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初めてその素材と出会ったのは、新手のダイエットグッズとしてインドから持ち込まれた際の事でした。海外から聞き覚えのない植物を持ち込み、現地では肥った人がいないとか、生活習慣病に悩まされる人がとても少ないので、生活習慣を調べてみて発見されたという筋立てで新発売の健康食品を売り込むという手法が終焉を迎えてきていた時期で、あまり興味を持てなかった事が思い出されます。 その素材の名前は「サラシア」で、糖分の吸収を阻害してダイエットに有効な成分を含んでいるとの事でした。体内での糖分の吸収阻害はすぐに体感する事は難しいとは思うのですが、サラシアの面白いところは事前にサラシア茶を飲んでおくと糖分の存在が感じられなくなるという事で、うっかり食前に飲んでいつもと明らかに違う料理の味に驚かされた事があります。 その後、単純に海外産の珍しい素材というだけでなく、その素材が製品化されるに至った物語などが販売の重要なカギを握るようになると、サラシアは古くからインドの王族の間で愛用されていて、サラシアの木で作った容器で飲み物を飲み、サラシアの有効性を利用していたという話と共に木製のゴブレットの映像が見られるようになったり、最古の医学書でもあるアーユルヴェーダにもその有効性と重要さが書かれているといわれるようになってきました。 アーユルヴェーダにはサラシアの効能がいろいろと書かれているのですが、最も重要な働きとして糖尿病の治療が書かれており、現代の科学でもその効能の正しさが裏付けられています。 体内に入った糖分は消化酵素によって分解され、糖の分子が二つで構成される二糖の状態になります。体内に吸収されるには、さらにそれを小腸の表面にある酵素を使って分割し、単糖にしてから吸収されています。 サラシアに含まれるサラシノールやコタラノールといった成分は、二糖が分解される事を阻害して単糖の生成を抑え、体内に吸収させないようにする事から血糖値の上昇抑制に働き掛けて糖尿病を緩和させるとされます。 また、小腸で分解されずに大腸へと向かった二糖は、大腸内で善玉の腸内細菌のエサとなり、腸内細菌の状態を改善する事で体質を改善したり、免疫力を高めたりする働きがあるとされ、アーユルヴェーダの中でも重要とされた理由が解るように思えます。 最近になって肥満は血糖値の急激な上昇と、血糖値を安定させるために血糖が脂肪細胞へと取り込まれ、脂肪細胞を成長させてしまう事が原因といわれるようになり、血糖値をいかに上昇させないかがダイエットにおける重要事項となってきていて、サラシアの出番のように思えます。ずいぶんと時が経ってしまいましたが、また主役に返り咲いたという感じがしています。
2014年08月29日
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先日、生ハムに関するセミナーに出席させていただいた際、0.5mmと0.3mmの厚さに切り分けられた生ハムを試食し、0.2mmという僅かな違いなのに薄い方が風味をしっかり感じる事ができ、ふんわりとした食感と合せて美味しいと思えました。 その0.3mmの生ハムでマスカルポーネチーズを包んで食べてみるように促され、試してみると生ハムの風味と塩味、マスカルポーネのほんのりとした甘味と滑らかな食感が一体となり、それまで生ハムは前菜、マスカルポーネはお菓子の材料としか思えず、別々の世界の物と思っていた事がとても残念に思えて、イタリアの食文化の奥深さを感じる事ができました。 マスカルポーネはティラミスのブームの際に材料として紹介され、一気に知名度が高まりました。1970年代にチーズケーキが紹介された際のクリームチーズ、1990年代のティラミスによるマスカルポーネと、日本は二度のクリームチーズブームを経験する事となりましたが、新顔となったマスカルポーネは意外にも最も歴史が古いクリームチーズとされています。 もともとはロンバルディア地方の冬の特産品として作られていたそうですが、乳脂肪分が80%と非常に高く、その事がバターと生クリームを彷彿とさせる滑らかな食感やコク、ほんのりとした甘味に繋がっています。 熟成させない事から酸味や塩味がほとんどないため、そうした特徴を活かして濃厚な味わいの青カビタイプのチーズと混ぜたり、果物と一緒に食べたり、意外なところではエスプレッソコーヒーに浮かべたりという利用法がされていて、チーズという枠を少しはみ出した感じのレシピも存在しています。 マスカルポーネの名前の由来は、一説にはスペインの総督がイタリアを訪れ、マスカルポーネを食べて「何と素晴らしい」と絶賛した事が元になっているといわれ、12世紀の事とされます。12世紀というとヌーシャテルチーズの100年戦争よりも遥かに古い時代となり、クリームチーズとはどこまで時代を遡るのだろうと途方もなく思えてきて、いつの日か答えを見付けなければと思えてきます。
2014年08月28日
