上の条件を満たす研究を対象に行われたメタ解析の結果として発表されていますが、各研究の方法や結果などに大きなばらつきが見られるため、解析結果としては若干の疑問が残るという指摘もあり、すぐに学術的な裏付けを得た事にはならないともいわれますが、食物繊維を多く摂る事で消化器官内での脂質の再吸収を防いだり、腸内細菌の状態を整える事は、健康に対して大きく貢献すると考える事ができます。 水に溶ける水溶性食物繊維と溶けない不溶性食物繊維についても研究の量が充分ではないとされ、明確な結論が得られていない事から、今後の研究が待たれるようになっています。柔らかい食感の物が好まれる昨今、食物繊維の存在がさらに注目される機運が高まってきたようにも思えます。
2013年04月10日
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スポーツを観戦するという事はほとんどなく、唯一、バイクのレースの最高峰クラスのみ観ています。レースが観たいという訳でもなく、レース用のバイクが好きという事でもなく、一人の選手の活躍が観たいだけという事から、その選手がリタイアしてしまうとその時点で観戦を止めてしまう事もあります。 先日、その選手がプラクティス中に激しい転倒を起こし、大腿骨の開放骨折という大怪我を負うという事故がありました。シーズンはまだ3分の1ほどしか経過していないのですが、怪我の程度からシーズン中の復帰は不可能とまでいわれ、シーズン中に復帰できたとしても最終戦に参加するくらいといわれていました。 それが一か月ほどでサーキットに姿を見せ、復帰第一戦こそ怪我の影響が感じられましたが、その後は驚異的といえる回復を見せ、シーズンの後半を走る姿を観る事ができました。そうした驚くほどの回復の裏には最新の超音波を使った骨折治療があるといわれ、最近、注目を集める事となってきています。 超音波を用いた治療法は「超音波パルス療法」と呼ばれ、スポーツ選手の骨折治療に用いられてその治りの早さが知られるようになっています。 超音波パルス療法は骨折した箇所を手術などで修復し、固定した後で骨折部分に超音波を毎日照射して骨の接合を促します。超音波の照射自体はこれまで超音波診断などで用いられてきたものと周波数的には同じものとされますが、超音波診断機が途切れなく超音波を照射し続ける事に対し、骨折治療には断続的なパルス波として照射されるという違いがあります。 毎日の照射が必要となりますが、照射時間は1日1回20分程度とされ、手軽で負担が少ない少ない割には骨を作る細胞が超音波の刺激を受ける事によって、骨が作られる過程が早められるという大きな効果を上げる事ができるとされています。 超音波パルス療法はパルス波というメカニカルストレスを逆手に取ったもので、細かなメカニズムが判ってきたのは最近の事ですが、完治するまでの時間が早くなる事に加え、副作用がない事や治療期間が短い事でその間の筋力の衰えも少なくしてリハビリを軽減させるなどの効果も考えられ、今後、普及する事が望まれる治療法となっています。骨折には縁がない身ですが、万が一の時にはお願いしたいと思ってしまいます。
2013年04月09日
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いつも時間を作って猫と遊ぶようにしていて、幼少の頃に弟妹と離れ、それ以降、他の猫との接触がない事からじゃれて遊ぶという事ができないという事が可哀想に思えて、その役を担当するようにしています。そうして育ったためか私にだけは遠慮する必要がないと思っているらしく、遊びを通してそれなりにダメージを受けてしまう事があるのですが、それも安心して遊んでもらえるという信頼の証しかと思い、生傷が絶えない日々が続いています。 成長したお陰で子猫の頃のような爪や牙が小さくて鋭いという事はなくなったのですが、切ってあげていたと思っていた爪が思いの外、鋭く研いである事があり、何かべたつきを感じて見てみると血が出ているという事も少なくありません。 昔からなので体質的な部分も大きいとは思うのですが、血が出ると固まりにくく、なかなか血が止まらなくて困ってしまう事があります。生まれ付いての貧血なので、血を固める成分を含む赤血球が少ない事に由来するのかと思い、それほど気にしていないのですが、最近、血が固まりにくくなったと感じる事があればビタミンKの不足を疑ってみる必要があります。 ビタミン類は健康や生命の維持に欠かす事ができず、体内では合成できない事から食べ物から補う必要があり、欠乏した際の弊害としては大航海時代に命に関わる病として怖れられたビタミンCの欠乏症である「壊血病」、骨が変形するビタミンDの「くる病」、暗いところで物が見えなくなるビタミンAの「夜盲症」などが知られています。 