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クリームチーズの歴史は1872年、アメリカの小さな乳製品製造業者によって開発され、スタートしたとされます。これまでにない風味を持つチーズとして発明され、当初は品質が安定せずに大きな普及には繋がっていませんでしたが、技術力のある大手メーカーに開発者の乳製品製造会社が吸収された事で品質が向上し、大手メーカーと家政学者との共同研究によるレシピの開発によって一気に普及する事となっています。 ヌーシャテルチーズのハート形に関する言い伝えが実際の事とすると、100年戦争の終結はボルドー陥落の1453年の10月19日となり、終戦によって本国へと撤退するイギリス兵にフランス人の娘がプレゼントしたとしても419年もの時間の隔たりが、同じ製法で作られるチーズの間に存在する事となります。 クリームチーズがアメリカ発祥ではなく、すでに製法としてはヌーシャテルチーズのように100年戦争当時から確立されていたとすると、1616年に没したシェークスピアの好物であったという説にも信憑性が出てきます。 アメリカにおいてクリームチーズが初めて作られたのが1872年とすると、それだけでも充分に古い歴史を持つ食べ物と思えるのですが、クリームチーズが歴史の浅い新しい食べ物と感じられる理由は、日本に紹介され、チーズケーキのブームと共に普及したのが1970年代と最近である事や、水分が多く、冷蔵を流通の前提とした製品であるという印象を受ける事にあると思えます。 クリームチーズの代表的なレシピであるチーズケーキの歴史を見てみると、紀元前776年の古代ギリシャにまで遡ってしまい、第一回オリンピックのアスリート用の食がルーツとなり、非常に古い歴史を持つものとなります。しかし、当時、食べられていたチーズケーキは現在のものとはかなり趣が異なり、原材料もクリームチーズではないチーズが使われています。 古代ギリシャの文化を引き継ぎ、発展させたのがローマ人で、古代ローマは領土の拡張に合わせてそうした文化を近隣諸国へと伝えていき、チーズケーキもローマ人によってヨーロッパへともたらされています。 そうしてチーズケーキはヨーロッパへと伝わり、中世のポーランドで今日のものに近いセルニックと呼ばれるチーズケーキが誕生しています。セルニックはトゥファルクと呼ばれる生乳を発酵させて酸味を持たせたチーズを使って作られ、ポドハレ地方の郷土食となりました。 ポドハレ地方の近郊では人類最古のチーズが発見されており、それまで中東や地中海周辺と考えられていたチーズ発祥の地という定説が覆されており、チーズの製造や利用の最も古い歴史を持つ地域という事ができます。 アメリカにおいてクリームチーズが生まれた背景には、本場のヌーシャテルチーズを再現しようとしてできた、移住が進んでいたチーズ作りに長けたポーランド移民が関わっていたという可能性を感じる事ができ、クリームチーズという製品はアメリカで作られましたが、クリームチーズに分類されるチーズはそのはるか以前に各地で作られていたように思えてきます。
2014年08月27日
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以前行き付けだったスーパーは、一時期だけチーズの品揃えがとても充実していて、しかも手頃な小分け品が多く用意されていた事から、プロセスチーズで育った身としては、一気に世界の食文化に触れられたような気がして、眺めているだけでもとても楽しい気分になれていました。 そんなチーズ売り場に、明らかに天然の色ではなさそうな気になる褐色のチーズがありました。四角く切り分けられた小片は、厚手のビニールパックが施されていて、触れた感じではクリームチーズの仲間のようなのですが、色合いはチョコレートのようで、ミルク分を多くして少し色が薄めになったチョコレートという印象でした。 ある日、気になって購入し、試食してみると、まるでケーキのような味わいで、クリームチーズにカカオ分と糖分を加えて作られた物という感じがします。ラベルには「ヌーシャテルチーズ」と書かれていたので、フランスやベルギーなどのチョコ作りが盛んな地域で伝統的に作られてきたのだろうと勝手な解釈をしていたのですが、後に本来のヌーシャテルチーズとはまったく異なる物である事を知りました。 ヌーシャテルチーズはフランスのノルマンディ地方で伝統的に作られてきたチーズで、世界的にはハート形のチーズとして知られています。100年戦争の際にイギリス軍の兵士に恋をしたフランス人の若い女性が贈ったという言い伝えが残されていて、今日でもその形状からバレンタインデーの贈り物として使われる事もあります。 表面に白カビの被膜を持つ事から、熟成が進むとクセが強くなる傾向がありますが、通常は製造の際に発酵させない事からクセが少なく、塩分が多めなのでパンやワインと一緒にいただくといわれ、私が出会ったチョコ風味の甘い味とは程遠い物である事が判ります。 ヌーシャテルチーズはハート形がよく知られていますが、それ以外の形もあり、円筒形や四角形、長方形などがあり、重さによって形が変わるという面白い決まりがあります。ハート形の物には200gと600gがあり、小さいハートは200g、大きいハートは600gと外見だけでサイズを判断する事ができます。 タイプ的には白カビのチーズではあるのですが、他の白カビのチーズとは違いクリームチーズと同じ手法で作られているのでクセが少ない素直な味が特徴とされ、後に知る事となったのですが、私が最初に食べた物はヌーシャテルの名前が付いてはいますが「ヌーシャテルチョコレート」と呼ばれる物で、ヌーシャテルチーズとは別物である事が判りました。 製法についてクリームチーズと同じとされる事や、白カビの部分を剥がすと酷似している事などを見ていると、チーズとチョコレートといったヌーシャテル違いは解決されたのですが、新たな謎へと引き込まれて行ってしまいます。
2014年08月26日
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沖縄料理の代表格でもあるチャンプルーは、さまざまな素材を上手に採り込んで一つの完成した料理に仕上げるという特徴を持った炒め物です。沖縄料理には揚げ物も多く、豚は鳴声以外はすべて食べるといわれるほど豚肉を無駄なく工夫して食べてきています。 調味料の一環として豚の脂を入れた壺が食卓には常備され、そのせいもあって1980年代の前半には一日の一人当りの脂質摂取量が全国平均の10%近くも多く、脂質の摂取過多が肥満を引き起こし、生活習慣病を招くと考えられた当時は問題視されたりもしました。 食の和食化によって動物性タンパク質、脂質の摂取量の減少、食物繊維の摂取量の増加によって見られたのは、働き盛りの世代の脳卒中の増加という深刻なもので、沖縄の長寿の郷としての評価を一変させるものとなりました。 沖縄で起こっていた事、それは体の組織を作り、修復する材料となる動物性タンパク質と脂質の減少、更に食物繊維の摂取による組織の柔軟性の確保に必要なコレステロールの吸収の阻害と血中量の減少などによって血管の柔軟性が失われて細くなり、破損しやすい状態を作り出してしまうという結果でした。 そのため今、沖縄では肉を積極的に食べようという健康法が提唱されてきています。体の組織を修復する材料となる動物性タンパク質を積極的に摂取する事で、丈夫で健康的な体を作り出すという考え方では肉や卵、チーズといった食品が推奨され、時間を掛けて食べる事ができ、体を修復する成長ホルモンが睡眠中に分泌される事から、夕食での肉食が最適とされています。 肉食や油脂を上手に食文化に採り入れてきた沖縄ならではという感じもするのですが、最近の肥満は炭水化物によって作り出され、過剰に摂取した脂質は排出されるのみというダイエット理論にも繋がる部分があり、実践してみる価値はあるのかもしれないと思えてきます。
2014年08月25日
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かつて長寿の郷というと、真っ先に沖縄が思い浮かんできました。南の海に囲まれ、暖かな気候と大らかな気質は長寿を実現するには理想的な環境のように感じられます。しかし、今では長寿の日本一は長野に奪われてしまい、平均寿命という点では大きく後退してしまっています。 沖縄について以前、聞かされたところでは、ファミリーレストランのチェーン店が開店した頃から平均寿命が低下し始めたそうで、健康問題について盛んにいわれる食の欧米化が影響したようにも思えます。 魚食を中心とした和食から肉食を中心とした欧米の食へと変化した事が生活習慣病の蔓延に繋がり、世界的にヘルシーな食として評価される和食を中心とした食生活へと回帰する事が健康長寿を確保する秘訣であるという事が裏付けられたように感じられるのですが、沖縄に関してはそうではないという事がいわれています。 もともと沖縄では仏教による肉食をタブーとする食文化の浸透が少なく、豚肉を中心とした食文化が根付いていました。第二次世界大戦後はアメリカの占領下に置かれた事から、食の欧米化も進んだ状態となっていて、関税の関係から安価に流通した牛肉の普及も進んでいました。 本土復帰後、沖縄で起こったのは食の欧米化ではなく食の和食化であり、その頃を境に平均寿命の低下が始まったともいわれ、食肉の消費量の低下とも符合するという意見も出されています。 また、日中の気温が高温になる事や交通機関の整備の遅れ。アメリカの影響によるモータリゼーションなどから移動に自家用車が使われる事が多く、運動不足の傾向からメタボリックシンドロームの比率が比較的高いという傾向があり、平均寿命の低下が意識されるようになってからメタボリックシンドローム対策が本格的に採られるようになっています。 その結果、動物性タンパク質と脂質の摂取量の低下、食物繊維の摂取量の増加が見られ、沖縄の平均寿命の低下は抑制される方向へと向かう事が考えられました。ところが実際に起こったのは働き盛りを中心とした年齢層での脳卒中の増加で、その事が平均寿命という指針に更に深刻なダメージを与える事となりました。
2014年08月22日
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子供の頃、レストランに食事に連れて行ってもらいメニューにホットケーキがあるのを発見し、それが食べたいといったのですが、今日は食事に来ているのだからと却下され、少し離れた席に近所の子供も来ていて、その子はホットケーキを食べていた事から、親によって食に対する考え方が違うものだと思った事があります。 最近ではホットケーキはパンケーキと呼ばれる事が多くなり、カフェなどで食事を意識した甘くないパンケーキも出されている事から、今なら却下される事はないだろうと考えたりもしています。 また、パンケーキを家庭で手軽に焼く事ができるパンケーキミックスもかなり発達していて、ダマにならずにすぐに水や牛乳などで溶く事ができ、焼き上がりも綺麗に仕上がってくれます。そんな便利なパンケーキミックスの普及に伴い、困った症状が報告されるようになってきています。 パンケーキシンドロームと呼ばれるその症状は、小麦粉やパンケーキミックス、お好み焼き粉などのミックス粉を使い残して保存しているうちに、中でダニが発生してしまい、気付かないうちに食べてしまう事で起こるとされます。 主にイエダニなどが中心となるそうですが、小麦製品を食べた後にアレルギー症状として発生する事から、小麦アレルギーと間違えられてしまい、原因の特定が遅れてしまったり、海外では重篤なアレルギー反応であるアナフラキシ―ショックを引き起こして死亡した例も報告されています。 小麦粉は加熱してから食べるために危険性を意識しにくいという事もあるのですが、ダニのアレルゲンは加熱しても残されてしまう事から、焼いても危険性は変わらないため、小麦粉の管理には充分に気を使う必要があるといえます。 毎回、使い切ってしまう事が最良の対策とはいわれますが、どうしても使い残してしまうので、そんな際は密閉して冷蔵庫などに保存し、ダニが好む高温多湿な環境にしない事が重要といわれます。家の中のダニの数も小麦粉への混入と繁殖を左右するともいわれますので、日頃からダニが増えないようにする事も大切とされ、安全確保にはいろいろと気を付けておくべき事が多いと思えてきます。