ビタミンKの欠乏症はあまり意識される事はありませんが、ビタミンKが血液を凝固させる事に関連している事から、血が固まりにくくなるという形で表れてきます。そうした顕著な症状が出ない状態でも実際には欠乏しているという事があり、「潜在性ビタミン欠乏」と呼ばれる事があります。 ビタミンKの働きは血液の凝固に限らず骨に働き掛けて骨の健康を守るという物があり、骨粗鬆症の治療に使われる事もあります。しかし、血液を固まりにくくして血栓ができないようにしたり、血液をサラサラの状態にするためにワーファリンなどの薬剤を服用している人が多く、ワーファリンの働きに逆行する作用となる事からビタミンKを含む食品を食べないようにする話の方を多く聞かされます。 そのためビタミンKの欠乏症もあまり悪くないように思えてくるのですが、ビタミンKの欠乏は思わぬところに弊害が出る事が知られるようになってきています。 5年の間隔を置いて膝関節のレントゲンとMRI(磁気共鳴画像)の検査を行い、それに血液中のビタミンKの濃度を測定した結果と合わせて検討すると、ビタミンKが欠乏している状態と判断できる人はそうでない人に比べ1.56倍も変形性膝関節症と診断されるリスクが高い事が判っています。 軟骨の下の骨が硬くなる軟骨病変のリスクも2.39倍も高まる事も観察されており、ビタミンKの欠乏症状が顕在化していない潜在性ビタミン欠乏でも同じリスクが見られた事から、医師来る事の少ないビタミンKの欠乏が意外な影響を与える事が伺えます。 制限するよう指導されている場合を除き、海藻やほうれん草、納豆など、食べる機会が減ってきていたら注意が必要なのかもしれません。
2013年04月08日
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その存在を知ってからは随分と時間が経ち、その姿や名前にはどこか昭和を感じさせる懐かしさと温かさを感じながら、食べた機会といわれるとそれほどでもない、私にとってメンチカツとはそのような存在となっています。 基本的には牛肉と豚肉の合挽き肉とみじん切りにしたタマネギを練り合わせ、塩、コショウなどで味を着けた後、小判形に成型して小麦粉、卵、パン粉といったフライ物の衣を付けて油で揚げるのですが、途中までの工程が同じハンバーグよりも衣を付けて油で揚げる分、手が掛かっている料理のようにも思えます。 しかし、実際はというとハンバーグの方が高級イメージがあり、メニューに記載される価格帯もハンバーグの方が高価になっています。ハンバーグは添えられるソースに手間が掛かっている事やシンプルな分、肉質が問われるから高価になってしまうとも思えるのですが、それだけメンチカツが庶民的な存在であるという事もできます。 メンチカツは日本生まれの洋食で、日本独自の料理となっています。明治時代に浅草の洋食店で発売されたのが起源とされ、当初は「ミンスミートカツレル」の名前で供されていたともいわれます。 ミンスは挽き肉の意味でミートも肉、カツレツは肉類などを揚げ焼きにした料理を指しますが、語源はフランス語である事をを考えると何とも不思議な造語のようにも思えてきます。 また、昭和に入ってから神戸の三ッ輪屋精肉店の二代目が東京の洋食店で食べた料理をヒントに考案した「メンチボール」が起源という説もあり、ミンスがメンチとなったのかボールがカツになったのかとどちらが正しいのか考えてしまいます。 昔から馴染んできたメンチカツの名称ですが、関西地方では「ミンチカツ」と呼ぶと聞かされ、メンチカツの方がどことなく関西的な雰囲気を持っていただけに意外に思えた事があります。 近畿地方を中心に睨み付ける事を「メンチを切る」という方言があるためとか、挽き肉をミンチと呼ぶ事が定着しているためともいわれ、ミンチカツの方が本来の意味を成しているようにも思えてきます。 これまであまり縁がなかったというか、メニューに記載されていても選択する事がまずなかったメンチカツですが、このところ何故か食べる機会が増えていました。中にはこのところの弁当や総菜の激安化を受けて、明らかにコストダウンを励んだ後が見受けられる物もあり、挽き肉の比率を下げない事には原価を下げにくい事から、苦肉の策として増量材としかいえない素材を含む物があり、ジャガイモを多く入れられたメンチカツはもはやコロッケと呼ぶべきなのではと苦笑してしまった事が強烈な印象として残されています。
2013年04月05日