2014年08月21日
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整体やカイロプラクティックなどで、関節を捻ってポキっと音を立てて矯正を行うという施療を見掛ける事があります。スラスト法と呼ばれる矯正治療ですが、以前から賛否両論が存在していました。中でも首の部分は非常に重要な部位でありながら無防備に近いという事もあり、安易に行うのは危険性が高いともいわれてきました。 あまり関連性は高くはなさそうな感じがするのですが、スラスト法は脳卒中のリスクを高めてしまう可能性があると米国心臓協会と米国脳卒中学会が医学誌に声明を出していた事から、日常的に自分でやっている人は控えるべき事と思えてきます。 両団体の声明によるとスラスト法が直接脳卒中を引き起こすのではなく、スラスト法によって起こる頸動脈解離が引き金になるとされています。血管の最も内側は内膜と呼ばれる層で構成され、スラスト法によって頸動脈に急激な圧迫が生じると内膜に傷ができ、その傷から血液が流れ込んで内膜が剥がれてしまい、頸動脈解離が起こると考えられます。 スラスト法による解離は首の骨にある椎骨動脈で起こると考えられ、以前、発表されていたスラスト法の危険性を伝える論文では、45歳以下の脳卒中のうち、スラスト法の施療を受けていた人の比率は、受けていない人の5倍にも上ると指摘されていました。 あくまでもリスクは低いとされてはいますが、施療時は説明を行うべきという意見もあり、また、脳卒中との関連ではありませんが、日本の厚生労働省もスラスト法を危険な施療としている事から、少なくとも自分でやる事は避けるべきなのかもしれません。
2014年08月20日
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大きな駅で電車を降り、駅舎を出て駅前の公園を横切ろうとするとそれを遮るように近付いてきた人がいて、何事かと思うと袋を手渡されました。袋の中には自殺を予防する事が書かれたチラシとキャンペーンのロゴが入ったボールペンが入れられていて、死にそうに見えたのかなと一人で笑ってしまいました。 警察の発表によるとこの3年は連続して全国の自殺者が3万人を切っているとの事で、自殺者は減少傾向にあるとされますが、明確な自殺でなく不審死と判定されている中にも自殺者が含まれていて、相変わらず高い水準を保っているという意見もあり、ハリウッドの有名な俳優の自殺のニュースなどもあって、とても深刻な問題と思えてきます。 以前、聞かされたところでは、自殺をする人には「自殺スイッチ」が備わっていて、スイッチがない人は何が起きても自殺しないし、スイッチがある人で一旦スイッチが入ってしまうと、周囲の状況なども考慮せずに自殺してしまうといいます。先日、そんな自殺スイッチの見付け方に関する研究成果が発表されていました。 自殺した人とそうでない人の脳の標本を調査したところ、SKA2と呼ばれる遺伝子に違いがある事が判り、体内のSKA2の量や状態によってリスクの高さが左右される事が観察されています。 SKA2は悲観的な考え方や衝動的な行動を抑制する働きがあるとされ、自殺した人はこのSKA2の体内での発現量が少ないか、メチル化している事が確認されました。DNAのメチル化は複雑なDNAの働きに関係した現象で、メチル化したDNAは働きが抑えられる事から、ストレスや不安などによってSKA2がメチル化されて働きが抑えられていると考えられます。 SKA2の減少やメチル化は血液検査でも観察する事ができるので、血液検査でリスクの高さを判定する事が可能とされ、血液検査の結果と実際の行動を照合したデータでは80%の精度で予測できた事から、検査方法が普及すれば事前の血液検査で悲劇を未然に防ぐ事ができます。早めにスイッチを見付けて、作動しないようにケアしておく事、大切な事だと思います。
2014年08月19日
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日本人は鶏肉好きといわれ、国内で生産するだけでなく大量の鶏肉を輸入しています。その輸入量はEU(ヨーロッパ連合)に匹敵するほどとなっていますが、欧米では胸肉が好まれる事に対し、日本では圧倒的にもも肉が好まれ、胸肉は不人気部位となっています。 焼き物から炒め物、煮物や丼物と幅広く活躍するもも肉、高タンパク低脂肪でヘルシーな食材の代表のようにいわれるささ身、少々B級グルメな雰囲気を持つ手羽先や手羽元、そういった部位に比べると胸肉は影が薄く、売り場で単価を比較してみるともも肉の半値という事も珍しくありません。 最近話題になったところでは、疲れにくくする抗披露物質のイミダゾールペプチドを多く含んでいるとして、胸肉を食べる事で疲れ知らずといった事がいわれたりもしているのですが、それでも胸肉ブームが来ない事には、やはり不人気部位かと思えてきます。 我家ではもも肉よりも胸肉の登場回数の方が圧倒的に多く、理由としては肉類をあまり食べない状態で料理をはじめていたので、胸肉ともも肉の違いを意識しておらず、筋や脂が少なく、塊りが綺麗に見えたので胸肉を選んでいました。後に胸肉が嫌われる理由として、食感がパサパサしているからという事を聞かされ、あまり胸肉のパサ付きを感じずに調理で来ていた事を幸運に思っています。 胸肉ともも肉は、本来は肉質の違いはそれほどないといわれ、パサ付きの原因となる水分量もほぼ同じくらい含まれています。しかし、胸肉は筋肉を覆う膜がもも肉よりも薄く、加熱した際に水分を失いやすく、それがパサ付きの原因となっていると指摘されます。 胸肉には旨味の素となるイノシン酸が豊富に含まれているのですが、水溶性のイノシン酸は加熱調理によって流出する水分によって胸肉の外に放出されてしまい、旨味を失って淡白な味わいなってしまう事も胸肉を味気ない印象にしているという事もできます。 また、胸肉は筋肉の繊維が長く、しっかりしている事から、加熱されてそれがバラバラになった際にパサ付いた印象を与えてしまうともいわれ、大きな塊り肉であるという事が災いした形になっています。 そうした事情を考慮すると、胸肉は調理する前に包丁の背などで叩いて筋繊維をある程度断ち切っておく事や、筋繊維に垂直に削ぎ切りにして、筋繊維を短めに切っておく事、事前に調味料をもみ込んで水分を吸わせておく事、炒め物などの水分を流出しやすい調理の際は、事前に片栗粉や小麦粉を塗して表面をコートしておく事で美味しく仕上げられる事が考えられます。 以前、私が調理した鶏の炒め物を食べていた母親に、どうすれば胸肉をこんなにふんわりと仕上げられるのかと質問された事があり、下処理の違いやフライパンの違いを尋ねられた事があるのですが、胸肉を一口大に切り分ける際、薄めの幅広に切っていたので筋繊維が短く切られていた事が幸いしたと後になって思えます。
2014年08月18日
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学生の頃、学校の近くには古本屋がたくさんあり、昭和の情緒を色濃く残す店構えを見せてくれていました。中を覗くと無愛想で無口だけど本好きという感じの店主がいて、街中のデパートで新古書の特別販売が行われると決まって会場で見掛ける事ができていました。 そんな古書店も中古のゲームソフトが売り買いされるようになった頃から少しずつ様変わりが始まり、昔ながらの商売を続ける古書店は店主の高齢化もあって徐々に姿を消していき、今ではチェーン展開する店が郊外に大きな店舗を構え、何でも買い取りますという広告の下に商売が行われていて、かつてのゆっくりと時間が流れてそうな店は過去のものとなってしまっています。 学校の周辺だけでなく、街中からも昔ながらの古書店が姿を消していき、寂しさと後世に残していくべき書物を伝えるという役割の損失への危惧を感じていたのですが、京都の古書店が日露戦争当時の日本軍の重要な資料を入手というニュースを聞き、未だに昔堅気の古書店は健在と嬉しく思っています。 資料は日本軍の食料や資材を調達する部門の幹部クラスの人物の手によって作成されたもので、軍医部長として従軍していた作家の森鴎外(森林太郎)の名前も記載されています。 森鴎外と日露戦争というと、頑なに玄米食を否定し続け、脚気の原因をウィルス説まで持ち出してしまったために、兵士の間に脚気を蔓延させてしまった事が思い出され、膨大な脚気患者を生み出すに至った食料事情なども今回の資料からは詳細な情報が得られるのではと思っています。 日露戦争では従軍した兵士たちが味を憶えて帰還し、その後の普及の原動力になったとしてカレーライスや白菜普及の転機となったともいわれます。戦争という巨大な出来事は、さまざまな物事にたくさんの影響を与えます。その戦争を食という観点から記録した資料が何をもたらしてくれるのか、とても興味がある事となっています。
2014年08月12日
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から揚げ好きという事もあり、コンビニエンスストアで用事を済ませてレジを離れる際、ついでに買えばよかったかなとレジ横に置かれたホットストッカーの中のから揚げを眺めています。いつもお金を払い終えてから存在に気付くので、また今度にしようと思ってしまうのですが、そんなから揚げが販売中止になっていました。 中国の工場で作られていて、その工場では期限切れや床に落ちた肉をそのまま使っていたという事が告発されたための事ですが、かねてより中国の鶏には成長ホルモンが大量に与えられて、短期間で大きくなるように育てられるという薬漬けのため、中国人も自国産の鶏は食べたがらないと聞かされた事があり、とりあえずまた今度を続けて買わずにいて良かったと思えてきます。 今回の事を受けて発端となったファストフードチェーンでは、チキンナゲットの原料をすべてタイ産の鶏に切り替えるといった措置が採られていますが、業界に詳しい識者には「いずれ喉元過ぎれば...という事になる」といった意見も聞かされています。 成長ホルモンを大量に与えられて短期間に大きく育てられた鶏の肉は、味が薄くてブヨブヨと柔らかい食感だといいます。世界中で展開しているチェーン店で常に均一な味を再現するにはそうした鶏肉が最適であったともいわれ、必要性からいずれ復活するという予想もされています。 鶏肉は日本人にとって特別な存在という事ができます。普段はあまり意識されませんが、日本が年間に輸入している鶏肉の量は80万トンにも上るとされ、EU(ヨーロッパ連合)の90万トンに迫る勢いとなっています。数字上はEUの方が多くはなっていますが、人口が日本は1億3千万人なのに対しEUは5億人と多く、一人あたりの比率に直すと圧倒的に日本人は鶏肉を消費している事になります。 海外で生活した経験のある人に話を聞くと、多くの地域で鶏肉が高価であったという意見を聞かされます。日本でもそうした傾向はかつては見られていて、昭和の初め頃には「旦那は鶏肉、番頭は牛肉」といわれて、牛肉よりも鶏肉の方が高価であった事が伺えます。 日本で鶏肉の値段が下がりはじめるのは、大規模な養鶏施設が整えられ、窓のない部屋に大量の鶏を押し込めて飼育する手法が一般化しての事となります。安価に輸入される飼料、大量生産ともいえる大規模飼育、合理化された食肉工場といったものが鶏肉を安価にしてくれていて、消費者の間では鶏肉は安価な食材、大量生産のブロイラーこそが鶏肉の味といった誤った認識が広まっています。 鶏肉の部位においても日本人はもも肉を好む傾向が強く、不人気な胸肉が余ってしまったり、味が濃厚で歯ごたえもあり、本来は美味しいとされるはずの地鶏の肉も余剰になってきているとといわれます。大量に鶏肉を消費する国だからこそ、しっかりとした鶏肉文化が根付いてくれればと思います。