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当地、熊本の名物料理「太平燕(たいぴーえん)」は、春雨を使ったヘルシーな料理として全国的に知られる事となりましたが、春雨を使った理由は食物繊維が豊富で低カロリーという事ではなく、高価なツバメの巣のスープを気軽に食べられる料理にしたいと考え、ツバメの巣を質感が似ている春雨に置き換えたためといわれます。 中華料理で使われる高級食材のツバメの巣はアナツバメが海に面した断崖の上に作る巣で、親鳥の唾液成分が主となって作られています。古くから健康の維持や若さを保つ事にも有効とされ、美人で知られた楊貴妃も美貌を保つために好んで食したともいわれます。 健康に良いとされながらあまり有効成分については語られる事のなかったツバメの巣ですが、最近の研究で「シアル酸」を多く含んでいる事が知られるようになってきています。 シアル酸の存在が知られ、抽出されるようになったのは1940年頃とされ、唾液腺から発見された事から唾液にちなんで「シアル酸」の名前が付けられています。唾液や唾液腺だけではなく細胞内や母乳、牛乳、卵黄などにも多く含まれていて、最も多く含む食べ物としてツバメの巣が上げられています。 シアル酸はインフルエンザなどのウィルスが細胞内に侵入する際に用いるノイラミニダーゼという酵素に結合し、無効化させて観戦できなくする働きがあるとされ、免疫系の活性自体を高める働きも期待されています。 また、コラーゲンなどを必要な個所に誘導する働きや細胞の保水力を高めて美肌効果を発揮してくれる事や、育毛効果などもいわれてきていて、健康で若々しさを保つ事に力を発揮してくれるものであるといえます。 良い事は判っていてもツバメの巣はあまりに高価と思えてくるのですが、ツバメの巣に次いで含有量が多い食材として卵黄の横で卵黄が一定の位置に保たれているように支える物、カラザの存在を上げる事ができます。 卵を調理する際、不要な物として取り除かれてしまうカラザですが、これからは若さと健康を保つ物として大切にいただく物として見た方が良いのかもしれません。
2013年04月04日
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白と褐色は全く異なる色となっているのですが、脂肪細胞には白い色をした「白色脂肪細胞」と褐色の「褐色脂肪細胞」が存在するとされます。白色脂肪細胞は余分となったカロリーを脂肪として蓄える働きを持つ事に対し、褐色脂肪細胞は貯め込んだカロリーを燃焼させる役割を持つとされ、栄養過多な昨今では褐色脂肪細胞の働きが重要視される事となっています。 俗に「肥りにくい体質」といういい方をされる事がありますが、褐色脂肪細胞が多い、もしくは活性が高いと基礎代謝量が高くなり、肥りにくい体質となる事がいわれています。 近年、さまざまな病気の原因となるとしてメタボリックシンドロームがいわれるようになってきていますが、筋肉量の減少と内臓脂肪の増加という低代謝化が大きく影響していると考えられ、その解決には褐色脂肪細胞が深く関わってくるという事ができます。 しかし、褐色脂肪細胞は成長と共に数が減ってしまう事が知られ、成人では乳幼児の半分ほどにも減少してしまうともいわれます。減少した褐色脂肪細胞の代わりを果たすのが白色脂肪細胞が変化して褐色脂肪細胞のような働きをする「ベージュ脂肪細胞とされ、注目を集めるようになってきています。 白色脂肪細胞をベージュ脂肪細胞へと変化させる最も簡単な方法は寒さを感じる事とされ、白色脂肪細胞の活性が高く、褐色脂肪細胞の活性が低い人に室温17度の部屋で軽装で2時間ほど過ごすという生活を6週間続けてもらう事で体脂肪の減少、白色脂肪細胞のベージュ脂肪細胞化も確認されています。 寒い環境に身を置く事は代謝が低下して痩せにくくなるように思えますが、カロリーを燃焼しやすくして体温を一定に保つという体の働きを考えると納得できるものがあります。有効な手法として書物化すると「寒さダイエット」として登場するのかもしれないと思えてきます。
2013年04月03日