2014年08月11日
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私の中での答えは決まっているのですが、困った事に正式な答えが判らないため、それが正しいのかずっと確認できないでいるなぞなぞがあります。それは正直者と嘘つきに関するもので、童話のような面白い物語を伴っています。 なぞなぞの主人公である私は、どうしても急いで深い森を抜けた先にある正直村へ行かなければなりません。正直村はその名の通り正直者ばかりが住んでいて、村人は生涯一つの嘘もつかないといわれています。 困った事に正直村にはそっくりの隣村、嘘つき村があり、村の景色も家の作り、住んでいる人も正直村にそっくりなのですが、嘘つき村に住む人は全員が嘘つきで、生涯一つの真実を語る事もないといわれます。 正直村への道を急ぐ私は深い森の中で迷子になり、やっとも思いで森の出口にまで辿り着く事ができました。もう少しで正直村に行けそうなのですが、目の前の道は先の方で二つに分かれ、一つは正直村に、もう一つは嘘つき村へと繋がっています。 どちらへ進むべきかも判らず途方に暮れそうになっていると、それぞれの道からとてもよく似た人が歩いてきます。私はそれぞれの道から来た人から話を聞いて、正直村へと通じる正しい道を判断しないといけないのですが、疲れ果て、喉もかすれてしまっている私は一言を発するのがやっとという状態です。どのような一言で正直村への正しい道を判断しますかというものなのですが、正式な答えを知らないままとなっています。 最近、興味深い実験が行われ、嘘をよくつく人は脳の活動領域に違いがある事が判ってきています。実験では20~30代の約30人の被験者に二つのゲームをしてもらい、第一のゲームでは簡単な画像を使ったクイズを行い、正解すると報酬としてお金がもらえるというもので、ゲームの勝利と報酬を関連付けた上で第二のゲームであるコインの表裏を当てるゲームに挑戦してもらいます。 コインの表裏を当てる単純なゲームですが、正解すると報酬としてお金がもらえ、不正解だと手元に資金が減ってしまいます。第二のゲームは二つの方法に分けられ、事前に答えを決めて申告しておく場合と、申告をせず心の中だけに留めておき、答えが判った後、心の中の予想と合っていたかを自己申告してもらいます。その際、自己申告による正解率が不自然に高いと報酬を得るために嘘をつく傾向があると判断されます。 その結果として、第一のゲームの際に脳の側坐核と呼ばれる報酬を期待する際に活性化する領域の活動が活発な人ほど第二のゲームで嘘をつく事が確認され、嘘をつかない人では理性的な行動や判断を掌る背外側前頭前野の活動が活発である事が観察されています。 お金以外の欲でも同じ傾向が観察されるのかが今後研究されるそうですが、脳の活動領域の違いが正直村と嘘つき村の住人の行動を決めていたという事に納得しながら、森を抜けて疲れ果てている私には、二人の村人の脳の観察はできないと思ってしまいます。
2014年08月08日
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にんにくのアリシン、タマネギの硫化アリル、どちらも強烈な個性を持つ成分ですが、普段はほとんど存在していません。大根や辛子の強力な辛味成分であるアリルイソチオシアネートも同じく普段は存在せず、細胞が傷付いた事で酵素が活性化され、先駆体から変化して強烈な働きを発揮します。 動物に襲われた際、移動して逃げる事ができない植物には同じような働きを持つものが多く見られ、動物の中にも攻撃される事で毒を発生させて身を守るものが見られます。原始的な多細胞生物である海綿の中にも同じような毒を持つものがある事が知られ、海綿の組成から毒自体は海綿が作り出しているというより、海綿内に潜む微生物によって作り出されていると考えられていました。 これまで海綿の中で毒を作り出している微生物は特定されていませんでしたが、海綿自体を丸ごとすり潰し、その中から毒の生成に関与している遺伝子を特定し、その遺伝子を持つ微生物を探し出すという新たな手法で毒の作り手を探したところ、毒を作り出す微生物の特定に成功しています。 今回発見された微生物は毒ではなく、毒の一歩手前の物質を作り出し、海綿に毒ではない状態で物質を蓄積させていました。海綿が外敵に襲われて、海綿の組織に傷が付いてしまうとその一瞬で蓄えられていた物質は毒へと変わる最後の化学変化を起こし、強力な毒性で外敵を撃退する事となります。 微生物が直接毒素を作り出さない事については、毒の状態で作り出してしまうとそれを蓄積する海綿の組織が毒に冒されてしまうため、自らの住処となる海綿がダメージを受けないように、それでいて海綿が外敵に襲われた際は毒で撃退できるように工夫していたと考えられています。 攻撃されてから化学変化を起こし、生成された物質で外敵を撃退する手法は「アクティブ・ケミカル・ディフェンス」と呼ばれるそうですが、にんにくで馴染んでいる方法なだけに、海綿が海中のにんにくのようにも見えてきてしまいます。