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一時期、毎日のようにその名前を聞かされていた環境ホルモン。そしてその代表格の一つでもあった「ビスフェノールA」の名を聞かなくなって、随分な時間が経過したようにも思えます。あれほど未来に対して暗い影を落とすものとしていわれていたのは、今から見ると何だったのだろうかとも思えてきます。 ビスフェノールAは、主にポリカーボネートやエポキシ樹脂などのプラスティック製品の原料として使われ、頑丈で透明度が高いポリカーボネート、多用途で安定性が高いエポキシ樹脂の普及が進んでいる事から、意外なほど身近な存在という事もできます。 1891年にロシアの化学者ディアニンによって初めて合成され、1930年頃には女性ホルモンの一種であるエストロゲンの合成品としての研究が進められていました。ジエチルステルベストロールの方がエストロゲンとしては強力に作用する事が発見された事から、ビスフェノールAをエストロゲンの代替品とする試みは頓挫してしまいますが、ビスフェノールAの女性ホルモン様の作用は後に環境ホルモンとして注目される事となります。 ビスフェノールAを原料としたポリカーボネートやエポキシ樹脂などの合成樹脂において、洗剤で洗浄したり酸性の液体に触れた際、高温の液体に接触した場合などにビスフェノールAは溶出してくる事が知られています。 缶詰の金属部分を酸性の中身による不織から守るために、内側をコーティングするという防腐処理が施されていますが、そのコート剤にエポキシ樹脂が使われている事は人がビスフェノールAに触れる機会を増やしているとされます。 ビスフェノールAの危険性をより強く感じさせた背景には、有名なフォム・サールによる「低用量仮説」の存在があったという事ができます。低用量仮説とは、従来考えられていた作用しないはずの用量よりもはるかに少ない濃度でのみ毒性を生じるというもので、従来の薬理学に矛盾するものとして大きな議論となっていました。 その後の研究でビスフェノールAの低用量仮説は否定される事となり、その事があまり名前を聞かなくなった原因かと思えるのですが、最近になってまた名前を聞く事になるような研究結果が報告されています。 缶詰のコート剤に使われる事もあり、缶詰のスープを飲用した人と調理されたスープ飲用した人で歯を20倍もの摂取量の違いが生じる事が知られていますが、ビスフェノールAの尿中濃度が高い小児に喘鳴(ぜいめい)が多くなる傾向がある事が知られるようになり、ビスフェノールAが小児喘息の引き金となっている可能性が示唆されています。 世界的にビスフェノールAを有害物質として指定しているのはカナダのみとなっている事から、ビスフェノールAにアレルギー性の炎症を助長する働きがある場合、問題は広範囲に拡大する事が考えられ、今後の展開を注視しておかなければならない問題がまた一つ増えたように思えています。
2013年04月02日
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今年は例年になく暖かい春となり、早々に桜が満開の時を迎えてしまいました。各地で予定していたイベントの日程が間に合わないという声が聞かれ、南阿蘇も毎年開かれる桜祭りの頃には葉桜となっているものと思われます。 それでも日程を決め、村の行事として予算も計上している事から祭りは実行され、花もないのに桜祭りという不評を受ける事になるのかと、行われる前から少々気の毒になっています。 今では花見といえば桜の花を愛でる事となっていますが、当初は桜ではなく梅の花が愛でられていました。宴を伴う行事としての花見の始まりは奈良時代にまで遡るとされ、当時、中国からもたらされたばかりの梅の花を愛でる会となっていました。 その事を裏付けるように万葉集に収められている歌のうち桜を詠んだものは40首ほどである事に対し、梅について詠んだものは100首と多くなっていますが、後の時代に編纂された古今和歌集ではその数が逆転し、同時に花というと桜の花を指すようになっている事が伺えます。 徒然草にも片田舎の花見に関する記載があり、鎌倉時代の末期から室町時代には中央の公家だけの催しではなく、地方都市にも広く花見が普及していた事が判り、江戸時代に入ると庶民の行楽として定着する事となります。 花見や開花宣言となると桜の代表としてソメイヨシノに注目が集まります。植えられた地域の気候に左右されますが、同じ地域や気候帯に植えられたソメイヨシノはほぼ一斉に開花する事が知られ、その理由としてソメイヨシノが種によって増えた家族ではなく、接ぎ木によって増えたクローンであるという事ができます。 また、クローンである事から全国的に一斉に寿命を迎えつつあるともいわれ、場所によっては他の品種の桜に植え替えるなどの措置が採られ、その際、品種の違いによっては花の時期がずれてしまう事もあり、花見が行える時期を長くしているともいわれます。 桜の魅力の一つに、さっと潔く散ってしまう儚さを上げる事があります。人の手によって全国に植えられたソメイヨシノが一斉に寿命を迎えてしまう。そんな儚さを思うと、残り少ない花見の機会を逃さないようにとも思えてきます。
2013年04月01日
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