2014年08月07日
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アメリカの保健当局の一つであるCDC(疾病対策センター)が自国民に対し、西アフリカのシエラレオネ、ギニア、リベリアへの渡航情報をレベル3に引き上げたというニュースが報じられていました。渡航情報のレベル3は最高レベルの警戒情報とされ、不要不急の渡航の中止を求めるもので、史上最大といわれる規模にまで拡大したエボラ出血熱を警戒しての事となります。 エボラ出血熱は、エボラウィルスに感染する事で引き起こされるウィルス性出血熱の一種で、致死率が非常に高い危険な感染症として知られています。血を噴き出しながら死に到るという凄惨な末期や、予防のためのワクチンが存在しない事、症状を抑えるだけの対症療法のみで効果的な治療法もない事などから怖れられる反面、感染から死に到るまでの期間が短いために感染の広がりが大規模化しにくく、感染症としてはそれほど怖れるべきものではないという意見もありました。 大規模な流行は1976年にスーダン、ザイールで見られた後、幾度も発生しており、西アフリカでの発生は1994年のコートジボワール以来となっています。 患者の血液や体液、排泄物などに触れた際、皮膚に傷があるとそこからウィルスが入り込む事で感染するとされ、アフリカでは死者を親族で沐浴させるという習慣があり、それによって流行が引き起こされたとも指摘されていました。 今回の感染拡大はシエラレオネで5月に始まり、隣国のギニアやリベリアにも拡大し、3カ国で1300名を超える患者数となっています。マラリアの症状と区別が付きにくい事や国境を越えて移動する患者の存在、偏見によって患者や家族が不当な扱いを受けてしまう事、医療スタッフが現地入りする事を拒まれてしまう、死者の埋葬が不適切に行われている事などが感染の拡大を助長しているといわれます。 現地では治療に当たり、国民的な英雄とされていた医師も感染によって命を落としてしまい、さらに混乱の度合いを深めそうな事も予想されます。日本の外務省が発表した渡航情報では、シエラレオネは4段階中最も低い「充分注意」に指定され、ギニアの国境周辺の一部地域がもう一段階上の「渡航延期勧告」、リベリアも一部地域が「渡航の是非検討」に指定されるに留まり、それらの勧告の理由も政情不安となっています。日本から西アフリカへ行く事自体が稀ではあるのですが、一刻も早い事態の収束を願っています。
2014年08月06日
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中学生の頃、一日の授業を終えて、帰宅するために校舎の裏の自転車置き場へ行くと、自転車のサドルの上が砂でザラザラして、そういえば今日は遠くの景色が黄色く霞んでいたなと思って、春ならではの黄砂現象を意識したりしていました。 その頃の認識では、黄砂現象は春の限られた時期の事と思っていたのですが、その後、黄砂が降る時期も場所も拡大していって、毎年、かなりの量が飛散している事から、そのまま続くとやがてゴビ砂漠の砂は無くなってしまうのではと思った事が全然的外れだったようにも思えます。 黄砂はゴビ砂漠に限らず、タクラマカン砂漠や黄土高原などからも舞い上がっているとされ、周辺地域の砂漠化によっても舞い上がる量の増加がいわれるようになっています。そうした飛来量の増加は2000年頃から顕著になったともいわれ、太平洋を横断してアメリカの北西部にまで到達するともいわれています。 黄砂が単純に微細な砂埃であれば季節の風物詩や砂漠化進行の証といった話題の提供だけで済むのですが、健康に対しても何らかの問題を引き起こしている可能性が指摘されるようになると、自然現象ゆえの事と見過ごす訳にはいかないように思えます。 黄砂が健康上の問題を引き起こす可能性の一つには、ゴビ砂漠やタクラマカン砂漠で舞い上がった砂埃が中国大陸を横断するうちに重化学工業地帯の上空を経由し、その際、微細な化学物質を含んでしまうという事が上げられます。 以前から黄砂が飛来すると体の不調を訴える人が増加する傾向が知られていましたが、先日行われた研究では、黄砂の飛来によって急性の心筋梗塞の発生率が1.3倍にも増える事が確認されています。 黄砂の中に含まれ、心筋梗塞を引き起こす物質については分析が進んではいませんが、石炭を燃料とした大規模な火力発電所の排煙や大気汚染物質など、長い旅を経た後に飛来するだけあって、多くの複雑な物質が含まれているように思えます。元は自然現象であっても、警戒を怠らないようにしなければと思えてきます。
2014年08月05日
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以前、知り合いから眠る際に羽毛布団と毛布を使っていて、夫婦でその順番について全く違う考えを持っていたという話を聞かされた事があります。知り合いは毛布の上に羽毛布団を着るそうですが、奥さんは羽毛布団の上から毛布を着るそうで、二人にはそうしているそれなりの理由があるとの事でした。 羽毛布団を外側にする事については、保温性が高い羽毛布団で全体を覆うようにして暖かさを逃さないためで、柔らかい毛布が隙間を塞いで冷たい空気の入り込みを防ぐという考え方もあります。 それに対し、毛布を外側にする理由は毛布によって軽い羽毛布団の動きを抑えてずれにくくし、羽毛布団が保温している空気を逃さないように外側から包むという意味があるそうで、どちらもそれなりに正しいように思えます。 夫婦でも考え方は大きく違ってしまうものだと話を聞くに留めていたのですが、あえてどちらが正解かと聞かれると、羽毛布団の機能上、どちらも正解ではないといわなければならなくなってしまいます。 羽毛布団は体温と外気温の差によってかさが変化するようになっています。その働きによって空気の層の厚さが調節され、自然と最適な温度を確保するように作られているのですが、毛布が間に入ってしまうと体温が的確に羽毛布団に伝わらなくなり、羽毛布団は充分に機能を発揮できなくなってしまいます。 また、羽毛布団の上に毛布を持ってきた場合は、羽毛布団が体温によってかさを変化させる事を毛布の重みが邪魔してしまい、せっかくの調整機能は阻害されてしまう事になってしまいます。 機能面は充分に理解できてはいても、酷寒の冬の南阿蘇で羽毛布団一枚で眠る事は無謀極まりなく思えて、数枚の毛布の重ね着の上に羽毛布団で眠る事が普通になってしまっています。
2014年08月04日
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食べ物は五感の全てを使って味わいなさい。食の世界の奥深さを感じさせてくれる言葉で、料理に向き合った際の季節感や盛り付けの美しさを感じる視覚、沸き立つ音や焼ける際の音、噛み砕く際の食感を感じる聴覚、漂ってきたり口に運ぶ際の香りを感じる嗅覚、口に含んだ際の味覚、料理に触れたり口に運ぶ際の触覚など、感性の全てを使って美味しさを感じ取るのですが、意外にも複雑な感性の中で最も重要となっているのは嗅覚で、直截的に味を感じていると思われている味覚は、食べ物の味を決める要因としては20%程度しか作用していないといわれます。 簡単な実験でそれを確認する事ができ、個性的で濃厚な味を持つカレーも鼻を摘まんで嗅覚が働かないようにして食べると、何を食べているのか判りにくくなってしまいます。 もっと顕著な実験としては、嗅覚が働かない状態で同じような大きさ、形に切り分けたリンゴとタマネギを食べ比べてみても違いが感じられず、嗅覚が働くようになると味が戻ってきたような感覚に捉われ、嗅覚が味の感じからに大きな影響を与えている事が判ります。 味の感じ方には嗅覚が重要とはいっても、食べ物を前に鼻から吸い込んでいる香りはそれほど大きく影響はしておらず、食べ物を飲み込む際に喉から鼻へと抜ける空気に含まれる香りが大きく作用しているとされます。 喉から鼻へとにおいを運ぶ空気の流れは、鼻へと抜けるという意味からレトロネイザルと呼ばれるそうですが、風邪をひくとレトロネイザルが弱まる事から味に感じ方が弱まってしまい、健康な時とは違った味に感じてしまう事になります。 以前、ミルクとチェリーとマスカットを一緒に噛むとイチゴになるという不思議な歌を使った駄菓子のコマーシャルがあったのですが、どのような化学変化を起こさせているのだろうと思うと、レトロネイザルを使って三つの食材の香りを混ぜてイチゴの香りを演出し、味を感じさせていた事が判ります。 味の感じ方のほとんどは嗅覚が占めている事は、さまざまな実験で確認する事はでき、理解できるのですが、これからも料理は五感の全てを使って味わっていかなければと思っています。
2014年08月02日
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デンプンはぶどう糖がたくさん連なった形で構成されている事から、αアミラーゼという分解酵素を加えて加水分解すると、デンプンからぶどう糖を得る事ができます。液化と呼ばれる工程で得られたぶどう糖は、グルコアミラーゼという酵素によって糖化の工程が行われてさらに細かい状態になり、グルコースイソメラーゼによって異性化が行われて果糖へと分解されていきます。 そうして得られる異性化糖のうち果糖の比率が高い物が果糖ぶどう糖液糖、ぶどう糖の比率が高い物がぶどう糖果糖液糖と呼ばれています。同じ液糖の中に共存している事や素は同じデンプンである事などから、似たような物と思えてくるのですが、体内での動きをみていると両者は全く別の経路を辿る事が判ります。 ぶどう糖は体内に入ると小腸から吸収されて血液中に入り、全身を巡りながら細胞へ運ばれてエネルギーとして利用され、使われなかったぶどう糖は中性脂肪として蓄積されて行きます。 それに対し果糖はほとんどが肝臓に運ばれて代謝される事から、ぶどう糖と比べて血糖値を上げる事がなく、肝臓で中性脂肪に変換されて蓄積されていきます。果糖の血糖値を上げにくいという性質は、摂取後の満腹感にも影響していて、血糖値が上がらない事で満腹感を感じさせて食欲を抑える物質の分泌に繋がらず、過食に繋がるともいわれています。 果糖は果物や野菜など自然の物に含まれ、古くから人は果糖に接してきています。しかし、果物や野菜には食物繊維が多く含まれていて、果糖の吸収を緩やかにしていた事や、果糖を代謝するためのビタミンやミネラルも多く含まれています。 コーンシロップとして摂取する事で果物や野菜に含まれる天然の果糖よりも遥かに多い量の果糖を摂取し、吸収を緩やかにする成分や代謝を助ける栄養素の不在も果糖の弊害を大きくする事が考えられ、本来、無害であった果糖を有害なものに変えてしまったようにも思えます。 アメリカではコーンシロップの摂取が肥満や生活習慣病を引き起こすとして、コーンシロップの使用に規制を求める動きも見られています。同じような事はトランス脂肪酸の際も見られていて、アメリカではトランス脂肪酸の使用に規制が設けられ、日本ではそれほど摂取していないとして規制は設けられていません。コーンシロップも同じような状態なのですが、どのような事になるのか注意深く観察したいと思っています。
2014年08月01日
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